きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「子どもたちは夜と遊ぶ 上・下」辻村深月(講談社文庫)
【君が生きているというそれだけで、
人生を投げずに、生きることに手を抜かずに済む人間が
この世の中のどこかにいるんだよ】
初読の時のような緊迫感はないけれども。
やわらかな部分に尖った爪を立てられたようなキリキリとした思いに息が詰まりそうになる。
それでも、色々な過去を抱えた彼らに寄り添いたくて、頁をめくる手が止まらない。
そして、彼等の痛みを自分のことのように感じたいのか、
彼らの痛みを取り除いてあげたいのか、わからなくなる。
この物語の結末に希望や救いを見出すことは、
理不尽に命を奪われた人たちのことを思えば、間違っているのかもしれない。
けれども、世間を憎み、絶望し、自らを消してしまうことを望んだ浅葱が
生きることに向き合うことができたことに安堵する自分がいる。
「君が愛したそいつは、決して不幸じゃなかった」
とてつもない犠牲を払っての言葉ではあるけれども。
月子がいて、恭司がいて、狐塚がいて。
自分は独りきりではないのだと、浅葱が気づくことができてよかったと思ってしまう。
この愛すべき息苦しい世界の中で。
すべての子どもたちに幸あれ。
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「優しいプライド」砂原糖子(幻冬ルチル文庫)
【約束はいらない、明日もいらない。
嘘でもいいから、ただ傍にいてほしい】
事故の被害者と加害者という立場での偶然の再開、そして思いがけない同居。
距離感を図りつつ、揺れる自分の気持ちと向き合い、
互いの気持ちを恐る恐る確かめあいながら、想いを寄り添わせていく様子が微笑ましくてよかった。
この本のセックス描写(身も蓋もない言い方だけど>笑)がすごく好き。
慣れていない保高のぎこちないながらも丁寧で慈しみに溢れた愛撫。
保高を身体で繋ぎとめようとしたした志上の痛々しいまでの必死さ。
行為に慣れても自分本位に動かず、志上を思いやって快楽に導く保高のやさしさ。
いたるところから、お互いに向ける愛情がひしひしと伝わってくる。
「キスしてくれないなら会わない」
これはものすごーい口説き文句だと思いました!
「ユリゴコロ」沼田まほかる(双葉文庫)
【弟がこれからも弟であり続けるように、
この人もまた、僕の生涯を通じてもうひとりの母であり続けるだろう】
家族の在り方を書いた物語。
そして熱烈な愛の物語……だと思う。
実際は従兄弟である兄弟が、お互いを兄であり、弟であると認めているという
心情が描かれているシーンが好きだったなぁ…
「家族」という括りに対する自論は、血の繋がりより共に過ごした時間の記憶と関係性。
この兄弟の在り方と、命の期限が差し迫った父親と、施設にいる祖母との係わり方が
なんだか好きだった。
殺人の衝動に取りつかれた女でも、愛し続けた父親。
「好き」という想いは理屈ではなく衝動。
だから、彼女と最期を一緒に添い遂げられるのは、彼にとってはこの上なく幸せな末路なのだと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのか―。絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!各誌ミステリーランキングの上位に輝き、第14回大藪春彦賞を受賞した超話題作!
「植物図鑑」有川浩(幻冬舎文庫)
【そんなことは夢だと大人ぶった誰に諭されても笑われてもいい。
それでも、ずっと一緒にいたかった。】
タンポポやツクシを摘んで。ヨモギをちぎって。山菜を探して、ミントを育てて。
意外に自分、狩りをして食していたことに気づかされた本でした。
料理をしてくれたのは優しい彼氏ではなく、祖母や母でしたが(笑)
いまでは山菜以外は口にしなくなったそれぞれの味がなんだか優しく思い出されたなぁ…
さやかとイツキが想いを通わせ会うシーンがすごく好き。
本編よりもカーテンコールの物語が印象的だったのは、
さやかとイツキの想いが刺さったからかな?
どんな事情があっても、黙って姿を消されるのは辛い。
それでも、イツキが戻ってくるまで待ち続けたさやかの想いが実ったことがうれしかったわ。
内容(「BOOK」データベースより)
お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です―。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説。レシピ付き。
「天神」小森陽一(集英社文庫)
【だが、どんなに凄いパイロットであっても、
それを活かす者がいなければ輝かない】
就職を決める時に自分には彼らのような憧れや必死さ、決意や覚悟。
そういった類のものが果たしてあったのだろうか?と。
なんだか考えさせられてしまう本だった。
彼らが目指すものはファイターパイロット。
ブルーインパルスの飛行を何度も見てきたけど、
みなさん、こんなふうにものすごい訓練を日々重ねてきての編隊飛行なんだなーと、
あらためてその凄さを再認識しました。
挫折を知らずに歩んできた速が壁にぶち当たった時の苦悩がいたたまれない。
でも、彼は彼を一番活かすことのできる道を見つけたんだと思う。
欲を言えば、陸と父親が和解するシーンが見たかったかな?
適材適所。
天性のパイロットである陸と、そんな彼を活かすべく要撃管制官の道を選んだ速と。
一歩先に進んだ彼らの話を読んでみたいと、思わせてくれる小説でした。
内容(「BOOK」データベースより)
絶対にファイター・パイロットになるんだ―。親子三代での戦闘機乗りを目指す航空学生出身の坂上陸と、防衛大学卒業後、国を守りたいという強い思いから航空自衛隊に入ったエリートの高岡速。立場も考え方もまるで違う二人の青年の人生が交差するとき、心揺さぶられる熱いドラマが生まれる!戦闘機に乗ることに憧れを抱き、夢に向かって突き進む若者たちを描いた壮大な“空”の物語。
「1985年のクラッシュギャルズ」柳沢健(文春文庫)
【誰も気づかないうちに
女子プロレスの時は止まっていたのだ】
何とも言い難い息苦しさを感じる本だった。
それはたぶん、当時の彼女たちを覚えているから。
その姿が脳裏に浮かべば、書かれている内容がよりリアルに迫ってくる。
特別プロレスに興味がなかった小学生の私でさえ、しっかりとその勇姿を覚えている言彼女たち。
筆舌に尽くしがたい苦悩と葛藤を抱えながらも、リング上では自分を最大限に魅せ、
観客を沸かせるプロレスラーを演じてきた彼女たちの必死さと懸命さが、
日本中の人たちの心を揺さぶったのだということが丁寧に書かれている本だった。
女子プロの栄枯盛衰は彼女たちと共にある。
時代を駆け抜けた彼女たちの生き様は、あまりにも壮絶で、あまりにもドラマティックだ。
内容(「BOOK」データベースより)
1985年8月28日、巨大な大阪城ホールを満員にしたのは、十代の少女たちだった。彼女たちの祈るような瞳がリング上の二人に注がれる。あの「クラッシュ・ギャルズ」の二人のように、もっと強く、もっと自由になりたい!長与千種とライオネス飛鳥、そして二人に熱狂した少女たちが紡いだ真実の物語。
「ケルトの封印 上・下」ジェームズ・ロリンズ
【危険にさらされているのは、人類の未来。
手に入れなければならないのは、その運命を制御する力。】
近い将来必ず起こりうると予測される地球規模の人口増加による食糧危機。
だったら自分たち以外の人間を減らしてしまえばいい、という
傲慢な視点に則った実験から端を発する物語。
人間は創意工夫によって困難を乗り越える力を持っていると思うんだけどなぁ。
数日間の間に凝縮されたあまりにも濃密な出来事。
次々と展開される事象にひっぱられるように読み進めました。
一つの事件が収束するたびに、増えていく心の傷。
彼らがシグマという組織に身を置く限り、
その傷を抱えて生きていかないといけないんだろうなぁ…
同情はできないけれども、セイチャンの生き方が痛々しい。
彼女もまた、自らの犯した罪を背負って生きていかなければならない人間の一人。
それでも、レイチェルに謝ることができてよかったと思う。
真剣なんだけど緊迫感のないコワルスキの存在が本当に癒しだわ(笑)
新たなる戦いを示唆しながら次巻へ。
個人的には「存在するものの公表されないように圧力がかけつづけられている」
という、ミツバチ大量消失の謎が気になる……
内容(「BOOK」データベースより)
ヴァチカンのサンピエトロ大聖堂での神父、アフリカ・マリ共和国の難民キャンプでのアメリカ人大学生、アメリカのプリンストン大学での大学教授―三つの大陸で起きた三つの殺人事件には、ある共通点があった。シグマフォースのグレイ・ピアースは、ヴァチカンでの事件でおじが巻き添えになった元恋人レイチェルの依頼でイタリアに飛び、渦巻模様と円環の謎を追う。一方、マリで犠牲になった大学生の父親である上院議員の要請で調査を進めるペインター・クロウは、遺伝子組み換え作物を手がけるノルウェーの企業が事件の裏に存在することを突き止めた。だが、調査を進めるグレイとペインターに、炎と氷の脅威と裏切りの罠が迫る。「ドゥームズデイ・ブックの鍵」を巡り、シグマとギルドとの争奪戦の火ぶたが切って落とされた。
「ジャイアントキリング 31」ツジトモ(モーニングコミックス)
新生ETUの緒戦。
達海の指揮のもと、山の頂を目指すという決意と覚悟が伺われる試合は、
ドキドキ……と言うよりもワクワクする試合展開。
ジーノのシュートが個人的にはもうテンションマックスでした(笑)
シュート後のリアクションもさすが王子。
大好きです!
名古屋の不破監督のスタンスや考え方が描かれていたのがよかった。
監督に就任しているからにはそれ相応の理由と資質がある。
この物語は選手の物語であると同時に監督の物語であることを、改めて思い知らされた。
キャプテンと言う任を降りながらも、己の役割をきちんとみきわめて全うする村越。
それを痛々しいと感じることは、彼にとって失礼なんだろうな。
それに加えて川瀬の回想と現在の思い。
プロ意識とは……プロとはなんたるや?
次巻が待ち遠しいわ。
「ハーモニー」伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)
【世界中で暴動や集団自殺が続いている今も、
わたしは別に世界にことなんか気に掛けちゃいなかった】
他者と同じであること。
決められた規則と法則に従って行動すること。
自分を取り巻くあらゆることに疑問を抱かないこと。
完璧なまでに管理された社会の中で何も考えることなく、
流されて生きることはとてもとても楽だろう。
そこに苦しみはない。恐れも、苛立ちも。
我々を脅かすものは何も存在しないのだ。
だが、それはただ息をしているだけ。
システムとしての個体を維持しているだけ。
独立した一人の人間として「生きて」はいない。
そして、知ることはない。
喜びも、幸せも、生き甲斐も。自分がこの世に存在する意味も。
この物語を読み終えた今、
エピローグに記載されている「いま人類は、とても幸福だ」という一文が
とても薄ら寒く、気味悪く思える。
そこにある幸福は、個々人が選択した幸福ではなく、
ごく一部の人間によって強制された幸福。
許されるなら、眠れる意識に問いかけたい。
あなたはいま、幸せですか?と。
内容(「BOOK」データベースより)
21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰にただひとり死んだはずの少女の影を見る―『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。第30回日本SF大賞受賞、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門受賞作。
「公安捜査 傾国」浜田文人(ハルキ文庫)
【人それぞれに環境が異なり、様々な感情を抱いて生きている】
久しぶりに新刊キター!と思ったら、キャー!!と叫んで次巻に続く…
夏予告、しっかり守ってください!
鹿取と蛍橋の、そりゃないでしょ!という
捜査における相変わらずの傍若無人っぷりはおいておくとして。
(この話好きなんだけど、この点だけはどうしても気になってしまう…)
警察組織の複雑さと面倒くささともどかしさが歯がゆくてやりきれない。
何故同じ組織の人間に潰されそうにならないといけないんだろうなぁと思うと
本当にいたたまれない。
三好さんの漢気とやさしさと懐の広さ。
もっと自分のことだけ考えてもいいのに……とやるせなくなるけど、
だからこその人望であり、だからこその結束力なんだろうなぁ。
とはいえ、三好組も相当な危機的状況下にあるので、そこは何とか危機回避してほしい。
でも最後の最後で「追え!」って……
わかるけど。そうする以外ないのは分かるけど。
もしここでもう一悶着起こしたら、嫌な予感しかしないよね。
今回は要が大人しかったので、次巻ではもうちょっとヤンチャ(笑)に活躍してくれることを
希望します。
内容(「BOOK」データベースより)
神奈川県警公安の螢橋政嗣は、警察庁警備局長の田中一朗の指示で、特捜班の一人として動いていた。公安事案の闇を暴いてきた螢橋は、巨大な警察利権と警察の正義の狭間で、田中の指示を完遂することだけを決意した。そのさなか、殺人の捜査で動いていた捜査一課の鹿取信介と一年半ぶりの再会を果たす。二人は、公安事案、殺人事案、それぞれの立場から真の敵に立ち向かっていく。書き下ろしで贈る、ファン待望の「公安捜査」シリーズ、ここに復活!