きままに読書★
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カテゴリー「海外小説」の記事一覧
- 2021.10.17 「ザ・ボーダー 上」ドン・ウィンズロウ (ハーパーBOOKS)
- 2021.10.09 「ザ・カルテル (下)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
- 2021.10.05 「ザ・カルテル (上)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
- 2021.09.30 「犬の力 下」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
- 2021.09.26 「犬の力 上」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
- 2021.09.18 「風と共に去りぬ (5)」マーガレット・ミッチェル (新潮文庫)
- 2021.09.04 「風と共に去りぬ (4)」マーガレット・ミッチェル (新潮文庫)
- 2021.08.27 「風と共に去りぬ (3)」マーガレット・ミッチェル (新潮文庫)
- 2021.08.22 「シグマフォース シリーズⓍ Σ FILES〈シグマフォース〉機密ファイル」 (竹書房文庫)
- 2021.08.14 「風と共に去りぬ (2)」マーガレット・ミッチェル (新潮文庫)
「ザ・ボーダー 上」ドン・ウィンズロウ (ハーパーBOOKS)
自らの意思で戦いに臨んだ者の末路は結果はどうであれ全て自業自得だ。
けれども。
望まずに争いに巻き込まれた者にとっては全てが悲劇でしかない。
麻薬戦争。
末端を叩き潰したところで意味がない。
変わりはいくらでもいるのだから。
だから金の流れを断つ。
頭を潰すために。
その判断は間違っていないけど、伴う困難と負うリスクは果てしなく大きい。
アダンは必要悪だったのか?
それは違う。
彼が存在することで安定する世界を構築した者たちこそが混沌の原因。
人生を賭けて戦いに挑んだ者たちの物語。
どんな結末を迎えるのか。
ドキドキしながら下巻へ。
作中で描かれる、かつてニュースで見聞して戦慄した出来事が物語のリアリティを増す。
麻薬組織側は息子たちの時代に移行していっているのに、
一方で最前線で指揮を執るアート。
素晴らしい成果をあげながらも、効果のなかったかつての作戦。
出口のない戦争。
彼が安らげる日はくるのか?来て欲しい。
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「ザ・カルテル (下)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
結局。
麻薬組織と戦うためには、ケラーは彼らと同じ土俵に立つしかなかった。
それは必然だと思えることがやるせない。
「憎しみは憎しみさえも打ち負かす」
衝撃の握手。けれども。
そんな憎しみを凌駕した憎しみ。
その先に達成感も高揚感も得られるはずもなく、
疲弊しきった魂が贖いを求める。
それでもなくならない麻薬組織。
逆に言えば、それだけの人が麻薬を求めているということ。
そこに政治権力が絡むから根本的な浄化にはならない。
どうやって戦えと?
「女や子供、罪もない市民を殺さない」
彼に任せてしまえと。
思わ頷きずたくなるではないか。
本作は三部作のうちの第二部。
え?まだあるの?何があるの?どうなるの??
と、この先の物語が全く想像できない。
ここまででも圧倒的な読み応え。
なのに、ホント、これ以上何があるんだろう?
そんな作品を読むことが出来るワクワク感半端ない。
「ザ・カルテル (上)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
家族を殺されたら嘆き悲しみ怒り狂うのに、
他人の家族の命を奪うのは平気な人たち。
刑務所の定義ってなんだっけ?と首をかしげたくなる現状。
メキシコの平穏ってどこにあるんだろう?
買い手なくして売り手なし。
メキシコの麻薬問題はアメリカの問題。
政府や警察組織ですらまっとうに機能しているとは言い難いメキシコで、
巨大組織を相手取り、戦う麻薬捜査官アート・ケラー。
とはいえ、彼の人生も正義のヒーローとは程遠い。
巨悪に対峙するのになぜ孤軍奮闘なのか。
読み進めるほどに彼らと一緒に疲弊していくけれども、
どうしたって読む手が止まらない吸引力。
なんだこれ。
分厚い本を読み切った達成感に心地よさを感じていた時代もありましたが。
632項は分冊にして欲しいと思う今日この頃。
上下巻合わせて1200項越えてくるなら、上中下が望ましいお年頃。(笑)
まぁ、結果的には読むページ数が一緒なのはわかってる。
そんな私は長編大好きです♡
「犬の力 下」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
上下巻を通して描かれるのは
麻薬捜査官と麻薬カルテルの統制者との30年に及ぶ麻薬戦争の物語。
史実が絶妙にちりばめられているが故にリアルで、諸々想像すると背筋が寒くなる。
追う者も追われる者も、常に死と隣り合わせの人生。
歯車が少しでも噛み合わなくなった瞬間、進むべき道が消失する。
そして自身のロスト。
彼らが安らぐ瞬間は、果たしていつなんだろう?
自ら進んで悪行を成している者以上に
アメリカの政治権力の在り様に釈然としなかった。
正すべき者は誰?
失われた多くの命。
だけど、血みどろの戦いは終わらない。
憤りよりもやるせなさを抱えながら続刊へ。
再読の弊害。
ノーラとカランが再び出会うのを楽しみに楽しみに頁を捲っていったら
思った以上に後半での再開で、ものっすごく焦れ焦れしたわ。
え?どうなるの??という初読の時のようなドキドキ感がない代わりに、
え?まだ?まだなの??という焦らされ感MAXでエア息切れ。
もー!
のめり込んで読んだ作品の内容は忘却していなかった(笑)
中途半端に覚えている分余計に質が悪い。
次からは長らく積んでいた未読領域。楽しみすぎる。
「犬の力 上」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
何故、貴方がそれをやらなけらばいけないのか、と。
思わず問いかけたくなる瞬間があったけれども。
その種を蒔く土壌を作ることに手を貸してしまったことを知るが故に、
彼でなければならなかった。
踏み出した道は片道切符。
もう、戻れない。
彼だけではない。
意図しなかったにも関わらず、なし得る力を持ってしまったばかりに、
進むしかなくなってしまった者たち。
望んでそこに在る者たちはいい。
だが、彼らの立つ道は血で血を洗う麻薬戦争へと連なる道。
軽々しく扱われる命に胸が軋む。
許されざるべき者がいる一方で、
政治権力の介入の仕方もずるいよ。
重たいため息を吐き出しつつの再読。
わかってたからメンタルガッチリ整えて臨んだけどねー。
引きずられるよねー。
ああ、もう!
末路が分かっている子たちを見てるのが辛い。
でも読むけど。吸引力半端ない。
シリーズ再読をはじめた主目的、未読の完結巻『ザ・ボーダー』目指します。
「風と共に去りぬ (5)」マーガレット・ミッチェル (新潮文庫)
失ってしまってから、自分にとって大切なものに気づいたスカーレット。
だけど、時は戻らない。
一人の女として彼女のように強く在り続けられることは、眩しくて魅力的である一方で、
母としての彼女には思うところはたくさんある。
恋人としては……まぁ、人それぞれだよね。
レットがホントにかっこ良くって。
ダメな部分も含めていい男だった。
父親としてダメ男だなーと思ったけど、ボニーを溺愛した理由が切なかった。
でも簡単に手に入る女だったらレットはスカーレットに固執しなかったと思うんだ。
激動のアメリカを生きる人々の物語。
思っていた以上に骨太の物語に圧倒されての読了。
著者が記した物語はここまで。
彼女自身の思い描く女性の生き様を投影した部分があるんだろうなーと思う一方で、
この結末にしようと思った理由があるなら尋ねてみたい。無理だけど。(笑)
そして気になる別著者の手による続編『スカーレット』。
読みたい……と思ったら、大体のあらすじがwikiに記載されていました。
なるほど~~。
【ガーディアン必読111-5/1000冊】
「風と共に去りぬ (4)」マーガレット・ミッチェル (新潮文庫)
救いの手を差し伸べてくれる人が誰もいないのであれば。
自分のみならず、救わねばならない人たちがいるのならば。
何より生きていくために。
思いつく限りの自分にできることを必死で試みようとするだろう。
だけど、時代はそれを当たり前とはしなかった。
女性であるが故にその手段と商売を成功に導く才覚を非難されるスカーレット。
彼女がもすごいけど、当時そんな女性を描いたミッチェルもすごい。
スカーレットがなりふり構わなかった事が引き金となった悲劇。
だけど、すべてを彼女のせいとは言い切ることはできない。
衝撃的な事実を知らされたところで次巻へ。
一冊の読み応えが半端ない。
映画で見た時同様、アシュレの良さが私にはわからない。
でも私、最初からレット贔屓だから公平なジャッジはできてないかも(笑)
スカーレットの自分本位の考え方には辟易するけど、
自らの手で生き抜く道を切り開いていく力強さは素直にすごいと思う。
【ガーディアン必読111-4/1000冊】
「シグマフォース シリーズⓍ Σ FILES〈シグマフォース〉機密ファイル」 (竹書房文庫)
シリーズ初の短編集+徹底分析録。
それぞれの短編がシリーズの間を埋める構成になっているのが面白い。
野生のマンドリルと向き合うコワルスキもボクサーパンツ一丁の裸族。
そうなった理由がアホすぎる。
でも、彼がシグマに入るきっかけが知れたのは良かった。
セイチャンらしからぬ失態から始まった物語は、彼女らしい幕引きに。
目には目を。やっぱりハンムラビは偉大だ。
そして「仲良しは誰だ?」のタッカー&ケインが大好きです。
可愛いなぁ。
後半の分析録は既刊の内容の復讐。
というわけで、このシリーズは発刊順に読んでいくのがおススメです。
私はシリーズ途中から新刊を買って積み、買って積み、で読まずに放置していた結果、
この『機密ファイル』は買ったつもりで実はスルッと抜けていたことに
読友さんたちのレビューで気づいたのでありました。
共読ありがたい♡
「風と共に去りぬ (2)」マーガレット・ミッチェル (新潮文庫)
可愛そうなのは私。
愛されるべきは私。
自分のために自由気ままに生きてきたスカーレット。
けれども。
頼れる存在はもはやおらず、
その双肩に他者の人生もがかかっていることを自覚した時、
彼女の娘時代は終焉を告げる。
そこまでの過程が丁寧に描かれていた二巻。
メラニーや子どもたちを抱え、戦いで混乱を極めた道中をひた走り、
タラへと帰り着くまでの描写が圧巻。
とはいえ、メラニーを最後まで見捨てなかったのも、
純粋にメラニーの為と言うよりも
アシュレとの約束を違えることを恐れる自分の為だったところが彼女らしいと思う。
南北戦争に関する描写が思っていた以上に克明に描かれている。
戦力外としか思えない老人や少年たちまでもが戦場に向かっていく姿が印象深かった。
【ガーディアン必読111-2/1000冊】