きままに読書★
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カテゴリー「海外小説」の記事一覧
- 2016.03.12 「薔薇の名前 下」ウンベルト・エーコ(東京創元社)
- 2016.03.07 「薔薇の名前 上」ウンベルト・エーコ(東京創元社)
- 2016.02.25 「高い砦」デズモンド・バグリィ(ハヤカワ文庫NV)
- 2016.02.19 「ゴッドファーザー 下」マリオ・プーヅォ(ハヤカワ文庫NA)
- 2016.02.16 「ゴッドファーザー 上」マリオ・プーヅォ(ハヤカワ文庫NA)
- 2016.02.12 「やんごとなき読者」アラン・ベネット(白水社)
- 2016.02.10 「不思議な少年」マーク・トウェイン(岩波文庫)
- 2016.01.27 「悲しみのイレーヌ」ピエール・ルメートル(文春文庫)
- 2016.01.23 「ブラックダリア」ジェームス・エルロイ(文春文庫)
- 2016.01.07 「最後の物たちの国で」ポール・オースター
「薔薇の名前 下」ウンベルト・エーコ(東京創元社)
一人の僧の死から次々と発生した殺人事件。
闇の中に身を潜め、事の真相を知っていた彼は、何を望み、何を畏れたのだろう?
知識の流布を蛇蝎のように嫌った彼の主張は、
あまりにも独善的で、あまりにも身勝手だ。
殺人が殺人を呼び、僅かな綻びから手繰り寄せられる真実。
そして、決着は文書館で。
ひとたび明るみに出た謎は、その時点で秘匿性を失い、
白日の下にさらされる。
それを、身の内に喰らってまで阻止しようとした彼の、
結局は思惑通りだったのか?
少し先の時代に印刷術が発達することを想えば、答えは否、だ。
謎解きをするウィリアムとアソドの師弟関係がとても微笑ましかった。
さて。
ぶっちゃけトーク!
君たちはいったい何をしにそこへ?と、その瞬間、唖然としてみました。
ひっかきまわすだけひっかきまわして何もかもを灰燼に帰した感が否めない。
いや、その責任が彼らにあるとは言いませんが。
そしてとってもとっても一生懸命だったのもわかるけど。
なのに、どうしてあんなことに……
古代から伝わる数多の本たち。
印刷技術が発達する以前の時代には人の手によって書き写され来たという事実を
改めて思い知り、なんだか圧倒されました
内容(「BOOK」データベースより)
中世、異端、「ヨハネの黙示録」、暗号、アリストテレース、博物誌、記号論、ミステリ…そして何より、読書のあらゆる楽しみが、ここにはある。全世界を熱狂させた、文学史上の事件ともいうべき問題の書。伊・ストレーガ賞、仏・メディシス賞受賞。
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「薔薇の名前 上」ウンベルト・エーコ(東京創元社)
濁流のように渦巻く膨大な情報量に翻弄されながらも、
気付けば物語世界に迷い込んでいる。
時は中世。
北イタリアの僧院の、薄暗く神秘的な迷路の中を彷徨っている。
神に仕える者たちの棲まうその場所は
決して人には語れぬ秘密を抱えた者達の潜む魔窟でもあった。
印刷技術の発達する少し前の時代。
書物を管理し、知識の流布を恐れた件は、
いつの時代にも起こり得る情報の統制を想起させる。
文書館にはどんな秘密が隠されているのか。
持ち去られた書物には何が記されていたのか。
そして、このタイトルの意味は?
現代では考えられない程、ゆったりと流れる時。
手がかりのカケラ得られない私は、逸る気持ちを抑えながら次巻へ。
メガネ薀蓄
・メガネの発明は12世紀の終わりごろ(作中記述有)
・メガネを日本に初めて伝えたのはフランシスコ・ザビエル(勝手に調べてみた)
調べ物をしていると、遭遇する率が高いザビエル。
「カッパ」を検索して「ザビエル」と出てきたときの衝撃(笑撃?)と言ったら!
確かに、老眼や近視は昔からあるわけで、矯正するもののなかった時代の人たちは
さぞ不便だったろうと。
メガネやコンタクトがないと生活できないわが身に置き換えてしみじみ思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
迷宮構造をもつ文書館を備えた、中世北イタリアの僧院で「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が。バスカヴィルのウィリアム修道士が事件の陰には一冊の書物の存在があることを探り出したが…。精緻な推理小説の中に碩学エーコがしかけた知のたくらみ。
「高い砦」デズモンド・バグリィ(ハヤカワ文庫NV)
【我々はまだ生きている。
血が男の中に流れている限り、不可能ということはないのだよ】
直面した事態を打開するためには、全力で臨まなければならない。
理不尽な死を黙って受け入れるわけにはいかない。
性別も年代も職業もバラバラな九人が
知恵を振り絞り、勇気を奮い起こし、命を繋ぐために
戦闘を生業とする男たちと対峙する。
荒唐無稽な戦術は何もなく、彼らは彼らなりにできることを懸命に模索する。
組み立てられた投石器。
命がけの雪山越え。
震えながらも武器を手にした彼女。
臆病な彼が見せた勇姿。
ラストに向けて高まる緊張感。
戦いを知る男たちが歯を食いしばって見せた闘志。
満身創痍の彼らにあたたかな食事と穏やかな休息を。
そして死者の魂に安らかな眠りを。
極上の冒険小説。
一気に読み切ってしまうおもしろさでした。
「我々はまだ生きている。
血が男の中に流れている限り、不可能ということはないのだよ」
このアギヤルの言葉に、彼の政治家としての不屈の魂を見た気がしました。
諦めちゃだめだよ、というメッセージに自分なりに置き換えて、明日も頑張ろうと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
旅客機がハイジャックされ、操縦士のオハラはアンデス山中の高所に無謀な不時着を強いられた。機体はひどく損傷し、犯人らは死亡。かろうじて生き残ったオハラたち九名は、高山病に苦しみながらも救助を求め山を下り始めた。そんな一行を、突如銃撃が襲う。一体誰が、何のために?背後は峻険な峰々。絶体絶命の窮地に陥った彼らは、驚くべきアイデアでこれに挑むが…壮大な自然に展開する死闘。冒険小説史上屈指の名作。
「ゴッドファーザー 下」マリオ・プーヅォ(ハヤカワ文庫NA)
【人生はこんなにも美しい】
上巻は家族の物語。
そして下巻は戦いの物語。
揺るぎない絆がある一方で、昨日肩を抱き合っていた仲間を弾く裏切りがある。
愛には愛を。忠誠には報酬を。裏切りには死を。
彼らの棲まう世界は、かくも厳しく、かくも公平だ。
故に、水面下で秘密裏に進行した復讐への準備。
たとえ、愛する者がその行為によって悲嘆にくれたとしても。
横っ面を張られたままではいられないのだ。
守るべきは家族。組織。総括しての「ファミリー」
故に与えられる「ゴッドファーザー」の称号。
決して感情的になることなく、そして時を逸することなく、
誰もが認めざるを得ない状況下でその称号を見事に継承したマイケル。
ケイの祈りが彼の歩く道を清めてくれますように。
壮大な物語に読了後呆然。
頭角を現したマイケルのかっこよさったら!
改めて冒頭の無邪気に身を寄せ合っているマイケルとケイの姿と、
ラストの二人の姿を見比べるとちょっと胸が痛いけど。
同じところにとどまったままではいられないのが人間。
安らぐ時間はないかもしれない。
だけど、進んだ時間の先に、二人なりの幸せがありますように。
内容(「BOOK」データベースより)
ニューヨーク五大ファミリーを巻きこんだ全面戦争は、コルレオーネ家の長男ソニーの死によって終結した。ドン・コルレオーネはシシリーに潜伏していた三男マイケルを呼び戻す。やがてファミリーの後継者となったマイケルは、ドンが死を迎えると直ちに壮絶な復讐戦を開始した…アメリカを陰で支配する巨大組織マフィア。現代社会が喪失した血縁と信頼による絆がそこにはある。愛と血と暴力に彩られた壮大なる叙事詩。
「ゴッドファーザー 上」マリオ・プーヅォ(ハヤカワ文庫NA)
【友情がすべてなんだ。
友情に比べれば、才能なんて屁のようなもんだ。
友情とは家族みたいなもので、国家よりも大切なものなんだ】
友情に篤く、友情に重きを置いた偉大なる父と、
その父に敬意を抱き、そして愛した家族の物語。
血の繋がりだけには留まらない、なんとも広範囲にわたる「家族」の存在に、
ゴットファーザーの懐の広さが伺い知れる。
彼が凶弾に斃れた時の周囲の一致団結ぶりにこそ、
これまで彼が歩んできた人生が垣間見られる。
特に自らの度量とやるべきことを瞬時に判断できた長男と三男の存在。
自らの器をしっかりと自覚していた長男・ソニーの立ち回りっぷりは好感が持てたし、
堅気の道を歩むことを望んだはずの三男・マイケルが、
抗争の中へ足を踏み入れていく様は圧巻。
強大なファミリーの成り立ちを垣間見、現実に立ち戻ったところで次巻へ。
フラッシュバックするように映画のシーンが断片的に浮かんできて、
ワクワクしながら頁を捲りました。
テーマ曲のタイトル「愛のテーマ」に激しくうなずきたくなる内容。
感想の冒頭で引用している言葉を胸に刻んで、下巻へ進みます。
内容(「BOOK」データベースより)
全米で最も強大なマフィアの組織を築き上げた伝説の男、ヴィトー・コルレオーネ。絶大な力を持つこのマフィアのドンを、人々は畏敬の念をこめてゴッドファーザーと呼ぶ。そんな彼の三男マイケルは、家業に背を向け家を出ていた。が、麻薬密売をめぐる抗争でドンが瀕死の重傷を負った時、彼は、父、家族、そして組織のために銃を手に起ち上がった…独自の非合法な社会に生きる者たちの姿を赤裸々に描き映画化もされた名作。
「やんごとなき読者」アラン・ベネット(白水社)
【本は暇つぶしなんかじゃないわ。
別人生、別の世界を知るためのものよ】
読書の魅力に引き込まれていく女王の様子に、
共感を覚える読書家さんたちは、たくさんいらっしゃると思います。
一冊の書物を手にすることで、ここに居ながら別の世界に飛び立つことができる。
決して自分では歩むことのないであろう人生を、知ることができる。
そこで揺さぶられる感情は本物。
そして、育まれる想像力。
人生を豊かにするツールの一つが読書なんだと思っています。
とはいえ、公務はある程度の手抜きは許されても、
疎かにしちゃいけません、女王様(笑)。
そんな彼女の姿すら、かわいらしく思えてしまう、魅力的な本。
読了後は、引用されているたくさんの本に興味津々。
まさに「一冊の本が別の本へとつながる」のである。
装丁がとてもかわいらしくて、手触りも素敵。
箔押し好きな私にとってはたまりません。
装丁と言えば、個人的に「はてしない物語」の装丁が今の所ベストかしら?
一般書外だと、紫宸殿の「EINSTEIN」を超える装丁はないかも。
和紙に紅葉。宝物。
内容(「BOOK」データベースより)
英国女王エリザベス二世、読書にハマる。おかげで公務はうわの空、側近たちは大あわて。「本は想像力の起爆装置です」イギリスで30万部のベストセラー小説。
「不思議な少年」マーク・トウェイン(岩波文庫)
読み進めるほどに毒々しさが増していく少年の存在。
際立つ美しさと人ならざる能力を持つが故に、
彼のその毒はより異彩を放ち、係わる人々を振り回す。
そして人は、決して相容れない存在であるが故に、
彼の異質さに気付きながらも魅せられ、或は畏れるのだ。
彼の人間観は確かに一理ある。
全てを否定することはできない。
「今の世界はすべて夢」
一度は浮遊したことがある思考世界。
だが、私は敢えて言いたい。
それでも人は頑張って生きている。
帰属する社会の中で。この現実の中で。
苦悩し、迷いながらも、幸せを願って、或は、幸せを分かち合って、生きているのだ。
うっかり熱く語ってしまったのは、感想を打っているうちに腹が立ってきたから。(笑)
考え方は人それぞれ。
その思考はそれぞれの経験に基づいて培われていくものだってのはわかってるけど。
なんか悔しかったんだよね、私。
人の人生は、そんな簡単に弄ばれていいものじゃない。
歩むべき未来を勝手に無意味だと決めつけないで。
……青臭いかしら?(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
16世紀のオーストリアの小村に、ある日忽然と美少年が現われた。名をサタンといった。村の3人の少年は、彼の巧みな語り口にのせられて不思議な世界へ入りこむ…。アメリカの楽天主義を代表する作家だといわれる作者が、人間不信とペシミズムに陥りながらも、それをのりこえようと苦闘した晩年の傑作。
「悲しみのイレーヌ」ピエール・ルメートル(文春文庫)
混在する真実と虚構。
彼らは何処までが彼ら自身だと言えるのか。
『悲しみのイレーヌ』
ある意味、虚像のままだった彼女。
これは、犯人ありきの物語。
破壊される人間の描写に、いや、もうたくさんです。
キャパオーバーで感覚麻痺ってきました!と言いたくなった第一部。
そこから展開される怒涛のような第二部。
描かれている彼らにどこまで肩入れしていいのかは、
次作を読んでからじゃないと判断がつかないじゃん!と、唸ってしまう結末。
口直しが必要な読後感ではあったけど、
最後まで失速することなくグイグイと読ませる展開はさすがでした。
個人的には『ブラック・ダリア』読了後の本作で思いっきりタイムリー。
ルメートルは『その女、アレックス』を読んだからこそ、
他の作品も手に取ることになった作家ではあるけれども。
未読の方は『悲しみのイレーヌ』→『その女、アレックス』の順番で読まれることをおススメします。
とはいえ、完成度と面白さでは断然『アレックス』だと思うので、
『イレーヌ』のザラザラした読後感にめげずにチャレンジしてもらいたいです。
内容紹介
『その女アレックス』の刑事たちのデビュー作
連続殺人の捜査に駆り出されたヴェルーヴェン警部。事件は異様な見立て殺人だと判明する…掟破りの大逆転が待つ鬼才のデビュー作。
「ブラックダリア」ジェームス・エルロイ(文春文庫)
読み応え抜群の壮大な物語。
引き込まれ、魅了され、全力を使い切ったような読後の脱力感が心地良い。
発端はとある殺人事件だった。
浮き上がる点と点。
追い続ければ、それがひとつの線となり、思いもよらない事実が浮かび上がってくる。
そんな中、たくさんの人の人生が狂わされ、たくさんの命が失われた。
悪鬼のような所業を語る口で、家族への愛情を語る。
矛盾が当たり前のように同居する人間に戦慄を覚えた。
殴り合いから生まれた友情。
凄惨な事件の真相を追い続ける中で、いつしか築かれたバランスの良い正三角形。
欠点だらけの彼らの在り方が、私はとても好きだった。
そしてとても哀しかった。
彼らの積み重ねた嘘がやるせない。
私も彼らの平安を祈ろう。
エルロイは初読だったけど、かなりいい!とても好き!
まずはLA暗黒四部作を追いかけます。
読書の楽しみが増えました!
内容(「BOOK」データベースより)
1947年1月15日、ロス市内の空地で若い女性の惨殺死体が発見された。スターの座に憧れて都会に引き寄せられた女性を待つ、ひとつの回答だった。漆黒の髪にいつも黒ずくめのドレス、だれもが知っていて、だれも知らない女。いつしか事件は〈ブラック・ダリア事件〉と呼ばれるようになった―。“ロス暗黒史”4部作の、その1。
「最後の物たちの国で」ポール・オースター
人間としての尊厳がまったく意味を持たないような底に堕ちても、
人は、希望を見出すことができる。
誰かを愛することができる。
奇跡に近い幸運に見舞われることが条件であったかもしれないけれども、
アンナはそれすら、自らの手で手繰り寄せたように思う。
昨日の方が今日よりはまし。
冒頭でそう記していたアンナが、一日生き延びた明日に夢を見ている終盤。
入口はあっても出口のない、最後の物たちの国。
そこではすべてが失われ、そして消えていく。
この国で暮らし、そして出会った彼らの物語の結末はわからない。
けれども、彼らが四人で夢を見ることのできた僥倖に、あたたかい余韻を噛みしめる。
どうやら私は、もっと殺伐としたディストピア的なものを想像していたらしい。
だからこそ、この物語の余韻が余計にあたたかく、泣きたく、切なく響いた。
時として人は、とても残酷で横暴で、傲慢になるけれども。
時として人は、こんなにも優しくて、あたたかい。
すばらしい本に出会えました。
今まで読んだオースターの作品の中ではダントツで好き。
内容(「BOOK」データベースより)
人々が住む場所を失い、食物を求めて街をさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外にそこから逃れるすべのない国。アンナが行方不明の兄を捜して乗りこんだのは、そんな悪夢のような国だった。極限状況における愛と死を描く二十世紀の寓話。