きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ダチョウは軽車両に該当します」似鳥鶏(文春文庫)
マラソン大会のコースを逆走するダチョウ。
ありえない状況から明るみに出た事件は、
あまりの身勝手さに怒りを吐き出さずにいられなかった桃くんの気持ちがよくわかる。
それでも、彼は手を出すことは……犯人を殴りつけることはできなかった。
半面、自ら潤う為だけに、平気で他人を犠牲にしようとする人もいる。
コミカルなタイトルと愉快な登場人物たち。
けれども、そこで起こった事件の真相は、相変わらずヘビーだなぁ、と思います。
突き詰めて考えれば、類似した話が転がっていそうで、実際にあり得る感じが嫌。
服部くんの変態っぷりは、いっそアッパレ(笑)
そして、彼の愛犬のインパクトが強すぎましたww
動物園で働く方々の気の配り方は、自らの仕事でも見習いたいところです。
「もっとひどい何かが起こるまでは、自分の身は自分で守らなければならない」
仕方がない状況ではあるかもしれないけれども、
警察、なんとかならないの!?と思わずにはいられませんでした。
内容(「BOOK」データベースより)
県民マラソン大会のコースを駆け抜けてくるのは「ダチョウだって?」―そして発見された焼死体。捕獲したダチョウと被害者とをつなぐものとは?キリン飼育員・桃くんにツンデレ女王・鴇先生、変態(?!)・服部くん、アイドル飼育員・七森さんら、楓ヶ丘動物園の怪しく愉快な面々が活躍する動物園ミステリー第2弾!
PR
「囀る鳥は羽ばたかない」ヨネダコウ(大洋書店)
寂しさに気付かなければ、突き刺さるような胸の痛みに泣くことはなく、
想いに気付かなければ、成就されない空疎さに泣くこともなかった。
決して思い通りにはならないままならない感情を抱えて、人は生きる。
そこに歪んだ諦念はあっても、悲壮感がないのは、
みんな、それぞれにハードな人生を受け入れて、悲観せずに生きているから。
自分を全肯定する矢代。
そんな矢代を盲目的に信奉する百目鬼。
矢代の自分自身をすら皮肉るようなドライさが時に胸に刺さるけれども、
百目鬼の愚直なまでのまっすぐさが、そんな彼を包んであげられれば、と、
思ってしまう。
久我のギラギラとしたまっすぐな生命力はとても眩しかった。
妹の百目鬼に対する業の深い想い。
それでも、どんな関係であっても百目鬼が好きだったと言い切った彼女は
強いと思う。
「ハードラック」薬丸岳(講談社文庫)
【それができるのはあなたの親だけなんだから】
職を失い、住む場所を追われ、なけなしの金をだまし取られて立ち竦む。
闇の掲示板を除いてしまったが最後、逃れられない蜘蛛の糸に絡め取られるように
泥沼にはまっていく。
だが、強盗殺人という濡れ衣を着せられ、
ジワジワと追い詰められても、仁は諦めなかった。
自らの手で真相を究明すべく、必死で真実を追い求める。
そして明らかにされる真相は、あまりにも悲惨でいたましいものだった。
これは、現代の日本だからこそ、起こり得る犯罪。
母親という存在が、自分を無条件で愛し、信じてくれることが
どれほど心強く幸せなことなのか。
思わず噛みしめるラストでした。
結局、仁は一人きりではなく、たくさんの人の助けを借りられたからこそ、
真実にたどり着くことができた。
彼が本当に一人で孤独だったら……?
身近に起こりうることであり、決して絵空事ではないと思わせる
リアリティに言いようのない恐怖感が募った。
内容(「BOOK」データベースより)
二五歳にもなって日雇い仕事する失い、「大きなことをするため」闇の掲示板で四人の仲間を募った仁は、軽井沢で起きた放火殺人の汚名を着せられてしまう。なぜおれを嵌めた?信じられるのは誰だ?手探りで真犯人を探す仁、闇世界の住人たち、追う刑事。物語は二転三転し、慟哭の真相へと向かっていく。
「銀河英雄伝説4 策謀編」田中芳樹(創元SF文庫)
【思うのは自由だが、言うのは必ずしも自由じゃないのさ】
崩れる銀河の均衡。
激動する時代。
帝国の腐敗を正し、改革を成し遂げつつあるラインハルト。
ならば、同盟の膿を絞り出すのが何故ヤンではいけないのか?
だが、ヤン自身がそんなことを望んでいないことを知っている。
だからこそ、もどかしさに歯噛みしたくなる。
守るに値しない愚劣な中枢。
だが、そこが自らの属する場所なのだ。
ヤンの傍にユリアンがいないことが、とても心もとない。
けれども、フェザーンでの彼の立ち回りはとても頼もしい。
「行こうか」
ラインハルトの語りかけに応える声はない。
混乱と混迷の果てに構築される世界はどんな世界なのか。
正しく見通せている者など誰一人としていはしないだろう。
個人的な見どころは何と言ってもロイエンタールとシェーンコップの接近戦。
状況的にはテンションあげてる場合じゃないけど、心臓跳ねました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
第三勢力フェザーンに操られた門閥貴族の残党が七歳の皇帝を誘拐、自由惑星同盟の協力を得て帝国正統政府樹立を宣した。だが、フェザーン高官と密約を交わしていたラインハルトはこの状況を逆手に取り、フェザーン回廊を通って同盟へ大進攻することを目論む。その真意を見抜きながらもイゼルローン防衛から動けぬヤンと、帝国軍の双璧の一人ロイエンタールの死闘が幕を開けた。
「ムーンライトマイル」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
【焦るまでもなく、とっくに好きだたのだろうか。
昼と夜の継ぎ目を探すみたいに何かしら決定的な一瞬に
こだわっていたから気づけなかっただけで】
大地を知れば知るほど、近づけば近づくほど、見失う気持ち。
始まりが歪だっただけに、余計に自分の心がわからなくなる昴。
そして相手を抉るような言葉を投げかけて、多分確かめるのだ。
愛の所在を。
貞操観念のなさに、え?この子、大丈夫?と思った大地が
とても懐の広くて愛情深い男子で、本気でカッコいいと思いました。
さすが、高梨家で育った子だわ(笑)
混乱する昴とは対照的に、大地の気持ちはぶれない。
昴の気持ちが大地に少しずつ傾いていっているのが感じ取れる文章が素敵。
そして決定的だった亘の言葉。
第三者の方がよく見ている。
明確な区切れ目を探す必要はなく、気づいたら好きだった。
恋はそれで十分だと思う。
流星と太陽のその後が伺えたのがとてもよかった。
「あのふたりには互いの骨をひとかけら交換したような、
余人には立ち入れない結びつきがあった」
この表現、すごく好き。
綺麗な言葉が随所にちりばめられていて、一文一文を噛みしめてしまいました。
内容(「BOOK」データベースより)
上映中のプラネタリウムで彼女に浮気を咎められ派手に振られた大地。学芸員の昴にきつい皮肉を浴びるものの、なりゆきで科学館でアルバイトをすることになる。昴は大人しげな見かけに反して気が強く厳しい。そんな彼に最初は苦手意識を持つ大地だが、天文一筋で誠実ゆえに偽りのない昴を知るほどに惹かれてゆく。その視線の先に別の誰かがいると気づいた時にはもう後戻りできないほどに―。年下攻星屑ロマンス。
「オールトの雲」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
【それでも、何度でも出会いたい。
ほんとうの、最期のときにも「またね」と言いたい。
その瞬間にすべてを振り返り、すべてが宝物になる。】
人を好きになる気持ちは、こんなにもきれいでやさしい。
相手にとって何が一番なのか。
思いやる気持ちから導き出した決断に、たまらなく切なくなるのだけれども。
彼らの綺麗に澄んだピュアな想いがとても愛しくて、泣きながら微笑みかけたくなる。
そんな物語でした。
流星も太陽もまだ10代半ばの子どもだけれども、
子どもなりに相手のことを、相手の家族のことを懸命に考える様子がとても好感に
が持てました。
自分の気持ちを持て余して相手にぶつけるシーンもまっすぐでいい。
みんないい子だ……(涙)
そして両家のご両親も兄弟も本当に素敵で可愛かったです。
読後、自分の気持ちも澄んだ透明な色になっているような、
そんな感覚(錯覚?笑)に暫し浸ってしまいました。
一穂さんのお話、大好きです。
さて。次はムーライトマイル♪
内容(「BOOK」データベースより)
お姫様のような母親と一緒に太陽の前に現れた小さな王様―それが、流星だった。外国の血を引く繊細に整った容貌と、誇り高くまっすぐで、嘘やごまかしのない性格。そのせいで周囲から浮く彼をほうっておけず、いつだって側にいた。けれど、部活の合宿先で偶然会った流星は、太陽が知らない顔をしていて…。闇夜に迷う心を照らす、一等星の恋。その後の二人を描いた書き下ろし「真夜中の虹」も収録。
「銀河英雄伝説3 雌伏編」田中芳樹(創元SF文庫)
【夢は共有してこそ価値があるものだった】
国家が倒れた後のどこにしがみつく権力があるのか。
自らが腐海に沈むのは勝手だけど、
安寧を望む人たちを、平穏に暮らしたいだけの人たちを、
腐臭の中に巻き込まないでほしい。
自分たちが固執するものをヤンが欠片も望んでいないことに気付けるくらいだったら、
こんな馬鹿馬鹿しい査問会なんかは開かれないよね。
いっそヤンはここで辞表をたたきつけた方が幸せだったかもしれないけれども、
それは時代が許さない。
腐りきった同盟。
改革の帝国。
そして暗躍するフェザーン。
渦巻く陰謀に溜息をつきながらも、この時代に生きる人たちに惹かれずにはいられない。
双璧の共闘はやっぱりうれしい。
ラインハルトは凍てついた氷の炎を胸に抱え、
ロイエンタールは芯が燻る蒼い炎を抱えている。
お願いだから、と。
祈らずにはいられない。(涙目)
内容(「BOOK」データベースより)
亡き親友との銀河の覇者となる約束を果すべく決意を新たにしたラインハルトに、イゼルローン攻略のための大計が献じられた。その裏で暗躍する第三勢力フェザーンの狙いとは。一方、ユリアンの初陣からの帰還に安堵する間もなく、ヤンは査問会に召喚され、同盟首都に向かう。だがその隙を衝くようにイゼルローンの眼前に帝国軍要塞が出現。巨大要塞同士の戦いの火蓋が切られた。
「最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華」椹野 道流(角川文庫)
【せやけど、お前の人生を、代わりに切り拓いてやることはできへん。
それはお前が自分でやらなあかんことや】
大なり小なりみんな過去にはいろんなことを抱えているわけだけれども。
赤の他人がそれを無遠慮に引っ掻き回す資格はない。
傍若無人なマスコミは、同じことを自分がされたら……という想像力が何故働かないのだろう?
そんな心無い嵐に晒されながらも、自らの過去にきっちりとけじめをつけた海里。
それは、夏神たちの支えや後押しがあったからこそで、
彼が独りきりでその嵐に耐えなければならない状況ではないことが嬉しい。
海里のまっすぐな誠実さはとても素敵だと思う。
嘘もごまかしもないその誠実さは、傷を抱えた人にはとてもやさしく響く気がする。
それにしても、夏神さんの過去が、とってもとっても気になります!
内容(「BOOK」データベースより)
兵庫県芦屋市。この街に、定食屋「ばんめし屋」はある。夜のみ営業、メニューは日替わり一種のみ、幽霊すらも常連客…。この不思議な店で、元イケメン俳優の五十嵐海里は、ただいま料理修業中。芸能人としての挫折を乗り越え、常連客で小説家の淡海とも仲良くなり、順風満帆、と思いきや、後輩の若手俳優・里中李英が店を訪れたことで、再び嵐に巻き込まれ…。人の優しさと美味しいごはんに癒される、泣けるお料理青春小説。
「ハイキュー! 16」古舘春一(ジャンプコミックス)
「どいつもこいつも雰囲気変えて来やがって」
昨日と同じ自分じゃ戦えない。
そして、ひとりきりでも戦えはしない。
信頼を築き上げた仲間たちと挑む県代表決定戦準決勝。
これがラストゲームになりうる緊迫感の中での戦い。
一人一人が成長していることが、この試合からだけでも伺える。
必死さと、熱さと、楽しさと。
伝わってくる思いに胸が震えるのは、贔屓チーム同士が戦っているからかしら?
どちらにも負けてほしくない。
そんなことはありえないけど、願わずにはいられない。
手に汗を握ったまま、決着は次巻へ。
及川さんのドsっぷり、最高です!
発売日当日「岩ちゃん可愛いから早く読んで!」メールが友人たちからガシガシと。
本誌読んでる私的には「え?どこで?何があった!?」って感じだったんだけど、
確かに番外編の岩ちゃん、大変可愛かったです(笑)
内容紹介
青葉城西との代表決定戦準決勝の第2セット。青城に流れが傾く中、烏野はピンチサーバーとして山口をコートに送り出す!! 前の試合で失敗した山口は、苦い記憶を払拭し、流れを引き寄せる事が出来るのか!?
「地獄の季節」ランボオ(岩波文庫)
「地獄の季節」で撒き散らされる倦怠感と厭世観。
だがそれは、10代ならではの青臭さとも取れるのは、
行間に垣間見れる選民的な意識と、
もてあましたような熱いエネルギーを感じられるからだろうか?
迸る彼の叫びに圧倒される。
「飾画」で綴られる言葉は、
一転して地に足がついたような現実味を帯びた様相を呈してくる。
そして、彼の煌めく言葉の輝きにはっとさせられる。
小林秀雄氏の翻訳の妙もあるのだろうが、
その言葉の美しさに立ち竦むのだ。
早々に言葉を捨てた早熟の天才。
その後、彼が見た世界はどんな色をしていたのだろうか?
内容(「BOOK」データベースより)
16歳にして第一級の詩をうみだし、数年のうちに他の文学者の一生にも比すべき文学的燃焼をなしとげて彗星のごとく消え去った詩人ランボオ(1854‐91)。ヴェルレーヌが「非凡な心理的自伝」と評した散文詩『地獄の季節』は彼が文学にたたきつけた絶縁状であり、若き天才の圧縮された文学的生涯のすべてがここに結晶している。