きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「海外小説」の記事一覧
- 2018.05.06 「君の名前で僕を呼んで」アンドレ・アシマン (マグノリアブックス)
- 2018.04.21 「エデンの東 新訳版 (4)」スタインベック (ハヤカワepi文庫)
- 2018.04.15 「ブラッド・メリディアン」コーマック・マッカーシー(早川書房)
- 2018.04.09 「エデンの東 新訳版 (3)」スタインベック (ハヤカワepi文庫)
- 2018.04.04 「エデンの東 新訳版 (2)」スタインベック (ハヤカワepi文庫)
- 2018.03.31 「エデンの東 新訳版 (1)」スタインベック (ハヤカワepi文庫)
- 2018.03.27 「ナチの亡霊・下巻」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)
- 2018.03.24 「ナチの亡霊・上巻」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)
- 2018.03.11 「異邦人」カミュ(新潮文庫)
- 2018.03.03 「緋色の研究」コナン・ドイル (新潮文庫)
「君の名前で僕を呼んで」アンドレ・アシマン (マグノリアブックス)
読み進める程に物語の中に引き込まれ、
気付けば鷲掴みにされていた。
ひと夏限り。
それは最初からわかっていた。
だからこそ、縋る刹那。焦燥感に駆られるように溢れ出す想い。
君が欲しい。
抱き合うことができるなら、ひと夏限りでも構わない。
否、この夏限りだからこそ、君を知りたい。
そして別離。
だが、物語はそこで終わらない。
夏が過ぎても、彼らの人生は時を刻み続ける。
こんな形で抱き続ける想いもあるのだと、切なくなる。
それ故に、最後のエリオの言葉がより深く、胸に刺さる。
人生は有限。
ならば、決して悔いのないように。
映画を観てから小説を読んだおかげで、
情景がリアルに浮かんできたのは良かった。
最初、物語世界に入り込みづらいなぁ、と感じたのは、
逆に映画を観ていたからなのかなぁ?と思ってみたり。
観てから読んでしまったので、検証はできないけどね。
語られると思っていなかった映画のエンドの後の彼らの人生。
二十年後まで追えたことに、感無量。
脱線すると、彼らが吸っていた煙草がゴロワーズだったことに、北方脳がピクリと反応してみました。
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「エデンの東 新訳版 (4)」スタインベック (ハヤカワepi文庫)
ラスト一文を読み終えた瞬間、え!?ここで!
という思いが真っ先に過った。
もう少しだけ、彼らに寄り添いたかった。
彼らのこれからを見届けたかった。
そんな想いが自然と込み上げた読後。
一人の人間が生涯かけて描くことのできる物語は一つ。
自らの在り様は、己にしか決めることができない。
どの選択も、結局は己自身に跳ね返ってくる。
例え後悔に苛まれても、軌道修正することは可能だと、
あのヘブライ語が示している。
諦めるのも掴み取るのも自分自身。
三世代にわたる人々の人生が描かれた物語。
力強く、或は脆く、悲劇的で、或は美しい。
現実を生き抜く術は、どうやったら得ることができたのだろう?
御伽の国のアロン。
彼は最後まで現実世界を直視することができなかった。
ケイトにはもっと強かな女であってほしかったけれども。
彼女の揺らぎは老いのせい……というよりも、自らの行いの跳ね返りなのかもしれない。
父親の愛を求めたキャル。
空まわってしまった愛情の行方が哀しい。
現実を直視していたアブラ。
大人びた彼女の在り様は、迷いがなかった。
そしてリー。
彼の存在なくしては、この物語は語れない。
【ガーディアン必読 67-4/1000】
「ブラッド・メリディアン」コーマック・マッカーシー(早川書房)
繰り返される殺戮と虐殺。
それが、文明が発展していく傍らで行われていた蛮行であることに身震いがする。
剥ぎ取られる頭皮。
打ち砕かれる四肢。
狩って狩って狩りつづける日常が淡々と繰り返される。
故に、時折差し挟まれるあまりにも人間らしい描写にはっとさせられるのだが……
忘れてはいけない。
血生臭い行為を繰り返す彼らこそ、人間であることを。
異臭と砂埃と血と贓物と。
ありとあらゆる穢れの中に在って、ただ一人、その穢れに塗れることなく
異彩を放ち続けた判事。
悪と弾劾されることのなかった彼の在り様が象徴するものは何なのか。
表題の意味が重い。
淡々と綴られる事象。
訴えかけてくる感情の起伏がないのに、いや、それ故になのか?
マッカーシーの紡ぐ物語に、ただひたすら圧倒される。
「こういう世界がほかにもあるんだろうか。それともここだけなのかねぇ」
どちらであれば、尋ねた男の慰めになったのだろう?
死にゆく男が歌う讃美歌が脳裏に響く。
血の色に塗り込められての読了。
【ガーディアン必読 68/1000】
「エデンの東 新訳版 (3)」スタインベック (ハヤカワepi文庫)
虚ろに生きる男が再生する様が見事に描かれている。
だが、彼に再び命を宿した男は、もう、いない。
そして、彼が会いたいと欲した男も、手の届かないところに行ってしまった。
対面しないと打ち砕くことのできない幻想もある。
意を決して会いに行った悪魔は、畏れるに値しないものだった。
この巻で語られるのは、アダムの再生。
そして、ハミルトン家の静かなる崩壊。
死は、人生において誰もが避けることのできないものだということを思い知らされる。
悲しみと諦めに覆い尽くされる様がやるせない。
次巻はいよいよ双子の物語。
リーの存在なくしてトラスク家は語れない。極論?
トラスク家もハミルトン家も
色々と想いを巡らせれば、ただただやるせなさが込み上げる。
だけど、それが人生。
そう思わせる圧倒的な何かがある。
さて。以下ネタバレです。
遅きに失した時。
アダムにはチャールズと再会を果たしてもらいたかった。
ものすごく期待しただけに私の落胆が半端なかった。
チャールズは、幸せだったのかな?
「エデンの東 新訳版 (2)」スタインベック (ハヤカワepi文庫)
大地と共に生きる人々のあたたかくて懐の広い思いに泣きそうになって読了。
キャシーに去られて抜け殻のようになったアダムに対する
サミュエルとリーの真摯な働きかけに、何故か私が感謝したくなった。
生まれたばかりの子どもたちが放置されるのは本当に忍びない。
名前のないまま一年以上も放っておかれた双子。
命名のために展開された聖書の解釈がとても興味深かった。
キャシーの悪女っぷりにはひたすら圧倒され、
とりあえず人としてお近づきにはなりたくないと思ってみた。
飛行機に乗ったライザのエピソードがとても好き。
そして、リーがとても好き。→
『エデンの東』を読むか読まないか。
迷っている方には是非お勧めしたい!
と、2巻目で言い切るのは早い?
だけど、一つクレーム。
続巻がある作品で先の巻の展開をあとがきでばらすのは私的には無しだと思うのよね。
知ってたら「あ、言っちゃう?それ」で済むけど、
知らなかったら「え~~!」って文句言いたくなっちゃう。
とはいえ、ネタバレされても次巻を読むのがとても楽しみなのです♪←クレームどこへ?(笑)
「エデンの東 新訳版 (1)」スタインベック (ハヤカワepi文庫)
二家族の親子三代にわたる壮大な物語の幕開け。
愛情を与えられていながら、そんな父が嫌な人だったとつぶやく息子と、
求めた愛情が与えられなかったと傷つきながら、
父親が好きだったと泣く息子。
そんな彼らの元へ転がり込んだ悪女。
散りばめられた色々なファクターに心が掻き乱されるけれども、
除隊後の兄の帰りを待つ弟の姿が一番印象的だった。
本当に寂しくて、心待ちにしていたんだろうなぁ。
幼少期から想像した姿とは逆の大人に育った感じがする対比がおもしろい。
底冷えのするような悪意に絡みつかれた善意。
絆は壊れるのか?
ドキドキしながら次巻へ。
ものっすごく読みやすいのは新訳だから?
つづきが気になりすぎて、読後のドキドキが止まらない。
月に一冊ずつ読んでいこうと思っていたけど……
一気に読んでしまいたい衝動に駆られています。
【ガーディアン必読 67-1/1000】
「ナチの亡霊・下巻」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)
展開される量子論に喰らいついていこうとするも、理解しきれずにおいてけぼり。
ニュアンス理解でいいや!と開き直って行き着いたところがまさかの精神論。
ちょっと待ったぁ!という突っ込みをぶった切るように突入したラブロマンス展開に、
まぁ、いっか。うん。いいよね。と納得した次の瞬間のエピローグで
……度肝抜かれました。
いや、もう怒涛過ぎてまさにエンタメ。
表紙がヒムラーで在る理由がちゃんとあって、
うまいわ~、と唸ることしきり。
自分の使命を果たそうと懸命に奮闘する彼らの姿は、とても尊い。
楽しく読了!
というか、再読してより深い知識が身につくシリーズだったんだと今さら痛感。
ブラジャーの「よせて、あげる」以外のワイヤー効果が
日本刀の刃から身を守ること!という記述が印象的過ぎて……(笑)
作者、男性だよね。
その発想すごいわ~~
「ナチの亡霊・上巻」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)
謎の病に倒れ、或は、無残に殺された人々の遺体が散らばるネパールで火の手が上がり、
デンマークでもは業火が建物を焼き、飛び交う銃弾が人々を傷つける。
そして南アフリカでも奇妙な事件が勃発していた。
三つの怪異を結びつける鍵は、かつてのナチスドイツが行っていた研究に在る。
それらの事象に各地で巻き込まれたシグマフォースの面々。
危機に陥りながらも、運命の出逢いを果たした人もその中に。
歴史・科学・謎解き・アクション・恋愛。
欲張って詰め込みまくった旨味がギュギュっと凝縮された展開に惹きこまれたまま
ひたすら頁を捲るしかない上巻。
ちょっと待った!と言いたくなるところで下巻へ。
この作品の良心的なところは常に上下巻同時に発刊してくれるところにあると思う。
そして、恋愛と笑いがこの身体を張りまくったジェットコースター展開に
バランスよく治まっているところが素晴らしい。
もちろん、アクションは見ごたえありまくりな上に、お勉強にもなるからすごい。
何だかべた褒め。まぁ、だからシリーズを読みつづけているのです。
「異邦人」カミュ(新潮文庫)
あなたは誰?
終始付きまとっていた問い。
それが判明した瞬間から最後までの記述を追いながら、
これまで示されてきた彼の冷静さと客観性、
そして見え隠れする情愛がじわじわと沁みてきて
うっすら涙が滲んだ。
ペストという猛威が蔓延し、外界から隔離された過酷な環境の中で
ペストと戦いつつ、自分自身の抱えた問題とも向き合った人たち。
自身への問いかけに対して各々見出した答えには、
驚愕、感嘆、共感、苦悩等々の想いを抱いた。
病との戦いの終息は、新たな脅威のはじまりなのか。
疲れ切った医師にひと時の安息が訪れることを切に願う。
「なにも幸福である必要はないんですわ。もう一度やり直すためには」
「希望失くして心の平和はない」
そしてもう一つ。
「まず第一に健康です」
今回心に残った言葉。
海のシーンが強烈に印象的で、切ない。
一人一人の苦悩と答えに対してあーだったこーだった言いたいけど、
ネタバレになるので回避。
心の中で見上げたオランの空は、終始どんよりと灰色に染まっていました。
【ガーディアン必読 66/1000】
「緋色の研究」コナン・ドイル (新潮文庫)
この項数でのこの読み応え。
シリーズ第一作目にあたる本作品では、
ホームズとワトソンの出逢いが描かれるのと同時に、
一人の男の悲劇的な人生が描かれている。
第一部から第二部への見事な暗転。
イギリスのベーカー街からゴールドラッシュのアメリカへ。
そして再び舞台はイギリスへ。
唸るしかない構成だった。
胸に抱いた想いを遂げるために膨大な時を費やした男の人生が
とてもやるせない。
ホームズの観察眼に基づいた推理力には、
ワトソンと一緒に驚き、感心するばかり。
良いコンビっぷりを発揮しはじめた二人のこの先の物語を追いかけたくなった。
最初に『奇岩城』を読んでしまったばっかりにアンチ・ホームズになってしまい、
アルセーヌ・ルパンはほぼ読破したものの、ホームズはほぼ手つかず。
……だったことに感謝。
今、こんなにわくわくしながら読めるから!
「いいよ、ホームズ」と、いま言えるのも、きっと過去からの積み重ね。
だから読書っておもしろい。
【ガーディアン必読 65/1000】