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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ナチの亡霊・下巻」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)



展開される量子論に喰らいついていこうとするも、理解しきれずにおいてけぼり。
ニュアンス理解でいいや!と開き直って行き着いたところがまさかの精神論。
ちょっと待ったぁ!という突っ込みをぶった切るように突入したラブロマンス展開に、
まぁ、いっか。うん。いいよね。と納得した次の瞬間のエピローグで
……度肝抜かれました。
いや、もう怒涛過ぎてまさにエンタメ。
表紙がヒムラーで在る理由がちゃんとあって、
うまいわ~、と唸ることしきり。
自分の使命を果たそうと懸命に奮闘する彼らの姿は、とても尊い。
楽しく読了!
というか、再読してより深い知識が身につくシリーズだったんだと今さら痛感。

ブラジャーの「よせて、あげる」以外のワイヤー効果が
日本刀の刃から身を守ること!という記述が印象的過ぎて……(笑)
作者、男性だよね。
その発想すごいわ~~


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「ナチの亡霊・上巻」ジェームズ・ロリンズ (竹書房文庫)



謎の病に倒れ、或は、無残に殺された人々の遺体が散らばるネパールで火の手が上がり、
デンマークでもは業火が建物を焼き、飛び交う銃弾が人々を傷つける。
そして南アフリカでも奇妙な事件が勃発していた。
三つの怪異を結びつける鍵は、かつてのナチスドイツが行っていた研究に在る。
それらの事象に各地で巻き込まれたシグマフォースの面々。
危機に陥りながらも、運命の出逢いを果たした人もその中に。
歴史・科学・謎解き・アクション・恋愛。
欲張って詰め込みまくった旨味がギュギュっと凝縮された展開に惹きこまれたまま
ひたすら頁を捲るしかない上巻。
ちょっと待った!と言いたくなるところで下巻へ。


この作品の良心的なところは常に上下巻同時に発刊してくれるところにあると思う。
そして、恋愛と笑いがこの身体を張りまくったジェットコースター展開に
バランスよく治まっているところが素晴らしい。
もちろん、アクションは見ごたえありまくりな上に、お勉強にもなるからすごい。
何だかべた褒め。まぁ、だからシリーズを読みつづけているのです。




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「異邦人」カミュ(新潮文庫)



あなたは誰?
終始付きまとっていた問い。
それが判明した瞬間から最後までの記述を追いながら、
これまで示されてきた彼の冷静さと客観性、
そして見え隠れする情愛がじわじわと沁みてきて
うっすら涙が滲んだ。
ペストという猛威が蔓延し、外界から隔離された過酷な環境の中で
ペストと戦いつつ、自分自身の抱えた問題とも向き合った人たち。
自身への問いかけに対して各々見出した答えには、
驚愕、感嘆、共感、苦悩等々の想いを抱いた。
病との戦いの終息は、新たな脅威のはじまりなのか。
疲れ切った医師にひと時の安息が訪れることを切に願う。


「なにも幸福である必要はないんですわ。もう一度やり直すためには」
「希望失くして心の平和はない」
そしてもう一つ。
「まず第一に健康です」
今回心に残った言葉。
海のシーンが強烈に印象的で、切ない。
一人一人の苦悩と答えに対してあーだったこーだった言いたいけど、
ネタバレになるので回避。
心の中で見上げたオランの空は、終始どんよりと灰色に染まっていました。
【ガーディアン必読 66/1000】

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「緋色の研究」コナン・ドイル (新潮文庫)



この項数でのこの読み応え。
シリーズ第一作目にあたる本作品では、
ホームズとワトソンの出逢いが描かれるのと同時に、
一人の男の悲劇的な人生が描かれている。
第一部から第二部への見事な暗転。
イギリスのベーカー街からゴールドラッシュのアメリカへ。
そして再び舞台はイギリスへ。
唸るしかない構成だった。
胸に抱いた想いを遂げるために膨大な時を費やした男の人生が
とてもやるせない。
ホームズの観察眼に基づいた推理力には、
ワトソンと一緒に驚き、感心するばかり。
良いコンビっぷりを発揮しはじめた二人のこの先の物語を追いかけたくなった。


最初に『奇岩城』を読んでしまったばっかりにアンチ・ホームズになってしまい、
アルセーヌ・ルパンはほぼ読破したものの、ホームズはほぼ手つかず。
……だったことに感謝。
今、こんなにわくわくしながら読めるから!
「いいよ、ホームズ」と、いま言えるのも、きっと過去からの積み重ね。
だから読書っておもしろい。
【ガーディアン必読 65/1000】

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「ガラス玉演戯」ヘルマン・ヘッセ (Fukkan.com)



ヘッセの描く者たちの人生は、川を想起させる。
決して淀むことなく流れ続ける、澄みきった川。
そして彼らはその人生の中で生涯の友を得、或は師を得る。
それらはすべて、精神的な成長は生きている限りしつづけるものであり、
独りでは高みへと辿りつくことは困難であることを物語っている……気がする。
どこまでも謙虚に、そして滞ることなく自らの人生と向き合ったクネヒト。
晩年の彼が手にした自由、そして希望に満ち溢れた未来。
情景の描写が余りにも美しすぎて。
やるせなさに嗚咽が零れた。
こみあげる無常感。
だけど、それこそが偉人たちが繰り返してきた世の理。
だから、今を一生懸命生きたい。


20年前に太刀打ちできなかった本をこうして読み切ることができた幸せ。
だけど、理解しきれてはいないと思う。
だから、いつかまたこの物語を再読する。
もっとヘッセに近づくために。
高橋氏の翻訳。
最後の最後で奇天烈なものに出会いました。
「力士」
「りきし!?」と変な声出ちゃった。
原文はどんな単語だったんだろう?
【ガーディアン必読 64/1000】















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「少年の日の思い出」ヘルマン・ヘッセ (草思社文庫)



短編4編収録。
「少年の日の思い出」は岡田氏訳(『蝶』に「クジャクヤママユ」として収録)で、「ラテン語学生」「美しきかな青春」は高橋氏訳(『青春はうるわし』に収録)で読了。感想投稿済み。
「大旋風」
彼女の愛情を受け入れられなかった理由に彼のプライドと矜持があるなら、
若さゆえの早計かな?とも思えるけど、
単に彼女が好みではなかっただけなら、まぁ、仕方ないわね。
全体的にちょっと現代に寄ったヘッセを読んでいる気分になったのは、
訳者だけではなく、装丁の違いに寄るところが大きいと思う。
それでも、漂う透明感と情景描写の秀逸さは変わらず。


「少年は散歩などしない」
この一文がとても印象的。
そうか。
彼らの行動にはいつだって何某かの意味がある。

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「わが愛しのホームズ」ローズ・ピアシー (モノクローム・ロマンス文庫)




ホームズのパスティーシュ。
「極秘捜査」から「最後の事件」へつづく2篇を収録。
ものっっすごい良かった!
前半に漂うストイックな背徳感と、決して口にすることのできない禁断の想い。
やるせなさと諦念とがじわじわと押し寄せて、
『四つの署名』でのワトソンの決断にこんな裏があったとは!
と、切なくなります。
そして後半は忍び寄る悪意に翻弄される怒涛の展開。
散りばめられた彼らの想いを汲み取るたびに泣きたくなって、
最後の最後で……わぁ、そこは是非読んでみてください。
原書もすばらしいのでしょうが、柿沼さんの翻訳が
原作の雰囲気を踏襲していて素晴らしい。


私、ルパン派!とずっと言い続けてるけど、
うっかり鞍替えしそうになりました。←しないけど、でもよろめきそう(笑)
JUNEに傾倒してきた方々には手放しでおススメ。
こういう雰囲気、たまらなく好き。
可能であれば、事前に『四つの署名』を読まれることをお薦めします。
『最後の事件』はWikiでさらっと内容を摑んでおくと、捕捉になります。



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「四つの署名」コナン・ドイル (新潮文庫)



扱っているのは殺人事件なんだけど、
全編にわたって漂うおおらかさというか、のほほんとした感じがすごい。
ヒマをもてあましてコカインをキメちゃうって、
今だったら捕まっちゃいます!
謀をする人たちが意外と簡単に人を信じちゃうのも
根っこは単純なのね、という微笑ましさすら感じる始末。
笑ってばかりもいられないのは、
イギリス人からの視点によるインド人の描写が
何だか差別的に感じこと。
これは作品が書かれた時代性なのかな?
事件に巻き込まれた(首を突っ込んだ?)彼らが
終始楽しそうだから、まぁ、いいか、と、
妙なところで納得して読了。

西欧の植民地支配が現代社会に与えた影響は……
とか、根深い方向に思考が飛びそうになったので、
物語へと軌道修正。
「(自分が乗っている)船が焼けてもいいからつかまえろ!」という
ホームズの無茶ぶりに笑った。【ガーディアン必読 63/1000】

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「幸福論」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)



ヘッセの晩年の随想や短編が14編収められた作品集。
この本は、ある程度ヘッセの作品を読んだうえで手に取ることをおすすめします。
ヘッセの著書にまつわる話や作品名がチラチラ出てくるので、
そのストーリーを思い浮かべて頷くことができるのは、読んだ人だけの特権。
そして、この本に収められている作品を読み進めていくほどに、
既読の作品から受け取っていたイメージと違わぬヘッセの姿がそこここに在って、
なんだかほっとするのです。
だからこそ、最後の「日本の私の読者に」というヘッセからのメッセージは
素晴らしいプレゼントでした。



「部屋のあかりを消すと外には異常に美しい神秘的な世界が横たわっている」
という表現の後につづく情景描写が秀逸。
内容には関係ないけど、この作品に限らず、
高橋氏は「もう少し」と言いたくなるところを「も少し」と訳します。
だから必ずそこでひっかかる(笑)




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「異邦人」カミュ(新潮文庫)



彼の言葉を追いながら、平行世界を浮遊しているかのような、そんな錯覚に捕らわれる。
真っ正直に過ぎた彼の言葉。
そこには、打算も保身もない。
だが、残念ながら、この世界の理に相容れなかったムルソー。
故に「異邦人」。
殺人は容認できない。
だけど、母の葬儀で涙をみせなかったことがそんなにも責められることなのか?
問い詰められなければ核心を外れ、
彼を置き去りに進行する裁判の過程を追いながら、
何故か泣きたくなった。
そして、彼の行き着いた望みに、哀しみと戦慄を覚える。
それを幸福と呼ぶのもまた、ムルソー自身の理。
再読必須の良書。

カミュは初読みなんだけど、よく知っているとても馴染んだ雰囲気。
何故かはすぐに気付いた。
初期の頃の中村文則を彷彿とさせられるが故の既視感。
気に入るはずだよね。
他の作品も是非読んでみたい。

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