きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「君のためなら千回でも」カーレド・ホッセイニ(ハヤカワ文庫)
【人生にはなにをやるか、なにをやらないかしかないよ】
「やり直す道がある」そんな電話に導かれて、20年ぶりにアフガニスタンへと旅立つアミール。
そこで知る、アミールがかつて手ひどく裏切った少年、ハッサンの人生。
アミールの裏切りにも関わらず、ハッサンの変わらぬアミールに対する忠誠と愛情に涙ぐみ、
凄惨な過去に卑屈になることなく、幸せな人生を歩んでいる彼の姿に凛とした強さを感じた。
だが、激動する時代の波に、ハッサンの人生は壊されてしまう。
残されたハッサンの息子、ソーラブに降りかかる悲劇。
そんな彼を救おうと、奔走するアミール。
時代は容赦なく無慈悲に彼らを傷つける。
子共にはいつだって無邪気に笑っていてもらいたい。
けれども、子供が子供らしくあることが許されない時代がある。
やるせなさに涙があふれて仕方なかった。
アミールの元で新しい人生を歩み始めるソーラブ。
彼の人生が幸せに彩られたものであることを切に願います。
ソ連のアフガニスタン侵攻から、タリバンの9.11事件まで。
いかに歴史的認識が薄かったのかを思い知らされる。
自分で知ろうとしなければ、知識は培われない。
色々な意味で、この時期に良い本に巡り合いました。
内容(「BOOK」データベースより)
「もう一度やり直す道がある」わたしとハッサンをよく知る友人ラヒム・ハーンは告げた。電話回線の向こうにあるのは、わたしの過去、まだ償いの終わっていない罪。わたしは迷いをふりはらい、パキスタン行きのフライトに飛び乗った。そこに、わたしを打ちのめす哀しい真実が待ち受けているとは知る由もなく―アメリカとアフガニスタンを舞台に、少年時代の罪に立ち向かう男の姿を感動的に描き上げる、世界的ベストセラー。
「君のためなら千回でも」カーレド・ホッセイニ(ハヤカワ文庫)
【この川のなかに入れば、みずからの罪を川底に沈め、
流れにまかせてどこかへ行くことができる。
亡霊も、想い出も、罪もないどこかへ】
その年に起きた出来事は、12歳の少年アミールや
彼の周りの多くの人たちの運命を大きく変えてしまった。
アミールを庇ったことによって11歳の少年ハッサンが悪童たちの暴力の対象となり、
アミールが逃げたことによってハッサンが心と身体にひどい傷を負ってしまう。
自らの臆病さと裏切りを悔いながら、アミールの26年の人生は費やされていく。
贖罪を望むなら、ハッサンを対等に扱うべきだったのだと思う。
ハッサンによって罰せられることを願うのではなく、
傷ついたハッサンを友だちだと、抱きしめてあげるべきだったのだと思う。
だが、僅か12歳の少年にそれを望むのは、ずいぶんと酷なことだろう。
そして、僅か11歳でありながら、ハッサンがアミールに対して
最後まで示した忠誠と献身には涙が溢れそうになる。
罪の意識を抱えながら、アミールは大人になっていく。
結婚を前にアミールに自らの過去を告白したソラヤの勇気と、
ソラヤのすべてを受け入れたアミールのやさしさが心に沁みた。
哀しさの中にも誰かが誰かを思いやる気持ちに溢れている。
やるせなさを抱えたまま、次巻へ。
内容(「BOOK」データベースより)
「君のためなら千回でも!」召使いの息子ハッサンはわたしにこう叫び、落ちてゆく凧を追った。同じ乳母の乳を飲み、一緒に育ったハッサン。知恵と勇気にあふれ、頼りになる最良の友。しかし十二歳の冬の凧合戦の日、臆病者のわたしはハッサンを裏切り、友の人生を破壊した。取り返しのつかない仕打ちだった。だが二十六年を経て、一本の電話がわたしを償いの旅へと導く―全世界八〇〇万人が涙した、衝撃のデビュー長篇。
「メルサスの少年」菅浩江(新潮文庫)
精一杯背伸びをし、早く大人として認められたいと願う少年イェノム。
自分を優しく包み込み、保護してくれている世界から
少しずつ外の世界のことを学ぶにつれて見えてきた大人の世界は、
駆け引きや嘘や偽りが混在する世界だった。
あれほど大人になることを夢見ていた少年の叫び。
「もう大人になんかなりたくないや!」
それは、純粋さ故に出てきた言葉なのだろう。
けれども。
大きく変動する時代の流れは、少年を子供のままではいさせてはくれない。
壁にぶつかり、悩みながらも、いつしか、少年も大人の世界の理を知ることになる。
時には思いやり故の嘘が必要なこともある。
そして、すべてが汚れきった大人ではないことを、
まわりの大人たちが身を以て証明してくれるのだ。
イェノムのように大人になっていけることは、人として最高の幸せだと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
辺境の荒野に囲まれた〈螺旋の街〉。そこは貴重な鉱石パラサンサを採掘する男相手の歓楽街、女ばかりの街だった。ある時、予言者の孫娘カレンシアが街に逃げてきた。彼女は、パラサンサを独占して世界の支配を狙う「トリネキシア商会」の軍隊に追われていたのだった。街でたった一人の少年イェノムは彼女をかくまうが、トリネキシアの魔手は〈螺旋の街〉にも忍び寄っていた…。
「ナゲキのカナリヤ」崎谷はるひ(ルチル文庫)
パワハラ&セクハラという厄介ごとに巻き込まれた清也がどんどん孤立していくのではなく、
どん底から周囲の助けを得て、問題を解決していく様子に、
がんばってー!と思わず拳を握ってしまいました。
周囲に流されず、手を差し伸べてくれたつぐみちゃん。よくやったわ!
圧力にひたすら耐えていた清也の転機のきっかけとなったのは、利憲との出逢い。
彼のアドバイスで清也の状況がどんどん良くなっていく。
ネットゲームの世界では女性と性別を偽って知り合った清也をありのまま受け止め、
優しく包み込む利憲の懐の広さは素敵だなーと。
ベッドでの清也の可愛さは半端なかった。
お幸せに☆
つぐみちゃんに利憲が牽制するシーンがなんだかツボでした。
内容(「BOOK」データベースより)
職場でのセクハラに疲れきり、現実逃避で“女性として”ネットゲームに参加する佐光清也。「ダリ」と名乗るプレーヤーに癒され好意を抱くが、そのダリから告白され、実は男なのだと打ち明け謝罪することに。真実を知ってなお、やさしく接してくれるダリこと高知尾利憲に想いを募らせる清也だが、「ともだち」という言葉に自らの失恋を悟って…。
「リナリアのナミダ」崎谷はるひ(ルチル文庫)
シリーズの中で一番好きな話になりました。
読後にいろんな感情がジワジワと染みてきて、思わず涙が零れてしまった。
辛さや困難から逃げ、闇に堕ちかけた佐光の手を引いて、
間違わないように、迷わないように、懸命に進むべき道へと導いた高間。
迷いの中にいた佐光が、周りの人たちの助けを得て、
ひとりの男として成長していく様が、とても自然に納得のいく形で描かれていました。
どうしようもない男だったけれども、高間の躰にその想いを刻んだ廉。
ただ高間を振り回しただけの存在だと思われていた彼の、死した後に伝わる切なる想い。
そんな廉の想いを読み解き、高間の過去ごと抱きしめられる男に成長した佐光は
心の底からカッコいいと思います!
ああ、ホント良い話でした!
内容(「BOOK」データベースより)
佐光正廣は、不運が重なり三年連続で受験に失敗し、二十一歳にして専門学校に入学した、いわゆる仮面浪人。荒んだ気分で煙草を吸う佐光に、「ここは禁煙」と学校の売店店員・高間一栄が注意してきた。以来、声をかけてくる高間を不愉快に思いながらもなぜか気になる佐光。ある夜、高間に助けられた佐光は次第に心を開き始め…。
「狐笛のかなた」上橋菜穂子(新潮文庫)
【どうしようもない思いってあるよね。
その思いを守るために、人から見たら、
ばかだなぁと思うようなことをしてしまうことも、あるよね。】
特別な能力を持った少女・小夜と、呪者の使い魔である霊狐・野火の物語。
権力や政治、そして恨みと妬み。
隣り合う国の大人たちの思惑に翻弄されながらも、
決して揺るがず、自らの想いを貫いた二人の生き様の、なんと潔いことか。
小夜と野火の想いはどこまでもやさしい。やさしくて強い。
その思いは、長年にわたる二国の諍いの火種を消してしまうほどの凛とした強さを秘めていた。
孤独の中に生きてきた二人が、よりそって生きる姿には思わず涙が出そうになりました。
私、逆だと思ってたんですけどね(笑)
読後にほんのり気持ちがあたたかくなる、純粋でとてもきれいな物語です。
内容(「BOOK」データベースより)
小夜は12歳。人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の“あわい”に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。野間児童文芸賞受賞作。
「海は涸いていた」白川道(新潮文庫)
【どこなんだ? その海の向こうってのは?】
誰かを守りたいと思う気持ちの、哀しいまでの負の連鎖。
哲郎の妹、薫を守るために、彼女を脅かす存在を殺めた慎二と千佳子。
妹と友人を守るため、哲郎はすべての罪を自らが被るべく、命を賭した行動に出る。
「生きることを諦めてはいない」という言葉の裏に滲む、諦念が哀しい。
妹と友人の幸せと安寧を願うだけの哲郎を、どうか放ってあげておいてほしいという、
私の想いは聞き届けられるはずもなく、彼は警察に追い詰められていく。
息子の眠る丘で、愛した女と大切な人たちに囲まれて、眸を閉じた哲郎。
行かせてあげたかった。彼の希求したペルーへ。
内容(「BOOK」データベースより)
都内に高級クラブ等を所有する伊勢商事社長、36歳の伊勢孝昭は暴力団に会社の経営を任されていた。彼には殺人の過去があったが、事件は迷宮入りしていた。しかし、孤児院時代の親友が犯した新たな殺人が、その過去を呼びおこし、警視庁・佐古警部が捜査に当たる。そんな折、伊勢はヤクザ同士の抗争に巻き込まれて―。天才音楽家の妹と友人を同時に守るため、男は最後の賭に出た。