きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「星の王子さま」サン・デグジュベ(岩波書店)
【砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ】
人と人。
対話は二人いないと成り立たない。
喜びも寂しさも哀しみもそして笑顔も。
相手があってこそ派生する感情で、孤独の中には生まれない。
相手を知ったからこそ、彼(or彼女)が特別な一人になり、
その動向が気になってしまうし、心が揺り動かされる。
だからこそ、静かに涙がこみ上げるラストでした。
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」
手の届かない不確定なものを望むから、苦しいのかな?という思いと、
そんな希望があるから生きていけるのかな?という思いと。
最初から最後まで深い言葉が綴られる中、この一文がとても印象的な言葉でした。
初読は18歳の時。
読書ノートから引っ張り出した当時の感想を抜粋すると……「私はヘビにはなれてもキツネや王子さまにはなれない」
人生模索中だったようです(笑)
そしてチェックした言葉は昔も今も変わりませんでした。
商品説明
著者の生誕100年を記念し作られた復刻版。挿絵は著者自身が描いた米オリジナル版そのままの絵が載せられている。これまで親しんできた挿絵と比べると輪郭がはっきりしていて鮮明、そのほかにも「ささいな違い」を見つけながら読み進めていく楽しみもある。
本書は、ストーリーの展開を楽しむ意味においては子ども向けだが、むしろ大人向けのメッセージに満ちていて、本来人間には「心の目」が備わっているということを呼び起こされる。その、真実を見ることのできる「心の目」をもって、大切にしていかなければならないモノを感じ取り、それを生かしていくことで人は豊かになれるはずなのだが、さまざまなことに心を奪われ見えなくなっていき、やがて見ようともしなくなる(王子が訪れた星に住む大人たちは点灯夫以外その象徴のようでもある)。
キツネの言葉「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目には見えないんだよ」は著者からの、大人、そしてこれから大人になる子どもたちへの警鐘なのかもしれない。(加久田秀子)
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「DEADHEAT」英田サキ (キャラ文庫)
過去を反芻し、現在の己の心と向き合い。
ディックへの想いを確信していくユウト。
いつか会える。
その想いだけを胸に、コルブスを追い続けたユウトとディックとの再会。
ここのやりとり、胸が痛いけどすごく好き。
今夜限り、と、心に言い聞かせながらも、抱き合わずにはいられなかった
刹那の逢瀬がとても切ない。
でも、自らのやるべきことをしっかりと見据え、
流されない二人がもどかしくも、カッコいいなーと思います。
そして、なんだかんだユウトにはヒントを与えてしまうディック。
敵がとんでもなく巨大な存在であったことが判明して次巻へ……
き、気になる!
内容(「BOOK」データベースより)
宿敵コルブスを追えば、いつかディックに会える―。密かな希望を胸にFBI捜査官に転身したユウト。彼を縛るのは、愛を交しながら決別を選んだCIAのエージェント・ディックへの執着だけだった。そんなある日、ユウトはついにコルブスに繋がる企業との接触に成功!!ところがそこで変装し別人になり済ましたディックと再会し!?敵対する二人が燃え上がる刹那―デッドエンドLOVE第2弾。
「嘘」北國浩二
【いまさら過去を変えることはできん。
だが、ひょっとしたら、明日は変えることができるかもしれん】
真実の世界があまりにも辛くて、耐えがたいものだから。
だから、人は嘘をつく。
逃げるために。守るために。幸せになるために。
それは、優しい嘘。本当の幸せを得るための嘘。
その嘘を責めることは、誰にもできない。
認知症と虐待。
重いテーマを軸に物語は展開する。
認知症を発症しなければ、再会は叶わなかったであろう親娘。
嘘から始めなければ親子になりえなかった女と少年。
嘘からはじまった三人での家族生活。
次第に打ち解けていく彼らの姿は確かに親子だった。
だが、歪な悪意がそんな幸せを一瞬にして粉々に打ち砕いてしまう。
それでも、彼らの絆は壊れなかった。そのことに心から安堵する。
内容(「BOOK」データベースより)
あの夏、私たちは「家族」だった―。息子を事故で亡くした絵本作家の千紗子。長年、絶縁状態にあった父・孝蔵が認知症を発症したため、田舎に戻って介護をすることに。そんな中、事故によって記憶を失った少年との出会いが、すべてを変えていく。「嘘」から始まった暮らしではあるものの、少年と千紗子、孝蔵の三人は歪ながらも幸せな時を過ごす。しかし、破局の足音が近づいてきて…。ミステリ作家が描く、感動の家族小説。
「人間失格」太宰治(新潮文庫)
自分を偽りながら生きていく世界での孤独感。
どこにも行き場がない閉塞感。
それでも、彼には行く先々で受け止めてくれる女がいて、
見捨てずにいてくれた家族がいた。
どうにかしようがあったのに、と思う。
でも、どうにもなりようがなかったのは、
結局は彼自身がどうにかなることを望まなかったからだ。
周囲に心を許さず、不運にも見舞われ、
次第に追い込まれていく葉蔵に共感しすぎて、
息が詰まりそうになった10代の頃。
自分が年を重ねたせいなのか、精神が健全になった?せいなのか。
始終客観的に読み切ってしまったことが少し淋しかった。
16歳の私の感想を引っ張り出してみた。←日記代わりに読書記録つけてたんです(笑)
綴られているのは葉蔵に対する強い共感と激しい反発。
存在意義を模索していた頃の青臭い言葉を延々と吐き出しつつ、
最後の一文は「絶対に逃げない」で結ばれていて、
当時先の見えない人生と闘っていたんであろう自分の負けん気に笑ってしまった。
内容紹介
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。だれもが自分のことだと思わせられる、太宰治、捨て身の問題作。
「DEADLOCK」英田サキ (キャラ文庫)
舞台はアメリカ。悪名高き刑務所。
冤罪で収監されたユウトと、彼にまつわる囚人たちとの物語。
たくさんの登場人物を実に個性豊かに書き上げていて、読んでいてワクワクします。
最初は探り合っているようだったユウトとディックの距離感が、
お互いを知るにつれ近づいていく感じがとてもいい。
だからこそのディックの怒り。
それを抑えたユウトの強さ。
そんな二人が迎えたラストが何ともドラマティック。
続きがとっても気になります!
個人的にはネトが大変カッコいいと思いました!と、こっそり囁いておきます(笑)
人種間の問題は本当に値が深い、と、リアルに立ち返って考えさせられました。
お借りした本で英田さん初読み。
ネイサンという名前を聞くと、どうしてもT&Bのネイサンのビジュアルが浮かぶ病(笑)
そして、この話を読んでいて、プリズン・ブレイクをまた観たくなりました。←シーズン3までしか観てないんですけど。
内容(「BOOK」データベースより)
同僚殺しの冤罪で、刑務所に収監された麻薬捜査官のユウト。監獄から出る手段はただひとつ、潜伏中のテロリストの正体を暴くこと―!!密命を帯びたユウトだが、端整な容貌と長身の持ち主でギャングも一目置く同房のディックは、クールな態度を崩さない。しかも「おまえは自分の容姿を自覚しろ」と突然キスされて…!?囚人たちの欲望が渦巻くデッドエンドLOVE。
「ガラスの街」ポール・オースター(新潮文庫)
意識は定まることなく常にどこかを浮遊し、
物事を俯瞰しているのか、とても狭い一点を凝視いているのかわからなくなる。
物語が進行するにつれ、虚と実の曖昧さに眩暈がする。
街そのものに存在が溶け込んでいくような不安定さ。
けれども、そこに混乱はなく、淡々と語られる物語を追い続ける。
探偵は探偵として機能せず、いつしか透明な存在へと成り変わっていく。
そして冒頭の「どこにもいないこと」という言葉が腑に落ちる。
存在の不確かさに想いを馳せ、自らがここに在ることを確認するかのように息を吐く。
立ち返った現実で噛みしめるのは、とても不思議な読後感。
【ガーディアン必読1000冊】
理解はしきれていないんだろうなぁ、と思います。
でもそれでいいんじゃない?と思える物語。
カテゴライズは多分、必要ないんだろうな。
しばらく積んでた「ムーン・パレス」と同じ著者だということに、読後に気付きました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
「そもそものはじまりは間違い電話だった」。深夜の電話をきっかけに主人公は私立探偵になり、ニューヨークの街の迷路へ入りこんでゆく。探偵小説を思わせる構成と透明感あふれる音楽的な文章、そして意表をつく鮮やかな物語展開―。この作品で一躍脚光を浴びた現代アメリカ文学の旗手の記念すべき小説第一作。オースター翻訳の第一人者・柴田元幸氏による新訳、待望の文庫化!
「日々之好日」松本花(ディアプラスコミックス)
可愛くてかわいくて、とにかくかわいかった(笑)
発情期でモヤモヤしているところに、まさかの四人ゴッチンコでの入れ替わり。
入れ替わることによって相手の身体の事情を理解したり、
物事が客観的に見えたり、で、銀とのんの関係性に変化の兆し。
友の発情期疑惑にきちんと向き合った先生と、サラッと真実を語った銀。
友の愛くるしい笑顔は無敵だと思いました。
大人コンビ、雪と銀の入れ替りは凄味と色気がありましたね~。
風水コンビは入れ替わっても……うん。どっちでもよい気がしてきた←良くないです(笑)
またどこかで彼らに会えることを期待したいです。大好き!
身体銀×雪、中身雪×銀。ものっすごいドキドキしました!
番外編の発刊を教えてくださいましてありがとうございます。
癒されました。
「最後の晩ごはん お兄さんとホットケーキ」椹野道流(角川文庫)
【『みんな』が自分の周りにいてくれるってのが、
幸せなんだよなあ、きっと】
親子でも兄弟でもその関係は個と個で、
道を正すことはままあっても、
価値観を押し付けることは間違っている。
修復できない程に行き違ってしまった兄弟の関係。
そこに至るまでにはそれ相応の理由があって、
それなのに関係の修復をちらつかせる奈津の存在に、
終始苛立ちを感じたけれども。
病室で兄弟がホットケーキを焼くシーンでじんわりしてしまいました。
おせっかいをやく人がいなければ、彼らはこんな時間を持てなかった。
でもそれは、彼らが家族だったからこその歩み寄り。
他人だったら多分無理だった。
だからこそ、これからの時間を大事にしてほしいなーと思いました。
そして明らかになった夏神さんの過去。
彼の後悔と罪悪感は多分、一生消えないと思うけれども。
「俺のことを助けるために生き残った!」と言った海里。
「自分の命も加えてほしい」と言ったロイド。
みんな素敵だね。
今回もご馳走が大変美味しそうでした!
内容(「BOOK」データベースより)
兵庫県芦屋市、元イケメン俳優の五十嵐海里は、夜だけ営業の定食屋「ばんめし屋」で、料理人見習いとして働き始めた。店長・夏神留二の謎めいた過去が気になるが、親しき中にも礼儀あり。打ち明けてもらえる日を待っている。そんなある日、獣医だという女性客がやってきた。彼女はなんと、海里の兄の婚約者。しかし海里と兄とは派手にケンカ別れをしたきりで…。とびきり温かく、優しい絆がここにある。泣けるお料理青春小説。
「青を抱く」一穂ミチ(フルール文庫 ブルーライン)
友へ、息子へ、兄へ、恋人へ。
いろいろな「ありがとう」の詰まった優しい話。
みんな自分ではない誰かのことを考えて、一生懸命生きている。
そして、みんな秘密を抱えていて、吐き出せずに苦しんでいる。
色々な想いがジワジワと染みてきて、胸が締め付けられました。
家族が家族として支えあって、きちんと纏まっていて、安堵します。
そして、泉と宗清との必然的な出逢いと、運命的な恋。
恋愛っていいなぁ、と、素直に想える二人の関係性が好き。
細かい描写を曖昧なままにせずに、しっかり回収しているところが一穂さんだなぁ、と思いました。
居酒屋での宗清と靖野との秘密の共有。
その内容を問い詰めるのではなく、「悪い気はしない」といった泉。
この三人の関係性、好きだなーと思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
静かな海辺の街で暮らす和佐泉は、毎朝の日課で海岸を散歩中、ひとりの男と出逢う。少し猫背の立ち姿、振り向いて自分を映した黒目がちの瞳―叶宗清は、海での事故以来、病院で2年間目覚めないままの弟の靖野によく似ていた。旅行中だという宗清の飾らない人柄を疎ましくも羨ましく、眩しく感じてだんだんと惹かれていく泉。だが泉には、同じように好意を寄せてくれる宗清には応えられないある秘密があって…。
「新宿ラッキーホール」雲田はるこ(Feelコミックス オンブルー)
どん底を知っているからこそのやさしさとしなやかさ。
懐の広さと余裕をうかがわせる彼らの過去は、決してやさしいものではないけれども。
今の彼らの笑顔が、人生は捨てたもんじゃないっていう気持ちを
物語っているのかなぁ、と思います。
「俺が生かしてやる」
絶望の淵に立っていた苦味にサクマが言った言葉。
管理される生活からの自立。
そこからの、二人三脚の人生。
思えば、お互いに人生を変えあった苦味とサクマなんだよなぁ……
垣間見れる二人の絆がぐっとくる。
いろんな感情がジワジワくる良い話でした!
そしてサクマが個人的には大変好みでした。
借本。表紙→裏表紙の流れがほんわりしていて、良い意味で力が抜けました。
組長さんも何気に良い人だった。
でも、なんと言ってもサクマが!!←まだ言う(笑)