きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「初恋ソムリエ」初野晴(角川文庫)
【普門館は大事だと思う。
でも、その後の人生のほうがもっと大事だ】
読後に胸の痛みが残る本。
でも、その痛みは決して不快なものではなく、
この物語に出てくる人たちのやさしさや思いやり、
そして抱えてきた傷に触れたような気持ちになる。
ずっとその余韻に浸っていたくなる。
そんなやわらかな痛みだ。
これは、誰かが誰かを思いやる物語だと思う。
誰かが抱えた悩みをみんなで一生懸命解決しながらも、
吹奏楽ときちんと向き合い、腕を上げていくことも忘れない。
要所要所を大人がきちんと手助けしてあげているところも好印象。
ものすごく好きなシリーズになりつつある。
未だ語られていないハルタの事情や、草壁先生の過去がとても気になります。
内容(「BOOK」データベースより)
廃部寸前の弱小吹奏楽部を立て直し、普門館を目指す高校2年生の穂村チカと上条ハルタ。吹奏楽経験者たちに起きた謎を解決し入部させることに成功していた2人だったが、音楽エリートの芹澤直子には断られ続けていた。ある時、芹澤の伯母が高校にやって来た。「初恋研究会」なる部に招待されたのだという。やがて伯母の初恋に秘められた、40年前のある事件が浮かび上がり…(表題作より)。『退出ゲーム』に続く“ハルチカ”シリーズ第2弾。
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「日の名残り」カズオ・イシグロ (ハヤカワepi文庫)
【私どもは、みな、いま手にしているものに満足し、感謝せねばなるまい】
とても美しい言葉で紡がれた物語でした。
静かに語られる、一人の執事の、そして、執事の目から見たイギリスの物語。
「日の名残り」は「人世の夕暮れ」
仕事一筋で生きてきたスティーブンスが与えられた一週間ほどの休暇。
仕事を離れ、イギリスの美しい田園風景を車で旅しながら、
自らの過去に思いを馳せ、係わってきた人々との在り方を顧みなながら、祖国の歴史を忍ぶ。
そして手のひらをすり抜けてしまった恋。
旅の終わりに夕日を眺めながら、過ぎた時を思って涙をこぼす彼の姿はとても切ない。
だが、その時出会った男の言葉が、彼のこれからの人生に光を灯す。
「それでも、前を向きつづけなくちゃいかん。人生、楽しまなくっちゃ」
いつまでも心に留めておきたい言葉でした。
内容(「BOOK」データベースより)
品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。
「爪先にあまく満ちている」崎谷はるひ(ルチル文庫)
ミスターパーフェクトと言われつつも、自分や周囲が思っているほど立ち回りがうまくなかった寛。
無意識ながらも來可を傷つけてしまったことに悩んでいる彼に対する父・寛二の言葉には、
ものすごい説得力がありました。
こうやって子供に手を差し伸べられる父親って本当に素敵だと思う。
勘違いや誤解。そこに差し挟まる他人の悪意。
傷つけた当人にとってはいずれ忘れていく出来事でも、
傷つけられた側にとってはいつまでたっても忘れることのできない痛みを伴うものだ。
その傷が完全に癒える日がいつ来るかはわからないけれども、
幸せな未来が疑いようのないラストで良かった。
健治のその後がとっても気になる!
ので、早速「吐息はやさしく支配する」をポチってしまったww
内容(「BOOK」データベースより)
入学以来連続でミスターキャンパスに選ばれている綾川寛は、眉目秀麗、成績優秀、性格も穏やかで人望も厚く、そのうえ社長令息とまさに「王子様」のような大学三年生。そんな寛に、岡崎來可はあからさまな敵意を向けてくる。しかし寛はなぜか來可が気にかかり、避けられながらも構い続けることに。実は來可には寛との忘れられない過去があり…。
「静かに言葉は揺れている」崎谷はるひ(ルチル文庫)
綾川の見た目の派手さが際立っているからこそ。
人が人に惹かれるということは、
内面から溢れるその人の人となりに惹かれるんだよなーということを
改めて噛みしめたお話でした。
家族に疎まれることは本当に辛い。
家族関係でいままで苦しんできた乙耶だからこそ、
一本気で、情に篤くて、愛情深い綾川と、素直でなつっこい寛と一緒に人生を歩みながら
たくさんの愛情に満たされるといいなーと思います。
幸せ慣れしていない人だからこそ、たくさん幸せになってほしい。
それにしても……包容力のありすぎる綾川はかっこよすぎました!←褒めてます(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
リラクゼーション系サービスを扱う会社社長・綾川寛二は『子持ちの女装社長』で有名。音叉セラピストの白瀬乙耶に突然キスされた綾川は、妻亡き後、息子の寛のために女装していたが自分はゲイではないと伝える。以降、綾川親子と白瀬は友情関係を築くことになるが、白瀬がふと見せる色っぽい顔、そして純真な顔に綾川は次第に惹かれて…。
「心臓がふかく爆ぜている」崎谷はるひ(ルチル文庫)
【違う育ちの人間同士、衝突は必然だ。
そうならないように、お互いが譲歩したり変わったりするしかねぇんだ】
出会って、好きになって、付き合って。誤解して、悩んで、嫉妬して。
ケンカして、気持ちをぶつけあって、仲直りして、更に想いは寄り添いあっていく。
地に足のしっかりついた恋愛小説だった。
一緒にいることでどちらもが良い方向へと変わっていける関係は好ましい。
というか、羨ましい(笑)
歩んできた過去は、現在の自分を形成する重要なファクターで、そう簡単には拭えない。
その過去を受け止め、互いの性格を認めたうえで、お互いがお互いを変えていこう、と、
弘に伝える降矢の言葉が素敵だなぁと思った。
個人的には次作の綾川社長の話が大変気になります。
内容(「BOOK」データベースより)
リラクゼーションサロンなどを経営する会社の開発部員・齋藤弘は、地味でおとなしく、ふられてばかりのゲイ。大手企業から転職してきたイケメンで有能な降矢信仁を苦手に思う齋藤だったが、仕事で落ち込む降矢にアドバイスをしたことから親しくなる。降矢に惹かれていく齋藤は酔った勢いで思わずゲイと告白。そのうえ降矢からつきあおうと言われ…。
「七王国の玉座〔改訂新版〕下」ジョージ・R・R・マーティン(ハヤカワ文庫)
【どうしてみんな、これほどまで盲目でいられたのだろう?】
なんとも読み応えのある物語。
国と国。人と人。
絡み合う煩雑な事情の中で、非常にわかりやすいのが私情と愛情。そして私利私欲。
敵地にも等しい陰謀の渦巻く宮中において、
正しくあろう、慈悲深くあろうとしたエダートが謀られて命を落とす様がやりきれない。
父の死を知って黒の城を抜け出したジョンを、命がけで連れ戻しに来た仲間たち。
ジョンの葛藤を汲んだうえで彼を傍に置こうとした熊の御大。
彼の居場所が居心地の良いものであるかどうかはわからないけれども、
彼が孤独でないことになんだかほっとした。
スターク家の子どもたちのこれからの運命がとても気になる。
ラニスター家でもまた、血の繋がった家族の間でそれぞれの思惑を抱えた不穏な気配がぬぐえない。
そしてターガリエン家の遺児、デナーリス。
ドロゴの元で安寧を得たかと思った彼女に襲い掛かる悲劇。
まだ序章に過ぎない物語。
これからの展開が気になります。
内容(「BOOK」データベースより)
前任の“王の手”は暗殺されたのでは?疑惑を胸に王都におもむいたエダード・スタークは、密かに調査を進めるうちに驚くべき秘密をつきとめる。だが同時に、彼のまわりには覇権を賭けた諸候の怖るべき罠が、幾重にも張りめぐらされていたのだ。一方、南方の草原では、ターガリエン家の遺児が騎馬民族と結託し、“鉄の玉座”奪還を狙う。さらに王国の北を守る“壁”の向こうでは、人知を超えた邪悪な力が蠢きだしていた。ローカス賞受賞。