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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「悲しみのイレーヌ」ピエール・ルメートル(文春文庫)



混在する真実と虚構。
彼らは何処までが彼ら自身だと言えるのか。
『悲しみのイレーヌ』
ある意味、虚像のままだった彼女。
これは、犯人ありきの物語。
破壊される人間の描写に、いや、もうたくさんです。
キャパオーバーで感覚麻痺ってきました!と言いたくなった第一部。
そこから展開される怒涛のような第二部。
描かれている彼らにどこまで肩入れしていいのかは、
次作を読んでからじゃないと判断がつかないじゃん!と、唸ってしまう結末。
口直しが必要な読後感ではあったけど、
最後まで失速することなくグイグイと読ませる展開はさすがでした。

個人的には『ブラック・ダリア』読了後の本作で思いっきりタイムリー。
ルメートルは『その女、アレックス』を読んだからこそ、
他の作品も手に取ることになった作家ではあるけれども。
未読の方は『悲しみのイレーヌ』→『その女、アレックス』の順番で読まれることをおススメします。
とはいえ、完成度と面白さでは断然『アレックス』だと思うので、
『イレーヌ』のザラザラした読後感にめげずにチャレンジしてもらいたいです。

内容紹介

『その女アレックス』の刑事たちのデビュー作

連続殺人の捜査に駆り出されたヴェルーヴェン警部。事件は異様な見立て殺人だと判明する…掟破りの大逆転が待つ鬼才のデビュー作。

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「閃光スクランブル」加藤シゲアキ(角川文庫)



【そこで生きられるのはよっぽどの天才か、鈍感な人間だけなんです】

「有名税」という言葉が頭を過った。
プライベートが切り売りされることは、
芸能人で在り続けるための代償のようなものなのか。
ゴシップになりそうなネタには喰いつかれても、
華々しい笑顔の裏の、血の滲むような思いが顧みられることはない。
アイドルで在り続けることはかくも大変だ。
程度の差こそあれ、日常で惑い、悩むのは、芸能人も一般人も変わらない。
人生が壊れるほどの衝撃。
自らを傷つけなければ収まらない衝動。
呑みこんだ毒や哀しみは癒えなくとも、吐き出すことはできる。
要は、その相手がいるかどうか、なのかな。
「取り戻そう。これからの日々を」
モノクロの世界から鮮やかな世界への脱却。

お互いにとってプラスに作用するような出逢いはとても素敵だと思う。
スクランブル交差点での決別のシーンがとても好き。
頑張って生きるあなたたちにエールを。


内容(「BOOK」データベースより)

人気アイドルグループのメンバー・亜希子は、世代交代の現実に思い悩み大物俳優と不倫を続けている。最愛の妻を亡くし、ゴシップカメラマンとして生計を立てる巧はそのスクープを狙っていた。2人はある事件を機に出会い、思いがけない逃避行が始まる。瞬く光の渦の中で本当の自分を見つけられるのか。渋谷スクランブル交差点で激しく交錯するパパラッチと女性アイドルの人生―愛と再生を描く疾走感あふれるエンタメ小説。

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「弔愛~甘美な悪魔の囁きに~」鳩村衣杏(ガッシュ文庫)



【完璧な人間がいないように、完璧な愛などどこにもないのだ】

忍耐と諦念の中にいた憂里が、自らの力で立ち上がることを決意する。
そして、城上もまた、現状を打破するための最良の策を模索していた。
少しずつ変わろうと、いや、変えていこうとする意志が運命を揺り動かす。
願わなければ、そして、動かなければ何も変わらない。
一之瀬が引き合わせた出逢い。
彼が願った通りに収束するのが一之瀬に対する手向けだとするなら、
これ以外はないエンディングだろう。
「完璧な人間がいないように、完璧な愛などどこにもないのだ」
故に、愛とは育んでいくもの。
「与え合う」ために抱き合った二人の雰囲気がとても好き。

満足な読後感。
ハードボイルド好きにはたまらない一冊でした。


内容(「BOOK」データベースより)

愛した男が、親友を殺した―?私立探偵の城上が、託された遺言で捜し始めた亡き親友の弟。その過程で巻き込まれた、日本と極東の間にある闇の利権争い。見つけた弟は、その渦中で逃れられない檻の中にいた。抗争に終止符が打たれる時、親友の死の真相とともに城上は辿り着く。愛を壊すばかりだった自分が本当に愛しいと思う、最後の男に…。探偵、バーテンダー、極道、製薬会社社長、麻薬取締官、グルジアマフィア…闇に息する男たちの、愛を弔う哀歌。

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「弔愛~群れなす天使の歌声に~」鳩村衣杏(ガッシュ文庫)

過去、というよりも、生い立ちそのものに捕らわれた男たち。
ままならない過去に雁字搦めにされたまま身動きがとれず、
どこか諦めて、それでも足掻いている。
渇くことのない傷口から迸る、哀しみと苛立ち。
諦めて、それでも求めているものは、たぶん愛情。
あからさまな憂里の挑発。
そこで抱いちゃったらダメでしょ!と思ったわけですが……
いや、だからこそのろくでなしのダメ男なんだと、
妙なところで納得しました。
(←城上、嫌いじゃないです)
「闇に息する男たちの、愛を弔う哀歌」
果たして彼らの運命の行方は?
彼らの傷はただ黙って抱きしめたくなるようなやるせなさで膿んでいる。



内容(「BOOK」データベースより)

合言葉は「『天使の群れ』をウォッカで」―私立探偵の城上は、亡き親友の遺言で生き別れた彼の弟を捜すことになった。彼が死の間際に遺した3枚の写真と「天使の群れ」という言葉を追い、辿り着いたのはバー「ユーフォリア」。バーテンダーの憂里は、男を惑わす謎めいた笑みを浮かべ、「天使の群れ」と言う名のカクテルを出した。淫蕩に甘く、酩酊を誘う憂里に城上はある衝動を覚える。―この男を、壊したい。夜の果て、男たちのサスペンシヴ・ラブ、開幕。

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「ブラックダリア」ジェームス・エルロイ(文春文庫)



読み応え抜群の壮大な物語。
引き込まれ、魅了され、全力を使い切ったような読後の脱力感が心地良い。
発端はとある殺人事件だった。
浮き上がる点と点。
追い続ければ、それがひとつの線となり、思いもよらない事実が浮かび上がってくる。
そんな中、たくさんの人の人生が狂わされ、たくさんの命が失われた。
悪鬼のような所業を語る口で、家族への愛情を語る。
矛盾が当たり前のように同居する人間に戦慄を覚えた。
殴り合いから生まれた友情。
凄惨な事件の真相を追い続ける中で、いつしか築かれたバランスの良い正三角形。
欠点だらけの彼らの在り方が、私はとても好きだった。
そしてとても哀しかった。
彼らの積み重ねた嘘がやるせない。
私も彼らの平安を祈ろう。

エルロイは初読だったけど、かなりいい!とても好き!
まずはLA暗黒四部作を追いかけます。
読書の楽しみが増えました!


内容(「BOOK」データベースより)

1947年1月15日、ロス市内の空地で若い女性の惨殺死体が発見された。スターの座に憧れて都会に引き寄せられた女性を待つ、ひとつの回答だった。漆黒の髪にいつも黒ずくめのドレス、だれもが知っていて、だれも知らない女。いつしか事件は〈ブラック・ダリア事件〉と呼ばれるようになった―。“ロス暗黒史”4部作の、その1。

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「あなたをずっとずっとあいしてる」宮西達也(ポプラ社)



草食のマイアサウラが拾ったたまごは、なんと、肉食ティラノサウルスのたまご。
自分のたまごと一緒に大事にあたためて、
うまれてきたティラノサウルスに仰天して一度は捨てにいくけれども。
鳴き声を聞いてしまったらもうだめだよね。
抱き上げたティラノサウルスを自分の子供と一緒に分け隔てなく育てます。
そして、こころやさしく成長したティラノサウルスは、
奇跡的に自分の本当の父親に出逢い……
後半、泣き顔ばっかりの彼らの姿に切なくなります。
でも、感じられるのは溢れんばかりの愛情とやさしさ。
やっぱりこのシリーズ大好きです。

しばらくちびっこたちと一緒には読めそうもない本。
何故なら私が真っ先に泣いてしまうから。


内容(「BOOK」データベースより)

こころやさしいマイアサウラのおかあさんは、あるひ、たまごをひとつひろいました。じぶんのたまごといっしょに、たいせつにそだてていると、うまれてきたのは…。大人気のティラノサウルスシリーズ第4弾。

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「いつか時が汝を」北方謙三(徳間文庫)



どこまでもどこまでも渇いていて、ただ一点だけがひどく熱い。
端的に述べるなら、そんな物語だ。
ぐっと引き込まれる冒頭。
感覚に馴染んだ文体。
自らに課したルールをストイックなまでに守り通したシンゴ。
その仕事に関して、彼は誰よりもプロフェッショナルだった。
狂いのない時計のように正確に刻まれる彼の日常の中で、
クリスの存在だけが、イレギュラーだったように思える。
だが、彼がいてこそ、動き出した「時」。
「死ぬべき時人は死ぬ。死ぬべきでない時は、死にたがっても死なない」
この本に限らず、一貫して貫かれる北方の哲学。
手向けの花は白いバラを。
この表紙は秀逸だと思います。

人気(ひとけ)のまったくない湖畔のキャンプ場。
イナゴを捕まえたのはてっきり食用だと思っていたわけですが……
そうですか。釣り餌でしたか。
ちなみに会社でその話をしたら
「え?イナゴを食べるのは魚の方なんですか!?」と返ってきて安心しました(笑)
いや、イナゴの話がしたいわけじゃなく。
お友達からのプレゼント本。ありがとうございました♪


内容(「BOOK」データベースより)

アメリカ南西部。綿の実が弾け、夏の雪が降る田舎町。時計修理を請け負い、釣りとバラ作りを楽しみに静かな日々を送る私は、年に一度、特殊な仕事を引き受ける。過去を引きずりながら異国の町で暮らす男の生き様。珠玉のハードボイルド。

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「AWAY DEADLOCK番外編2」英田サキ(キャラ文庫)



幸せな読後感。
途中で切なくなったり、涙ぐんだりもしたけれども、
結局はとても満ち足りた気持ちで読了しました。
それぞれがそれぞれの人生を着実に歩いている姿を、
こうして垣間見れたことがとてもうれしい。
独りではなく、互いのパートナーと一緒に、
時に喧嘩したりしながらも、愛を確かめ合って、寄り添いあう。
出会えたこと自体が、ヨシュアの言葉を借りれば「愛の奇跡」。
「結婚式を挙げたいなら、俺ともう一度すればいいさ」
ロブの父親トニーが、ロブの母親べリンダに言ったこの台詞が本当に素敵。
みんなみんな、お幸せに!

トータルで7冊。
素晴らしく読み応えのあるシリーズでした。
この幸せな読後感の中を、今しばらく心地よく浮遊していたい感じです。


内容(「BOOK」データベースより)

シリーズ完結後、それぞれ人生の岐路に立たされるDEADLOCKキャラクターたち―晴れて結婚式を挙げることになったロブとヨシュア。祝福する周囲とは裏腹に、当のヨシュアは不安を抱え…!?いっぽう順調に愛を育んでいたユウトとディックも、事故でディックが記憶喪失になったことから、二人の絆の危機…!?高階佑による漫画と書き下ろし小説も収録!!大ボリュームの番外編、第二弾!!

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「STAY DEADLOCK番外編1」英田サキ(キャラ文庫)



相手のことが好きで。大好きで。
その愛情故に泣ける関係が、とても素敵。
深く愛し合っている二人を知っているからこそ、
まだ想いを通わせる前の苦悩を改めて突きつけられると、
苦しくて泣きたくなる。
ディックの孤独と喪失感が半端ないけど、
だからこそ、それを補って余りある幸せをユウトと一緒に築いていってほしいなーと。
ディックとユウト。
ロブとヨシュア。
それぞれの日常がとてもリアルに微笑ましく描かれていて、
何度も読み返したくなる。
言いたいことを言い合って、くだらないことでケンカして。
でもちゃんと仲直りができる。
だから「ひとりで全部結論付けるな」というユウトの言葉をディックは順守してほしい。
「俺の隣がお前の生きる場所だ」
心の底からお幸せに!

本編とスピンオフはお借りして読んで、全サ目的で今回は購入したけど、
とりあえず早々に全巻そろえてしまおうと思います。
やっぱりこの話、大好き!

内容(「BOOK」データベースより)

シリーズ完結後もますます広がるDEADLOCKワールド―ロス市警刑事のユウトと、警備会社のボディガードとなったディックはLAで二人暮らしをスタート。ロブとヨシュアの愛も深まり、パコがトーニャに告白!!新たなカップの兆し…!?完結後に発表された番外編を一挙収録!!それぞれの人生を歩み始めたDEADLOCKキャラクターたちのその後。高階佑による漫画も収録。

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「友罪」薬丸岳(集英社文庫)



人と人。
出会った時から始まる繋がり。
人となりを知れば、情が移る。
相手がどんな過去を背負っていても
知らなければ、過去は現在に干渉しない。
けれども。
殺されてしまった人たちには、その先の人生はないことを忘れてはならない。
彼らを失った人たちの悲しみも、永遠に癒されない。
己が犯した罪から目を背け、逃げることは許されない。
贖罪は生涯しつづけなければいけない。
心情的に殺人者を忌避することは致し方ないことだろう。
だが、それよりも罪深いのは裏切り。
そして、さらに忌まわしいのは関係のない興味本位の者たちによる、プライバシーの侵害。

「あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?」
その問いに関する答えは、実際に当事者になってみなければわからない。
結局は当人同士の“関係性”に依ってしか判断できないものだろう。
問いかけられることすべてが、終始重くて苦しかった。
まともに向き合うのが辛かったので、感情を遮断して読むしかなかった。
それにしても益田……


内容(「BOOK」データベースより)

あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?埼玉の小さな町工場に就職した益田は、同日に入社した鈴木と出会う。無口で陰のある鈴木だったが、同い年の二人は次第に打ち解けてゆく。しかし、あるとき益田は、鈴木が十四年前、連続児童殺傷で日本中を震え上がらせた「黒蛇神事件」の犯人ではないかと疑惑を抱くようになり―。少年犯罪のその後を描いた、著者渾身の長編小説。

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