きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「スカーレット・ウィザード 外伝」茅田砂胡(C・NOVELS)
ジャスミンと係わった多くの人たちの生き様と、
彼女が眠った後に命を受けた人たちの人生を綴った物語。
30歳を越してからの四年間、ジャスミンの想いを垣間見れたのが嬉しいやら切ないやら……
そして、再び彼女に会うために、彼女のいない人生を生ききったケリー。
キングの思い描くビジョンの壮大さは、私の予想をはるかにぶっちぎっていました。
そして、つながる物語。
少しずつリンクしていって、あ、ここでそうなるのね!と、うなずいた瞬間、血が滾りました。
うまいなぁ……
本編の補完であり、エピローグであり、新たな物語へのプロローグ。
続編が楽しみ。
「一生かかってもそれが無理だというなら、もう一生かけるまでだ」
キングのスケールが大きすぎて、私、惚れ惚れしました。
内容(「BOOK」データベースより)
30年と限られていたジャスミンの命。しかし訪れるはずのない誕生日を4回迎えた彼女は、その日々、何を思い過ごしたのだろう。そして総帥の地位を継いだケリーは何を見据え生きたのだろう。二人の言葉と想いが残された。本編では語られることのなかった死の直前の女王の姿とキングのその後を描く外伝登場。
PR
「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティ(ハヤカワ文庫)
孤島に招かれた面識のない十人。
美味しい晩餐の後の満たされた時間。
そこに響き渡るのは、彼らを断罪する声。
それが合図。
独りずつ命を絶たれていく恐怖の時間の幕開け。
自分だけは大丈夫。
そんな過信は許さない。
迫りくる恐怖に互いに疑心暗鬼になり、或は、精神を喪失していく描写はお見事でした。
終始気になっていたのは「何故」。
犯人は何故そんなことを?
独善的な理由に、それは貴方の役目ではない、と、言いたくなりました。
クローズドサークル内での、童謡の歌詞通りに遂行される殺人。
最後の一人の追い詰められ方にはゾクリ、としました。
赤川氏の解説は共感できることがたくさん書かれていましたが、
「過不足のない、必要にして十分な描写」
この一言に尽きると思います。
簡潔ながら明確に描写された十人の過去と心理。
だからこそ、よりこの物語世界にのめり込めました。
内容(「BOOK」データベースより)
その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が響く…そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく!強烈なサスペンスに彩られた最高傑作。新訳決定版。
「スカーレット・ウィザード 5」茅田砂胡(C・NOVELS)
使えるコネやツテをすべて使っての、ジャスミンとケリーの息子、ダニエル奪還作戦。
ジャスミンがかつて在籍した軍の仲間たち。
ケリーの知人、グランド・セブンと称される大海賊のうちの五人とその仲間たち。
一筋縄ではいかない男たちを束ねる「恐るべき非常識」ジャスミン。
一致団結してガーディアンを攻略していく様が、とても楽しい。
ケリーの敵に対する容赦のなさはやっぱり好きだわ。
決戦の幕引きはケリーとジャスミンの手で。
お互いへの想いを確認しあい、ラブロマンスに相応しい、甘い展開へ。
「契約」を介さない、本物の夫婦となった二人の、二人の……
嘘でしょーーーーーー!!!
とりあえず外伝→続編必須です。
愉快な海賊さんたちがとっても気になります。
内容(「BOOK」データベースより)
おまえ本当に優しい男だな、海賊。巨大なクーアの権力にも何の興味も無かったくせに、おまえは私につきあってくれた。だから―だからもう終わりにしよう。最重要課題であるダニエル救出作戦はジンジャー主演で華々しく開幕し…そしてラヴロマンスも終幕を迎えるスカーレット・ウィザード最終巻。
「スカーレット・ウィザード 4」茅田砂胡(C・NOVELS)
怒れるケリーとダイアナとの常軌を逸した戦闘。
勝算のない賭けはしない。
とはいえ、半瞬でも何かが狂えば、即命を失うほどの飛行に、前半、緊張しっぱなしでした。
ダイアナとケリー、ホント良いコンビだわ。
ケリーからのジャスミンへの気の利いた贈り物は、
ケリーのジャスミンに対する労いと子供に対する愛情が感じられて
あたたかい気持ちになりました。
お互いに出会えたことに感謝をする穏やかな時間。
それをぶちこわした背信者たち。
決着は荒っぽい方法で敵地に乗り込む夫婦のタッグ!?
続いて次巻いきます!
ケリーの過去の壮絶さには息を呑みました。
帰るところなどなくて構わないと、笑って言えるケリーの強さが痛かったです。
内容(「BOOK」データベースより)
低能海賊がケリーを本気で怒らせた。触れてはいけない男の過去を土足で踏みにじったのだ。彼は左眼を琥珀色に輝かせ口元には薄く微笑みをはいた。もう誰にも止められない。この空域の船は残らず消滅する―!リミッター解除!!私―ダイアナ・イレヴンスは白い閃光となって跳躍した。
「スカーレット・ウィザード 3」茅田砂胡(C・NOVELS)
命を狙われ始めたケリー。
少しずつ明らかにされていく背信者の存在。
幽霊星のでの不思議な体験。
それでもどーんと構えていたケリーとジャスミン。
マスコミ相手にいちゃつきつつ、脇腹をつねり、足を踏みむ攻防が楽しい。
無事に子供を出産するとタイミングを同じくしての、ケリーの失踪。
ケリーを拘束した海賊たちが手を伸ばしたのは決して手を触れてはいけない禁忌。
触れられたくない記憶。触れてはいけない過去。
本人の意思を無視して手を伸ばしてしまった男たちには死をもって制裁を。
殺気を孕んだケリーにゾクゾクします。
ものすごく気になるところで……次巻へ!
あとがきの怪獣談義(?)がとても楽しかった。
そして、ケリーがジャスミンのために買ったものがなんだったのか。
とても気になる。
内容(「BOOK」データベースより)
ジャスミンの出産を控えてケリーが総帥代理の任についたとたん無人車は暴走し強化硝子が落下し重役たちの露骨な抱込み工作がはじまった。でもね、こんなのは余興にすぎない。あの気障で自信過剰ではた迷惑な銀髪のあいつが現れたのだから私は瞬時にリミッターを解除した。ダイアナ・イレヴンス発進。
「スカーレット・ウィザード 2」茅田砂胡(C・NOVELS)
行方不明の宇宙船を捜索するための、悪条件下での飛行。
そこに仕組まれた罠。
個性的な面々と愉快な会話に思わず笑いが込み上げるけど、陥った事態は相当深刻。
身内に暗殺を目論む裏切り者を抱えたジャスミンをフォローするために、
ケリーがその真価を発揮し、周囲の人たちに認められていくのがなんだか嬉しい。
「あなたは、誰です?」
誰であっても、ケリーはケリーとして認められていくんだろうなぁ。
「契約」から始まったふたりが「夫婦」として距離を縮めていく感じが好ましい。
言い得て妙な「ハーレクイン・バイオレンス」
夫婦喧嘩も規格外のど迫力でした。
その気になれば巨額の富を手に入れることができるであろう男の望みは
「人の知らない宇宙を誰よりも先に知ること」
ケリー、カッコいいなぁ。
そして、誰かのために命がけで行動を起こせるジャスミンもカッコいい。
惚れ惚れしつつ、次巻へ☆
内容(「BOOK」データベースより)
一匹狼のこの俺が、あろうことか巨大財閥の副総帥におさまった。総帥のジャスミンと結婚したからだ。おまけにこの女王には物騒な敵がいて、街中でコマンド部隊に襲われるは、探査宇宙船は消失するは。当分、退屈だけはしそうにないがこんどはニンシン?だと!?海賊なんだぞ、これでも俺は…。どうにも異色な宇宙恋愛物語。
「スカーレット・ウィザード 1」茅田砂胡(C・NOVELS)
「かなり異色な宇宙恋愛物語」とありますが、最初からハイスピードの、
読んでいてワクワクする一巻目。
宇宙を縦横無尽に駆け巡る一匹狼の海賊、ケリー。
そんなケリーにとある取引を持ちかける、巨大財閥の総帥、ジャスミン。
そして愛らしくもクレイジーな人工脳、ダイアナ。
宇宙空間での互いに「正気か?」と言わしめるデッドヒートの末に、結ばれた契約。
やることなすこと規格外な人たちだけど、彼らなりの信念と覚悟がある。
ジャスミンの無茶ぶりに応えて、平然としていられるだけのスペックがあるケリーは
カッコいいと思います!
見えざる敵の存在も気になりつつ……次巻へ。
色っぽさのカケラもない初夜(?)でしたが、ジャスミンの台詞には
私もドキッとしました。
そりゃあ、無条件降伏以外ないよね(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
奇妙な仕事が舞い込んだ。一年だけ結婚してくれ、だと?お相手はあのクーア財閥の女王だ。殺しても死なない男がご希望だとか。理由や事情は知らないが、宇宙きってのお尋ね者『海賊達の王(キング・オブ・パイレーツ)』向きの仕事じゃない。一匹狼の海賊の誇りをかけて、決着を宙(そら)でつけることになったが…かなり異色な宇宙恋愛物語(スペース・ラブ・ストーリー)。
「闇の奥」ジョゼフ・コンラッド(光文社古典新訳文庫)
【誰にも束縛冴えずに歩いていく人間が、孤独を潜り抜け、
静寂を通り抜けて、原始の世界のどんな異様な場所へたどり着いてしまうことがあるか、
君らにわかるはずがない】
熱帯の密林。大陸の河。異文化の人々。未知の大地。
語り手であるマーロウと共にアフリカの河を遡ることは、
文字通り「闇の奥」へと分け入っていく行為。
まとわりつく熱気を感じ、息苦しい空気を感じ、
息を呑み、眩暈を覚えながら、頁を捲る手が止まらない。
クルツに相見える瞬間を心待ちにしながら。
彼の抱えた闇も狂気を宿した行為も、具体的には何も語られてはいない。
だが、抽象的であり、時に象徴的でもマーロウの言葉が、
彼の狂行を浮かび上がらせる。
彼の「雄弁」さを、納得してしまう。
ジワジワと闇の奥に引き込まれるような読後感。
圧巻でした。
片方の国にとっては「開拓」であっても、片方の国にとっては「侵略」。
ちょっとイロイロ考えさせられました。
読みながらゴールディングの「蠅の王」が頭を過ったので、こちらもそのうち再読したいです。
内容(「BOOK」データベースより)
船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツの最期の言葉と、そこでマーロウが発見した真実とは。
「空を抱きしめる」李丘那岐(ルチル文庫)
【どんなことも、できないと決めるのは自分の心だ。
できないと思った時点で、限界が決まる】
※今回感想になってません。
話自体は楽しめました。
個人的な好みの問題なのですが、文中で
「キレる」を多用される表現がどうも気になるらしく、
「キレる」が出てくるたびに、物語世界から遠ざかり……
結果、大信が苦手になるという二次災害が!
年下わんこ攻め×負けん気の強い美人受け。
大好物なのに!!もったいない!!!
というわけで、特に後半がとっても面白かっただけに、
残念で仕方ありません!←あくまでも個人的な問題。
でも私、ぬかりありません。ちゃんとスピン買ってます(笑)
田上が気になりすぎて仕方がないので、楽しみに読みます。
当たり障りのない感想を書くことはできたのですが、
ちょっと迷った末に、ここはあえて正直に書いてみました。
内容(「BOOK」データベースより)
鳶・土木業の傍ら非行少年の更生を引き受ける阿万崎家。その長男・郁己は周りへの反発から、ゼネコン勤務の今に至るまで優等生を続けている。だが、少年たちの中にあって不思議と荒んでいない大信とは気が合った。勉強熱心で勘も良く、若くして鳶の職長になった大信は眩しく、安らげる存在―そんな相手から「好きだ」と告げられた郁己は…。
「青い約束」田村優之(ポプラ文庫)
【そしてみんな、この先に待っているものをうすうすわかっているのに、
知らない振りをして笑っている】
高校時代のピュアな恋愛。親友。別離。
大人になってからの再会。仕事。病。そして後悔。
生きること。死ぬこと。自らの生き様。次世代に託した未来。
文字通り「人生」が詰まった物語だったと思います。
黙っていられなかったのは、若さ故。
黙して語らなかったのは、相手を傷つけないため。
胸が締め付けられるような痛みと後悔は、
程度の差こそあれ、誰もが感じたことのあるもの。
すべてひっくるめての「人生」。
ラスト、子供たちの笑顔が救いでした。
有賀の語った日本の未来を憂う言葉。
真剣に受け止めないといけない立場の人たちに、是非知って欲しい。
全部を背負った有賀と、何も知らされることのなかった修一。
どちらもそれぞれの苦悩を抱えていた二人が、
「親友」として相対することができてよかった。
「何かを眩しがっているよな微笑み」
有賀の笑い方、とても好きです。
内容(「BOOK」データベースより)
アナリストとして活躍する修一は、高校時代の親友・有賀と再会する。二人の仲を引き裂き、恋人を永遠に奪った“あの事件”からすでに二十年以上の歳月が流れていた…。現役新聞記者ならではの経済問題への鋭い切り込みと、骨太なストーリーで話題を呼んだ傑作が遂に文庫化。