きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「海外小説」の記事一覧
- 2020.05.27 「オリエント急行の殺人」クリスティ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
- 2020.05.23 「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ1 黙示録の種子 下」 (竹書房文庫)
- 2020.05.19 「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ1 黙示録の種子 上」 (竹書房文庫)
- 2020.05.16 「ブルー・ドレスの女」モズリイ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 2020.04.23 「その犬の歩むところ」ボストン・テラン(文春文庫)
- 2020.04.18 「ひと月の夏」J.L.カー (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
- 2020.04.11 「イヴの迷宮告(下)」 (シグマフォースシリーズ10)ロリンズ(竹書房)
- 2020.04.09 「イヴの迷宮告(上)」 (シグマフォースシリーズ10)ロリンズ(竹書房)
- 2020.03.19 「チャタレイ夫人の恋人」ロレンス(新潮文庫)
- 2020.03.05 「ダーウィンの警告(下)」 (シグマフォースシリーズ9)ロリンズ(竹書房)
「オリエント急行の殺人」クリスティ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
雪で立ち往生した列車の中で起きた殺人事件。
乗り合わせた人々との対話を通して名探偵ポワロは推理する。
この事件の真相を。
同じ車中劇でも移動する新幹線が舞台の
伊坂さんの『マリア・ビートル』が“動”ならこちらは完全に“静”。
登場人物たちがほぼ一貫して列車内に留まったまま、
ここまで面白く読ませる物語展開はさすがクリスティ。
そして、その対話の中から、それぞれの人物たちの
過去が浮かび上がり、物語はより深みを増していく。
付け合せた証言から露わになった嘘。
ポワロの推理にキャンキャン言っているおっさんズが
素人代表!的な感じで良い味出していました。
ポワロが取り出した毛先をカールするための焼きごて。
「口髭に使っているんです」
「毛先をカール」から毎朝使っているヘアアイロンを連想した私は
こてにそんな使い方があったことにびっくり。
今回、これが一番のびっくりだったかも。←事件全く関係ない(笑)
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「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ1 黙示録の種子 上」 (竹書房文庫)
元米軍兵士のタッカーと、元軍用犬のケイン。
互いを「相棒」と認識しあう一人と一匹の物語。
シェパードのケインの利口さとその活躍っぷりにひたすら目を瞠る。
そしてタッカーに対するケインの愛情深さに目尻が下がる。
時折混じるケイン視点の描写がリアルで、
頑張っているケインをとてもとてもモフりたい。
……と、緊迫感のないことを想いつつ。
渦中の人達は命からがらの危機を逃れつつ、
なんとか目的地へ辿りつこうと必死の大移動。
何がヤバくて追われているのかはタイトルの通り。
広げた大風呂敷を畳むのは下巻にて。
友だちのおうちの子が「カイン」という名前のシェパードなんだけど、
ものすごーーい甘えっこ(笑)
それはそれでその子の個性。
シグマフォースシリーズ外伝。
物語の構成は本編と同じだけど、本編より読みやすい気がする。
「ブルー・ドレスの女」モズリイ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
職を失くし、金のために引き受けた人探し。
だが、イージーは思いもよらない事件に巻き込まれていく。
イージーは女の居場所を、或は女と共にいた男の居場所を尋ね歩く。
問われた者たちは知ることを答える。
そんな彼らの様子から、当時のアメリカを伺い知ることができる。
地に足がついた堅実な展開の中、
枠に収まらないトリッキーな男の存在がキーポイント。
個人的には「タフでなければやってられない」床屋のオヤジに注目!
剃刀一本で店内の秩序を保つってすごいよ!
そしてイージーは職に就く。
次作に大いに興味をそそられる職に。
とはいえ、次作以降の本の入手はちょっと難しそうかな?
行方不明の女はダフネ・モネ。
この女、ちょっと……と思いながら読んでいたけど、原題に納得。
最初から最後まで面白く読了!
【ガーディアン必読 95/1000】
「その犬の歩むところ」ボストン・テラン(文春文庫)
ギヴ。
彼に降りかかる運命の過酷さに息が詰まる。
アメリカを生きる犬の物語であり、
アメリカを生きる人々の物語でもあり、
激動のアメリカそのものの物語でもある。
父親が辿りついた安住の地で生まれ、
アンナの愛情を一身に浴びてのびのびと育っていたギヴの身に降りかかった災厄。
劣悪な環境に置かれようとも、彼が人間に対する信頼と愛情を失わなかったのは、
彼と係った人たちが、彼ら自身が心に大きな傷を負っていたにも関わらず、
惜しみない愛情を彼に与え続けたから。
お互いに補いう合う所もあったんだと思う。
強く生きるってそういうことだよな、と、教えられた気がする。
個人的に「アメリカを生きる」というワードで連想するのが
ちょっと時代が違うけど『怒りの葡萄』。
あれほど圧倒されたアメリカの物語は今のところないかな?
「ひと月の夏」J.L.カー (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
仕事で訪れた田舎町で、青年が過ごしたひと月の夏。
彼の過ごした日常が淡々と描かれている中に差し込まれる数年後の彼の想いから、
この町で過ごした時期の幸いが伺える。
と同時に、町の人たちとどれほど親しくなろうとも、
この町が居心地の良い町であったとしても、
仕事を終えれば、彼は予定通りこの町を去ることも。
それがわかっていても、読後に込み上げた強烈な寂寞感。
その時を過ごした人たちとの徹底的な決別。
故に、鮮烈に胸に残る当時のままの記憶。
二度と戻れないからこそ、心に美しく刻まれた時。
ラストの息を呑むような鐘楼でのシーンは秀逸。
その読後感からなんとなく『日の名残り』を思い出しました。
そういえばあちらもイギリス文学。
読み返すたびにジワジワ胸に染み入ってきそうな作品。
映画化もされているんですね~。
視覚的に観てもとても美しいに違いない。
いつか観てみたいな。
【ガーディアン必読 93/1000】
「イヴの迷宮告(下)」 (シグマフォースシリーズ10)ロリンズ(竹書房)
いつものように2班に分かれての問題へのアプローチ。
だけど、今回はコワルスキサイドだけでも十分だよね?
というくらい、コワルスキとゴリラのバーコとマリアのコンビが頑張ったと思う。
人類の知能の進化の謎。
蘇る巨人。
月に纏わるワクワクするような推理。
紐解かれていく謎を追いかけ、
ギリギリのところで危機を躱していくアクションにドキドキし、
上下巻あわせて約900頁。
一番の衝撃がエピローグに。
ちょっと、どういうことよ!?
10年後のこの事態がどういうことなのか、解明されるのかどうかが気になって色々ぶっ飛び、
バーコが我が子に託した想いに涙して読了。
バーコ(ゴリラ)は本当に良い子だった。
私も抱きついてみたいなぁ。
そして抱きつかれたい。
著者はこの衝撃のエピローグをちゃんと回収してくれるのかしら?
してくれるよね??
「イヴの迷宮告(上)」 (シグマフォースシリーズ10)ロリンズ(竹書房)
プロローグはまさかの紀元前38000年から。
今回のテーマは人類の知能の進化について。
秘密裏に進行していた中国のプロジェクト。
彼らにとってのイレギュラーは我らがシグマの存在。
力も資金も兼ね備えた組織同士のぶつかり合いは、ガッツリとした読みごたえあり。
「毛のないゴリラ」と陰で言われるコワルスキーと
本物のニシローランドゴリラのバーコとの交流が微笑ましい。
そんなコワルスキがどんなふうにペインターの期待に応えるのかがとても楽しみ。
そして、月の表面のスケッチが描かれた時代を思うと、ロマンでしかない。
グレイたちの決意に奮い立ちながら次巻へ。
「アトランティス大陸」
この言葉だけで、色々想像をかきたてられてわくわくする。
そして神坂智子の「シルクロード」シリーズを思い出してみました。
大好き。
「チャタレイ夫人の恋人」ロレンス(新潮文庫)
600頁近くの作品を読み切って、尚且つ込み上げる「あともうちょっと!」感。
その後を想像する楽しみよりも、想像するしかないもどかしさ。
後半、一気にのめり込んでしまった。
作中で繰り返されるディスカッションは欧米的だなぁ、と思いつつ、
その主張に同調できたり、違うと思ったりで楽しめた。
でも、そんな毎日ばっかりだと息が詰まる。
開放的な森の中でメラーズと逢瀬を重ねるコニー。
二人がどんなふうに愛しあったのか。
どんなふうに互いを必要としたのか。
生き生きと描かれている。
主に上流階級の人たちの目線で語られる中、
終始揺らがなかった労働者であるメラーズの在り様は潔いと思う。
それにしても、メラーズの元妻、怖い。
何時何処から何が飛んでくるかわからない
奇行で挑んでくる相手に対する対策は立てようがないよなぁ。
さっさと離婚していればよかったのに。
そして、メラーズの娘のその後が気になってみた。
【ガーディアン必読 92/1000】
「ダーウィンの警告(下)」 (シグマフォースシリーズ9)ロリンズ(竹書房)
とても楽しく読んでいたわけですが。
結末に納得いかないと、読後にはもやっと感が残る残念さ。
な ぜ !
あなたがそのやり方でその人を裁く?
同じことを自分にもしたなら、納得できた。
そうじゃない上に、あなたはお咎めなしっておかしくない?
おかしいよね?←誰に言ってる?
内容的には……
南極と熱帯雨林。
対極にある場所が対になって展開していく物語はおもしろかった。
オレ、創造主、だから特別。
的な選民意識はやっぱり腹立たしい。
弄んで良い命なんてないんだよ?
そんな男の身勝手に振り回され、命懸けで戦いきった彼らに暫しの休息を。
結末に対する文句語りをとてもとてもしたいわけですが。
このシリーズを一緒に読み進めていた友人たちのうち、
一人は『ギルドの系譜』で止まっていて、
もう一人は私が貸していないから『ジェファーソンの密約』までしか
読んでいないというこれまた残念さ。
早く読んで~~!