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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「水滸伝8 青龍の章」北方謙三(集英社文庫)



全軍をあげての総力戦。
「俺を信じろ」と言った指揮官もいれば、
「俺でいいのか?」と惑いの中に在る指揮官もいる。
戦いの中で自らに課せられた役割を全力で果たす男たち。
一方、官軍の集まる独竜岡の中で、機を伺い続けた男がいる。
生きることの意味を見出そうとしていた男がいる。
浸透する「替天行道」。
自らの意思で考え、決断し、行動に起こした男たちの合流は頼もしい。
何かを超越した落ち着きと静けさを滲ませる武松とは対照的に、
危うさを孕んだ林冲。
そんな彼の在り様を認める宋江の目線は、厳しくて優しい。
根底にあるのは情。
そんな彼らだから人はついていく。

ここにきて私、李家荘の住人になっている夢を見ました。
梁山泊には入れない。でも彼らの世界に並び立ちたい。
そんな想いの現れかしら?
でもね。
夢の中だったら梁山泊に行ってみたかった。(笑)
数多くの登場人物がいるにもかかわらず、
ひとりひとりの生き様が、実に魅力的に描かれ続ける北方水滸伝。
次巻も楽しみ!


内容(「BOOK」データベースより)

解珍・解宝父子は、祝家荘に大量の兵が入っていることに気づく。官軍が梁山泊の喉元に、巨大な軍事拠点を作ろうとしていたのだった。宋江、呉用らはそれを阻止しようとするが、堅固な守りと、張りめぐらされた罠によって攻め切ることができない。勝利を確信した官軍に対し、梁山泊軍が繰り出した秘策とは。最初の総力戦が、いま幕を開けようとしていた。北方水滸、緊迫の第八巻。

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「水滸伝7 烈火の章」北方謙三(集英社文庫)



命あっての志。
だが、その志故に、捨てることを厭わない命もある。
「双頭山へ帰れ」
兵たちにそう呼びかけ、自らは空を見上げた男がいた。
「生きろ」と友に言われ、晁蓋の元へと帰り着いた男がいた。
停滞することのない時は、彼らを次の戦いへと追い立てる。
仲間の生き様を胸に刻んで。
ここぞ、という時の林冲の登場シーンは毎回拳を握りたくなるほどたまらない。
ついに梁山泊へと入った宋江。
これまで彼が果たしてきた役割を、
今度は魯達が彼なりのやり方で受け継いでいく。
魯達の出会う男達もまた、たまらない魅力にあふれている。
林冲や史進を「怪物」と呼び、自分を「人間だ」と主張する湯隆。
こんなやりとりが微笑ましい。

北方節炸裂の文章が以下。
『「さらば」その声だけが、聞こえた。なぜ、こんな言葉がある。そんなことを考えていた。』
涙が込み上げるシーンの一方で、北方~~!!痺れる!!と、唸りたくなる、変な忙しさ。
とある人物をwikiで調べてしまったばっかりに、
そこから派生して自分的にはすっかり忘れていたネタバレを盛大に拾ってしまい……
(というか、水滸伝の出来事だと思っていたら、楊令伝の出来事だった)
はい。余計なことはしない方がいいと思い知ったつい先ほど(笑)
読む方に専念します。

内容(「BOOK」データベースより)

聞煥章が宋江の居場所を掴んだ。宋江は太原府の山中に追い込まれ、一万数千の官軍に包囲されてしまう。陶宗旺が石積みの罠を仕掛け、攻撃に備える。官軍は包囲網をせばめ、ついに火攻めを開始した。飛竜軍、朱同と雷横の兵、さらに林冲の騎馬隊が宋江の元へ駆けつけていく。一方、青蓮寺は史進率いる少華山の殲滅を目論む。その謀略に対して、史進はある決断を下した。北方水滸、動乱の第七巻

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「水滸伝6 玄武の章」北方謙三(集英社文庫)



誘いの言葉はいらない。
説得も不要。
ただ、言葉を交わす。
心からの言葉を。
魯達と秦明の対話が静かに響く。
そして、秦明の在り様がとても好き。
彼からいろんなことを学び取ろうとする梁山泊側の柔軟さもいい。
王進のもとで人として深みを増した史進。
彼もまた、在るべき場所へと帰還する。
選ばれた人間の重責を今度は果たし得るだろう。
旅を続ける宋江は、幾人もの男と出会い続ける。
だが、青蓮寺もそれを黙って放置はしない。
何故駆けるのか。
戴宋に己の速さを認めてもらいたいがために
駆け続けた王定六。
胸にぐっときた。
「男がひとり、場所を得た」
彼にもまた、この言葉を進呈したい。


基本的にイヤな登場人物ってスルーして気にしない派なのですが。
あ、この人嫌!と、出てくるたびに思ってしまう、
どうしてもスルーできないお方が登場しました。
むーん。
グインのアリもそうだったんだよね。
アリの場合は「踏んでやりたい」と、日々唸っていました。
ちなみに友だちは「え?アリ嫌いじゃないよ」と擁護派。
好き嫌いは人それぞれ☆
そして今巻は後書きの「読めば、わかる」に大納得。
後書きも解説も書き出しでスルーしちゃうことも多いのですが、
今回はそうそう、そうよね!と、頷きっぱなしでした。

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「水滸伝5 玄武の章」北方謙三(集英社文庫)



いずれぶつかることは必須。
戦いは、避けて通れない。
そして、犠牲が出る事もまた、然り。
わかってはいても、心が軋む。
大きな星が逝った後も、自分たちの持ち場を必死で守った彼ら。
受け継がれる遺志。
刻み込まれる生き様。
掲げる旗がある限り、その想いは潰えることはない。
圧巻の5巻。
林冲の騎馬隊が現れた時の高揚感は半端なかった。
李俊と穆春の成長が目覚ましい。
そして、己の腕の肉と友の腕の肉を平然と食す豪傑が二人。
そこにいるだけで安心できる存在の、なんと頼もしいことか。
袁明と蔡京の会話も納得できる部分があるから、
複雑な想いに駆られる。
それでも、気持ちは迷わず梁山泊へ。


「まちがえるな。敵は私ではないぞ」
公孫勝と童威の会話に内心で笑い、
林冲をさして「ちょっと痛い目に遭えばいい」と言った公孫勝に
「貴方もそう思われてるよ」と突っ込みたくなる。
大真面目なんだけど、なんだか笑える公孫勝……とか、軽く言っておりますが。
この巻で描かれた内容のどれもこれもが濃密すぎて、読了後、眩暈。



内容(「BOOK」データベースより)

宋江の居場所が青蓮寺に発覚した。長江の中洲に築かれた砦に立て篭るが、官軍二万に包囲される。圧倒的な兵力に、宋江は追い詰められていく。魯智深は、遼を放浪して女真族に捕縛される。救出へ向かうが、幾多の危難がそこに待ち受けていた。そしてついに青蓮寺は、楊志暗殺の機をつかむ。妻子と共に闇の軍に囲まれ、楊志は静かに吹毛剣を抜いた。北方水滸、衝撃の第五巻。

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「みなぎわの反逆者炎の蜃気楼9」桑原水菜(コバルト文庫)



拗れに拗れた400年越しの愛憎劇。
勝ち負けにこだわるから、ややこしくて、苦しくなる。
だけど、そういう在り方しか知らない二人だからこそ、
心を切り裂くような苛烈な想いをぶつけ合うしかない。
自虐的な言葉を吐きながら、景虎をねじ伏せようとする直江。
高圧的な言葉で直江を縛ろうとしながら、傷ついた素振りをみせる景虎。
手綱を緩めるかに見せかけての、景虎の最後の台詞に息を呑んだ私は、
完全に直江に肩入れしています。
人は弱い。そして、強い。
綾子の在り方も、村重の在り方も、それを物語っている。
そして、行き場のない直江の想いを抱えたまま、9巻読了。


「おんもに出たい」直江、サイテー。
物語世界から現実世界に一気に引き戻されて悪態付きたくなる瞬間。
私、読んできた本の冊数って5桁超えるけど、読んでいて目を剥いた、
いや、目も当てられないと思った台詞を言い放ったのは直江です。(この台詞じゃないけどね)
でも、私はそんな直江に執着してこのシリーズを読み切りました。(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

大阪の製菓会社社長・狭間の前に姿を現すという「お姫様の霊」を探るために、秘書兼ボディ・ガードとして会社勤めを始めた直江。高耶と綾子も、怨将・荒木村重を追って、京都に来ていた。一向宗は荒木一族の怨念を封じ込めた「遺髪曼陀羅」を使って強力な「荒木大砲」を作ろうとしているのだ。ついに村重を見つけ出した高耶たちだが、村重は綾子の二百年前の恋人・慎太郎そっくりだった。

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「水滸伝4 道蛇の章」北方謙三(集英社文庫)



「替天行道」の旗の元に集い、或はその旗を掲げ、決起する男たち。
自由とは何か?
国の正しい在り方とは何か?
自らに問う彼らの元を訪ねて回る宋江の言葉が、梁山泊の豪傑たちの存在が、
各地で燻る男たちの思いに火をつける。
人を動かすのは人。
思いの籠った言葉と、自ら示してみせる行動は何にも替えがたい力になる。
梁山泊の動きが活発になるほど、民の関心が集まるほど、
それを叩き潰そうとする青蓮寺の力も強くなる。
魔の手はひたひたと忍び寄っている。
だが、今は仲間と共に志を語るひと時を。
私も彼らと一緒に梁山湖にかかる月が見たい。
叶わぬ夢だけれども。

李逵が可愛い。
ムツゴロウさんがやるみたいにワシャワシャしたい。
あ、李逵は人間男子です。
李俊が大好きな友だちに「なんかイメージが楽俊と被るんだよね」と言ったら
「俊の字が一緒なだけでしょ!人間だから!」と憤慨されました。
いえ。私、李俊も楽俊も大好きです(笑)
続々と登場する男たちが魅力的過ぎるのに。
まだまだこれから集ってくる男たちがいるかと思うとわくわくします。



内容(「BOOK」データベースより)

馬桂は愛娘を殺され、悲嘆にくれていた。青蓮寺は彼女を騙して梁山泊への密偵に仕立て上げ、ひそかに恐るべき謀略を進めていく。一方、宋江は、民の苦しみと官の汚濁を自らの眼で見るため、命を懸けて過酷な旅を続けていた。その途中で、純真さゆえに人を殺してしまった李逵と出会う。李逵は次第に宋江に惹かれていくが、そこに思わぬ悲劇が待ち受けていた。北方水滸、波乱の第四巻。

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「青の祓魔師 17」加藤和恵(ジャンプコミックス)



シュラを追って青森へと旅立った燐と雪男。
兄弟コンビでの任務は、惑いと焦りと苦悩のなかにいる雪男に
どんな影響を及ぼすかと思っていたけど、
ハラハラドキドキからのブラボーな展開でした。
なにもかもが吹っ切れたわけじゃないし、雪男の抱える根本的な問題は解決していない。
だけど、二人で共闘する姿は素直に嬉しい。
重いものを背負ったシュラに「ただ生きていい」と言った獅郎。
「自力で戻って来い」と言った燐。
シュラの生きる世界はここにある、と。
指し示す言葉のように思えた。
散りばめられた小ネタに笑いつつ、付録の扉でちょっと切なくなりました。
どう決着つけるのかな?

今回は私の癒しのクロが一コマも登場しませんでしたが。
燐と雪男のかけあいで十分和ませてもらいました。
旅館の女将、お茶目だな。
永久蛇湖周辺の景色はまんま、十和田湖で。
とっても懐かしく記憶をトレースしました。
それにしても雪男の悪役っぷり、板につきすぎてるわ。

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「流」東山彰良(講談社)



家族。友達。恋人。近所の人。
人と人。
様々な係わりがあるけれども、どんな関係の中にあっても、情に篤い人たちの物語。
情と過去。
そして現在。
様々なものが絡み合い、物語に深みと面白さを醸し出す。
殺人事件の真相。
恋人との別れの理由。
無差別・無分別なものではなく、根底に情が絡んだもので在るが故にどうにもやるせない。
それは、秋生の祖父が己のしたことを深く悔いていたからこその行為であり、抱え続けた秘密。
それでも「自分が大事にされて育った」と噛みしめる秋生を愛したのは、
紛れもなく彼の両親であり、叔父叔母たちであり、祖父である。
人の人生は、死の瞬間まで滞ることなく流れていく。
私も流れの最期に「まぁ、いいか」と言えるべく生きていこうと思った。

水滸伝・武松・中森明菜。
自分が今タイムリーに読んだり聴いたりしていたものが順に並べられる偶然に嬉しくなります。
葉尊麟と宇文の胸の内を掘り下げて尋ねてみたかった気もするけど、
これは秋生の語る、秋生の人生の流れの物語。
彼の歩む人生の少し先が明確に示されつつも、その瞬間で幕を閉じた物語。
私はこの終り方、好きでした。

内容(「BOOK」データベースより)

1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。無軌道に生きるわたしには、まだその意味はわからなかった。大陸から台湾、そして日本へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。台湾生まれ、日本育ち。超弩級の才能が、はじめて己の血を解き放つ!友情と初恋。流浪と決断。圧倒的物語。

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「水滸伝3 輪舞の章」北方謙三(集英社文庫)



それぞれの山寨でまとまりつつある男達。
盗賊から義賊へ。
変わりつつある彼らの成長は目覚ましい。
そして、個々の対話からも目が離せない。
蟠りの残る楊志と孔明の再会。
自らの存在意義を胸の内で問い続ける楊志に放たれた孔明の迷いのない言葉にぐっとくる。
安易に弱音を吐くことのできない立場になった晁蓋と呉用が二人きりで吐き出す本音。
袁明ら青蓮寺の者達もまた、役人の腐敗を憂いている。
それを正す方法を模索している。
だが、彼らが晁蓋や宋江たちとは決して相容れることはない。
思わぬ事態から追われる身となった宋江。
「梁山泊で会おう」
たまらなく魅力的な言葉だ。

「楊令と名乗れ」
楊志のこの言葉に、この子の成長ぶりを思い描いてちょっと震えました。
ああ、ここから、と。
そして、王進と王母の存在に心が安らぐ。
彼らの元で人として生き返り、或は成長する英雄のなんと多いことか。

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「水滸伝2 替天の章」北方謙三(集英社文庫)



少しずつ近づいている夢。
だが、掴みとるにはまだ遠い。
だからこそ、「光は、必ずある」という
揺るぎのない晁蓋の言葉が、彼らを導く光となる。
各地に散らばる同志たち。
「時」が刻々と近づいてきていることを伺わせる描写に胸が弾む。
夢は語るだけではなく、実現させるに至る手段をきちんと描かなければならない。
この作品を読むたびに痛感させられる。
適材適所。
それぞれの役割の才能に長けた男たちの個性的な在り様がとてもおもしろい。
王倫が小さくなっていった理由はなんとなくわからなくはない。
だけど、それでは国は変えられない。
志を抱いた男たちの熱い想いが迸る。
そして、「志なんかくそくらえだ」といった白勝の熱い想いにもまた、心が揺さぶられるのだ。


武松にまったく寄り添えないのは私が女だからかな。
同情する余地どこにある?
とりあえず武松は自分を人間として生かしてくれた仲間の存在を
生涯忘れずに生きていくといいと思います。
「人間の想像力が及ぶかぎりの、壮大な物語を書きたい。私という創造者の矜持をかけて」
本の間からはらりと落ちてきた帯に書かれた北方の言葉に痺れました。





内容(「BOOK」データベースより)

梁山湖に浮かぶ天然の寨には、世直しを志す者たちが集まっていた。しかし頭領である王倫の堕落により、今は盗賊同然の集団となっている。宋江の命を受けた林冲は、安道全とともに寨に入りこんだが、そこには幾多の罠が待ち受けていた。一方、晁蓋は、巨額の税が賄賂として宰相に贈られることを知る。民の苦しみの結晶であるその荷を奪うための秘策とは。熱く血がたぎる「北方水滸伝」、第二巻。

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