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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「赤と黒」スタンダール(新潮文庫)



これはロマンなのか無謀なのか?
若気の至り、と言うにはレーナル夫人は年を重ねすぎている。
が、遅れてきた初恋、と言えば、まぁ、あり……なの!?
いや、子どもがいる時点でなしでしょ。
そしてジュリヤンの想いも純然たる恋、というよりも、
手に入らないものを欲する子どもじみた独占欲のようにも感じられる。
……と言っても、彼はまだ子どもか。
その行動が迂闊に過ぎるレーナル夫人と、
野心をその胸に抱くも、極端にその視野が狭いように思えるジュリヤン。
足りないのは経験値?
なんだか色々危なっかしい。
勝手にやってよ……と言いたくなりつつも、
行く末が気になるので下巻へ。

付きまとう閉塞感は時代にもよるのかな?
ジュリヤンが夫人を悪魔的に魅了する話だと勝手に思っていたけど、
読んでみるとそうでもなくて、思い込みをリセットするのにちょっと時間がかかった。
ifに意味はないけど、
この子が親から愛された子どもだったら、その将来は全く違っていたんだろうね。
「モデルになった実在の事件」がどういうものだったのかが気になってみたけど、
調べている暇があったら下巻を読むべし(笑)
【ガーディアン必読99-1/100冊】

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「叛獄の王子外伝 夏の離宮」パキャット (モノクローム・ロマンス文庫)



命懸けの修羅場を潜り抜けた二人の後日譚『夏の離宮』
甘やかに色めく二人の逢瀬を丁寧に書き上げてくれたことに感謝。
幸せだ!
『色子語り』
持てる力を駆使して這い上がっていこうとする根性は嫌いじゃないよ、アンケル。
自分は真逆の性格のベレンジェ卿に惹かれていく様子が小気味よい。
その勝負の行方を私たちは知っている。
『春の青さは~』
楽しそうな彼らしか描かれてはいないけど。
永遠には続かなかった幸せな時間が切ない。
『布商人チャールズの冒険』
乱闘騒ぎの挙句、食べ物を手に逃走する王子二人に爆笑。
大事だよね。
彼らの治める国に幸あれ。

ずっと緊張しながら読んでいた本編とは打って変わって
楽しく読了の外伝。
貸出中の本編が返ってきてから読もうと思ってたけど、
戻ってくるまでもうちょっとかかりそうなので読んでしまった。
わーん。
本編読みたい!
それは戻ってきてからのお楽しみだわね。
アンケルの野心的な姿になんとなくスカーレット・オハラを思い出す。
映画が好きで何か見たけど、本編未読の『風と共に去りぬ』。
いつか必ず読むよ。

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「ホテル・ルワンダの男」ポール・ルセサバギナ(ヴィレッジブックス)



「ルワンダよ、なぜこんなことに?」
100日で80万人が殺される常軌を逸した事態。
1日に8千人。
殺された人の多くは鉈で切りつけられて命を絶たれた。
国民を狂気に誘ったのは言葉による扇動。
その大本にあったのは権力に対する執着。
虐殺のために水面下で進められた準備。
意図的に導かれたものであることが恐ろしい。
そんな殺戮から自分の持てるあらゆる手段を使って1200人の命を救った男がいた。
学ぶべきことが多々あるその手段は本書に克明に記されている。
そんな彼が、嵐が去った後に抱いた諦念と願いに、胸が締め付けられる。


ドイツにシンドラーが、リトアニアに杉浦千畝がいたように、
ルワンダにはルセサバギナがいた。
舌咬みそうだけど、覚えておきたい名前。
レビューは既定の文字数に無理矢理おさめたけど、
久しぶりに文字数全く足りないわ!と言いたくなった。
そのくらい色々なことを突きつけられて考えさせられる読書だった。





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「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ2 チューリングの遺産 下」 (竹書房文庫)



おもしろかったか?と言われれば、おもしろかった。
だけど、釈然としない読後感。
軍用犬のケインにとっては当たり前のことかもしれないけど、
ナイフで刺されても銃で撃たれても、ケインが戦闘の場に駆り出される姿がいたたまれない。
そして「あ、この人死にキャラ…」と思った人が、
思った通りに退場していく展開もどうかなーと。
無人の殺人兵器が血の通った人間を殺戮する時代がそこまで来ていることが
容易に想像できることが怖い。
そして、悪意のある情報操作によって踊らされる恐ろしさ。
現代社会が抱えた問題に対する注意喚起…でもあるのかな。

外伝も楽しく読めるけど、やっぱりシグマあってこそのシリーズ。
漸くシグマが絡んできた下巻で何となく感じる居心地の良さ。
個人的には本編にタッカーとケインが絡んで登場してくれると嬉しい。
ワンパターンでも、不死身の人は何処までも不死身でも、
続きを読んでしまう中毒性のあるシリーズ。


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「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ2 チューリングの遺産 上」 (竹書房文庫)



元米軍兵士のタッカーと、元軍用犬のケイン。
ケインの毛並みの手触り、息遣い、見上げる目線、揺れるしっぽ。
そして、先頭に切り替わった時の頼もしさ。
そういったことがリアルに浮かぶ描写に、
ケインに対する愛情がひらすら込み上げてくる。
ひたすら可愛いくてカッコイイ。
事の発端はかつてのタッカーの仲間からのSOS。
依頼を受けた瞬間に、タッカーとケインの休暇は終了した。
行方不明になった共通の知人を探していく過程で、
兵器として開発されるドローンの怖さがジワジワっと伝わってくる。
俄かチームの彼らはこの窮地をどう乗り切るのか。
次巻へ。

シグマはチームとしてのバックアップがある中での戦いだけど、
タッカーとケインは二人(一人と一匹)の連携プレーでの戦い。
二人の絆の強さと信頼関係が伝わってくる番外編。





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「すばらしい新世界〔新訳版〕」ハクスリー (ハヤカワepi文庫)



瓶の中から生まれてくる命。
その瞬間から既に決められている階級。
決められたことの繰り返し。
レールから逸脱することのない日々。
みんながみんなのもの。
しあわせはみんなと一緒に。
ならば、私は?
私が私で在ることの意味はどこに在る?
考えることは異端。
考えることは不幸。
自由意思の世界を知らないからこそ、幸せでいられる彼ら。
故に、知ることは不幸。
……本当に?
すばらしい新世界。
唱えるたびに背筋が寒くなる。
だが、彼らにとってユートピア。
私はこの作品がディストピアに分類される意味を考え続けられる思考でありたい。

1932年の作品。
本当に?と確認してしまうほど、時の隔たりが感じられるじられることがない。
不朽の名作と呼ぶに相応しい色褪せなさ。
素晴らしい。
「むちむちした肉体」「むちむちした椅子」
原書でこの「むちむち」はどんな単語なの?と興味津々。
オーウェルの『1984』よりもとっつきやすい作品。
けれども。
表現のソフトさに誤魔化されてはいけない。
描かれているのは紛れもないディストピア。
クドカンの映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の天国の描写を思い出した。
【ガーディアン必読 97/1000】

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「生かされて。」イマキュレー(PHP研究所)



やさしくてやわらかな言葉で綴られる、
残虐で残酷な殺戮行為。
隣人が斧や銃を手にし、親しく係わりあってきた人々をためらいもなく殺す。
そんなふうに人々を扇動したプロパガンダ。
大本を正せば、植民地支配が招いた悲劇。
右へ倣えの群集心理はこうも人々を悪魔に変える。
積み重ねられる死体を前にして、
声をあげられる状況ではなかったのだろう。
これは、ルワンダの大虐殺を生き延びた、一人の女性の手記。
いや、『生かされて。』という言葉こそが相応しい。
善意の人々によって。
そして、信仰によって。
彼女の胸に宿った許し。
その想いが、彼女の精神をも救ったのだと思う。


1994年の虐殺で人口の10~20%の人々が殺されたルワンダ。
そして、それを上回る数の難民が流出した。
現在のルワンダは?と思って調べてみると、
アフリカの中でも比較的治安の良い国として紹介されている。
写真の街並がとても美しい。
ちなみに私が一番最初に浮かべたルワンダのイメージはマウンテンゴリラだった。
この本を買った理由は思い出せないけど(積んでる間によく忘れる)
読めて良かった。


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「モーセの災い(下)」 (シグマフォースシリーズ11)ロリンズ(竹書房)



シグマの災い……と言ってもいいくらい。
彼らの行くところに災厄あり。
巻き添えくらって破壊された建造物や自然、
そして命を落とした人はこれまでも数知れない。
が、さらに本をただせばよからぬ悪だくみをする輩がいることが
そもそもな問題なわけで、シグマの面々が身体を張ってそれを阻止しなければ
地球規模での災厄が起きかねない。
凄い仕事だなー。
このシリーズの中での動物の描写にはぐっとくるものが多いんだけど、
今回はゾウ。そしてライオン。
特にゾウたちの顛末にものすごくハラハラした。
古代から現代に伝承された記憶に端を発した物語。
楽しく読了。

展開はワンパターンなんだけど、
投入されるアイテムが毎回違う上に、
歴史上のリアルが首尾よく盛り込まれるので楽しく読めるシリーズ。
そしてどこの国が舞台になるのかもお楽しみの一つ。

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「モーセの災い(上)」 (シグマフォースシリーズ11)ロリンズ(竹書房)



紀元前1324年。
生きながらミイラになった彼女は、現代に何を伝えるのか?
響きだけはロマンチックなニュアンスがあるけれども。
現代で蔓延りつつある脅威はパンデミック。
時代の波(?)に乗った選書になってしまった。
そして、名誉欲と虚栄心に満ち満ちた男のはた迷惑な野望。
モーセの十戒。
余りにも耳慣れたワードをキーポイントに、
砂漠から北極諸島へと展開していく物語。
司令官が最前線の現場に自ら赴くって、立場的にどうなの?と思いつつ。
個人的にはこれから彼の活躍が見られるかと思うとわくわくする。
謎だらけのまま、次巻へ。


冒頭の短編ではセイチャンとコワルスキの異色のコンビの活躍を描く。
ゾンビめいた人々の姿にゾクリとするけれども。
よく考えると墜落する飛行機をギリギリで海に不時着させ、
結構な衝撃を喰らっても全員無事な彼らもすごい。




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「父と子」ツルゲーネフ(新潮文庫)



父と子。兄と弟。姉と妹。友人。恋人。主従。
関係性はどうであれ、今ここに在る以上、彼らは時を共有している。
だが、思想までを共有することは難しい。
古い貴族的文化と新しい民主的文化のが入り混じる時代に生きた人々の物語。
暑苦しい程の親世代の愛情や期待と誇り。
それをありがたいものとして受け止めるには子世代はまだ青臭く、
新しい風を取り入れた自論が正義という井の中の蛙感が抜けきっていない。
だが、親たちと生活を共にしていく上で、見えてくるもの、感じるものがある。
出逢いと別れを経て、二人の若者が選択したそれぞれの道。
明暗が分かれてしまった親たちの想いがやるせない。


「香水をふりかけた口髭」
普通にたしなみとしてそういう習慣があったってこと……だよね?
どの程度香る香水だったんだろう?
食事の邪魔にはならない??と、ちょっと気になってみました。
【ガーディアン必読 96/1000】





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