きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「生還せよ」福田和代 (角川文庫)
一作目で自衛隊を辞めることを考えていた安濃が、
本作では見事に職務を全う……というよりも、
職務を逸脱してまでの暴走を
結果的には職務と言わしめるほどの活躍を成し遂げる。
あそこまで腹を括れるとは思わなかったけど、
それもこれも窮地に陥った友を救うため。
安濃の行動原理は変わらないなぁ。
一つの任務を終えた彼は究極の選択を迫られることになる。
それをこちらに委ねられるのはいい。
だけどっ!
家庭問題どうなった!?ってとこ気になるじゃん!
という、消化不良要素を残しての読了。
これ続刊出るのかなぁ?
続刊ありきのエピだよね?
「終戦」という区切りの日では戦争は終わらない。
むしろ、そこから始めなければいけないことがたくさんある。
そのことを改めて考えさせられた。
爪痕はそう簡単には消えない。
バディ物を勝手に期待して勝手にワクワクしていた私は
バディは早々に離れ離れになってしまって、勝手にがっかりしました。
未読の本はあれこれ想像せずに無心で手に取らねば(笑)
「潜航せよ」福田和代 (角川文庫)
これヤバイわ、おもしろいわ!で、一気読み。
中国で起こった政変、亡国の徒の暗躍、
巻き込まれた安濃、彼を巡って奔走する自衛隊の面々、
深く沈んだ海底での戦いを余儀なくされる浪虎。
この浪虎の在り様がとてもカッコイイ。
そして硫黄島から対馬に異動になった安濃の立ち位置がなんだかとても面白い。
誘拐されたり殺されかけたりで本人満身創痍だけど。
とはいえ、愛されキャラ健在。
ラストはタイトルに隠されたダブルニーミングに震える。
誕生した《勇猛果敢・支離滅裂》コンビは私へのご褒美。
そして国盗りを持ちかけた男と応じた男の行く末は?
次巻、読むしかないよね。
五條さんの『鉱物シリーズ』を読んでいるタイミングでこちらのシリーズを読む。
このシリーズは内容を全く知らなかったけど、同時期に手に取ったのは何だか運命的。
「知らない人についていってはいけません」
これは子どもだけじゃなく、大人にも当てはまるんだということを改めて。
『迎撃せよ!』→『潜航せよ!』→『生還せよ!』
これちらのシリーズは順番に読むべし。
「花の迷い仔」沙野風結子 (ダリア文庫)
決して報われることのない、かといって捨て去ることもできない
想いを胸の内に抱え、苦しさと向き合い続ける出口のないサークルの中で
時を過ごしてきたウーと夕矢。
監視する側、される側として出会った二人が、
そのサークルの中から抜け出すまでの物語。
わーん、すごくよかった。
斎に対するウーの想い。
キリトに対する夕矢の想い。
想い続けた相手に対する気持ちを否定せずに
新しい関係を築いていく過程がとても良かった。
シリーズを順にここまで読み続けてきたからこその感慨。
この二人のその先をもう少し垣間見たいという想いを抱えての読了。
「かんがい」の一発変換が「灌漑」だったことが全く納得いかないマイPC。
どうしてそうなった?
そして順に読んできたからこそ、
シリーズ一作目からここまでの間に沙野さんの筆力が上がっていることも実感できる。
『花の堕ちる夜』→『花陰の囚人たち』→『千年の眠り花』→『甘やかな共謀』→『色めく夜の陰謀』→『花の迷い仔』
上記シリーズは読了したものの、頑張って集めた小冊子というお楽しみが待っています。
「色めく夜の陰謀 共謀」沙野風結子 (ダリア文庫)
恋愛って一人でするもんじゃないんだよ?
圭祐を巻き込みたくないという想いから
トラブルを打ち明けず、抱え込んだ結果、
キリト自身が窮地に陥るいるという大ピンチに。
圭祐は自力で戦う力がある。
それがわかっているなら、隠すのではなく打ち明けるべきだったんじゃないかな。
とは、圭祐側に寄った私の言い分。
結果的にキリトを助け出すために一役買った圭祐はとてもかっこよかった。
沙野さんの書く攻でここまで精神的に未成熟な人は珍しいかも?
時間帯が合わなくても仕事を疎かにせず、
それでも会う時間を捻出しようとしてきた二人が好き。
と、感想を打ってみましたが☆
私もそれなりに大きな手術をすることをうっかり言いそびれたまま入院→
まぁ、連絡取れないのは手術日と翌日くらいだからバレないだろう→
タイミング悪くそんな相手から連絡があり、音信不通だと大騒ぎになる→
結果、手術がバレ、黙ってたおかげで絶交されかかる……という大騒ぎがあったことを思い出しました。
わぁ!黒歴史!
シリーズは次でとりあえず最終巻。
色々繋がってきたのでとても楽しみ♪
「君の夢は もう見ない」五條瑛(集英社)
構成がうまいのか、筆力がありすぎるのか。
「手紙」と「聞き取り」を介して語られる彼らの生き様に問答無用で引き込まれる。
そして、圧倒的な存在感を放つ「火蛇」に引きずられるけれども。
作中で一番魅力的なのは「お風呂入ってくださいよ!」と
再三に渡って社員から言われ続ける仲上だ。
ぱっとしないおっさんを装いながらも、
彼の観察眼と着眼点、そして分析力は目を瞠るものがある。
第一線で活躍していたスパイだけのものはある。
そんな彼に心酔するチャン。
良い人、悪い人の定義って必要なくて、
自分が相手を好きか否か。
関係性なんて、ただそれだけでいい。
「サラマンドラ」と言えば「みんなのうた」。
思い出した瞬間にものすごく悲しい気分になっちゃう。
なんであんな淋しい歌作ったんだろう?
作中の火蛇は野心に溢れ、精力が漲っているけれども、
懸命に仲上にラブコールを送っても、色よい返事はもらえない。
「ひとりぼっち」という歌詞がぐるぐる回る。
「もう一度、俺と一緒に夢を見よう」
「君の夢はもう見ない」
妄想で一本話が書けそう(笑)
「甘やかな共謀」沙野風結子 (ダリア文庫)
自分を脅迫して強姦した相手を何故そう簡単に信じられると思うんだろう?
そもそもの人間性が疑われる行為なわけで、
それを理由にお前のことが信じられないと言われても、
それを責めたりそれで傷ついたりするのは筋違いだと思うよ、キリト。
オラオラぶりが霧散してうなだれた犬のようにおとなしくなった後の
巻き返しは頑張ったね。
不正を暴くため、と、キリトとの関係を割り切った圭祐の心情の変化は
追っていて楽しかったし、
気持ちが伴ってからの行動力はかっこよかった。
そして描き下ろしはオトコマエすぎたわ。
リバってくれてもいいんだけどなぁ。
『花シリーズ』からの鷹羽刑事の貫禄ある暴力団幹部っぷりに笑う。
それも順番に読んできてるから。
シリーズが関連しているとは知らずにうっかりここから読み始めそうになり、
読み始める直前で気づけたのはラッキーだったわ。
『花の堕ちる夜』→『花陰の囚人たち』→『千年の眠り花』→『甘やかな共謀』→『色めく夜の陰謀』→『花の迷い仔』
いつも読友さんたちに頼りっぱなしなので私もシリーズ順番に記載してみました。
ホント助かっています。ありがとう!
「迎撃せよ」福田和代 (角川文庫)
日本の平和は薄氷の上の平和なんだよなぁ、ということを、
思い出させられる瞬間がある。
本作読了後もそう。
何事も起こらなければ安泰だし、起こらないに越したことはない。
だけど、ひとたび事が起こってしまったら?
どうやって国を守るの?
そこはもっと真剣に考えるべきだし、法改正は必要だと思う。
気づけば事件の渦中に引きずり込まれた安濃の精神的な変化が小気味よかった。
周囲が全力で手助けしてくれるって、なかなか美味しいお姫様ポジション。←一児の父です・笑。
派手な展開ではないけど、人が事件と対峙するという意味でじっくり読ませてくれた作品。
防衛に関してもだし、
水資源のことも、他国による土地の買収のことも、
突き詰めるとぞわぞわっとしたうすら寒い思いしかこみあげてこないので、
思考シャットアウト……なダメパターン。
「獣はかくして交わる」沙野風結子 (ディアプラス文庫)
光と闇。
コクミンとヒ・コクミン。
刑事と自称フリーライターの男。
全く異なる世界に身を置く二人が、同じ目的を果たすために手を結ぶ。
飼うか飼われるか、ではなく、飼って飼われる関係性がとても好き。
そして、二人ともおとなしく飼われるタマじゃないところがまた素敵。
たとえるなら、大型肉食獣のぶつかり合い。
警察、検察、闇組織。
三者が絡んだ諸々の根本的な決着は続刊以降まで持ち越し。
ゼロも鹿倉も男としての伸びしろはまだあると思うから、
今後どうなっていくかがとても楽しみ。
沙野さんの世界観と小山田さんのイラストはベストマッチ。ひたすら眼福。
部下のカワウソ。
粘着質な検事のカメレオン。
例えが絶妙。
このカメレオン。
ただの変態ではなさそうなので、スピンがあったらとても楽しそう。
そして、フレグランスを取り上げられたカワウソくんは、
代わりのものをちゃんと買ってもらえたのかしら?
気になる……
『北斗の拳』と言われれば、反射的に思い浮かべるのはサウザーです!
「キル・ゾーン6 赤と黒」須賀しのぶ(コバルト文庫)
血を流し、歯を食いしばり、己の肉体を極限まで駆使して戦って、
どうにか生き延びる。
そんな戦いの渦中にある彼らの中に紛れ込んだ人ならざる者。
人知を超えたモンスターを相手にはまともな戦闘なんてできないことを思い知らされる。
その力をキャッスルの元に帰るためだけに駆使した傷だらけのラファエルの姿が痛々しい。
そう、これは人間の物語。
痛みを抱え、人を愛し、地に足を付けて足掻く人たちの物語。
だから怪獣大決戦にはならないはず。
そして、足の手術を終えて戻ったエイゼンの姿に安堵。
荒れたキャッスルに対する対峙の仕方はお見事。
『ブルー・ブラッド』はノーチェックだったけど、
こちらも集めるべき?
リンク作品は読まねば!という使命感に駆られるのは、本読みあるある(笑)