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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「美しさと哀しみと」川端康成(中公文庫)



【そう言うけれど、家庭ってけっこう堅固なものよ】

日本語の美しさにぐっと引きつけられる。
濡れ場ですら上品に書き上げるその語彙力と筆力には、
魅せられるわけですが、
余計な事しかしなかった不倫男とちょっと大丈夫?という変質的な女に
どうしても感情移入ができずに読了。
身勝手な思い込みで暴走したけい子には嫌悪感しかなかったし、
彼女の危うさと妖しさに気付いていながらも、
窘めることのできなかったいい年した大人たちにも、悲劇の責任はある。
大木と音子が恋に落ちた経緯がわかれば、
受け止め方はもう少し違ったのかなぁ、とは思いますが、
結果ありきだと、どうしたって大木の常識に疑問を抱かざるを得ない。

頑張っていいとこ探しをしようとしたけど、できなかった敗北感。
この憤り感満載の読後感がイヤで、この時代の作品は避けてたんだけど、
苦手分野はやっぱり苦手ってことかなぁ。
脱毛クリームっていったいいつから存在するのかしら?と思って調べたら
なんと、紀元前4000年からの歴史があったんですねー。
雑学一つ増えました。

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「しろくまのパンツ}



パンツをなくしたしろくまさん。
ねずみくんと一緒にパンツ探し。
最初に見つけたパンツは誰のかしら?
ここでこの本の楽しみ方が決まります。
ページを捲ってワクワクしながらのパンツ探し。
カラフルパンツのオシャレさんや、食べるの大好きおデブさん。
お花模様のおチビちゃんに、アイラブネズミは……きゃー!逃げてー。
そして、え!あなたもパンツ履いてるんですか!?
という、まさかの穴だらけのパンツ。
それ、脱ぎ着が大変!
あら?肝心のしろくまさんのパンツは?
まさかのオチに爆笑。
そして最初に戻ってみると、思わずニヤリとしてしまいます。
面白いのは作者の発想力に依るんだろうなぁ、と、一人納得。
遊び心満載の絵本でした。

内容(「BOOK」データベースより)

しろくまさんのパンツがなくなっちゃった。いったいどんなパンツかな?―。

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「最後の物たちの国で」ポール・オースター



人間としての尊厳がまったく意味を持たないような底に堕ちても、
人は、希望を見出すことができる。
誰かを愛することができる。
奇跡に近い幸運に見舞われることが条件であったかもしれないけれども、
アンナはそれすら、自らの手で手繰り寄せたように思う。
昨日の方が今日よりはまし。
冒頭でそう記していたアンナが、一日生き延びた明日に夢を見ている終盤。
入口はあっても出口のない、最後の物たちの国。
そこではすべてが失われ、そして消えていく。
この国で暮らし、そして出会った彼らの物語の結末はわからない。
けれども、彼らが四人で夢を見ることのできた僥倖に、あたたかい余韻を噛みしめる。

どうやら私は、もっと殺伐としたディストピア的なものを想像していたらしい。
だからこそ、この物語の余韻が余計にあたたかく、泣きたく、切なく響いた。
時として人は、とても残酷で横暴で、傲慢になるけれども。
時として人は、こんなにも優しくて、あたたかい。
すばらしい本に出会えました。
今まで読んだオースターの作品の中ではダントツで好き。

内容(「BOOK」データベースより)

人々が住む場所を失い、食物を求めて街をさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外にそこから逃れるすべのない国。アンナが行方不明の兄を捜して乗りこんだのは、そんな悪夢のような国だった。極限状況における愛と死を描く二十世紀の寓話。

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「ピンクとグレー」加藤シゲアキ(角川文庫)



【やるしかないの。やらないなんてないからね】

人と人。
自分の視線、自分の思考を通してしか理解できない他人の姿は
ある意味、反射した光の色と同じなのかもしれない。
その先にある真実の姿は、こちらからでは決して伺えない。
すれ違ってしまった二人。
絶対的な訣別。
そして運命的な再会。
途中から涙が止まらなくなってしまった私は、彼らに何を刺激されたのだろう?
交錯する過去と現在。
第三章の冒頭で語られる光景がどういうことなのか。
理解した瞬間がとてつもなく苦しかった。
駆け抜けた先に何も見出すことのできなかった彼の悲哀。
どうにもならない。それもまた、人生。
だけどやっぱりやるせない。
もうちょっと、もうちょっとだけ、楽に呼吸することができればよかたのに。

同じマンションに住む同級生三人と、
ちょっと斜めに構えた転校生が仲良くなる瞬間がとても良かった。
ほんの些細な事で子供は打ち解ける。
そこから語られる彼らの絆がとても微笑ましくて、羨ましくもある。
そして、針が刺さったみたいな読後の余韻がたまらない。
その痛みをずっと噛みしめていたい、と思うのは多分歪んでると思うけど、
正直な思いだったりします。←つまり、この話好き。


内容(「BOOK」データベースより)

大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで2人の仲は決裂してしまうが…。ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の愛と孤独を鮮やかに描いた、切ない青春小説。

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「薔薇の誕生」夜光花(SHY NOVELS)



少しだけ、夢を見た。
口絵の彼らがとても楽しそうだったから。
でも、これ以外はない最上のエンディング。
落涙したのは、私がレヴィン寄りだったから。
だから、ラウルの軽口と抱擁が嬉しかった。
啓の言葉が切なかった。
そして、レヴィンの想いが胸に刺さった。
手紙に託されたエリックの想いから始まる最終巻。
彼らなりに悩み、惑い、考え抜いた戦法でのアダムとの壮絶な死闘の決着。
命を預けることに躊躇のない三人の信頼関係。
伺い知ることのできたマリアの愛情に、なんだかほっとしました。
描かれた未来予想図が訪れる日を夢に見ながら、私の旅も終わりました。
読めて良かった。素敵な物語です。

広げた大風呂敷を見事に畳んだ物語。
それぞれの過去をああいう形で詳らかにする手法は見事だなーと思いました。
最初から最後までノンストップで楽しめました。
貸してくださったお友達に感謝。
本当にありがとうございます!

内容(「BOOK」データベースより)

薔薇騎士団の総帥であり、唯一の薔薇騎士である啓は、金髪の守護者レヴィンと、赤髪の守護者ラウルのふたりに守られながら、不死者の始祖で初代薔薇騎士でもあるアダムと死闘を繰り広げていた。時間が経つほどに闘いは悲惨になり、誰もが、啓やレヴィンでさえもが傷ついていた。そんななか、啓はある真実に気づき始めて…不死者となりレヴィンとともに生きていくのか、人間としてラウルとともに生きていくのか―薔薇騎士と守護者。逆らうことのできない運命の結末は?

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「二進法の犬」花村萬月(光文社文庫)



【好きな奴には尽くす。嫌な奴は殺す。それだけです】

白か黒か。0か1か。
甘えと曖昧さを決して許さない人間たちの生き様の、何と苛烈で、潔いことか。
乾や倫子の放つ、闇をより際立たせる昏い輝きには、妥協も逃げもない。
だから惹かれる。強烈に。
自分の狡さや弱さを誰よりも認識していた鷲津。
目を背けがちな自己認識から逃げなかったからこそ、
玄人とは相容れないはずの鷲津が彼らに受け入れられたのだと思う。
悲劇を招いたのは、白にも黒にもなりきれなかった彼の甘さ故だ。
凄惨な血讐。
道具にされた1号が哀れでならない。
「今夜、愉しみにしています」
ストイックさを最後まで貫いた中嶋に涙だった。

絶対的な恐ろしさと、どこまでも包み込むような包容力。
狡猾な計算高さと、子供のような無邪気さ。
相容れないものを抱え込んだ男の、徹底的な二進法。
怖いけど惹かれる。
そんな彼から目が離せませんでした。
そして中嶋!中嶋!!
ものっすごいイイ男だと思います。
ひとりできゅんきゅんしてたら、みんなで中嶋を取り合っていました(笑)

内容(「BOOK」データベースより)

家庭教師・鷲津兵輔が、生徒として引き受けることになった女子高生の倫子。彼女の父は、武闘派乾組組長・乾十郎だった。鷲津は、乾組という組織、十郎の「白か黒か」を徹底する生き様、そして倫子の凛とした存在に、次第に自分の所在を見いだしていく。博打、抗争、性愛…激流のなか、鷲津が手にしたものは―!全てのひとが心に抱える深い闇を重厚に切なく描く傑作巨編。

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「薔薇の守護」夜光花(SHY NOVELS)



日々の生活の中で、常に死を覚悟しているラウル。
己が「不死者」であることを負いつづけるレヴィン。
総帥であることの自覚も風格も備えた啓。
それぞれの立場での苦悩を抱えながらも、
三人ともが三人で在ることの関係を認めている感じが伝わってくるのが嬉しい。
特にレヴィンとラウルが互いを認め合っている光景がいい。
戦いの中でも安息の日はある。
年相応に楽しめた、近しい面子での飲み会。
その光景が微笑ましいだけに、後に訪れる悲劇がいたたまれない。
強いられる過酷な戦いの中で、啓の下した決断と、ラウルに囁いた言葉。
レヴィンはどんな想いでその光景を目にし、その言葉を聞いたのか。


そして彼らは幽玄の間へ。
結末を見届けたいような、このまま曖昧にしておきたいような……
いや、読みますけど!


内容(「BOOK」データベースより)

金髪の守護者レヴィンと赤髪の守護者ラウル。ふたりの大切な守護者を取り戻し、啓は薔薇騎士団の総帥となった。そんな束の間の平穏のなか、三人目の守護者であるマリオが騎士団に戻ってきた。ライバル心を隠さず、堂々と啓に好意を示すマリオに、ラウルは苛立ちを増していき、レヴィンは啓に触れなくなり、避けるように距離を置き始めた。一体どうして?レヴィンのことがわからなくなり、啓は焦燥する。どこか歯車が狂ったまま、アダムたちとの闘いに備えるが…愛情と憎悪、少しずつ見え始めた過去、いくつもの想いが複雑に絡み合うなか、啓が薔薇騎士団の誰かを殺すという予知がされて。

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「機龍警察[完全版]」月村了衛(早川書房)



【敵は警察の中にいるからだ】

警察組織の中に属する者の誇りとは?
仕事に賭ける熱意とは?
「敵は警察の中にいる」
この言葉で終わるこの物語は、壮大な物語の序章。
大人げなく仲間を罵倒し、捜査をぶち壊す警察がいる一方で、
淡々と任務を遂行する三人の傭兵。
抱えた過去から目を逸らさず、自らをも俯瞰するような姿。
孤独と疎外感を抱えたユーリ。
どこまでも深い闇の中にいるライザ。
彼らの方がよっぽど命がけで戦っている。
警察仲間にやっかみの入った理不尽な敵意を向けられながらも、
熱意を失わない夏川や由紀谷ら捜査員の存在も忘れてはならない。
再読して改めて気づかされる、ちりばめられた伏線。
今後の展開が楽しみだ。

単行本に収録された著者の「インタビュー・エッセイ再録」は、
彼のこの物語に対する熱意と真摯な姿勢、
執筆にあたって何に影響され、どんなことを思いながら文章を生み出しているのか。
そういったことを垣間見ることができて、興味深かった。
今年最後の感想です。
機龍警察にはじまり、機龍警察に終わった一年でした!






内容(「BOOK」データベースより)

テロや民族紛争の激化に伴い発達した近接戦闘兵器・機甲兵装。新型機“龍機兵”を導入した警視庁はその搭乗員として3人の傭兵と契約した。警察組織内で孤立しつつも彼らは機甲兵装による立て籠もり現場へ出動する。だが事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた…日本SF大賞&吉川英治文学新人賞受賞の“至近未来”警察小説シリーズ第1作を徹底加筆した完全版。必読の特別企画多数収録

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「あいすることあいされること」宮西達也(ポプラ社)



美味しそうな大きなたまごを拾った、嫌われもののトロオドン。
たまごから赤ちゃんが生まれたらパクッとたべてしまおうと、
自分の身体程の大さのたまごを背負って、日々を過ごすことにします。
嫌われ者→友達いない→話し相手もいない。
独り言をつぶやいていると、ある日たまごの中からお返事が!
微笑ましい会話の応酬をつづけるうちに、
もはやたまごを背負っているのか育てているのかよくわからない状態に。
この時点でトロオドン、ノックアウト。
いつしか彼の願いは「この子が元気に生まれてきますように」
という、情愛深いものにかわっていきます。
そして、赤ちゃんが生まれた時の言葉にはほろりとさせられました。

星空の描写がとてもキレイ。
なんだか心が洗われます。
たまごのなかから生まれた大きな大きな恐竜と、トロオドンがその後どうなったのか。
是非見届けてあげてほしいです。
とっても素敵なお話です。
うーん。
やっぱりこのシリーズ集めたいなぁ……


内容(「BOOK」データベースより)

ずるがしこくてきらわれもので、ひとりぼっちのきょうりゅうがいました。おおきくておいしそうなたまごをだいじにかかえていると…。

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「サンタクロースと50ぴきのトナカイ」



トナカイの、サンタとトナカイによる、世界の子供達のために行うダイエット物語(笑)。
夏の間にうっかり太ってしまい、重すぎて飛べなくなったトナカイたちは、
クリスマスの重要なお仕事、空を駆けてプレゼントを運ぶため、
ダイエットをしなければいけません!
野を走り、池に落ち、雪山を登り、そして砂漠へ。
トライアスロンの様相を呈しつつ、必死で走り、登り、転がるトナカイの姿も表情も
可愛すぎて笑いがとまりません!
果たして彼等のダイエット物語の結末は?
ふふ。是非読んで、ほっこり笑ってください。
色彩豊かなとても愛らしい絵本です。

姪っ子ちゃんのクリスマスプレゼント!と、思いきや。
「サンタクロース島のサンタクロース シリーズ絵本第二弾!」と書いてあって唸ってます。
これだけで十分楽しめるんですけど、
シリーズは全巻揃えたくなる身としては、第一弾も!と思うわけです。
悩ましい……

内容(「BOOK」データベースより)

ずっと、ずっと遠くの「サンタクロース島」という小さな島で繰りひろげられる、とってもやさしい「サンタクロース」と、ふとっちょな「50ぴきのトナカイ」のおはなし。夏のあいだに食べすぎて太ってしまったトナカイたち…。このままでは、クリスマスの夜に空を飛んでプレゼントを届けることもできません。サンタさんと50ぴきのトナカイたちはダイエットの旅に…。

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