忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「水滸伝13 白虎の章」北方謙三(集英社文庫)



「たまりませんよ。あんなふうに死なれたんじゃ。
あとから死ぬ人間が、どう格好をつけていいかわからなくなる」
格好つける必要なんてない。
生きるために必死になってほしい。
いや、彼らに死ぬつもりはなかった。
自らにできる最善のことを。
そうやって懸命に戦った結果の死に様が、鮮烈すぎるのだ。
生き残った者たちは、自らを省みる。
そして、死者を語る。
友を想う豪傑の涙に、こちらも涙を誘われる。
崩壊寸前の双頭山を守り抜いた男。
いずれ脅威となりうる造船所を壊滅させた男。
彼らの姿は志を同じくする男達の胸に刻まれ、忘れられることはないのだ。

出先で読むのにはまったく不向きな巻。
涙をごまかすのが大変!
そして、自分の感情と素直に向き合いたいのに、
嗚咽をこらえないといけないのも大変!
李逵にも泣かされて、泣かされて……語るスペースが全く足りなくて大変!
いや、(私が)暑苦しいから、このくらいでちょうどいいのかな?
それにしても官軍……ジワジワと強くなっていっていますね~。
聞煥章を心配する李富がなんだか不憫だ。
この人、こんなことしましたよー!と告げ口したい。



内容(「BOOK」データベースより)

官は十万以上の兵で、梁山泊への進攻を開始した。流花寨には趙安の軍が押し寄せ、呼延灼、関勝、穆弘がそれを迎え撃つ。呉用は流花寨の防衛に執心するが、官の狙いは別の所にあった。董万の大軍が息を潜め、急襲の秋を待っている。一方、孔明と童猛は官の造船所の襲撃を計画した。強固な防備の中、百名の寡兵で潜入を試みる。そして、ついに董万が疾風の如く動き出した。北方水滸、決死の十三巻。

拍手

PR

「水滸伝12 炳乎の章」北方謙三 (集英社文庫)



どこで生きるのか。何のために生きるのか。
彼らの生き様を追いながら、自らの在り様を突きつけられる。
「生きることが旅」
深い言葉だ。
自らの立つ場所を見つけ、受けいられ、そこに命を預けることができる仲間がいる。
心落ち着ける場所での戦を離れた男達の会話がひどく子供じみていて、
なんだかとても微笑ましい。
大人げない会話を繰り出す彼らが、戦場では百戦錬磨の猛将になる。
この巻では、全軍を率いて宋江が出動する。
共に戦った男の想いを抱いて。
自らの立つべき場所をようやく心に決めた関勝。
心は梁山泊に充分に寄り添っていた。
日々の白けた思いとは、これで無縁になるだろう。


捕縛された盧俊義の救出に持てる力以上のものを振り絞った燕青。
盧俊義を死なすまい、と、思っての彼の行為は、
実は死域に入っていた自らを生かすことだったのね、と、
後から気づかされ、鳥肌。
本書とは全く関係ありませんが……
本日の10分程度のお昼寝タイムで公孫勝が夢に出てきました。
ただじーーっとこっちを見てるの。
怖いって!!
そんな夢。
何故公孫勝……
普段夢をみることってほとんどないんですけどねー。
寝てる時まで水滸伝!(笑)







内容(「BOOK」データベースより)

青蓮寺は執拗に闇塩の道の探索を続け、ついに盧俊義の捕縛に成功した。過酷な拷問を受ける盧俊義を救うため、燕青は飛竜軍とともに救出へ向かう。一方、北京大名府に残る闇塩の道の証拠を回収すべく、宋江自らが梁山泊全軍を率いて出動する。それに対して青蓮寺は、雄州の関勝将軍に出陣の命を出した。宣賛と策を練り、梁山泊の盲点を見極めた関勝が静かに進軍する。北方水滸、極限の第十二巻。

拍手

「水滸伝11 天地の章」北方謙三 (集英社文庫)



動くな、と言われることは、
駆け続けることに生きることの意味を見出した男にとって、
羽を捥がれるに等しいことだったのかもしれない。
「自分の手で成し得なくて、何の志か」
だから駆ける。駆け続ける。
あの時、彼が無言のままでも頷いていたら、
何かが変わっていただろうか?
おそらく、否、だ。
すべて、運命。
どんなに言い争っても、帰る場所は無二の友の元へ。
その想いが痛い。
杜興の自分を全く分かっていない捻くれっぷりと、
彼を語る史進たちのあたたかい目線が実にいい。
気付けば大がかりな戦をするようになった梁山泊。
彼らはこの先、どこに行きつくのだろう?


田中さんの銀英を読んでいた時も思ったけど、
相対する敵味方の数・布陣の仕方・死者の数。
物語を紡ぎだす作者は、脳内でどんなシュミレーションしているのかしら?
「再読して李逵の可愛さに気付いた!」と友達に言ったら、
「李逵ファンが増えた!」と返ってきたので、「いや、そこまでは……」と否定しておきました。
ほら、私の可愛いはムツゴロウさん的なものだし。
すると、更に返ってきたのが「貴女はもっと李逵が好きになぁる。好きになぁる。好きになぁる」
という、妙な念の籠った呪文。
いや、だからないから(笑)
この巻を読了した後にもかかわらず、大笑いでした。←あれ?余韻台無し!?



内容(「BOOK」データベースより)

梁山泊の頭領の対立が深刻化していた。兵力をもっと蓄えたい宋江。今すぐ攻勢に転じるべきだと主張する晁蓋。しかし、青蓮寺は密かに暗殺の魔手を伸ばしていた。刺客の史文恭は、梁山泊軍にひとり潜入し、静かにその機を待ち続ける。滾る血を抑えきれない晁蓋は、自ら本隊を率いて、双頭山に進攻してきた官軍を一蹴し、さらに平原の城郭を落とした。北方水滸、危急の十一巻。

拍手

「シティ・オブ・グラス」ポール・オースター(講談社)



小説は不思議な浮遊感に終始捕らわれたまま読み切ったけれども。
漫画の方はNYの街を自分自身が彷徨っているような視点で読みつづけました。
視覚的に明確に描かれている分、
クィンが築きあげた「どこにもない街」で、彼自身が「どこにもいなくなって」しまう現実が
よりリアルに突きつけられた気がして。
「不思議な読後感」と述べた小説版に対して、
こちらは「ゾクリとした読後感」でした。
クィンが現実社会からどんどん乖離していく様がすごかった。
海外文学の小説と漫画の読み比べ。
新しい読書体験でした。

スティルマンの会話表記があんなふうになっているのは意味があるのかしら?
読み取れなかった。(^^;

内容(「BOOK」データベースより)

舞台はニューヨーク。ペンネームの下にミステリー作品を書いて生計を立てているクィン。ある夜から続けてかかってきた間違い電話にきまぐれで耳を傾けると、声の主は探偵ポール・オースターを探しているという。現代アメリカ文学を牽引するオースターの記念すべきデビュー作。

拍手

「耳ラッパ~幻の聖杯物語」レオノーラ・キャリントン(工作舎)



おばあちゃんっ子だった私は、読み始めた直後は家族のマリアンに対する仕打ちに
憤っていました。
92歳の彼女が追いやられたのは老人ホーム。
読み進めるうちに、思いやりのない家族と意思の疎通のない生活をつづけるよりは、
同じような境遇の仲間と暮らす方がよっぽど楽しいのじゃないかと思いは変わります。
経営者の理不尽には納得がいかないものの、
彼女の暮らしぶりはそこで落ち着くかと思いきや。
彼女が手にした不思議な本と、ホームで起こった事件を契機に
私の想像力なんて及ばないところへ吹っ飛んだ、奇想天外な世界に物語は広がり、
最後はワクワクしながら頁を閉じました。

今まで読んだことのない類の本。面白かった!
老婦人たちがとてもお洒落。
そしてカルメラのマリアンに対する友情がとても素敵。
カルメラはこの物語の影の功労者だと思います。



内容(「BOOK」データベースより)

老女マリアンが友人から贈られた奇妙な耳らっぱを手に、老人ホームで痛快な冒険を繰り広げる。92歳のアリスの大冒険。

拍手

「水滸伝10 濁流の章」北方謙三 (集英社文庫)



今はまだ、夢を懐古すべき時ではない。
彼らはまだ、夢の途上にあるのだから。
多くの男達の命を纏い、
次第に大きくなっていく夢の重さを、
頂点に立つ彼らは背負いつづけなければならない。
約束した一勝のために、全力を投じた呼延灼。
台無しにした高俅は阿呆だと思うけど、
おかげで呼延灼の身の振り方が決まったかと思えば胸も爽く。
だが、伴った犠牲は大きかった。
晁蓋と向きう史進の落ち着きと成長ぶりに、感慨深いものを感じ、
呼延灼と向き合った穆公と史進との対話が胸に響く。
韓滔、彭玘、呼延灼の信頼関係がとてもいい。
人を繋ぐのは人。
改めて胸に刻んだ本巻。

呼延灼のイメージは何故か虎。
呼と虎がごっちゃになってるのかな?と、自己分析。
全く関係ありませんが、鞭使い→グフ→ランバラル、と私の脳内は連想します。
ランバラル、大好きです!
韓滔の醸し出す雰囲気がとても好き。
梁山泊にまた素敵なおじさまが!と思ったら、
女傑も少しずつ増え始めました。


内容(「BOOK」データベースより)

官はついに地方軍の切り札・代州の呼延灼将軍に出撃命令を下した。呼延灼は、一度だけなら必ず勝てると童貫に宣言し、韓滔らとともに、戦の準備を着々と進めていく。凌振の大砲をはじめとして、恐るべき秘策を呼延灼は仕込んでいた。一方、梁山泊は晁蓋自らが本隊を指揮し、万全の布陣で戦に臨む。精強な軍同士の衝突が、静かに始まろうとしていた。北方水滸、血戦の第十巻。

拍手

「ぼくの守る星」神田茜(集英社文庫)



視点を変えて語られる、6つの物語。
障がいを負うのは誰のせいでもない。
家族の死も、遅かれ早かれ直面する事象だろう。
人生ってままならないと、思わせられるのと同時に、
それでも生きていかなければならない、という想いが芽生える。
この物語の登場人物はみんな他人にやさしくて、
家族との距離感に思い惑っているように感じられる。
たとえ家族でも、思いは吐き出さなければ理解しあえない。
そして、良かれと思ったことがすれ違う。
親は子供を思い、子供は自らの近い未来を思う。
その時は反発しても、いつか親の愛情に気付く時が来ると信じたい。
ラストの一文に胸をなでおろしました。

物語は終わっても、彼らの人生はまだまだ続いていく。
もう少し見守っていたい気持ちを抱えながらの読了。



内容(「BOOK」データベースより)

中学二年生の翔には悩みがあった。それは、言葉を読み間違えたり言い間違えたりして周りを笑わせてしまうこと。わざとではないのに同級生から漫才の相方に指名され、母にはユーモアセンスがあると励まされる。みんなと同じことができない自分には、どんな才能があるのだろう―。生きづらさを抱えながら日々を過ごす翔と、彼を取り巻くひとびとの悩みと優しさを描き出す、切なくも愛しい物語。

拍手

「水滸伝9  嵐翠の章」北方謙三 (集英社文庫)



役割は受け継がれていく。
その男の生き様と共に。
一進一退の繰り返しかと思った本巻。
最後の最後で静かで苛烈なドラマが待っていた。
梁山泊の豪傑の行くところに、逸材有。
在るべき場所を見つけられないまま燻っていた彼らに、
多くの豪傑達が生かされている。
愚直に不器用に駆け続けた林冲。
彼のために動いた公孫勝。
涙した安道全。
そして、宋江の想い。
多くを語らずとも深く結びついている彼らの絆がたまらない。
魯俊儀と柴進に伸びる、青蓮寺の手。
剣を取るだけが戦いではない。
彼らもまた、命がけで戦っている。
剣での戦いを委ねる者達への命の預け方が、あまりにもお見事。


豹子頭林冲。
彼のイメージがグインと被るのは「豹子頭」の仇名からだけではない……はず。
グインの方が隙なく揺るぎもないけどね。
私は林冲の強さの中に揺らぐ迷いが好き。
だから林冲を馬鹿呼ばわりした李逵にちょっと腹をたててみました。(笑)
秦明と解珍の組み合わせは、とっても和みます。
そして王進の元へと預けられた楊令にほっとしました。
馳星周の解説には思わずニヤリとさせられること必須。
「百八人の北方謙三もどき」この言い回し、最高。


内容(「BOOK」データベースより)

死んだはずの妻、張藍が生きている。その報を受けた林冲は、勝利を目前にしながら戦を放棄し、ひとり救出へと向かう。一方、呉用は攻守の要として、梁山泊の南西に「流花寨」を建設すると決断した。しかし、新寨に楊〓(せん)率いる三万の禁軍が迫る。周囲の反対を押し切って、晁蓋自らが迎撃に向かうが、禁軍の進攻には青蓮寺の巧みな戦略がこめられていた。北方水滸、激震の第九巻。

拍手

「水滸伝8 青龍の章」北方謙三(集英社文庫)



全軍をあげての総力戦。
「俺を信じろ」と言った指揮官もいれば、
「俺でいいのか?」と惑いの中に在る指揮官もいる。
戦いの中で自らに課せられた役割を全力で果たす男たち。
一方、官軍の集まる独竜岡の中で、機を伺い続けた男がいる。
生きることの意味を見出そうとしていた男がいる。
浸透する「替天行道」。
自らの意思で考え、決断し、行動に起こした男たちの合流は頼もしい。
何かを超越した落ち着きと静けさを滲ませる武松とは対照的に、
危うさを孕んだ林冲。
そんな彼の在り様を認める宋江の目線は、厳しくて優しい。
根底にあるのは情。
そんな彼らだから人はついていく。

ここにきて私、李家荘の住人になっている夢を見ました。
梁山泊には入れない。でも彼らの世界に並び立ちたい。
そんな想いの現れかしら?
でもね。
夢の中だったら梁山泊に行ってみたかった。(笑)
数多くの登場人物がいるにもかかわらず、
ひとりひとりの生き様が、実に魅力的に描かれ続ける北方水滸伝。
次巻も楽しみ!


内容(「BOOK」データベースより)

解珍・解宝父子は、祝家荘に大量の兵が入っていることに気づく。官軍が梁山泊の喉元に、巨大な軍事拠点を作ろうとしていたのだった。宋江、呉用らはそれを阻止しようとするが、堅固な守りと、張りめぐらされた罠によって攻め切ることができない。勝利を確信した官軍に対し、梁山泊軍が繰り出した秘策とは。最初の総力戦が、いま幕を開けようとしていた。北方水滸、緊迫の第八巻。

拍手

「水滸伝7 烈火の章」北方謙三(集英社文庫)



命あっての志。
だが、その志故に、捨てることを厭わない命もある。
「双頭山へ帰れ」
兵たちにそう呼びかけ、自らは空を見上げた男がいた。
「生きろ」と友に言われ、晁蓋の元へと帰り着いた男がいた。
停滞することのない時は、彼らを次の戦いへと追い立てる。
仲間の生き様を胸に刻んで。
ここぞ、という時の林冲の登場シーンは毎回拳を握りたくなるほどたまらない。
ついに梁山泊へと入った宋江。
これまで彼が果たしてきた役割を、
今度は魯達が彼なりのやり方で受け継いでいく。
魯達の出会う男達もまた、たまらない魅力にあふれている。
林冲や史進を「怪物」と呼び、自分を「人間だ」と主張する湯隆。
こんなやりとりが微笑ましい。

北方節炸裂の文章が以下。
『「さらば」その声だけが、聞こえた。なぜ、こんな言葉がある。そんなことを考えていた。』
涙が込み上げるシーンの一方で、北方~~!!痺れる!!と、唸りたくなる、変な忙しさ。
とある人物をwikiで調べてしまったばっかりに、
そこから派生して自分的にはすっかり忘れていたネタバレを盛大に拾ってしまい……
(というか、水滸伝の出来事だと思っていたら、楊令伝の出来事だった)
はい。余計なことはしない方がいいと思い知ったつい先ほど(笑)
読む方に専念します。

内容(「BOOK」データベースより)

聞煥章が宋江の居場所を掴んだ。宋江は太原府の山中に追い込まれ、一万数千の官軍に包囲されてしまう。陶宗旺が石積みの罠を仕掛け、攻撃に備える。官軍は包囲網をせばめ、ついに火攻めを開始した。飛竜軍、朱同と雷横の兵、さらに林冲の騎馬隊が宋江の元へ駆けつけていく。一方、青蓮寺は史進率いる少華山の殲滅を目論む。その謀略に対して、史進はある決断を下した。北方水滸、動乱の第七巻

拍手

  

カレンダー

05 2025/06 07
S M T W T F S
2 3 6
8 10 11 13
15 17 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]