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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「風と共に去りぬ (1)」マーガレット・ミッチェル (新潮文庫)



スカーレット・オハラ。
彼女の燃えるような生命力の源は、不平不満と怒り。
意に添わぬ境遇に陥った理由は、想像力の欠如と短絡的な思考。
だけど、世の中を逞しく生き抜いていく力強さを感じ取れる。
近くにいたらめんどくさいだろうなーと思うけど、
そんな彼女の生き生きした姿に惹かれるレッド・バトラー。
映画を観たのはもうずいぶん前だけど、
登場人物たちの姿がリアルに脳裏に浮かび上がって、とても楽しい。
作中では時代背景の描写も丁寧に描かれているので、
南北に分断された当時のアメリカ社会の事も知れて興味深い。
次巻も楽しみ。

【ガーディアン必読111-1/1000冊】
「土地こそは、この世の中で存在するただ一つのものだぞ」
一巻冒頭のこの言葉から、映画のラストシーンを思い浮かべる。
そしてレッド・バトラーがとても好きだった私は、
今から胸が痛い。ってか、泣きそう。
レビュー打ちながら「タラのテーマ」を聴いてなんだか感無量。
いや、まだ5巻あるうちの1巻を読み終わっただけですけどー!



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「高い城の男」ディック(ハヤカワ文庫)



もしもWWⅡで枢軸国側の勝利に終わったら?
ドイツと日本が支配する世界の中で、
「易経」が人種を問わずにはびこっていることに驚く。
勝者の入れ替わりはテーマ的に面白いけど、
個人的には「易経」を抜きにしたその世界を読みたかった。
私に易経の知識がほぼないことも理由の一つだけど、
自身の選択や結果を易経に求める感覚に相容れない。
自己責任!
というか、私と言う「個」の選択に胸を張りたい。
自分が決めて掴み取った未来なんだと。
それでも、様々な階級や立場の人たちが
右往左往しつつ懸命に生きる姿は追っていて楽しかった。


先が気になって一気に読ませるだけの吸引力がありながらも、
読後にどこかで置いてけぼり感を感じてしまった感覚は
カフカの『城』に近い。
まぁ、「高い城の男」にはちゃんと出会えたけど(笑)
【ガーディアン必読110/1000冊】

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「イーストウィックの魔女たち」アップダイク (新潮文庫)



この作品の面白さって何だろう?
悪戯心と言うレベルにはまったく収まらない悪意が終始気持ち悪い。
他人の不幸の上に鎮座する自分の幸せ。
それは心から歓迎できるもの?
自分を妻として望んでいない相手を欲して、どんな幸せがあるのかしら?
何から何まで理解不能。
他人の死を望む呪いはかけた本人に跳ね返ってしまえばいい。
だって彼女はあなたたちに何をした?
幸せになる努力は他人を陥れる事じゃない。
そして、全部を男のせいにするのはなんか違う。
作品紹介にあるのは「大人のための現代の寓話」という言葉。
寓話……と唸りつつ、寓話の意味を改めて調べてしまった読了後。

文字びっしり、改行少なめの470ページ。
二日で読み切るだけの引力はあったけど、
じゃあ、面白かったか?と言われると、否。
ガーディアンだから読みきりました。
【ガーディアン必読109/1000冊】

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「タイタロスの目覚め(下)」 (シグマフォースシリーズ14)ロリンズ(竹書房)



ノンストップでアクション展開な下巻。
世界に脅威をもたらすものを排除する……というよりも、
謎を解明しようと突き進むうちに、
意図したわけじゃないけどぶっ壊してしまう彼らのお仕事スタイルは健在。
ハリウッドで映画化の話どうなったのかなー。
基本的に本で読んで想像を巡らせて満足するタイプなので、
視覚的に観てみたい!とここまで思うのは唯一このシリーズのみ。
あ、でも蘊蓄語らせるのは大変そうかな?
ラスト、久しぶりの再会に微笑ましい思いでいたものの、
指摘された事実に、ああ、やっぱり……と覚悟を要する。
でもまだ悲嘆に暮れる時期じゃない。
今しばらく、幸せな時間を。

チンパンジーのマーサ、ゴリラのバーコ。
そして今作のサルのアギー。
名前がしっかりインプットされるくらい魅力的に描かれてるのがすごいわ。
犬のケインもそうか。
動物さんたち、密かに大活躍。
次巻の翻訳は来年の夏。
楽しみに待ってるわ。






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「タイタロスの目覚め(上)」 (シグマフォースシリーズ14)ロリンズ(竹書房)



今回の歴史的なワードは『イリアス』『オデュッセイア』『トロイアの遺跡』。
これリアル?アンリアル?と読みながら引っかかった単語を調べると
リアル率が高い。
そこに作者ならではのフィクションの肉付けがされて、
展開されていく物語は相変わらず面白い。
いつもの歴史蘊蓄や謎解き・アクションの他に、
恋愛と子育てに関する悩みや一変した生活から得られる幸せや戸惑い等々も盛り込まれていて
読みどころ満載。
セーチャンは本当に良い方に変わったわ。
いつだって誰かが満身創痍の物語。
必ず潜む裏切者。
そして事件は謎だらけのまま上巻読了。



わー、前作までの流れから不吉なフラグがチラチラしてる気がしてドキドキする。
ちょっとした不吉はともかく、
最悪な不吉は回避してくれることを願うわ。
下巻をパラパラ捲って色々確認したいところだけど、そこはぐっと我慢。
一頁目から読み進めます。

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「イギリス人の患者」オンダーチェ (新潮文庫)



激動する時代から取り残されたかのような廃墟で暮らす四人の男女。
年齢も国籍も異なる彼らをそこに集めたのは、戦争。
そんな彼らの生活を壊したのも、やはり戦争。
それぞれの視点で語られる過去。
とりとめもなく、やさしく、時にやるせなく。
時間も国も状況も事なるその物語が、次第にとある真実を浮かび上がらせていく。
いずれは終わると思っていた歪な四人の時間。
けれども。
終焉の引き金を弾いた要因は私の想像の範疇外ながら
あまりにもよく知ったもので、愕然とする。
黙々と爆弾を処理してきた男の絶望と混乱を思うとやりきれない。
美しく、そして残酷な物語。良作。


ガーディアンチャレンジをしていなければ、
絶対に手に取らなかったと思う本がいくつもある。
その中から、チャレンジしていたからこそ出会えてよかったと
心から思う本も出てくるわけで、この本もそのうちの一つ。
夜の静寂の中で静かに読み進めるのが相応しい作品。
絶版になっていることが残念でならない。
そして自分がいつから積んでいたのか全く分からないところも残念でならない……←
【ガーディアン必読108/1000冊】

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「スカラムーシュ」サバチニ(創元推理文庫)



500項を越える長編。
字は細かいわ、改行少ないわ、読むのに時間かかるわ……なんだけど。
読み進めるほどに面白さが増していって、ラストは
「ちょっと、この先~~!気になるじゃん!」と鼻息荒く読了。
うわー、何この展開!面白い!
意図的ではないながらも、人生の選択を迫られる岐路に何度も立たされ、
流れに身を任せた結果、そのたびに窮地を乗り越えてきたアンドレ・ルイ。
しかも、その都度自分のHPを上げていくというオプション付き。
革命に向かって不穏な雰囲気を醸し出していくフランスを舞台にした
復讐劇であり、愛情物語であり、冒険譚でもある。



「スカラムーシュ」と聞いて思い浮かぶのはピアノ曲。
私のピアノ教室の発表会は二年に一度、ソロ・デュオ・ソロ・デュオの繰り返しで、
デュオの年に先生が生徒さんと組んで弾いていたんだよね。
当時の私は中学生?よく覚えていたわ(笑)
「コメディ・フランセーズ」と言えば思い浮かぶのは『マリー・ベル』。
それも道理で、同時代の物語。
いつかチャレンジしたい賢一氏の『小説フランス革命』。
【ガーディアン必読107/1000冊】

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「死んでいる」ジム・クレイス (白水uブックス)



一方的な暴力によって、理不尽に奪われた命。
唯一の救いは二人が共に逝けたことで、
襲い来る恐怖に一人で震えなくて済んだことだろうか?
そう思う私は自称ロマンチスト。
彼らの身に降りかかった事象がただ淡々と綴られるリアルな描写には感傷の入り込む余地はない。
生きているからこその有機体。
命が消えてしまえば、無機物になる。
それが、死ぬということ。
だけど、その人が歩んできた人生は、関わった人々の胸に思い出として刻まれる。
過去と現在を行き来する彼らの物語から、そう、感じられる。
彼らは死んでいる。だけど、間違いなく生きていた。

20年前に読んでいたら、感想は全く違ったと思える作品。
読み時ってあるんだなぁ、と。
あと20年後に読みたいか?と問われると、多分読みたくない。
今がベストだったんだと思う。
【ガーディアン必読106/1000冊】

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「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ (ハヤカワepi文庫)



その先に待ち受けているものから逃れる術を求めるのではなく。
自分自身の在り様を、その先の未来を、淡々と受け止めている彼らの姿が、
ただひたすらに悲しくて、そして苦しい。
自らの利になるものは生み出したい。
だけど、脅威になるものは排除したい。
身勝手だけど、それが人間。
そんなふうに納得できてしまうのが、やっぱり悲しい。
幼い頃から施設で共に生活し、喜怒哀楽を共にした仲間たち。
理不尽な運命を強いられていても、
彼らの心が濁りなくきれいなままだったのは、施設での日々があったからなのか?
ならば私は残酷な施設の在り様を肯定する。
何を彼らに伝えるかは別にして。


「やりたいことはいずれできると思っていたけど、それは間違いで、
すぐにも行動を起こさないと、機会は永遠に失われるかもしれない」
震災直後に友だちと全く同じことを語り合った思い出。
今日と同じ明日がくるとは限らないから。
途中から榎田さんの『神話シリーズ』が頭をよぎって仕方がなかった。
そして、神話シリーズの彼らと作中の彼らの在り様に、色々考えさせられる。
【ガーディアン必読106/1000冊】

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「シャイニング (下)」スティーブン・キング (文春文庫)



嫌悪したはずの父親の暴力行為を正当化することは、
即ち、今の自分の在り様を弁護すること。
再起を賭けた雪山での暮らしだったはず。
心の闇に付け込まれたのは彼の弱さ故。
だけど、吞み込まれまいと必死で葛藤していた彼がいたことを知るからこそ、
その結果が残念でならない。
乗り切ってほしかったなぁ。
わが子を守るために満身創痍で戦ったウェンディ。
心に傷を抱えたダニー。
いつか思いっきり笑える日が来るといい。
赤の他人なのに必死で彼らの救出に向かったハローラン。
還暦過ぎた正義の味方はとてつもなくかっこよかった。


最大の脅威は人間であると思っているので、
ゾンビな時点で私的にはないわ~、と思ってしまった敗北感。
そして、閂開けられるくらいファンタジーなら、ボイラーもどうにかできるでしょ?
と一瞬思ったことは内密に。←根本的にホラー向いてない。
【ガーディアン必読105-2/1000冊】


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