きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「空を抱きしめる」李丘那岐(ルチル文庫)
【どんなことも、できないと決めるのは自分の心だ。
できないと思った時点で、限界が決まる】
※今回感想になってません。
話自体は楽しめました。
個人的な好みの問題なのですが、文中で
「キレる」を多用される表現がどうも気になるらしく、
「キレる」が出てくるたびに、物語世界から遠ざかり……
結果、大信が苦手になるという二次災害が!
年下わんこ攻め×負けん気の強い美人受け。
大好物なのに!!もったいない!!!
というわけで、特に後半がとっても面白かっただけに、
残念で仕方ありません!←あくまでも個人的な問題。
でも私、ぬかりありません。ちゃんとスピン買ってます(笑)
田上が気になりすぎて仕方がないので、楽しみに読みます。
当たり障りのない感想を書くことはできたのですが、
ちょっと迷った末に、ここはあえて正直に書いてみました。
内容(「BOOK」データベースより)
鳶・土木業の傍ら非行少年の更生を引き受ける阿万崎家。その長男・郁己は周りへの反発から、ゼネコン勤務の今に至るまで優等生を続けている。だが、少年たちの中にあって不思議と荒んでいない大信とは気が合った。勉強熱心で勘も良く、若くして鳶の職長になった大信は眩しく、安らげる存在―そんな相手から「好きだ」と告げられた郁己は…。
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「青い約束」田村優之(ポプラ文庫)
【そしてみんな、この先に待っているものをうすうすわかっているのに、
知らない振りをして笑っている】
高校時代のピュアな恋愛。親友。別離。
大人になってからの再会。仕事。病。そして後悔。
生きること。死ぬこと。自らの生き様。次世代に託した未来。
文字通り「人生」が詰まった物語だったと思います。
黙っていられなかったのは、若さ故。
黙して語らなかったのは、相手を傷つけないため。
胸が締め付けられるような痛みと後悔は、
程度の差こそあれ、誰もが感じたことのあるもの。
すべてひっくるめての「人生」。
ラスト、子供たちの笑顔が救いでした。
有賀の語った日本の未来を憂う言葉。
真剣に受け止めないといけない立場の人たちに、是非知って欲しい。
全部を背負った有賀と、何も知らされることのなかった修一。
どちらもそれぞれの苦悩を抱えていた二人が、
「親友」として相対することができてよかった。
「何かを眩しがっているよな微笑み」
有賀の笑い方、とても好きです。
内容(「BOOK」データベースより)
アナリストとして活躍する修一は、高校時代の親友・有賀と再会する。二人の仲を引き裂き、恋人を永遠に奪った“あの事件”からすでに二十年以上の歳月が流れていた…。現役新聞記者ならではの経済問題への鋭い切り込みと、骨太なストーリーで話題を呼んだ傑作が遂に文庫化。
「恐るべき子供たち」ジャン・コクトー(光文社古典新訳文庫)
粗悪で稚拙な、けれども繊細でただ美しいだけのガラスの城。
それが、彼らの生きる世界。
外界から隔離されたその世界の中でのエリザベートとポールの姉弟は、
いつままでも子供のままで在ることを許される存在で、
だからこそ、子供特有の残酷さと純粋さで他者をふりまわす。
あまりにも無邪気に、あまりにも狡猾に。
それを許容するジェラールと、甘受するアガート。
危ういバランスで成り立っていた4人の交友。
けれども、振りかざされたエリザベートの自己愛は、
その部屋での4人の「遊戯」を終幕へと導くものだった。
来るべくして訪れたカタストロフィー。
彼らは最後まで「子供」だった。
高校生だった頃の私の感想。
「モノクロのサイレント映画を見ているようだった」
うまいこと言ったなーと、20数年後に感心する私(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
14歳のポールは、憧れの生徒ダルジュロスの投げた雪玉で負傷し、友人のジェラールに部屋まで送られる。そこはポールと姉エリザベートの「ふたりだけの部屋」だった。そしてダルジュロスにそっくりの少女、アガートの登場。愛するがゆえに傷つけ合う4人の交友が始まった。
「彩雲の城」尾上与一 (Holly NOVELS)
【生きた証が欲しい。
それが今、どれほど無意味に近いかわかっていても】
タイトルの意味を理解した時、胸が締め付けられるような思いでした。
待ち合わせは靖国で。
そして、自分達が帰る城は七色の雲の中にある。
死を覚悟したからこそ、餓えるように欲した生きた証。
爆撃の中で求め合う二人が痛々しくて、だけどどこか厳かで神聖で。
たまらずに、息を呑みました。
自分が幸せでなければ、他人の幸せなど願えない。
明日をも知れぬ身で、誰かの幸せを願える彼らは、
とても素敵な出逢いをしたのだと思う。
そして、死を覚悟しながらも、
最後まで生きることを諦めなかった二人が愛おしかった。
背景描写も心理描写も秀逸。
出逢えて良かったシリーズです。
伊魚があまりにも痛々しかったので、藤十郎の度量の広さにほっとしました。
今から70年前に、飛行機を飛ばし、遥か南の地に物資を届け、
武器を手に命がけで戦った人たちがいる。
忘れてはいけない歴史は確かにあるのだと、改めて思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
太平洋戦争中期。婚約者に逃げられた谷藤十郎は、外聞から逃れるように志願したラバウル基地で、高速爆撃機・彗星と共に着任してきた優秀で美しい男、偵察員の緒方伊魚とペアになる。伊魚は他人を避け、ペアである藤十郎とも必要最低限しか話さない。他にペアに欲しいと画策していた男がいた藤十郎だったが、冷たいようで生真面目で優しい男を嫌いにはなれなかった。それに、時折伊魚が起こす呼吸困難の発作も気がかりだ。そんな中、不調が続く彗星は偵察機への転用を命じられる。積乱雲湧く空を駆ける彗星ペアの運命は―。
「沈黙」遠藤周作(新潮文庫)
【あなたはなぜ黙っているのです。
この時でさえ、黙っているのですか】
救済を求めて、神に縋る。
楽園を夢見て、苦難に耐える。
「信仰」というよりも現実世界からの「逃避」に近いように思えるその感情は、
百姓たちにとって現実を生きることが、とても辛かったから。
死と引き換えに貫いた信仰心。
けれども、そんな彼らにすら、神は黙したまま何を語ることもない。
「あなたはなぜ黙っているのですか?」
消えゆく命を見つめることしかできなかった、ロドリゴの問いかけが、痛い。
神との対話は己との対話。
神の言葉、すなわち、救済は己自身の中にある。
人は、弱い。そして、強い。
踏絵を前にしたロドリゴの葛藤が胸に沁みました。
フェレイラが語る「日本人の神の概念」には納得。
学生の頃、国語の問題文として出された箇所を明確に覚えていた自分にびっくり。
印象深かったんだなぁ。
全体を通して読んでも、その部分の描写や秀逸だと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
キリシタン迫害史を背景とする緊迫のドラマの中に、神の存在を問い、信仰の根源を衝いて、西洋と日本の思想的対立を鋭くえぐり出す長編小説。谷崎潤一郎賞、ピエトロザク賞受賞。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
「血と暴力の国」コーマック・マッカーシー(扶桑社ミステリー)
【おれは敵を持っていない。敵がいることを許さない】
「純粋悪」と不運にも人生が交差したが故に、命を奪われる理不尽。
感情の一切を削ぎ落とした文章で淡々と綴られるのは、
現実に起こった出来事のみ。
彼は何故そこに?どうしてそんなことを?
想像はできる。
だが、それ以上は踏み込めない。
けれども、緻密に描かれた行動から、伝わるものは確実にある。
交互に訥々と語られる複数の人物たちの行動を追っているうちに、
いつしかこの世界で起こる出来事から、目が離せなくなってしまっていた。
血の匂いと理不尽な暴力が撒き散らされた物語は
敗北感に打ちひしがれた一人の男の人生の再出発で幕を閉じる。
「今まで一番後悔したことはなんですか?」
こんな淋しい問いかけを発することのない人生であるといい。
内容(「BOOK」データベースより)
ヴェトナム帰還兵のモスは、メキシコ国境近くで、撃たれた車両と男たちを発見する。麻薬密売人の銃撃戦があったのだ。車には莫大な現金が残されていた。モスは覚悟を迫られる。金を持ち出せば、すべてが変わるだろう…モスを追って、危険な殺人者が動きだす。彼のあとには無残な死体が転がる。この非情な殺戮を追う老保安官ベル。突然の血と暴力に染まるフロンティアに、ベルは、そしてモスは、何を見るのか―“国境三部作”以来の沈黙を破り、新ピューリッツァー賞作家が放つ、鮮烈な犯罪小説。
「HARD TIME ~ DEADLOCK外伝」英田サキ(徳間書店)
【失いたくないなら、大事にするしかない。
かけがえのない宝物だという気持ちを忘れず、慈しんでいくしかないのだ】
シリーズ外伝。
自分は果たしてゲイなのか?
苦悩するダグとルイスの物語。
始まりがどうしたって最悪なだけに、
ストレートなダグに恋をして傷つきたくないと、
必死で恋情をセーブしようとするルイスの心の揺れが切なかった。
迷うダグにパコが良い橋渡し役してましたね~。
吹っ切れてからのダグの甘さは微笑ましかった。
ラストのルイスの涙。
覚えがある痛みなだけに、一緒になって泣いてしまいました。
どんなに大切にしても、手からスルリと抜けて行ってしまうものは、どうしたって存在する。
シリーズキャラ総出演の外伝。
皆が幸せでありますように☆
内容(「BOOK」データベースより)
酒に酔って一夜を共にした相手が、殺人事件の第一容疑者!?しかも自分にその記憶が全くない―!?皮肉な運命に呆然とするロス市警殺人課の刑事・ダグ。容疑者のルイスは、気鋭のミステリ作家!彼の無実を信じたいダグは、先輩刑事のパコと共に真相を追ううちに、次第にルイスへの興味を煽られて…!?男相手の初めての恋に悩むダグが相談するのは、同僚刑事のユウト。なりゆきでルイスを警護することになった、腕利きのボディガード・ディック―。
「碧のかたみ」尾上与一 (Holly NOVELS)
【この気持ちが名前のない感情だとしても、
それのどこが恋情に劣ろうか-----】
語れる夢がある。守りたい人たちがいる。反発して喧嘩して、怒られて罰を受けて。
気がついたら恋をしていた。
それは、誰もが体験しうる青春。
けれども、そこには常に戦いがあった。誰かの死があった。
太平洋戦争下のラバウル。
複座式の戦闘機に乗り、互いの命を預けあった二人の物語。
亘のまっすぐさが本当に眩しかった。
六郎の涙がいたたまれなかった。
そして、彼らの想いの深さが伝わるからこそ、その覚悟がやるせなかった。
綴られる言葉の一つ一つに胸が軋むような想いを噛みしめながら読み進めた物語。
彼らと一緒に花火が見たいと切に願い続けた私は、光の雨を思い描きながら号泣でした。
私、本当に亘が大好き。好きすぎて読み進めるのが辛かった。
大国との圧倒的な技術力の差を見せつけられながらも、
戦わなければならなかった日本。
死を覚悟して飛び立たなければならなかった状況下で、
恋をし、絆を深めていく二人の想いが、とても綺麗で眩しかったです。
良書に出会えました。
紹介してくださった読友さんに本当に感謝です。ありがとうございます!
内容(「BOOK」データベースより)
昭和十八年。全盛を誇る南の要塞・ラバウル航空隊に着任した六郎は、喧嘩に明け暮れている戦闘機乗り・琴平恒に出会う。問題児だが操縦士として優秀な恒と「夜間戦闘機・月光」でペアを組むことになった六郎は、行動を共にするうちに、故郷の家族を守りたいという彼の深い思いと純粋さに触れ恒に強く惹かれていく。命の危険と隣り合わせの日々が続く中、二人は互いを大切なペアとしていとしく思うように。しかし、ラバウルにも敗戦の足音は確実に近づいていた…。「天球儀の海」希の兄・恒と六郎の命を懸けた青春の日々。
「ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷 下巻」宮部みゆき(新潮文庫)
そして、判決。
陪審員の生徒たちの見事な評決と事実認定。
個人的にはこれしかない、という判決でした。
自分だけが苦しんでいると思っていたら、他人の痛みは理解できない。
自分の苦しみに他人を巻き添えにするようなことを、してはいけない。
差し伸べられた手はあったのに。
これは、振り払った彼自身の咎だ。
真相を明らかにしようと思った動機は、
事件の動機をすべての人に知ってもらいたいと思ったから。
それは彼の英断であり、勇気でもあった。
誰かが深く傷つくことのない結末でよかった。
この事件と裁判に係ったすべての子どもたちが、
前に進むために光を得られる裁判でよかった。
「友達になりました」
すっと、光がさすような言葉だと思いました。
裁判を通して子どもたちの成長が見て取れたのが、本当にうれしかった。
内容(「BOOK」データベースより)
ひとつの嘘があった。柏木卓也の死の真相を知る者が、どうしても吐かなければならなかった嘘。最後の証人、その偽証が明らかになるとき、裁判の風景は根底から覆される―。藤野涼子が辿りついた真実。三宅樹理の叫び。法廷が告げる真犯人。作家生活25年の集大成にして、現代ミステリーの最高峰、堂々の完結。20年後の“偽証”事件を描く、書き下ろし中編「負の方程式」を収録。