きままに読書★
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カテゴリー「海外小説」の記事一覧
- 2020.01.21 「ギルドの系譜(上)」 (シグマフォースシリーズ7)ロリンズ(竹書房)
- 2020.01.17 「土曜の夜と日曜の朝」アラン・シリトー (新潮文庫)
- 2019.12.25 「クリスマスの思い出」トルーマン・カポーティ(文藝春秋)
- 2019.12.22 「木曜日だった男 一つの悪夢」チェスタトン (光文社古典新訳文庫)
- 2019.11.24 「スノーグース」ポール・ギャリコ (新潮文庫)
- 2019.11.08 「ジェファーソンの密約(下)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)
- 2019.10.20 「ジェファーソンの密約(上)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)
- 2019.10.14 「夜と霧 -新版-」ヴィクトール・E・フランクル(みすず書房)
- 2019.07.14 「アクロイド殺し」アガサ・クリスティ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
- 2019.05.17 「イワン・デニーソヴィチの一日」ソルジェニーツィン (新潮文庫)
「ギルドの系譜(上)」 (シグマフォースシリーズ7)ロリンズ(竹書房)
ヤバイ。ナニコレ。面白いんですけどー!
というわけで、勢い衰えないシリーズ8作目。
「これは意味のある戦いなのか?」
多分、それは突きつけつめてはいけない。
向き合った時点で足が止まってしまう。
これはミッション。
だが、晒されるのは彼ら自身の命。
アメリカとアフリカで作戦を展開するキャットチームとグレイチーム。
陥った絶体絶命の窮地をどう切り抜けるのか?
命懸けのアクションの合間にプライベートが差し挟まれる描写のおかげで、
殺伐とした感じになりきらない。
とは言え、現場は凄惨。
プロローグで息を呑み、嘘でしょ、と唸って上巻は終了。
気になることテンコ盛りで次巻へ。
艶やかな毛並み。
暖かな体温。
濡れた鼻先の感触。
息遣い。
あたかも、この手で触れているかのようなケイン(シェパード)の描写が素晴らしい!
友だちの家の子もシェパードでカインって言うんだよね。
でも、超絶甘えっこ。
積んでるロバート・グレイスの『容疑者』を読みたくなるけど、それは今じゃない。
まずは気になって仕方のない下巻へ。
「土曜の夜と日曜の朝」アラン・シリトー (新潮文庫)
不思議な吸引力のある作品。
日々の日常を逞しく生き生きと過ごす人たちの物語。
生命力あふれる彼らの姿に引き寄せられるように読み進める。
だーけーどー!
アーサーが人妻との逢瀬を重ねる理由に、この男最低!と、毒づきたくなる。
痛い目をみるがいい、と思い続けていたので、
とりあえずそれ相当の報いを受けたことで溜飲が下がった。
まぁ、関係を許した女の側にも問題があると思うけどね。
でも何だか憎み切れないろくでなし。
それがアーサー。
彼の仕事に対する姿勢は認めてもいい。(←上目線・笑)
ラストの四行に生きる活力を分けてもらえた気持になる。
うん。
頑張って働こう。→
文字の細かさに読み始めるのに一瞬躊躇したけど、
一度読み始めたら全く問題なく読めたのは面白かったから。
ガーディアン選書でなかったら、手に取ることはなかったであろう本。
こういう出逢いがあるから月に一冊はガーディアン。
【ガーディアン必読 90/1000】
「クリスマスの思い出」トルーマン・カポーティ(文藝春秋)
やさしくて、あたたかくて、穏やかな光に満ち溢れる世界。
悪意という言葉の対極にある世界がそこには広がっている。
60歳を超えた彼女と7歳の僕。
無邪気な二人が協力し合って準備をする心温まるクリスマス。
満ち足りた笑顔しか浮かばない、ふたりの世界。
だけど。
僕と彼女との幸せな時間は永遠には続かなかった。
なんだかリアルに現実を突きつけられた気持になる。
ならばせめて、そんなクリスマスを過ごしたことが、
彼にとってかけがえのない思い出となってくれたらいい、と。
そして、残された彼女が寂しくなければいい、と。
心から願ってやまない。
「私はね、今日という日を胸に抱いたまま、
ここでぽっくり死んでしまってもかまわないと思うよ」
満ち足りた時間を過ごせた証のような言葉。
その瞬間に死ねたら幸せなのかな。
その後僕と離されてしまった彼女は、同じ言葉を紡ぐことができただろうか?
そんな問いかけが寂しかった。
「木曜日だった男 一つの悪夢」チェスタトン (光文社古典新訳文庫)
彼が「木曜日」になるまでの過程にぐっと引きつけられる。
この先どうなるの?と高まる期待。ワクワク感。
不可解で魅力的な男たち。
読み進めるうちになんとなく見当がつく彼らの正体。
だけど「何故?」がわからない。
気になる。
気になりすぎて頁を捲る。
捲って捲って……「なんじゃこりゃーー!?」
表題にあるように、私も悪夢(?)に翻弄された気分になる。
「何故」を追求しちゃいけないんだろうな。
曜日になぞらえた七人がキャラ立ちしてるので、
一人一人掘り下げたストーリーを想像するのも面白い。
読むたびに読後の印象が変わりそうな作品。
掴みはメッチャオッケー。むしろ大好き。
で、大風呂敷広げての「なんじゃこりゃー!?」の典型は、私にとっては菊地秀行氏。
Dもエイリアンも魔界都市シリーズも大好き。
大好きなんだけど、突っ込みたいことが多々あってどれもこれもシリーズ完走できてない(笑)
【ガーディアン必読 89/1000】
「スノーグース」ポール・ギャリコ (新潮文庫)
三篇収録。
「スノーグース」で描かれた美しさと悲哀が個人的には一番響いた。
惜しみなく与えられるラヤダーのあたたかな愛は、
彼を戦禍の中に取り残された兵たちの救済へと向かわせる。
いや、愛だけではなかったのかな。
彼が彼で在るために己に課した責務。
彼の傍を離れようとしなかったスノーグースが美しくもいじらしい。
「小さな奇蹟」と「ルドミーラ」で描かれた奇蹟は、
奇蹟ではあるけども、人(or牛)の想いが繋いだ奇蹟。
切なる願いがあってはじめて動く事象。
託された花束が人々の手を介して彼の人の元へ届いたのが感動的。
冬に甥っ子ちゃんたちをつれて白鳥を見に行けたらいいなーと思っているのですが。
その時は白雁も忘れずに探して来ようと思います。
【ガーディアン必読 88/1000】
「ジェファーソンの密約(下)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)
限られた時間の中で精一杯の知恵を振り絞り、文字通り身体を張って
未曽有の危機に瀕した国家を救った彼ら。
だけど、後味がとてつもなく悪い。
他者の命を散々に奪っておきながら、幸福の中で時間を止めた彼の身勝手。
任務を忠実にこなしたが故に、愛する家族が命を狙われる理不尽。
職を辞することを選んだ男。
失意の底にいる男。
だが、彼らは再び立ちあがるだろう。
対峙しなければならない敵がいる限り。
その敵が!
ラストの一行で思わず声が出る衝撃。
このシリーズ、面白さが失速しないなぁ、と思っていたけど、
ここにきてブーストで加速した感あり。
再読な訳だけど、明確に覚えているのがラストの一文だけっていう自分に驚き。
それだけラストが衝撃的だったと言えば、聞こえがいいのかな?
おかげで(?)楽しく読めました。
このシリーズの再読はこの巻で終了。
以降は未読の世界へ突入です。
再読の巻数より未読の巻数が多いってどういうことだろう?
よく積んだなぁ、私(笑)
「ジェファーソンの密約(上)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)
アメリカ建国の歴史の裏に隠された謎に迫る今作は、
アメリカ・アイスランド・日本が舞台。
お馴染の表記の中に「日本 岐阜県」の文字を見つけて心が跳ねる。
おお!日本が舞台の一つになっている!と。
今回彼らが直面した事態は世界を滅亡させかねない危機で、
さらに宿敵の存在がチラついて不穏な気配しかない。
そして、騒動の一端を担い、命を狙われて助けを求めておきながら、
救いの手を差し伸べてくれた人の言いつけを守らなかった彼女には
馬鹿なの?という言葉しかない。
ハイスピードな展開は相変わらず。
事件解決と全ての謎解きは次巻へ!
調べものをする過程で知ったスーパーカミオカンデの一般公開!
とても惹かれる。
もう申し込み終わっちゃってたけど。
歴史・科学・アクション・恋愛に介護まで絡んできたけど、
お腹いっぱい感がないのがすごい。
「夜と霧 -新版-」ヴィクトール・E・フランクル(みすず書房)
冒頭部から、この本を記した著者の想いと覚悟が伝わってきて、居住まいを正す。
どんな苦難の中にあっても耐えられるのは、その苦難がいつか終わると信じられるから。
もしくは、そこから抜け出せると信じることができるから。
飢えと寒さといつ命を落とすかわからない恐怖に苛まれる状況が、
いつ果てるともわからなかったら?
心が死んでしまいそう。
それでも、生きている限り付き纏う問い。
「わたしたちは、何故生きているのか?」
私はその問いに自分なりの答えを持っている。
だけど、彼らと同じ状況下に置かれたとき、絶望に囚われることなく在ることができるのか。
答えることはできない。
自分がそちら側に立つことは絶対にないと、思い込んでいる傲慢。
人を同じ人として認識していないからこそ向けることのできる残虐性。
トップダウンでの命令系統に逆らうことのできない恐怖。
どうしてこんなことができるのだろう?と今までいろいろ考えさせられてきたけれども。
著者のはあまりにも明確だった。
「この世には二つの種族しかいない。まともな人間と、まともではない人間と」
「アクロイド殺し」アガサ・クリスティ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
嘘がひとつ。嘘がふたつ。嘘がみっつ。嘘が……。
嘘をついた人は複数いるけど、
嘘をついたことを知っているのは自分だけ。
積み重ねられる嘘で見えなくなってしまった真実。
誰にとって都合がいいのか、何を守ろうとしているのか。
或は、何を隠そうとしているのか。
殺人事件の真相に迫ろうと、
捻じれて絡まりあった糸を紐解いていくエルキュール・ポワロ。
最初から最後まで面白かったんだけど、
ラストのポワロが暗に示した解決策と犯人の選択。
これがどうしてもひっかかってもやっとした読後になってしまった。
結末を知った上で、再読してみたい。
解説は冒頭に「ネタバレあり」の記載があって、好印象。
時々予告なしにネタバレぶっこんでくるあとがきがあってびっくりするんだけど、
ああいうのは事前にチェック入らないのかしら?と思ってみたり。
次にクリスティで読みたいのは『オリエント急行殺人事件』
1974年版の映画で観たうすらぼんやりした記憶(笑)
【ガーディアン必読 84/1000】
「イワン・デニーソヴィチの一日」ソルジェニーツィン (新潮文庫)
凍てつく寒さの中で目を覚まし、凍える身体をそっと抱く。
先の見通しの全く立たない収容所で迎える朝は、
憂鬱な一日の始まり。
だが、信頼できる仲間たちと従事する労働で、次第に身体は熱を持ち、やる気すら漲っていく。
そこで得られるのは心地良い充足感。
やがて日は落ち、再び訪れる雪原の夜。
少しスリリングな出来事を味わい、日課の点呼を乗り切って、冷え切った寝床に潜り込む。
また明日、身を切るような寒さの中で目を覚ますために。
いつ出られるともわからない収容所でのとある一日を描いた作品。
あの環境下でも抜け殻のようになってしまっていない彼らが凄い。
タイトルに付け加えるとしたら、
「イワン・デニーソヴィチのちょっと幸せな一日」。
明日は「とても最悪な一日」になるかもしれない。
人は脆い。だけど、逞しい。
【ガーディアン必読 81/1000】