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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「紅はこべ」バロネス・オルツィ(創元推理文庫)



フランス革命時のフランスで横行する貴族の処刑。
動乱の最中のフランスからの貴族の亡命を指揮するイギリス人たちの秘密結社「紅はこべ」。
この物語は、彼らの活躍を描いた冒険活劇であり、パーシーとマルグリートの恋愛物語でもある。
というまとめ方に、誇張はないはず。
ならば、息をつく間もない緊迫の展開か!?と思いきや。
物語はゆる~く、なんだかほのぼのしく進行します。
敵役ですら、対応が甘い。
そのゆるさが楽しめれば、極上の娯楽。
迷惑と紙一重なマルグリートの一途さも、最後は許容できてしまう不思議。
行動を起こせる女子と甲斐性のある男子に喝采を。


私だけの王子様!的な感じで、パーシーのような男子に憧れる時期って、
どこかに絶対あると思う。
高校生の頃の私のこの本の感想は「パーシー、カッコイイ!」でした。軽い。(笑)
今回はそこまでのトキメキは残念ながらなかったわ~。
手元にあったのが西村氏の翻訳だったので、素直にそちらで読みましたが。
村岡花子女史の翻訳で読んでみたいわ!と思ったことを付け加えておきます。


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「郷愁~ペーター・カーメンチント~」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)



美しい描写で綴られる自然の情景。
物語の中心には、常に彼の故郷の湖や山がある。
澄んだ空気の中の美しい村の風景だけが印象に残っていて、
再読して主人公の思い込みの激しさと頑なさに驚いた。
だが、そんな彼もいつしか、やさしさと思いやりを備えた深みのある人間になっていく。
これは、一人の青年の成長の物語。
人との対話が人を育てることを、やさしく語りかけてくれる。
そして、生きる、ということは、死と密接に関係してくることも。
無垢で純粋な魂に涙し、情景描写の美しさに溜息を零し、
日々を生き抜く人々の命の讃歌に清々しい思いを抱きながらの読了。


やっぱりヘッセの作品が好き。
初読は18歳の時。
当時の読書ノートを引っ張り出して大笑い。
「人が人を育てる」というのは同じようなことを綴っていたけど、
今回私が最初のうちは「あれ?こんな自己中な人だっけ?」と
首を傾げたたペーター・カーメンチントを最初から「純粋な人」と
手放しで褒め称えていました。
そりゃあ、印象合致しないわ。(笑)
「青春はいかばかりうるわしき。されどそははかなく過ぎ行く。楽しからんものは、楽しめ。あすの日はたしかならず。」
心に刻んでおきたい言葉。

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「レ・ミゼラブル 下」ヴィクトル・ユゴー(角川文庫)



激動の時代に生きた人々の物語。
19世紀を生きた著者が願った通りの平穏な未来が、
今、この世界にないことが些か残念だと思うと同時に
人間の刻む歴史はそんなものだと思う自分もいる。
一人の男と係わり続けた結果、揺らいだジャヴェールの信念。
二律背反に引き裂かれて自らの未来を閉ざした彼は、頑なに過ぎたのだろう。
そして己の信念に殉じたジャン・ヴァルジャン。
あまりにも厳しく、苛烈な生き様に胸を打たれる。
彼が「幸せだった」と感じられる時を過ごせたことは救いだけれども。
「これからの」幸せにも目を向けて欲しかった。
それだけの贖罪はしたのだと、思うから。

下巻はマリウスの青二才っぷりにイラッとしつつ読了。(苦笑)
奔放なガヴローシュがとても魅力的。
1862年に発行された本。
150年以上たった今でも、その面白さは損なわれることなく、こんなにも惹きこまれる。
岩波→角川と読んできたので、いつか新潮版も読んでみたい。
【ガーディアン必読 49-2/1000冊】


内容(「BOOK」データベースより)

あわただしい時代のなかで、貧しくても上昇志向でがんばっていた青年マリウスは、ある美少女に恋をした。謎の男性といつも一緒のコゼットだ。彼女への思いをつのらせる彼だったが、革命騒ぎのまっただなかに巻き込まれ、絶対絶命となる。そのとき、コゼットと一緒にいた男、ジャン・ヴァルジャンと再会した!ジャヴェール警部、凶悪犯テナルディエなどもまじえながら、壮大な物語は感動のクライマックスへと向かう―。

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「HHhH~プラハ、1942年」ローラン・ビネ(海外文学セレクション)



作中で物語を進行するのは著者自身。
俯瞰しているのと同時に、渦中に在る視点。
故に、臨場感を伴って、より視覚的に事象が伝わってくる。
「歴史」ありきの物語。
語られるのは「人の」ではなく「時代の」狂気。
虐殺された人々の姿を、その数を思い描くことを、頭が拒絶する。
だけど、穴の中に折り重なる死体から目を背けてはならない。
これは、その死体の山を築いた男と、その男を暗殺した男たちの物語。
そして、彼らに係ったが為に、皆殺しの憂き目にあった人たちの物語。
ここまで詳細に調べ上げ、物語として完成させた著者に、敬意を。
圧巻でした。


「どうして自分の仲間を裏切ることができたのか?」
「百万マルクも貰えるとしたら、あなただって同じことをしたと思いますよ」
一緒にしないでよ!と、心の底から叫びたい。
懸命に暗殺者を支え続けたのは、「同じことをしない」人たちだ。
密告がなくても、もしかしたら彼らは発見されたかもしれない。
だけど、万死に値するのは裏切り者のチュルダだと思えてならない。
気になる方のために「HHhH」の意味。
「ヒムラーの頭脳はハイドリヒ(ユダヤ人大量虐殺の首謀者)と呼ばれる」



内容(「BOOK」データベースより)

ユダヤ人大量虐殺の首謀者、金髪の野獣ハイドリヒ。彼を暗殺すべく、二人の青年はプラハに潜入した。ゴンクール賞最優秀新人賞受賞作、リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞受賞作。

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「制裁」 ルースルンド&ヘルストレム(ランダムハウス講談社文庫)



読後のやりきれなさが半端ない。
でも、こんな重苦しい余韻が残る話は好き。
バッシング覚悟で
正しい裁判を執り行おうとしたオーゲスタムこそ英雄だと思った。
フレドリックのしたことを間違いだとは言いたくないし、
心情的には彼の行動に寄り添える。
だけど、社会の中に在る以上、彼は悲劇の英雄にしかなり得ない。
人は法に縛られる。
はみ出した世界に秩序はない。
便乗した馬鹿たちが皮肉にもそれを証明している。
だから、納得はしている。
だけど、感情的にはどうしたってやるせなくなってしまうのです。


同害報復を実行する組織の話を思い出した。
自らの欲望のために少女たちをレイプしたルンドこそ、
彼女たちと全く同じ目にあってみるといい。
目に目を。
まぁ、あくまでも物語世界的な話ですけど。
オスカーションの秘密って何かしら?何かしら?と思っていたわけですが。
うっそー!?となる秘密でした。腐的にちょっとテンションあがります。
次作は「ボックス21」
うまく入手できるかしら?

内容(「BOOK」データベースより)

スウェーデンのとある町。古いアパートの地下室で、二人の少女の死体が発見された。凄惨な強姦殺人事件に人々は震え上がるが、ほどなく犯人は逮捕された。それから四年後―。作家のフレドリックは、テレビのニュースに映った脱走犯の顔を見てパニックに陥った。娘を幼稚園に送ったときに入口で挨拶を交わした男だったのだ!娘の無事を必死に願うフレドリックだったが…。グラスニッケル賞最優秀北欧犯罪小説賞受賞作。

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「ハピネス」崎谷はるひ(ルチル文庫)



子供の恋愛めんどくさい……(笑)
大人だったらもうちょっと上手く立ち回るんだろうけど。
にっちもさっちもいかなくなった恋情をどう封じていいのかわからなくなった10代は
結果、養い親に対する突然のシャットアウト。
いままで大切に育ててきた子供から
強烈な爆弾を喰らったような20代はそれは衝撃大きいわ。
理由もなく相手に拒絶されるのは、本当に辛いんだよ?
とはいえ、根底にあるのは憎しみではなく恋情なわけで、
歳の差カップルは周囲を盛大に巻き込んでの大団円。
原野と朱美さん、いい人だったわ~。
この二人、くっついちゃえばいいのに。

とりあえず、社会人。
お仕事はちゃんとしよう。
そんな理由での欠勤は、二日酔いで会社に行けないよりダメだと思います(笑)。
なんだかんだ崎谷さんはコンプリ目指して買っちゃうんですよね~。
蔵書は65冊前後あるかな?
積読もあるので、読んでいない本は何を所有しているのか全く把握できていないので、
購入時は要注意なのです。


内容(「BOOK」データベースより)

流水純司が二十二歳のとき、友人の忘れ形見・日置裕太を引き取ってから七年が過ぎ、裕太も高校三年生に。流水が若くして課長になれたのも、裕太を育てるため頑張って働いた結果だ。健やかに成長した裕太は流水唯一の自慢。しかし、次第に流水と距離を置きはじめた裕太が、家を出ようとしていると知り、流水は…!?商業誌未発表短編も同時収録。

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「ジャッカルの日」フレデリック・フォーサイス(角川文庫)



「ジャッカル」
それは、カウントゼロになるまで止まらない時限爆弾のようなもの。
個人的にはそんなイメージで読み進めました。
殺し屋vs警察。
入念な下準備。
しらみつぶしの捜査。
どちらも完璧なプロフェッショナルな仕事ぶりにただただ舌を巻く。
歴史は覆らない。
ならば、この物語はどんな決着を迎えるのか。
完璧を期した準備も捜査も、どこかに小さな穴がある。
そして、人智を超えた力にはどう頑張っても抗えない。
どちらにも肩入れしすぎて、たまらない緊張感を抱いたまま、頁を捲り続けた。
静かに進行する物語にも拘らず、ものすごい力で惹きつけられました。圧巻。



この先どうなるのか気になりすぎて、こんなに緊張しながら読んだ本って久しぶり。
初・フォーサイスだったけど、面白かった!
読友さんにもお友達にも『オデッサ・ファイル』を薦められたので
そちらも読んでみようと思います。
そしてやっぱり『ツーリングEXP』読みかえしたい。
私の中で殺し屋と言えば、ディーン・リーガルなのです。
【ガーディアン必読 47/1000冊】

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「少年は残酷な弓を射る 上 」ライオネル・シュライヴァー(イースト・プレス)



刻々と近づく運命の『木曜日』。
母親であるエヴァ視点で語られていることを差し引いても、
父フランクリンのケヴィンに対する接し方には首を傾げざるを得なかった。
ありのままの息子ではなく、理想の息子を見続けたフランクリン。
だったら、ここにいる「自分」は誰?
父の愛情が誰に向けられたものなのか、わからなくなって当然だろう。
エヴァは本当のケヴィンを知っていた。
そして、ケヴィンはエヴァの本質を見抜いていた。
多分、理解しあえた二人に足りなかったものは何だったのだろう?
「愛情」という言葉だけでは片付けられないものがそのこはある。
絶望からの再スタート。
疲れ切った彼らの旅は終わらない。

シーリアと同じ年の姪がいるだけに、彼女の身に降りかかった出来事は本当に辛かった。
後半、泣きながら読んじゃったよね。
タイトルの意味が分かった時には、絶望的な気持になってみました。
重くのしかかるものが半端なくて、だけど読み進める手も「何故?」と問いかけ続ける思考も止まらなくて。
かなりヘヴィ―な読書だったけど、出逢えて良かった一冊がまた増えました。


内容(「BOOK」データベースより)

16歳の誕生日の3日前、“事件”は起こった。異常なまでに母に執着する息子と、息子を愛せない母。二人が迎える衝撃の結末とは―?100万人が戦慄した傑作エモーショナル・サスペンス。2005年英オレンジ賞受賞作。

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「少年は残酷な弓を射る 上 」ライオネル・シュライヴァー(イースト・プレス)



事件は既に起こってしまった。
その事件に至るまでを、母親であるエヴァ視点の語りで終始進行する物語。
たとえば、この時の夫側の見方は?息子であるケヴィンの主張は?
それは彼女の被害妄想なのかもしれないし、
夫の理解不足なのかもしれない。
だが、そのどれもが推測にすぎず、正解はどこにも見当たらない。
息苦しい「家」の中で誰からも理解を得らぬまま過ごした彼女の孤独と不安。
それを払拭するために彼女が選んだ手段。
最悪だ、と思わず呟いたのは私だけだろうか?
ケヴィンを誰よりもわかっていて、そして、誰よりもわかっていなかったエヴァ。
いや、わかっていないのは私なのか?
救いのある展開になるとは微塵も思えないまま、下巻へ。

以下ネタバレ……になるかな?どうだろう?
興味深く読んでいたのです。
ラスト近くまでは。
この三人だけの関係であったなら、ここまで気持ちが落ちなかった。
読むの嫌だなー、下巻。
ものすごーく嫌だなー、下巻。
無垢で生まれてきた赤ちゃんが辛い思いをしませんように。
ただそれだけを切に願うわ。
ああ、でもなんかもう、辛いフラグが立っているようにしか思えない。←私の主観です。
でも読まないと嫌な気分のままだから、読みます、下巻。

内容(「BOOK」データベースより)

キャリアウーマンのエヴァは37歳で息子ケヴィンを授かった。手放しで喜ぶ夫に対し、なぜかわが子に愛情を感じられないエヴァ。その複雑な胸中を見透かすかのように、ケヴィンは執拗な反抗を操り返す。父親には子供らしい無邪気さを振りまく一方、母親にだけ見せる狡猾な微笑、多発する謎の事件…そんな息子に“邪悪”の萌芽を見てとるが、エヴァの必死の警告に誰も耳を貸さない。やがて美しい少年に成長したケヴィンは、16歳を迎える3日前、全米を震撼させる事件を起こす―。100万人が戦慄した傑作エモーショナル・サスペンス。女性作家の最高峰・英オレンジ賞受賞作。

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「おれにはアメリカの歌声が聴こえる」ホイットマン (光文社古典新訳文庫)



溌剌とした自己肯定。
人生を謳歌する著者の叫びは、暑苦しいが故に心地よく響く。
肉体を賛美し、己の幸運を喜び、大らかに人々を抱きしめる。
光溢れる生の中に在った著者はやがて死者と対峙し、
別離の哀しみと敬愛する者との別離を綴るも、彼の歌声は曇らない。
アメリカの歌は、即ち、彼自身の歌。
人生への讃歌。
外の世界に向けられていた意識が自己の内面と対峙するに至る晩年。
力強さが少しも損なわれないまま詠まれた辞世の句。
最後まで力強さに溢れている。
豪胆に生きた知人にお別れをしてきた本日ほど
読了するに相応しい日はないと思えてしまった。

基本的に読書は室内や移動中に限るのですが。
この詩集に関しては、光に満ち溢れた屋外で読むのが相応しい気がする。
眩しいかな?(笑)
「南北戦争」繋がりで『風と共に去りぬ』が観たくなりました。

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