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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ジェファーソンの密約(上)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)



アメリカ建国の歴史の裏に隠された謎に迫る今作は、
アメリカ・アイスランド・日本が舞台。
お馴染の表記の中に「日本 岐阜県」の文字を見つけて心が跳ねる。
おお!日本が舞台の一つになっている!と。
今回彼らが直面した事態は世界を滅亡させかねない危機で、
さらに宿敵の存在がチラついて不穏な気配しかない。
そして、騒動の一端を担い、命を狙われて助けを求めておきながら、
救いの手を差し伸べてくれた人の言いつけを守らなかった彼女には
馬鹿なの?という言葉しかない。
ハイスピードな展開は相変わらず。
事件解決と全ての謎解きは次巻へ!


調べものをする過程で知ったスーパーカミオカンデの一般公開!
とても惹かれる。
もう申し込み終わっちゃってたけど。
歴史・科学・アクション・恋愛に介護まで絡んできたけど、
お腹いっぱい感がないのがすごい。


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「夜と霧 -新版-」ヴィクトール・E・フランクル(みすず書房)



冒頭部から、この本を記した著者の想いと覚悟が伝わってきて、居住まいを正す。
どんな苦難の中にあっても耐えられるのは、その苦難がいつか終わると信じられるから。
もしくは、そこから抜け出せると信じることができるから。
飢えと寒さといつ命を落とすかわからない恐怖に苛まれる状況が、
いつ果てるともわからなかったら?
心が死んでしまいそう。
それでも、生きている限り付き纏う問い。
「わたしたちは、何故生きているのか?」
私はその問いに自分なりの答えを持っている。
だけど、彼らと同じ状況下に置かれたとき、絶望に囚われることなく在ることができるのか。
答えることはできない。

自分がそちら側に立つことは絶対にないと、思い込んでいる傲慢。
人を同じ人として認識していないからこそ向けることのできる残虐性。
トップダウンでの命令系統に逆らうことのできない恐怖。
どうしてこんなことができるのだろう?と今までいろいろ考えさせられてきたけれども。
著者のはあまりにも明確だった。
「この世には二つの種族しかいない。まともな人間と、まともではない人間と」


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「アクロイド殺し」アガサ・クリスティ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)



嘘がひとつ。嘘がふたつ。嘘がみっつ。嘘が……。
嘘をついた人は複数いるけど、
嘘をついたことを知っているのは自分だけ。
積み重ねられる嘘で見えなくなってしまった真実。
誰にとって都合がいいのか、何を守ろうとしているのか。
或は、何を隠そうとしているのか。
殺人事件の真相に迫ろうと、
捻じれて絡まりあった糸を紐解いていくエルキュール・ポワロ。
最初から最後まで面白かったんだけど、
ラストのポワロが暗に示した解決策と犯人の選択。
これがどうしてもひっかかってもやっとした読後になってしまった。
結末を知った上で、再読してみたい。

解説は冒頭に「ネタバレあり」の記載があって、好印象。
時々予告なしにネタバレぶっこんでくるあとがきがあってびっくりするんだけど、
ああいうのは事前にチェック入らないのかしら?と思ってみたり。
次にクリスティで読みたいのは『オリエント急行殺人事件』
1974年版の映画で観たうすらぼんやりした記憶(笑)
【ガーディアン必読 84/1000】

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「イワン・デニーソヴィチの一日」ソルジェニーツィン (新潮文庫)



凍てつく寒さの中で目を覚まし、凍える身体をそっと抱く。
先の見通しの全く立たない収容所で迎える朝は、
憂鬱な一日の始まり。
だが、信頼できる仲間たちと従事する労働で、次第に身体は熱を持ち、やる気すら漲っていく。
そこで得られるのは心地良い充足感。
やがて日は落ち、再び訪れる雪原の夜。
少しスリリングな出来事を味わい、日課の点呼を乗り切って、冷え切った寝床に潜り込む。
また明日、身を切るような寒さの中で目を覚ますために。
いつ出られるともわからない収容所でのとある一日を描いた作品。
あの環境下でも抜け殻のようになってしまっていない彼らが凄い。

タイトルに付け加えるとしたら、
「イワン・デニーソヴィチのちょっと幸せな一日」。
明日は「とても最悪な一日」になるかもしれない。
人は脆い。だけど、逞しい。

【ガーディアン必読 81/1000】

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「ケルトの封印(下)」 (シグマフォースシリーズ5)ロリンズ(竹書房)



感情を押し殺して非情に徹する生き様は心がすり減るだろなぁと思うけれども。
その姿を痛々しい、と言い切るには手を血で汚しすぎたセイチャン。
命の期限を切られながらも最後まで毅然として戦い通したレイチェル。
彼女たちが必要としたのが同じ男だってところが、なんとも複雑な想いが込み上げてしまう。
一連の事件を通して謎に包まれたギルドの存在がその輪郭を僅かに覗かせ、
シグマ側が新たな戦いを覚悟したところで次巻へ。
毎回毎回、ほんの数日の間に謎解きをしながら世界中を駆け巡り、
命懸けの戦いで満身創痍になっている隊員たち。
彼らが心から安らげる日は程遠いのね。

セイチャンに今回の任務を与えたまさかの人物にびっくり。
そしてかけつけたまさかの援軍にびっくりして、再読のはずなのにこの巻についてはほぼほぼ何も覚えていなかった自分にがっかり。
「読んだ」っていう事実しかインプットされてなかったわ~。
アメリカ(だったはず)でミツバチが激減したというニュースが数年前にリアルにあったけど、
その後どうなったのかしら?と、ふと思ってみました。

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「ソラリス」レム (ハヤカワ文庫SF)



彼の抱いた恋情は、眼の前にいる彼女に対する純然たる愛ではなかったはずだ。
かつての彼女に対する想いの残滓。或は、贖罪。
一方、彼の記憶から生み出された彼女は、ただ、そこにいただけ。
彼女はソラリスの海が生み出した有機体に過ぎない。
だが、ならば、彼女は何故あの選択を?
彼はその場所で何を待ち続けている?
種の異なる二人であっても、
二人だけにしか築けなかったものが、確かにそこにあった。
だからこそ、読後の余韻は「寂しい」の一言に尽きる。
それは私のセンチメンタル。
私の記憶の中からは「誰」が生み出されるのだろう?
ちょっと知りたい。

スケールの大きさ……というよりも、学者たちによる「ソラリス論」の変遷と論旨が明確過ぎて
すごいわ~~、と、なりました。
そっちの骨組みをきっちり立ててから物語を書き始めたのかな?
物語を書きつつ、組み立てていったのかな?
起承転結の「起」をすっとばして始まったかのような展開に「ん?ん~~??」と
もたついたのは最初だけ。
一気にのめり込んでしまうおもしろさでした。
【ガーディアン必読 81/1000】

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「ケルトの封印(上)」 (シグマフォースシリーズ5)ロリンズ(竹書房)



このタイミングで。
歴史的な文化遺産が破壊される作品はいたたまれない。
三つの大陸で起こった三つの殺人事件。
その事件の影に潜む謎を解明するために
各々の場所で調査にあたるシグマの隊員たち。
事件のを追いながらも、
前巻で生まれたロマンスが育まれていることが知れたり、
家族間での強い想いが垣間見れたりするするところが面白い。
そして、愛憎絡まり合う複雑な感情を持った三人が一堂に介してしまう緊張感にドキドキ。
命を盾にとっての脅迫。
なんてカードを切ってきたの!というところで次巻へ。
他者の犠牲を厭わない、選民意識に凝り固まった人たちは痛い目にあうといい。


組織の規律を守りながらも、
仕事に置いて「自分の判断で臨機応変に行動する」ことって必要だよね。
今回の新人くんの自己判断は豪快だった。
おかげでピンチを乗り切れたわけだけど、
自分があの中に放り込まれることを想像したら……ヤダヤダ。
逃げ切れないなら早々に気絶したい。

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「ロマの血脈(下)」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)



孤独も、恐怖も、哀しみも。
その小さな身体で受け止めて、友だちを……いや、多くの人々を救うために
戦った彼の姿に涙しかない。
破滅へと向かうこの世界を救うために何を成すべきなのか。
自分たちに何ができるのか。
子どもたちがそれを知り、行動に移してしまったことがただ哀しい。
とても哀しい。
事の発端が選民意識丸出しの大人の身勝手さってどうなのよ。
アメリカ、インド、そしてウクライナ。
各所で戦っていたシグマのメンバーたちも、彼に誘われるようにウクライナへと終結する。
脅威が去った後にはその犠牲の痛ましさに嗚咽。
大きな打撃を被った組織の立て直しと、
グレイの身に降りかかる不穏な予言が気になりつつ次巻へ。

今回はイラストもとても重要な意味をもつわけだけど、ラスト一枚。
小説という文字を読む媒介に置いて、イラストの視覚的効果がここまである作品には
なかなか出会えない。と思う。

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「ロマの血脈(上)」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)



何に向かってそこまで懸命に突き進もうとしているのか。
彼らは何を成そうとしているのか。
わからないながらも、子どもたちとチンパンジー・マーサの
命懸けの前進が痛々しい。
それを手助けする唯一の大人が彼であることが、ただひたすら嬉しい。
彼らから遠く離れた場所でグレイたちが繰り広げる死闘。
彼らの戦いの先に在るのは、子どもたちの戦い。
デルポイの巫女の神託からはじまる物語。
特殊な能力を強制的に増幅し、操ろうとするのは冒涜。
人の心の痛みがわからない輩には嫌悪感しかない。
私もマーサにハグされてみたいなぁ、と思いつつ、下巻へ。

チェルノブイリの原発事故からもうすぐ33年。
そして福島原発事故からは8年。
あれから〇年……と、ずっとカウントされ続けていく重大な事故。
人が物を作り出す力はとてつもなく素晴らしいものだと思う一方で、
制御できないものを生み出してしまう恐ろしさも孕んでいるのだとも思わせられる。
今回は薀蓄が少なく、最初から最後までハラハラドキドキしっぱなし。

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「ドリアン・グレイの肖像」ワイルド (光文社古典新訳文庫)



彼の人生における分岐は二つ。
一つはヘンリー卿に出逢ったこと。
ドリアンが自らの言葉に影響される様に悦びを見出し、
彼の精神を意図的にコントロールしようとし、それを楽しむ嗜好に
込み上げる腹立たしさ。
もう一つはそのことに気付きつつも、
ドリアン自身の意志でヘンリー卿の示した在り様に甘んじたこと。
その瞬間、彼の運命はすべて己自身の選択の上に積み重ねられていく。
彼の悪行を写し取って歪んで行った肖像画。
たった一度の善行で、何故今まで積み重ねてきた悪行が消化されると思ったのだろう?
変わらない絵に絶望したドリアンにはやるせなさしかない。


ヘンリー卿に天罰が下ればいいのに、と、
ギリギリとした想いを噛みしめた読み始め。
破滅に至ったのはドリアンの精神の弱さかな。
ヘンリー卿並み、もしくはそれ以上の精神力があったら、
全ての悪行を背負って微笑みの仮面をつけたまま生きていけた気がする。
思っていたほど練ったり凝ったりした文章じゃなく、
読みやすかったのは想定外。
これはまた再読したい。
その時はもっと時間をかけてじっくりと味わいたい。
←初読の時はどうしても先へ先へと駆け足になっちゃうので。
【ガーディアン必読 80/1000】


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