きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「海外小説」の記事一覧
- 2015.09.18 「闇の奥」ジョゼフ・コンラッド(光文社古典新訳文庫)
- 2015.09.12 「恐るべき子供たち」ジャン・コクトー(光文社古典新訳文庫)
- 2015.08.15 「時の娘」ジョセフィン・ティ(ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 2015.08.09 「星の王子さま」サン・デグジュベ(岩波書店)
- 2015.07.25 「ガラスの街」ポール・オースター(新潮文庫)
- 2015.07.14 「死のドレスを花婿に」ピエール・ルメートル(文春文庫)
- 2015.07.06 「時計仕掛けのオレンジ 完全版」アントニイ・バージェス(ハヤカワepi文庫)
- 2015.05.16 「ペンギンの憂鬱」アンドレイ・クルコフ(新潮社)
- 2015.05.13 「その女アレックス」文春文庫(ピエール・ルメートル)
- 2015.03.10 「ジェファーソンの密約 下」ジェームズ・ロリンズ(竹書房文庫)
「闇の奥」ジョゼフ・コンラッド(光文社古典新訳文庫)
【誰にも束縛冴えずに歩いていく人間が、孤独を潜り抜け、
静寂を通り抜けて、原始の世界のどんな異様な場所へたどり着いてしまうことがあるか、
君らにわかるはずがない】
熱帯の密林。大陸の河。異文化の人々。未知の大地。
語り手であるマーロウと共にアフリカの河を遡ることは、
文字通り「闇の奥」へと分け入っていく行為。
まとわりつく熱気を感じ、息苦しい空気を感じ、
息を呑み、眩暈を覚えながら、頁を捲る手が止まらない。
クルツに相見える瞬間を心待ちにしながら。
彼の抱えた闇も狂気を宿した行為も、具体的には何も語られてはいない。
だが、抽象的であり、時に象徴的でもマーロウの言葉が、
彼の狂行を浮かび上がらせる。
彼の「雄弁」さを、納得してしまう。
ジワジワと闇の奥に引き込まれるような読後感。
圧巻でした。
片方の国にとっては「開拓」であっても、片方の国にとっては「侵略」。
ちょっとイロイロ考えさせられました。
読みながらゴールディングの「蠅の王」が頭を過ったので、こちらもそのうち再読したいです。
内容(「BOOK」データベースより)
船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツの最期の言葉と、そこでマーロウが発見した真実とは。
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「恐るべき子供たち」ジャン・コクトー(光文社古典新訳文庫)
粗悪で稚拙な、けれども繊細でただ美しいだけのガラスの城。
それが、彼らの生きる世界。
外界から隔離されたその世界の中でのエリザベートとポールの姉弟は、
いつままでも子供のままで在ることを許される存在で、
だからこそ、子供特有の残酷さと純粋さで他者をふりまわす。
あまりにも無邪気に、あまりにも狡猾に。
それを許容するジェラールと、甘受するアガート。
危ういバランスで成り立っていた4人の交友。
けれども、振りかざされたエリザベートの自己愛は、
その部屋での4人の「遊戯」を終幕へと導くものだった。
来るべくして訪れたカタストロフィー。
彼らは最後まで「子供」だった。
高校生だった頃の私の感想。
「モノクロのサイレント映画を見ているようだった」
うまいこと言ったなーと、20数年後に感心する私(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
14歳のポールは、憧れの生徒ダルジュロスの投げた雪玉で負傷し、友人のジェラールに部屋まで送られる。そこはポールと姉エリザベートの「ふたりだけの部屋」だった。そしてダルジュロスにそっくりの少女、アガートの登場。愛するがゆえに傷つけ合う4人の交友が始まった。
「時の娘」ジョセフィン・ティ(ハヤカワ・ミステリ文庫)
真実はひとつ。
それを知り得る当事者たちが既に時の彼方に旅立ってしまっている場合、
今を生きる者たちは、書物を紐解き、思考を巡らせることで、その真実を考察する。
そのことにどれだけ膨大な労力と時間を費やしても、
そこでたどり着いた答えはどこまでも推測でしかなく、
本当の真実は当事者しか知りえない。
歴史的事実は明確であっても、そこに付随する真実は
黙して語らない死者のみが知るところ。
歴史は浪漫だなぁ、と思う所以です。
それぞれが蓄えた知識を持ち寄りながら、何故?どうして?を
調べて考察していく過程が、とても面白かった。
英国史上最も悪名高い王、リチャード三世——彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか? 退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。安楽椅子探偵ならぬベッド探偵登場。探偵小説史上に燦然と輝く歴史ミステリ不朽の名作。
「星の王子さま」サン・デグジュベ(岩波書店)
【砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ】
人と人。
対話は二人いないと成り立たない。
喜びも寂しさも哀しみもそして笑顔も。
相手があってこそ派生する感情で、孤独の中には生まれない。
相手を知ったからこそ、彼(or彼女)が特別な一人になり、
その動向が気になってしまうし、心が揺り動かされる。
だからこそ、静かに涙がこみ上げるラストでした。
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」
手の届かない不確定なものを望むから、苦しいのかな?という思いと、
そんな希望があるから生きていけるのかな?という思いと。
最初から最後まで深い言葉が綴られる中、この一文がとても印象的な言葉でした。
初読は18歳の時。
読書ノートから引っ張り出した当時の感想を抜粋すると……「私はヘビにはなれてもキツネや王子さまにはなれない」
人生模索中だったようです(笑)
そしてチェックした言葉は昔も今も変わりませんでした。
商品説明
著者の生誕100年を記念し作られた復刻版。挿絵は著者自身が描いた米オリジナル版そのままの絵が載せられている。これまで親しんできた挿絵と比べると輪郭がはっきりしていて鮮明、そのほかにも「ささいな違い」を見つけながら読み進めていく楽しみもある。
本書は、ストーリーの展開を楽しむ意味においては子ども向けだが、むしろ大人向けのメッセージに満ちていて、本来人間には「心の目」が備わっているということを呼び起こされる。その、真実を見ることのできる「心の目」をもって、大切にしていかなければならないモノを感じ取り、それを生かしていくことで人は豊かになれるはずなのだが、さまざまなことに心を奪われ見えなくなっていき、やがて見ようともしなくなる(王子が訪れた星に住む大人たちは点灯夫以外その象徴のようでもある)。
キツネの言葉「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目には見えないんだよ」は著者からの、大人、そしてこれから大人になる子どもたちへの警鐘なのかもしれない。(加久田秀子)
「ガラスの街」ポール・オースター(新潮文庫)
意識は定まることなく常にどこかを浮遊し、
物事を俯瞰しているのか、とても狭い一点を凝視いているのかわからなくなる。
物語が進行するにつれ、虚と実の曖昧さに眩暈がする。
街そのものに存在が溶け込んでいくような不安定さ。
けれども、そこに混乱はなく、淡々と語られる物語を追い続ける。
探偵は探偵として機能せず、いつしか透明な存在へと成り変わっていく。
そして冒頭の「どこにもいないこと」という言葉が腑に落ちる。
存在の不確かさに想いを馳せ、自らがここに在ることを確認するかのように息を吐く。
立ち返った現実で噛みしめるのは、とても不思議な読後感。
【ガーディアン必読1000冊】
理解はしきれていないんだろうなぁ、と思います。
でもそれでいいんじゃない?と思える物語。
カテゴライズは多分、必要ないんだろうな。
しばらく積んでた「ムーン・パレス」と同じ著者だということに、読後に気付きました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
「そもそものはじまりは間違い電話だった」。深夜の電話をきっかけに主人公は私立探偵になり、ニューヨークの街の迷路へ入りこんでゆく。探偵小説を思わせる構成と透明感あふれる音楽的な文章、そして意表をつく鮮やかな物語展開―。この作品で一躍脚光を浴びた現代アメリカ文学の旗手の記念すべき小説第一作。オースター翻訳の第一人者・柴田元幸氏による新訳、待望の文庫化!
「死のドレスを花婿に」ピエール・ルメートル(文春文庫)
他人の生活を踏みにじり、身勝手な理由でぶち壊す妄執と狂気。
知らぬ間に悪意が生活の中にスルリと入り込んでくるその様は、まるで透明な蛇。
見えない蛇がそこらじゅうを這いずり回って全てを伺っているかのような、
得体のしれない気持ち悪さに背筋がゾワリとする。
それでも、ソフィーの強さとしたたかさには拍手喝采。
オーヴェルネ氏の機転のきいた連係プレイも素晴らしかった。
逆恨みとしか言いようのない行為を繰り返した彼の末路は因果応報。
どゆこと?とぐるぐるする1章。うわ、キモチワルイ!と悪意に戦く2章。
そして3章から4章へと展開される逆転劇。
読み始めたら、最後まで一気読みでした。
読み進めていくと、このタイトルにも激しく納得。
次は爽やかな話しが読みたい(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。幸福だった彼女の破滅が始まったのは数年前。記憶にない奇行を繰り返し、彼女はおぞましい汚名を着て、底辺に転落したのだ…。ベストセラー『その女アレックス』の原点。あなたの心を凍らせる衝撃と恐怖の傑作サスペンス。
「時計仕掛けのオレンジ 完全版」アントニイ・バージェス(ハヤカワepi文庫)
【神は、善良であることを望んでおられるのか、
それとも善良であることの選択を望んでおられるのか?】
犯した罪は償わなければならない。
では、矯正の兆しがないからといって、強制的な条件付けをすることは是か非か?
意志を奪取された人間は、果たして自由な人間と呼びうるものなのか?
これは、人間の自由意思と社会秩序の在り方を問う物語。
暴行、強姦、殺人。
アレックスの犯した犯罪は、子供のいたずらで済むようなものではない。
だからこそ、暴力衝動のままに笑いながら人を傷つけ続けた時代を少年時代と一蹴し、
自分は大人になりかかっているんだと記した彼に問いかけたい。
それは、命を奪われた人たちに対して、あまりにも無責任な自己完結ではないだろうか?
そもそも、過去の行動によってアレックスが被害者家族からどんな行為を投げつけられても、
それは自業自得としかいいようがない。
とはいえ、反省の兆しがないからといって、自由意思の奪取を推奨する気にはなれない。
内容(「BOOK」データベースより)
近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年に迫る―スタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。幻の最終章を付加した完全版。
「ペンギンの憂鬱」アンドレイ・クルコフ(新潮社)
自らの生活が誰かの監視下に置かれている薄気味の悪さ。
仕事をしていたはずが、「殺人」という犯罪に荷担していた事実。
そして誰かの意のままに命が扱われる理不尽。
日記のように綴られる日常生活の中に、
他者の思惑が知らず浸食している恐怖。
だが、語られるペンギンと少女の存在が、日常を日常たらしめ、
禍々しい雰囲気を感じさせない。
だからこそ、ラストの驚愕度合いは半端なかった。
これぞ、不条理。
うっそー、と、心の中で叫びつつ、彼らのその後を思うが、
同じような日常の延長しか思い描けない。
願わくば、彼らに穏やかな未来を。
ペンギンのミーシャがとても物悲しく可愛らしい。
ミーシャの憂鬱はヴィクトルの憂鬱。
やりきれないけど、おもしろかった!
内容(「BOOK」データベースより)
恋人に去られた孤独なヴィクトルは、憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたが、そのうちまだ生きている大物政治家や財界人や軍人たちの「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を頼まれ、やがてその大物たちが次々に死んでいく。舞台はソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく。そしてペンギンの運命は…。欧米各国で翻訳され絶大な賞賛と人気を得た、不条理で物語にみちた長編小説。
「その女アレックス」文春文庫(ピエール・ルメートル)
監禁された女の物語は、殺人を犯す女の物語へと変容し、
孤独で虐げられた女の物哀しい人生の物語に帰結する。
と同時に、これは綿密に練り上げられた復讐の物語でもある。
檻の中に裸で閉じ込められ、命の火が消えかけながらも、
生きることに執着した彼女の理由がとても哀しい。
そして女として、とても悔しい。
砂漠に埋もれた砂を探すような警察官たちの地道な捜査には、
ひたすら拳を握り続けたわけですが、
最後の最後であ~!と声を上げてしまった理由。
彼らには復習に加担するのではなく、司法できっちりと決着をつけてほしかった。
そうあるべき立場の人たちなのだから。
とはいえ、最後までドキドキハラハラしながら一気に読ませる構成はお見事でした。
内容(「BOOK」データベースより)
おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。
「ジェファーソンの密約 下」ジェームズ・ロリンズ(竹書房文庫)
【いずれ答えは出るだろう】
限られた時間の中で繰り広げられる戦い。
事の始まりはアメリカの建国の時まで遡る。
解かなければいけない謎。
止めなければいけない爆発。
守らなければいけない人たち。
めまぐるしく展開していく事象から目が離せなくなり、
ひたすら文字を追い続ける。
膨大な知識の数々が破綻することなく綴られる筆力は相変わらずお見事。
彼らの尽力があって、地球規模の危機を何とか脱するのだけれども。
失ったものはあまりにも大きかった。
カイとジョーダンの若いカップルに救われた感じかな。
絶望の底あるグレイが這い上がってくる、その時の姿を想いながら捲った最後のページ。
ラスト一行で受けた衝撃は半端なかった。
続きが楽しみ。
個人的に今回のベスト・オブ・シーンはムササビのように四肢を広げて宙を飛ぶ犬、カウッチ。
笑う場面じゃないんだけど、想像したらあまりの可愛さに笑ってしまった。
内容(「BOOK」データベースより)
先住民の歴史から調査を続けるペインターたちと、アメリカ建国の歴史から調査を続けるグレイたち。彼らが探すのは、あらゆるものを粉末へと分解してしまう「大いなる秘薬」―古代のナノテクノロジー技術から生まれた物質が大量に貯蔵されている場所。アイスランドでの爆発により、新たにニュートリノが放出され、次の爆発へのカウントダウンが始まる。金でできた地図からグレイは物質の貯蔵場所を突き止める。そこは考えられる限りで最悪の場所だった。アイスランドの百倍以上の規模と予想される爆発によってその地の火山が噴火すれば、全世界に壊滅的な被害が及ぶ。ペインターとグレイは、人類滅亡へのカウントダウンを止めることができるのか?そして、ギルドに関して驚愕の事実が明らかになる。