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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「カラマーゾフの兄弟〈中〉」ドストエフスキー (新潮文庫)




敬愛する長老の死に直面し、心を乱すアリョーシャ。
惑いの果てに、彼がある種の天啓を得る場面はとても印象的。
ドミートリィや周囲の人々は、絶好調な俺俺節。
日々、このテンションで生きるのは、
底なしの体力とタフなメンタルが必要だとつくづく思う。
全力で過ごす日々はさぞかし刺激的なんだろうなぁ、とも。
どうしてそこまで自分に都合の良い解釈ができるのかと、
ドミートリィの頭に見えるお花畑。
必死さが裏目に出るというよりも、独りよがりすぎて空回り。
そんな中で起こる事件。
彼の無罪を知っているのは我々のみ。
さぁ、どう展開する?


「酔っぱらっているわけでもないのに、なんてばかげたことばかりわめいているんだ」
ドミートリィを表すのにはこの一文に尽きると、頷くことしきり。
計算や駆け引きが全くできない人なんだなぁ、とも。
意味ありげな記述もあったから、アリョーシャのその後がとても気になるんだけど、下巻の目次にはそれらしい記述がなくてがっかり。
まずはドミートリィの物語を見届けます!【ガーディアン必読 72-2/1000】

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「カラマーゾフの兄弟〈上〉」ドストエフスキー (新潮文庫)



俺が俺が俺が。お・れ・が!と、自分全面推しな人たちがたいへん騒々しい。
本当にみんなよく喋る。
男子たちの俺主張にあっけにとられている中、登場した女子が心の癒しになるかと思いきや。
こちらも思い込や、妄想の入った私主張で姦しい。
俺俺主張にも温度差や個性があって、
そこから感じ取れるそれぞれの人間味にひっぱられて読み進めると、
なんだか愉快な会話が展開されていく。
「カラマーゾフ流」とか「カラマーゾフ型の人間」とか。
カラマーゾフ推しがすごい中、カラマーゾフでありながら、
アリョーシャは何色にも染まっていないから、皆彼に心を開きたがるのかしら?
彼らのエネルギーに圧倒されたまま次巻へ。


もっと重厚で物々しい雰囲気の作品だと思っていたけど、
蓋を開けてみれば狂騒曲。
とはいえ、今後はスリリングな展開になるはず。
宗教観については感じたことがあるけど、
的を射ているのか外れているのかわからないのでとりあえず割愛。
ロシア人の語るキリスト教って、あんまり触れてきたことなかったなぁ。
【ガーディアン必読 72-1/1000】







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「殺人者の顔」ヘニング・マンケル (創元推理文庫)



過疎の田舎町で起こった凄惨な殺人事件。
その事件解決に奔走する警官にも、日常の営みがある。
家族の崩壊。
親の介護。
淡いときめき。
仕事での一喜一憂。
病魔との闘い。
人生の苦悩。
日常の悩みを抱えながらも、懸命に仕事をこなす彼らの姿には、
どこか親しみを覚える。
そして、人が生活する社会には様々な問題が内在していることもまた、突きつけられる。
高齢化社会の他に
本書が描かれた当時の欧州よりも、今の方がより深刻な問題と化している移民問題。
差別的な思想から、痛ましい事件が起きてしまう。
一冊の本に多くのことがギュッと濃縮された作品。



冒頭で、年老いた夫が、隣で眠っている
長年連れ添った妻の吐息を確認するシーンがとても印象的。
「一人になってしまったわけではないのだ。まだ」
読了後は事件解決の爽快感ではなく、もの淋しさを噛みしめる。
誰にでも、いずれ別れが訪れることを知っているから。



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「鍵のかかった部屋」ポール・オースター (白水Uブックス―海外小説の誘惑)



彼の著作。
彼の妻。
彼の子供。
そして、彼の想い。
全てを引き受け、いまはここにはいない彼・ファンショーの人生を追跡するうちに、
次第に自分の脚元を見失っていく僕。
その作業にのめり込むほどに彼と自分との境目が曖昧になり、いつしか僕も
「鍵のかかった部屋」の内側に閉じこもった彼と同じ道を行くのかと思ったけれども。
そうはならなかったことに目を瞠る。
三部作を読んできて、あ、と思った瞬間。
ファンショーとの決別は、ようやく得ることのできた自我の確立。
いや、妻に「帰る」と伝えた時点で、僕は既にファンショーの影と決別し、
自らの脚で立っていたのだと思う。
ソフィーがいてくれたことに感謝だよ。

【ガーディアン必読 10-3/1000冊】『ニューヨーク三部作』三作目。
『ガラスの街』『幽霊たち』と、自分の立ち位置としてはずっと
物語全体を俯瞰するような感じで読んできたけど、
ここにきてようやく物語の中に入れてもらえた気がする。
各々独立しても読めるとはあるけれども、その感動(?)を噛みしめるためにも、
個人的には順番に読んでいっていただきたい作品。


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「幽霊たち」ポール・オースター (新潮文庫)



奇妙な依頼に端を欲した単調な毎日。
他者の為に費やされる膨大な時間。
他者の影を追う生活に、自分の人生はない。
それが、探偵である自分が受けた仕事である以上、
全うしなければならない任務。
けれども。
次第に膨らむ疑念。
果たして、真に監視されているのは一体誰なのか?
自分の書いた報告書は誰の手に渡っている?
自分はなんのためにここに在る?
息が詰まりそうな閉塞的な世界は、彼が傍観者から当事者に成り変った瞬間に崩壊する。
そして、私こそが幽霊たちの影を掴み損ねたかのような想いに包まれるのだ。
現実味を欠いた浮遊感に呑み込まれたまま。


【ガーディアン必読 10-2/1000冊】
『ニューヨーク三部作』の二作目。
そうそう、この感じがオースター。
と。
久々に彼の描く不思議な世界を浮遊してきました。
そう。
「浮遊する」
オースターの作品を読んだ時の感覚は、この言葉が自分的には一番しっくりきます。
作中で劇的な何かが起こるわけではないけれども、とても印象深い何かがそこにはある。
だけど、それはあくまでも感覚的なもので、特に何が、と具体的に語ることは難しい。


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「夜中に犬に起こった奇妙な事件」マーク・ハッドン (ハヤカワepi文庫)



彼は知りたかっただけ。
誰が犬を殺したのか。
その事件の真相を知ろうとして明るみに出てしまったのは、
秘匿された別の事柄の真実。
それは、彼を打ちのめすのに十分なものだったし、
彼の父親にとっても気の毒なものでもあった。
大人の都合で振り回されるのは子ども。
だけど、子どもも大人の事情や複雑な心情を理解することはできない。
すべてにおいて正しい人はいなくて、
みんなが抱えた事情の中で懸命に頑張っている。
(彼の母親には私はどうしたって共感はできない)
日記めいた形式で綴られる、彼の観ている世界。
大冒険をやり遂げた彼の世界がこれからどう広がっていくのか。
父親とのプロジェクトが首尾よく進行することを願う。



軽い気持ちで読み始めたら、思いのほか深い話で、色々考えさせられました。
ここからはネタバレになるので、目を通される方はご注意くださいね。
その成長がどうしても見たくて。
離婚した元旦那に引き取られた娘に会いに行った私の友だち。
ところが、娘さんは母親は亡くなったと伝えられていて……というリアル話。
元旦那は再婚を考えていた女性にも同じ嘘をついていたらしく、結局再婚自体が破談。
ついていい嘘とついちゃダメな嘘がある。
【ガーディアン必読 71/1000】

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「ラブ・ストーリー ある愛の詩」エリック・シーガル (角川文庫)



将来有望な男女が恋に落ち、歳若くして結婚をし、
金銭に苦労しながらも、仲睦まじく日々を過ごし、
漸く色々なことが軌道に乗り始めた時に直面した出来事。
彼らが向き合わねばならなかったのは自らの、或は最愛の者の死。
誰しもが平等に迎える終焉の時。
違うのは、それが「いつなのか」ということ。
病院に何を持っていきたいか?と尋ねられたジェニファーの答えに
オリバーへの想いが詰まっている気がして、胸に刺さった。
ジェニファーの父とオリバーの父。
接し方はそれぞれだけど、そこにも確かに愛がある。
透明なイメージの読後。
泣きつくした彼に笑顔が戻ることを信じて。


絶対に泣かないように。
声が震えてしまわないように。
それだけはどうにか頑張ってトイレに駆け込んで号泣した父の病室での出来事。
でも、お葬式では泣けなかったんだよね。多分それは私の意地。
蟠りがあるなら生きている間に解消してもらいたい。
今になって切実に思う。

【ガーディアン必読 70/1000】

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「天国でまた会おう 下」ピエール・ルメートル (ハヤカワ・ミステリ文庫)



嘘に重ねた嘘。
事を始めたのち、その重大さに怯えるアルベールと、
現状を豪胆にとらえるエドゥアール。
その先の未来を意識しているか否かの違いだったのかな。
と、両者の想いが垣間見れる瞬間瞬間がなんだか切ない。
そして重ねた嘘……というか悪事に首が回らなくなっていくプラデル。
自らの仕事を愚直なまでにきっちりと果たしたメルランと、
そして悲嘆に暮れていても判断を誤らなかったペリクール氏にも敬意を。
歪んでしまった彼らの人生の根底にあるのは戦争ではあるんだけど。
直接的な原因を作ったプラデルはクズだわ。
駅でのアルベールの涙に何故か安堵しての読了。


一体どうなるのかドキドキしながら読み進めた結果、
すべての事象が収まるべきところに収まったと言える結末。

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「天国でまた会おう 上」ピエール・ルメートル (ハヤカワ・ミステリ文庫)



第一次世界大戦終戦直前。
戦場で敵との戦闘ではなく、味方による悪辣な行為によって
その後の人生を大きく狂わされた若者が二人。
アルベールの命を救ったことで、エドゥアールが被った代償。
そんなエドゥアールの為のアルベールの献身。
困窮する生活の中、不器用なりに懸命に日々を生きようとする
アルベールの姿に頑張れ!と言いたくなる。
生きることに倦んでしまったエドゥアールが、
アルベールとルイーズの存在によって少しずつ取り戻した気力。
よかった……と思ったのは束の間、
え?そっち!?と、驚いたところで下巻へ。
とりあえず“奴”には天罰が下ることを願いつつ。

その人を失ってしまってから愛情を伝えることはできない。
喪失に泣くなら、どうしようもない状態に陥った時に
「家に帰りたい」と思ってもらえるような関係を
ちゃんと築いておけばよかったのに……
あんな状態になっても尚、
家族の元に帰りたくないと泣くエドゥアールが痛々しかった。

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「存在の耐えられない軽さ」ミラン・クンデラ (集英社文庫)



存在。そこに在るもの。
その価値の重さや軽さは結局は主観でしかなくて、
それが正しいのかを論じることに意味はない。
変革に揺れる国に在って、彼らが突き詰めたものは、
自らの思いや快楽に忠実であること。
社会人としては敬意を抱けても、夫としてはどうなの?と思ったトマーシュ。
私的にはまっぴらだと思ったテレザの立ち位置。
そんな彼らの人生は幸せだったのか否か?
ずっと考えながら読みつづけていたけれども。
得られると思っていなかった彼らなりの答えを最後の最後に示してくれて、
ジワッときた。
人生は一度きり。
結局はそこに帰結する。
やりきりたいね。

とても深い作品。
だけど、何が深いかを端的に説明することは、今の私にはできない。
再読必須。
ガーディアンに挙げられていなかったら、手に取ることはなかったと思う。
出逢えて良かった。

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