忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「リガの犬たち」ヘニング・マンケル (創元推理文庫)

田舎町の刑事がいつもの職務の一環として担当した事件。
それがまさか、国境を越えた命がけの行為にまで及ぶとは、
彼自身、想像することはできなかっただろう。
二度の大戦で大きな影響を被ったラトヴィア。
ソ連の支配下からの独立運動という
大きな変革を遂げようとする国の内部に蔓延る混乱。
内政問題に加えて国家的な犯罪に意図せずして巻き込まれたスウェーデン人のヴァランダー。
職務の枠を飛び越えてよくぞそこまで頑張ったという奮闘ぶりと、
最後の最後まで予断を許さなかった怒涛の展開に引っ張られて一気読み。
事件後の彼の憂鬱がやるせない。

ここが頂点か?と思ったら、え、まだいくの!?
これ以上はないよね?と一息つきかけての、え、まだ!?
……という畳みかけるような展開に終始ドキドキハラハラ感が味わえます。
読後はヨーロッパの地図を眺めてスウェーデンとラトヴィアの位置確認。

拍手

PR

「夜愁 下」サラ・ウォーターズ (創元推理文庫)

1947年から始まった物語は、1941年へと時を遡っていく。
描かれているのは、彼等の人生の逆再生。
過去を知るにつれ、現在の彼等の姿が際立ってくる。
あの時のあの出来事があったから、今の彼らが在るのだと。
納得できるのと同時に、歯痒い思いを抱くことにもなる。
空爆の音が絶えない戦時下でも、人にはひとりひとりの人生がある。
心は移ろい、時にすれ違う。
或いは、癒えない傷を抱えたまま、知らず、吐息がこぼれる。
夜の愁い。一貫して鈍色の空のようなイメージの本作。
その隙間から彼等の元に一筋の光が射すことをひっそりと願う。


時間軸的には1941年の彼等から追っていく読み方もあるかもしれない。
けれども。
いつか、この作品を再読するときは、同じように1947年の彼等から遡っていくのだろう。
「今」に至る彼等を形成する過去をしっかりと噛みしめながら。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
【ガーディアン必読117/1000冊】

拍手

「7月のダークライド」ルー・バーニー (ハーパーBOOKS)

それはあなたの為すべきことではない。
何度もそう思った。
どうにかしようと突進すればするほど、
見えてくるのは命の危険。
それも、自分のみならず、協力してくれた知人や、
救いたいと願った当人たちですらも巻き込みかねない危険。
けれども。
彼は見て見ぬふりはできなかった。
虐待の痕の残る子どもたちをそのままにしておくことはできなかった。
救いたい、と、思ってしまった。
彼自身の手で。
と同時に、変わりたかったのかな、とも思う。
彼自身が、今の自分から。
その想いが伝わってくるから。
無茶だと思いつつ、夢をみかけてしまった。彼と同じ、美しい夢を。

登録2400冊目。
ああああ、もう!と、どうにもやるせない読後。
たとえ、どんなルートを辿ったとしても、多分彼は諦めなかったんだろうなぁ。
無茶だ、と思いつつ、彼に寄り添ってしまった。
だからこそ、やるせなさが余計に募る。
ルー・バーニーの刊行された長編は5作品。
未翻訳の長編があと3作品。
全部読みたいので是非翻訳をお願いします。




拍手

「夜愁 上」サラ・ウォーターズ (創元推理文庫)

1947年。第二次世界大戦直後のイギリスで暮らす人々の物語。
それぞれが過去に負った傷や抱えた何かに縛られながら、時を過ごしている。
前に向かって進む彼等の足を、その傷が、時に引っ張るように感じられるのは、
その傷がいまだに癒えていないからだろう。
「幸せ?」との問いに「幸せなふりをしているだけ」との答えが切ない。
彼等の暮らしぶりを追いながら、過去に一体何があったのか、という思いが膨らんでいき、
絶妙なタイミングで時間軸は過去絵と遡る。
1944年。
そこには、戦禍の中、日々を生きる彼らがいた。
先の予測がまったくつかないまま下巻へ。


そうそう。
サラッと読み進めることができないこの感じ、
ガーディアンよね~、と、手ごたえに懐かしさを覚えつつ、上巻読了。
病院の待ち時間に読もうと思って本書を持って行くも、待ち時間1時間半とのこと。
ギューギューの待合室で待つのも何だし、と一回外に出てカフェで読もうと思ったら、
その店が閉店。
じゃあ、こっち……と移動したカフェでは駐車場が満車で店に入るのを断念。
そうこうするうちに時間がなくなって、結局ドライブしただけで再び待合室へ。
おとなしく待合室で読み始めました。(笑)
【ガーディアン必読117/1000冊】

拍手

「11月に去りし者」ルー・バーニー (ハーパーBOOKS)

男のけじめのつけ方があまりにも見事で。
ちょっと震える。
いや、かなり震える。
共に過ごしたのは一ヶ月に満たない間だったけれども。
彼の胸の内には、確かな想いが芽生えていた。
彼女は女である前に母親だった。
だから、彼女の選択は間違ってはいない。
犯罪組織の幹部、夫の元を去ってきた女と二人の娘、そして殺し屋。
ケネディ暗殺で悲嘆にくれるアメリカを横断する三者の物語。
そしてもう一人。
悲しみを呑み込んだ者がいる。
理不尽な死を遂げた者が多くいる中で、30年後の彼女たちの姿は救い。
寝不足の頭も目が覚める面白さだった。

寝不足で読み始めて目が覚めて、結局読む手が止まらず寝不足まっしぐら。(笑)
ま、そんなときもある。
大雑把ながらジャンルや作家別に本棚の収納場所を区切ってあるんだけど、
当然この作品はウィンズロウと同じ棚に。




拍手

「ザ・ロード」コーマック・マッカーシー (ハヤカワepi文庫)

【再読】
荒廃し凍てついた世界で、身を寄せ合い支え合いながら南へと進み続ける父と息子。
人で在ることをやめた者たちが蠢く中、どこまでも人で在り続けた二人。
険しい修羅の道を行く彼等の生き様は、高潔で計り知れない情愛が滲んでいる。
出会った男に「子どもがいるの?」と尋ねた少年の真意に、
「神」ではなく「父親」に語り掛けるその姿に。
泣けて泣けて仕方なかった。
世界は無慈悲で容赦がないけれども。
善き者でありつづける彼等自身が火。
彼が命を懸けて守った少年こそが清浄な光。
故に、貴方こそが希望なのだと。迷わずに伝えたい。


【ガーディアン必読】
読み始めた瞬間、すでにわかっている結末を思って泣いてしまった。
情緒不安定……なのではなく。(自己分析)
昨今の世情があまりにも厳しくて、
彼等の歩み続ける世界が厳しくて。
なんかいろいろ重なってこみ上げてきたんだろうね。
今読むのはメンタル相当きつかったけど、
多分、今だから手にしたんだと思う。
そして、今読んでよかった。

拍手

「越境 」コーマック・マッカーシー(ハヤカワepi文庫)



一連の出来事の発端をどこに見出せばよいのだろう?
だが、それを突き止めたところで、意味はない。
彼は既に、国境を越えてしまったのだから。
僅か10代の少年の3度の国境越え。
国境を越えるたびに彼は何かを失い、悲しみに見舞われ、そして何かを背負い、生者としての深みを増す。
理不尽に翻弄されながらも、損なわれることのなかった矜持。
それがひどく痛々しくも、眩しくもある。
個人的に一度目の越境の時の理不尽が一番許せなかった。
ああ、もう!と、胸をかきむしりたい読後。
だけど、それがマッカーシー。
中毒患者は次作に手を伸ばすのみ。

読んでる途中で注文していたBL本がドサドサッと届いた。
気になる。開封したい。
一般書の併読はできないけど、一般書とBLの併読はできる私。
楽しみにしていた新刊だから、
開封しちゃったらBLに手を出しちゃうのはわかってる。
だけど。
今回に限っては、本書を読み終わるまでこのストイックで野性味を帯びた世界に浸っていたい、いや、いなければ、という思いの方が勝って、読み終わるまでBLは封印。
その判断は間違っていなかった。

拍手

「ムービータウン・マーダーズ 殺しのアート5」 (モノクローム・ロマンス文庫)



サムとジェイソン。
二人の心情の変化、主にサムの変化がとても嬉しい。
距離が離れていても、互いを想う気持ちが伝わってくるし、
会いたいという募る想いも、だからこそ会いに行こう、と
行動を起こせるところも好ましい。
大学教授が死亡した事件を改めて調べるために大学での潜入捜査を行うジェイソン。
地道な聞き取り調査を繰り返し、事件の真相を探り出して終幕
……と思いきや。
嘘でしょ、怖っ、怖っ、ってか、続き~~~!
と、ドキドキしながらの読了。
サムの追う事件も新たな事実が浮かび上がり、とにかく続きが気になる作品。

現在進行形の事件と、恋愛と、過去の事件と狂気めいた執着。
見事に絡み合って展開していく読み応えのある作品。




拍手

「ケリー・ギャングの真実の歴史」(早川書房)



権力の理不尽に捻じ曲げられた人生。
正しく在ろうとする人を、捻じ曲げる社会。
犯した罪と捏造された罪。
それが、同等に扱われる不合理。
罪が権力者や裏切りによって作り上げられ、
だからこそ、虐げられる側の者たちは罪人に手をさしのべる。
オーストラリアがイギリスの植民地だったことを思い出し、
移民や元罪人があまりにも生き辛い社会であったことにやりきれなさを覚える。
何より。
これが史実であったことを知った時の衝撃。
苦難と貧困の中、愛する者たちのためにどうにか生き抜こうとしたネッド。
彼の人生を「こんなもの」にしたのは、彼だけの責任では断じてない。

久しぶりのガーディアン読書。
良い本を手にしたと思う。
積読棚から迷わず選んだけど、ハードカバーの500ページ越え。
平日だし、仕事バタバタしてるし、でも今週中に読み切りたいし、と、
一日100ページを目安に!と意図して区切って読んだのは実は初めて。
功を奏したみたいできっちり5日で読了☆彡
【ガーディアン必読116/1000冊】

拍手

「果樹園の守り手」コーマック・マッカーシー(春風社)



老人のターンは風景と人が完全に同化したかのような描写。
それも、ひっそりとした、どこかくすんだ色合いの風景。
けれども、彼の生活圏に少年が紛れ込んだ瞬間、
色味は鮮やかさを増し、どこか人間味を帯びる。
子どもって偉大だ。
人の命を殺め、違法な商売に手を染めた男が、少年に言い含めた言葉。
意外だった。
誰かに対しては悪であっても、他の誰かに対しては善になれる。
その少年が若者となった所で物語は幕を閉じるけれども。
彼を取り巻いていた色味は鮮やかさよりも落ち着きを醸し出し、
それが彼の成長を物語っている。
マッカーシーデビュー作。

久々の海外小説だったからなのか、マッカーシーだからなのか。
最初の30ページくらいまでを読みきるのに時間がかかることかかること。
いつものペースで読めるようになった瞬間、何故かほっとしました。(笑)
曇天の空の下、風と草木の香りを感じながら読むのがベストマッチな気がする。


拍手

  

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]