きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「海外小説」の記事一覧
- 2022.05.05 「悪の法則」コーマック・マッカーシー(早川書房)
- 2022.02.20 「野獣死すべし」ニコラス・ブレイク (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 2022.01.16 「すべての美しい馬」コ―マック・マッカーシー (ハヤカワepi文庫)
- 2021.12.12 「贖罪」イアン・マキューアン (新潮文庫)
- 2021.11.14 暗号機エニグマへの挑戦 (新潮文庫)
- 2021.10.23 「ザ・ボーダー 下」ドン・ウィンズロウ (ハーパーBOOKS)
- 2021.10.17 「ザ・ボーダー 上」ドン・ウィンズロウ (ハーパーBOOKS)
- 2021.10.09 「ザ・カルテル (下)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
- 2021.10.05 「ザ・カルテル (上)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
- 2021.09.30 「犬の力 下」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
「悪の法則」コーマック・マッカーシー(早川書房)
法に触れることは最初からやっちゃいけない。
やるならすべての段取りを自分自身で。
裏切りや罠はいたるところに存在する。
小説ではなく、映画脚本。
最初は読みづらさを感じつつ、
簡潔な情景描写に逆にリアルに想像力をかきたてられ、
だんだんドキドキしながらのクライマックス。
読後の第一声は一言。
怖っ!
何が怖いって、やっぱり人間がおっかない。
大なり小なりの暴力性はすべての人間が内在しているものだと思う。
だけど、それを他者へ向けられるかどうかは全然別だ。
欲があってこその悪なのか、そもそっもが悪だから悪なのか。
問いかけたところで、彼女の笑い声がきこえてきそうだ。
昔は凄惨な映画も見られたんだけど。
今は怖くて見られない気がする……。
それにしても。
「首なしライダー」と言われるといまだに私は「銀郎奇怪ファイル」を連想するようです。
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「野獣死すべし」ニコラス・ブレイク (ハヤカワ・ミステリ文庫)
「死んでしまえ」と思うこと。
「死んだほうがいい」と思うこと。
心の中で念じるのは自由だ。
だが、実際に殺してしまうこととなると、
人間社会で生きる限り、超えてはいけない一線がある。
彼の殺意には思わず首肯してしまいたくなる理由があるけど、
法的に告発できる手段を模索すべきだった……と思うのは、
私が自分の子どもを殺されていないからかな。
結果的に大人たちの騒動に巻き込まれてしまった子どもがいることが痛々しい。
それ以外なかっただろうなぁ、と思えるエピローグが胸に刺さる。
そして本を閉じて眺めるこの表紙が物悲しい。
それにしたってですよ。
この作品が発表されたのが1938年!
そういえば南北戦争の話してたなーという個所はあったけど、
年代の古さを全く感じさせない読み応えでした。
【ガーディアン必読114/1000冊】
「すべての美しい馬」コ―マック・マッカーシー (ハヤカワepi文庫)
再読ながら、齢16歳の少年が、こんなふうに生きられるのかと。
その生き様に、あの過酷な状況を生き抜けたことに圧倒される。
けれども。
北畠顕家が駆け抜けた人生も20年。(『破軍の星』参照)
年齢じゃないんだよね。
例え、運命に翻弄されようとも、
何を抱え、何を捨て、何を貫いて生きるのか。
それらは自らの意思で選択することが出来る。
だから、彼の生き様が胸に刺さる。
馬と友と。信頼と正義と。
自らの信念を潔いほどまっすぐに貫きとおした少年は、
いつしか一人の男として乾いた大地を踏みしめる。
再び故郷をあとにするために。
『国境三部作』の未読の二作を読むにあたって、一作目を再読。
読むのは六年ぶり。
初読の時よりも彼らとの距離がぐっと近づいた気がするのは、
再読だからなのか、その間の私の成長なのか。
読むべき時が来たから、読む気になったんだろうなぁ。
と、メッチャ楽しみだったのに!
あとがきーー!
そう。私が後書きを好んで読みたくない理由は、時に続刊のネタバレや結末を示唆するような
内容を書く人がいるから。
記憶リセット!
【ガーディアン必読 再読/1000冊】
「贖罪」イアン・マキューアン (新潮文庫)
静かなる良作。
安堵した後に突き付けれらた真実が苦しくて。
声を上げて泣いてしまった。
第一部で描かれるのは群像劇。
同じ物事を語るにしても、見る視点が違えば捉え方も違う。
真実とすれ違い、ねじ曲がって捉えられていく過程が恐ろしい。
その時彼女が声をあげたことによって奪われてしまった彼らの未来。
続く第二部。そして第三部。
恋人たちの繋がりが潰えなかったことがただ、嬉しい。
その一方で、取り返しのつかない罪は存在するのだと切実に思う。
ちょっと待って、と、反射的に読み返してしまった最終章。
贖罪。
その言葉の持つ意味が、読了後に重くのしかかってくる。
こういう出会いがあるからガーディアン読みがやめられない。
イアン・マキューアン。
他の作品も追いかけたい作家です。
まずは集めるところから。
【ガーディアン必読113/1000冊】
暗号機エニグマへの挑戦 (新潮文庫)
ジェリコが職務を休業するに至った理由が、
ハードワークによるメンタル疲労に加えて失恋と言うダブルパンチ。
静養中のところを呼び戻され、
復職を余儀なくされた彼の職務内容と元カノの失踪が
微妙にリンクしていって……フィクションとノンフィクションの
絶妙なコラボにミステリー要素が加味され、
ワクワクしながら読み進めていったのですが。
行きついたのが非道極まりない歴史的事実「カチンの森」で、胸が軋みました。
とはいえ、暗号解読に挑むイギリスチームの尽力は読み応えあり。
戦争ならではの理不尽と、
ミステリアスにロマンチックを加味した余韻を残して終幕。
序盤で波に乗り切れず、読み進めるのに時間がかかりましたが、
そこを乗り切った後は一気読み。
再読時には最初から楽しめる気がします。
せっかくなので第二次世界大戦(海外作家)の本棚を追加しました
日本人作家編同様少しずつ増やしていこうと思います。
【ガーディアン必読112/1000冊】
「ザ・ボーダー 下」ドン・ウィンズロウ (ハーパーBOOKS)
「いったいどうしてこんなことになったのか」
もちろん要因は一つではない。
いくつもの欲と闇が絡み合って構築された泥沼は、
人々の命を絡めとり、呑み込んでいく。
そしてそれは、メキシコの問題であり、アメリカの問題でもある。
犯罪は取り締まるべきもの。
それなのに、その犯罪を正そうとした者たちが、何故こんなにも疲弊しきっているのか。
漂う無力感と虚無感と憤りは、それが現実であることと、
それ故に問い続けなければならないことを物語っている。
アメリカの国民でありながら、メキシコの麻薬組織とアメリカの中枢と戦ったアート・ケラー。
圧巻の物語。
私が読メに登録してきた中で、多分一番分厚い小説。
これを越えるのは京極しか思い浮かばない(笑)
以下ネタバレ。
カランを取り戻したノーラの在り様がとてもカッコよかった。
シレロ、ホントに頑張ったね。お疲れさま。
「ザ・ボーダー 上」ドン・ウィンズロウ (ハーパーBOOKS)
自らの意思で戦いに臨んだ者の末路は結果はどうであれ全て自業自得だ。
けれども。
望まずに争いに巻き込まれた者にとっては全てが悲劇でしかない。
麻薬戦争。
末端を叩き潰したところで意味がない。
変わりはいくらでもいるのだから。
だから金の流れを断つ。
頭を潰すために。
その判断は間違っていないけど、伴う困難と負うリスクは果てしなく大きい。
アダンは必要悪だったのか?
それは違う。
彼が存在することで安定する世界を構築した者たちこそが混沌の原因。
人生を賭けて戦いに挑んだ者たちの物語。
どんな結末を迎えるのか。
ドキドキしながら下巻へ。
作中で描かれる、かつてニュースで見聞して戦慄した出来事が物語のリアリティを増す。
麻薬組織側は息子たちの時代に移行していっているのに、
一方で最前線で指揮を執るアート。
素晴らしい成果をあげながらも、効果のなかったかつての作戦。
出口のない戦争。
彼が安らげる日はくるのか?来て欲しい。
「ザ・カルテル (下)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
結局。
麻薬組織と戦うためには、ケラーは彼らと同じ土俵に立つしかなかった。
それは必然だと思えることがやるせない。
「憎しみは憎しみさえも打ち負かす」
衝撃の握手。けれども。
そんな憎しみを凌駕した憎しみ。
その先に達成感も高揚感も得られるはずもなく、
疲弊しきった魂が贖いを求める。
それでもなくならない麻薬組織。
逆に言えば、それだけの人が麻薬を求めているということ。
そこに政治権力が絡むから根本的な浄化にはならない。
どうやって戦えと?
「女や子供、罪もない市民を殺さない」
彼に任せてしまえと。
思わ頷きずたくなるではないか。
本作は三部作のうちの第二部。
え?まだあるの?何があるの?どうなるの??
と、この先の物語が全く想像できない。
ここまででも圧倒的な読み応え。
なのに、ホント、これ以上何があるんだろう?
そんな作品を読むことが出来るワクワク感半端ない。
「ザ・カルテル (上)」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
家族を殺されたら嘆き悲しみ怒り狂うのに、
他人の家族の命を奪うのは平気な人たち。
刑務所の定義ってなんだっけ?と首をかしげたくなる現状。
メキシコの平穏ってどこにあるんだろう?
買い手なくして売り手なし。
メキシコの麻薬問題はアメリカの問題。
政府や警察組織ですらまっとうに機能しているとは言い難いメキシコで、
巨大組織を相手取り、戦う麻薬捜査官アート・ケラー。
とはいえ、彼の人生も正義のヒーローとは程遠い。
巨悪に対峙するのになぜ孤軍奮闘なのか。
読み進めるほどに彼らと一緒に疲弊していくけれども、
どうしたって読む手が止まらない吸引力。
なんだこれ。
分厚い本を読み切った達成感に心地よさを感じていた時代もありましたが。
632項は分冊にして欲しいと思う今日この頃。
上下巻合わせて1200項越えてくるなら、上中下が望ましいお年頃。(笑)
まぁ、結果的には読むページ数が一緒なのはわかってる。
そんな私は長編大好きです♡
「犬の力 下」ドン・ウィンズロウ (角川文庫)
上下巻を通して描かれるのは
麻薬捜査官と麻薬カルテルの統制者との30年に及ぶ麻薬戦争の物語。
史実が絶妙にちりばめられているが故にリアルで、諸々想像すると背筋が寒くなる。
追う者も追われる者も、常に死と隣り合わせの人生。
歯車が少しでも噛み合わなくなった瞬間、進むべき道が消失する。
そして自身のロスト。
彼らが安らぐ瞬間は、果たしていつなんだろう?
自ら進んで悪行を成している者以上に
アメリカの政治権力の在り様に釈然としなかった。
正すべき者は誰?
失われた多くの命。
だけど、血みどろの戦いは終わらない。
憤りよりもやるせなさを抱えながら続刊へ。
再読の弊害。
ノーラとカランが再び出会うのを楽しみに楽しみに頁を捲っていったら
思った以上に後半での再開で、ものっすごく焦れ焦れしたわ。
え?どうなるの??という初読の時のようなドキドキ感がない代わりに、
え?まだ?まだなの??という焦らされ感MAXでエア息切れ。
もー!
のめり込んで読んだ作品の内容は忘却していなかった(笑)
中途半端に覚えている分余計に質が悪い。
次からは長らく積んでいた未読領域。楽しみすぎる。