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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ガラス玉演戯」ヘルマン・ヘッセ (Fukkan.com)



ヘッセの描く者たちの人生は、川を想起させる。
決して淀むことなく流れ続ける、澄みきった川。
そして彼らはその人生の中で生涯の友を得、或は師を得る。
それらはすべて、精神的な成長は生きている限りしつづけるものであり、
独りでは高みへと辿りつくことは困難であることを物語っている……気がする。
どこまでも謙虚に、そして滞ることなく自らの人生と向き合ったクネヒト。
晩年の彼が手にした自由、そして希望に満ち溢れた未来。
情景の描写が余りにも美しすぎて。
やるせなさに嗚咽が零れた。
こみあげる無常感。
だけど、それこそが偉人たちが繰り返してきた世の理。
だから、今を一生懸命生きたい。


20年前に太刀打ちできなかった本をこうして読み切ることができた幸せ。
だけど、理解しきれてはいないと思う。
だから、いつかまたこの物語を再読する。
もっとヘッセに近づくために。
高橋氏の翻訳。
最後の最後で奇天烈なものに出会いました。
「力士」
「りきし!?」と変な声出ちゃった。
原文はどんな単語だったんだろう?
【ガーディアン必読 64/1000】















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「少年の日の思い出」ヘルマン・ヘッセ (草思社文庫)



短編4編収録。
「少年の日の思い出」は岡田氏訳(『蝶』に「クジャクヤママユ」として収録)で、「ラテン語学生」「美しきかな青春」は高橋氏訳(『青春はうるわし』に収録)で読了。感想投稿済み。
「大旋風」
彼女の愛情を受け入れられなかった理由に彼のプライドと矜持があるなら、
若さゆえの早計かな?とも思えるけど、
単に彼女が好みではなかっただけなら、まぁ、仕方ないわね。
全体的にちょっと現代に寄ったヘッセを読んでいる気分になったのは、
訳者だけではなく、装丁の違いに寄るところが大きいと思う。
それでも、漂う透明感と情景描写の秀逸さは変わらず。


「少年は散歩などしない」
この一文がとても印象的。
そうか。
彼らの行動にはいつだって何某かの意味がある。

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「わが愛しのホームズ」ローズ・ピアシー (モノクローム・ロマンス文庫)




ホームズのパスティーシュ。
「極秘捜査」から「最後の事件」へつづく2篇を収録。
ものっっすごい良かった!
前半に漂うストイックな背徳感と、決して口にすることのできない禁断の想い。
やるせなさと諦念とがじわじわと押し寄せて、
『四つの署名』でのワトソンの決断にこんな裏があったとは!
と、切なくなります。
そして後半は忍び寄る悪意に翻弄される怒涛の展開。
散りばめられた彼らの想いを汲み取るたびに泣きたくなって、
最後の最後で……わぁ、そこは是非読んでみてください。
原書もすばらしいのでしょうが、柿沼さんの翻訳が
原作の雰囲気を踏襲していて素晴らしい。


私、ルパン派!とずっと言い続けてるけど、
うっかり鞍替えしそうになりました。←しないけど、でもよろめきそう(笑)
JUNEに傾倒してきた方々には手放しでおススメ。
こういう雰囲気、たまらなく好き。
可能であれば、事前に『四つの署名』を読まれることをお薦めします。
『最後の事件』はWikiでさらっと内容を摑んでおくと、捕捉になります。



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「四つの署名」コナン・ドイル (新潮文庫)



扱っているのは殺人事件なんだけど、
全編にわたって漂うおおらかさというか、のほほんとした感じがすごい。
ヒマをもてあましてコカインをキメちゃうって、
今だったら捕まっちゃいます!
謀をする人たちが意外と簡単に人を信じちゃうのも
根っこは単純なのね、という微笑ましさすら感じる始末。
笑ってばかりもいられないのは、
イギリス人からの視点によるインド人の描写が
何だか差別的に感じこと。
これは作品が書かれた時代性なのかな?
事件に巻き込まれた(首を突っ込んだ?)彼らが
終始楽しそうだから、まぁ、いいか、と、
妙なところで納得して読了。

西欧の植民地支配が現代社会に与えた影響は……
とか、根深い方向に思考が飛びそうになったので、
物語へと軌道修正。
「(自分が乗っている)船が焼けてもいいからつかまえろ!」という
ホームズの無茶ぶりに笑った。【ガーディアン必読 63/1000】

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「幸福論」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)



ヘッセの晩年の随想や短編が14編収められた作品集。
この本は、ある程度ヘッセの作品を読んだうえで手に取ることをおすすめします。
ヘッセの著書にまつわる話や作品名がチラチラ出てくるので、
そのストーリーを思い浮かべて頷くことができるのは、読んだ人だけの特権。
そして、この本に収められている作品を読み進めていくほどに、
既読の作品から受け取っていたイメージと違わぬヘッセの姿がそこここに在って、
なんだかほっとするのです。
だからこそ、最後の「日本の私の読者に」というヘッセからのメッセージは
素晴らしいプレゼントでした。



「部屋のあかりを消すと外には異常に美しい神秘的な世界が横たわっている」
という表現の後につづく情景描写が秀逸。
内容には関係ないけど、この作品に限らず、
高橋氏は「もう少し」と言いたくなるところを「も少し」と訳します。
だから必ずそこでひっかかる(笑)




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「異邦人」カミュ(新潮文庫)



彼の言葉を追いながら、平行世界を浮遊しているかのような、そんな錯覚に捕らわれる。
真っ正直に過ぎた彼の言葉。
そこには、打算も保身もない。
だが、残念ながら、この世界の理に相容れなかったムルソー。
故に「異邦人」。
殺人は容認できない。
だけど、母の葬儀で涙をみせなかったことがそんなにも責められることなのか?
問い詰められなければ核心を外れ、
彼を置き去りに進行する裁判の過程を追いながら、
何故か泣きたくなった。
そして、彼の行き着いた望みに、哀しみと戦慄を覚える。
それを幸福と呼ぶのもまた、ムルソー自身の理。
再読必須の良書。

カミュは初読みなんだけど、よく知っているとても馴染んだ雰囲気。
何故かはすぐに気付いた。
初期の頃の中村文則を彷彿とさせられるが故の既視感。
気に入るはずだよね。
他の作品も是非読んでみたい。

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「死にゆく者への祈り」ジャック・ヒギンズ(ハヤカワ文庫NV)



もしも彼らと違った出逢い方をしていたら?
愚問なのはよくわかっている。
そんなことは私の感傷。
だけど、あんなことでもなければ出逢わなかったであろう人々と
接点を持つことによって、
彼の魂は少しは安らぐことができたのだと。
そう思うことは許されるだろう。
自らを「歩く死骸にすぎない」と言い切った男が、
他人のために燃やした命。
だが、そもそもの発端を考えれば、それは美談にはならない。
彼は自らの行為の決着を、自らの手で付けたに過ぎないのだから。
だが、彼の生き様は、最後に彼に係った者たちの心に永遠に生きるだろう。
彼の示したやさしさと贖罪の想いと共に。

「あなたは誰?誰なの?」このアンナの問いに対するファロンの返答。
「どんな男でも、そんなふうに訊かれては答えようがない」
これがものっすごくかっこいい。
この表紙は飾っておきたいくらいお気に入り。
勿論、作品自体もとても面白かった。



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「血と愛」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)



究極の合わせ鏡。
誰よりも理解しあいながら、相対的な世界に属する二人。
相容れないことを理解した上での尊敬と敬愛。
心に秘めた二人の想いは決して言の葉に乗せられることはないと思っていたけれども。
ナルチスの告白に泣いてしまった。
あまりにも尊い友情、そして愛の形。
解き放たれた小鳥は流浪の旅を経て、豊潤な感性の泉を携えて戻ってきた。
「愛するというのは彼にとっては自然な状態ではなく、奇跡だったのだから」
愛を享受できた彼は幸せだった。
そして、帰る場所を得、芸術を生み出した彼も幸せだったに違いない。
この作品に出会えた私も幸せ。

奔放な経験による感性。
清貧と思索による知性。
いや、女ってそんか簡単じゃないよ?と、ちょっと思いつつ(笑)。
年の瀬にとても素晴らしい作品を読みました。

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「評決のとき 下巻」ジョン・グリシャム(新潮文庫)



一人一人の人間模様を描いた物語。
と捉えれば、楽しめる。
だけど、最終的には感情論に寄ってしまった裁判の在り様には、やっぱり首を傾げてしまう。
これは、私が日本人で著者がアメリカ人だから?
そして、家を燃やし、人を殺し、やりたい放題やらかして去って行った
クークラックスクランがお咎めなしなところもすっきりしない。
そもそも、白人の報復殺人は容認される、というスタート地点からクエスチョンマークだった私は
最後までおいてけぼり感満載でした。
百歩譲ったとして二人が無罪判決出された後ならともかく、
やっちゃいけないことは、やっちゃいけないんだよ。


久々に楽しく、ではなく、がんばって読んだ本。いいとこ探しができなかった。
【ガーディアン必読 60-2/1000冊】



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「評決のとき 上巻」ジョン・グリシャム(新潮文庫)



娘を凌辱された父親の行動を、感情的には全否定はできない。
だけど、犯人を裁くのは法律のはず。
そもそも、裁判が始まる前に父親自らが銃を手にして犯人を射殺し、
最初からそれを無罪だと声高に主張できる社会がアメリカ?
人種問題以前の部分で、報復殺人が当たり前のように囁かれていることに、
首を傾げてしまった。
アメリカの法制度が詳細に書かれていて、その点は勉強になる。
弁護士や検事も慈善事業でやっているわけじゃないから、
顧客獲得や知名度をあげるために様々な工夫(?)をしていて、
その辺りも人間味があっておもしろい。
思うところ色々ありながら、下巻へ。

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