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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「おまえうまそうだな」宮西達也(ポプラ社)



【ぼくもはやくおとうさんみたいになりたいなぁ】

肉食のおとなティラノサウルスと草食のアンキロサウルスのあかちゃんとの出逢いから始まる物語。
タイトル通り、「おまえうまそうだな」とぱくっと口にしようとした
無垢で無邪気なあかちゃん恐竜の言葉や態度から、ティラノサウルスに知らず、芽生える父性。
あんなふうに慕われちゃったら守ってあげたくなっちゃうよね。
実のおやこのように仲睦まじい二匹。
でも………
あかちゃんのためを思ってのティラノサウルスの決断には泣いてしまいました。
うわー、すごいいい話!
これは子どもよりも大人の方がぐっとくる話だと思います。
独特なタッチと色遣いの絵は、この世界観にとてもマッチしていました。

「おまえうまそうだな、っていってティラノサウルスが草食恐竜のあかちゃんに出会う絵本を買ったの」
「え?で、あかちゃん恐竜食べちゃうんですか?」
「ちがうよ!ティラノサウルスがあかちゃん恐竜と仲良くなるの!」←私の事前知識ここまで。
「えー?じゃあ、ティラノサウルスは何食べるんですか?お腹減るじゃないですかぁ!」
「…………」
本日の私と会社の子との会話。
とりあえず彼女の答えは文中にあったけど……目の付け所が斜め上でしたww

内容(「MARC」データベースより)

おなかをすかせた大きな恐竜が、あかちゃん恐竜を見つけてとびかかろうとすると…。お父さんにまちがえられた大きな恐竜と、あかちゃんの愛情の物語。

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『はつ恋』榎田尤利(ビーボーイノベルズ)



【ここなのだと思った。
 僕のいるべき場所はここなのだ。
 抱きしめるべき人は彼なのだ。】

もしも時間が巻戻ったら?
例えば、同じ本を読んでも、その本を読んだ年齢によって感想が変わるように。
同じ事象を体験したとしても、人生経験が積まれる分、感じ方も変わる。
そんな心の揺れがとても丁寧に描かれていて、なんだか引き込まれました。
久我山が「恋」を自覚し、その「恋」が手に入らなくて泣くシーン、すごく好き。
人を好きになることで、性格も変わる。
曽根に恋をした久我山は、内面的にとってもかっこよくなったと思う。
お互いがお互いに対して放った言葉、「生きててくれてよかった」がズシリと響きます。
今のこの歳で読んだからこそ、よかったなぁ、と思えるストーリーかな。
素敵な物語でした。

十五年分のキスの数。
計算結果は何回になったのかしら?気になる……


内容(「BOOK」データベースより)

事故が原因で2度目の高校生活を送る久我山。大人びて冷めた瞳の久我山に、担任の曽根は親身になってくれる。うっとうしい教師だったはずの曽根を知るにつれ、その甘い声をもっと聞きたくなってしまう久我山。胸が痛むほどのこの想いに名前があるとすれば―恋。しかし曽根には恋人がいるうえ、自分はただの生徒にすぎないと知り…。それでも彼を守りたい。未来を変えるために、今、恋をする。

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「死のドレスを花婿に」ピエール・ルメートル(文春文庫)



他人の生活を踏みにじり、身勝手な理由でぶち壊す妄執と狂気。
知らぬ間に悪意が生活の中にスルリと入り込んでくるその様は、まるで透明な蛇。
見えない蛇がそこらじゅうを這いずり回って全てを伺っているかのような、
得体のしれない気持ち悪さに背筋がゾワリとする。
それでも、ソフィーの強さとしたたかさには拍手喝采。
オーヴェルネ氏の機転のきいた連係プレイも素晴らしかった。
逆恨みとしか言いようのない行為を繰り返した彼の末路は因果応報。
どゆこと?とぐるぐるする1章。うわ、キモチワルイ!と悪意に戦く2章。
そして3章から4章へと展開される逆転劇。
読み始めたら、最後まで一気読みでした。

読み進めていくと、このタイトルにも激しく納得。
次は爽やかな話しが読みたい(笑)

内容(「BOOK」データベースより)

ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。幸福だった彼女の破滅が始まったのは数年前。記憶にない奇行を繰り返し、彼女はおぞましい汚名を着て、底辺に転落したのだ…。ベストセラー『その女アレックス』の原点。あなたの心を凍らせる衝撃と恐怖の傑作サスペンス。

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「囀る鳥は羽ばたかない3」ヨネダコウ




凄味の出てきた百目鬼の覚悟がヒリヒリと伝わってきて、
逆に矢代の揺らぎが手に取るようにわかる。
治まらない熱。
見られたくない。触れられたい。守りたい。汚したい。
両極で揺れ動く感情と真摯に向き合うには、
寝首をかかれかねない現状が殺伐としすぎていてままならない。
あまりにも閉塞的で息苦しい世界で生きる男たちは、
眩暈がするほど生き急いでいる。
平田の心情はやっぱり嫉妬……なんだろうなぁ。それから焦り。
竜崎と七原のこれからもとても気になる。
危なっかしい彼らの綱渡りを、三角さんがきっちり収めてくれることを願いたい。

影山の鈍さはもはやあっぱれ。(笑)
巻末の描き下しで気持ちがちょっと和みました。

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「ハツカネズミと人間」ジョン・スタインベック(新潮文庫)



【だって、おれにはおめえがついてるし、おらにはおめえがついている】

そしてジョージは夢を語る。
安全装置を外した拳銃の引き金に指をかけて。
もう、手の届かなくなってしまった夢を語る。
互いに支えあいながら生きてきたレニーを苦しみから救う為に
夢を語りながら引き金を引く。
どの場面を顧みても仕方なくて、仕方ないからこそやるせない。
「こんなところはいやだ」と言ったレニーの言葉が重くのしかかる。
ジョージの選択を理解したスリムの存在は、
果たしてジョージの傷を和らげることはできるだろうか?
大地と共に泥臭く生きる男たちの悲劇的な物語。
個人的には何度読んでも胸が軋む不朽の名作。

【ガーディアン必読1000冊】
初読の時の感想はレニーはジョージの行為を全く予測できないいまま死んでいった、
と書いてあったけど。
もしかしたらレニーはこれから起こることをわかっていたのかな?と思った今回。
余計に切ない。
再読なのに涙腺が壊れました。



内容(「BOOK」データベースより)

一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って暮らす―からだも知恵も対照的なジョージとレニーという二人の渡り労働者の楽園への夢。カリフォルニアの農場を転々とする男たちの友情、たくましい生命力、そして過酷な現実に裏切られて起こる悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描く。戯曲の形式を小説に取り入れたスタインベックの出世作。

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「おとぎ話のゆくえ」一穂ミチ(ルチル文庫)



【ずっとこのままでいられますように】

移ろいゆく季節と共に、変化を来していく心。
育ちも環境も性格も、共通するものをなに一つ持たない二人。
湊は湊のまま、隼人は隼人のまま。
核となる部分は何一つ損なわれないまま、
それでも、お互いの影響をうけあって自然に兆す変化が丁寧に描かれていて、
伝わってくる彼らの想いがとても切なかった。
自分の気持ちを押し通すのではなく、相手の立場を慮って身を引こうとする恋。
すれ違わなくてよかった。諦めなくてよかった。
心の底から、そう思います。
前途は多分多難なんだろうけど「ずっと一緒にいる」という湊の言葉が
彼らの未来を語っていることを信じます。

慎の立ち位置がおもしろいなーと思いました。(褒めてます)
彼のスピン、あったら読みたい。
隼人が吾川の人たちに自然と受け入れられている感じになんだか安心した。
そして犬蔵と電話するシーンが妙にツボでした。(笑)

内容(「BOOK」データベースより)

ふらりと東京を出て、北の地方都市へと流れついた来杉隼人。そこに未だ息づく「お殿様」の存在に驚き、ばかばかしいと嘲って町の人たちから眉をひそめられるが、彼らが慕う若様―高校生の野衣湊にはどういうわけか懐かれてしまう。あまりにまっすぐな湊に苛立ち、どこかであわれみ、面白がっていた隼人は、いつしか湊を大切に思い始めて…。

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「朗読者」ベルハルト・シュリンク(新潮文庫)



【彼女は常に闘ってきたのだ。
 何ができるかを見せるためではなく、何ができないかを隠すために】

青春時代の想い出で終わるはずだった。
彼女と再び出会うことがなければ。
思いもよらない場所でハンナと再会したことにより、
彼は過去の自分と、現在の自分の在り方と向き合うことになる。
そして、その行為は彼の未来にも少なからぬ影響を与えることとなる。
彼女は何故死を選んだのか?
読者は想像するしかないわけだけれども、「わたしへの手紙はありませんか?」
この一言にすべてが集約されていると思えてならない。
彼女は知りたかったのだと思う。彼の自分に対する想いを。
「彼女はあなたと一緒に字を学んだんですよ」
彼の声に耳を傾けながら字を学んでいった彼女のひたむきさが切なかった。

【ガーディアン必読1000冊】
初読の時「うそでしょ?」と叫んだ自分を覚えています。
これは再読することを推奨したい本。
二度目に読んだ時、随所にちりばめられたハンナの事情が読み取れて、
何とも言えない気持ちがこみ上げました。


内容(「BOOK」データベースより)

15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」―ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わったはずの戦争が影を落していた。現代ドイツ文学の旗手による、世界中を感動させた大ベストセラー。

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「世界のまんなか」一穂ミチ(ディアプラス文庫)



【お前といると、時々甘えすぎて駄目になる
 でも、お前がいなきゃ駄目にもなれないんだ】

仕事上の悩みって、プライドや劣等感が邪魔をして、
なかなか口に出せないことってあるよね。
でも、そういうのをなんとなく察して、
吐き出したいときに受け止めてくれる人がいるってすごく心強い。
例えば旅館で待っていたり、旅館まで追いかけたり。
自分を顧みて謝ったり、溜め込んだ気持ちを吐き出したり。
綴られるエピソードや心情から、計の潮に対する、そして潮の計に対する
愛情がとても綺麗に伝わってきて、あったかくて泣きたくなった。
「世界の片隅のまんなかに、自分の全部を隠した場所がある」
個人的にはこの文章が、計の潮に対する真っ正直な想いを表した言葉だなぁ、と思いました。

皆川、いい仕事したなぁ。
そして、スピンが予測不可すぎて楽しみなんですけど!!!


内容(「BOOK」データベースより)

極端な二面性を持つ人気アナウンサーの計と、懐の深すぎる映像作家の潮。知り合って一年、些細な諍いは絶えないながら仲良くやっていたふたり。そんなとき計は「ザ・ニュース」の裏番組に出演するタレントの木崎が、自分のせいで旭テレビのアナウンサー試験に落ちていたことを知る。好きでなったわけじゃない自分に、ここにいる資格はあるのか。迷いから調子を崩す計は、心配してくれる潮にも素直になれず…?

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「銀河英雄伝説10 落日篇」田中芳樹(創元SF文庫)



【伝説が終わり、歴史がはじまる】

巨大な星が輝きを止め、一つの時代が終わりを告げる。
古い体制を打ち崩し、新しい礎を築きはじめるまでに、
どれほどの血が流れたことだろう。
戦い続け、そして生き残った彼らに、ひと時の平穏を。
何が正しくて、何が間違っているのか。
価値観は人それぞれで、見方によって正義は変わる。
二つの正義は相容れない。
故に、人類の歴史は戦いの歴史。
太古から繰り返されてきた争いは、銀河でもまた、繰り返される。
銀河の英雄たちの戦いは、あまりにも鮮烈で、あまりにも潔く、
そして、あまりにも哀しかった。
流麗な文章で綴られてきた銀河の英雄たちの物語。これにて終幕です。

何度読んでも褪せることなくおもしろい。
そして、何度読んでも気持ちが掻き乱されます。
巻を重ねるごとにそれぞれの個性が際立っていって、
愛着や親しみが増した分、哀しみも深かった。
でも、出会えてよかった。
心からそう思える物語です。

内容(「BOOK」データベースより)

腹心の部下ヒルダを皇妃に迎え、世継ぎの誕生を待つばかりとなったラインハルト。旧同盟領に潜む地球教残党のテロ、元自治領主の暗躍、度重なる病の兆候など懸念は尽きないが、数々の苦難を経て、新王朝はようやく安泰を迎えたかに見えた。一方、“魔術師ヤン”の後継者ユリアンは、共和政府自らが仕掛ける最初にして最後の戦いを決断する。銀河英雄叙事詩の正伝、堂々の完結。

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「交渉人は休まない」榎田尤利(SHYノベルズ)



【だから生きてないとな。俺たちふたりとも、生きてないと】

置いていかれる恐怖に震えることなく、手にかけられる陶酔に浸ることなく。
二本の脚で地を踏みしめて生きていく。
兵頭とふたり、一緒に。
「ふたりとも、生きてないと」
そんなふうに芽吹が噛みしめてくれたことが嬉しい。
そして、空港でのカミングアウト。
芽吹のモトカノとイマカレとの会話がすごくいい。
いたたまれなくなって保護者=七五三野の後ろに隠れる三十路……可愛いなー。
そして兵頭が七五三野に突っかかっていた理由も可愛い。
この二人、本当にお互いが大好きなのね、ということがビシバシ伝わる空気感がとてもよかった。
幸せのおすそ分けありがとう!
そして、その幸せを離さないでね。

比嘉さん、おもしろいなー。
オールメンバーきっちり書ききってくれて、本当に楽しかった!
読めてよかったシリーズです。大好き!


内容(「BOOK」データベースより)

圧倒的人気交渉人シリーズ、芽吹と兵頭が帰ってきた!!特別書き下ろし小説には、『魚住くんシリーズ』から魚住に久留米、『犬ほど素敵な商売はない』から倖生に轡田、『ラブ&トラストシリーズ』から核に沓澤、天と正文が登場!見逃せない豪華執筆陣の特別寄稿あり!!

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