忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「あひるの空 42」日向武史(マガジンコミックス)



どこまで走れば、そして、どこまで跳べば限界なのだろう?
「ワシらに未来があるとは思わんでください」
この試合に勝たなければ次はない。
だからこそ、刹那に賭けるトビの言葉。
「受け入れてなるものか」
指導者として、空パパの言葉は正しい。
負けたら終わり。
単純な決め事の中で戦っている彼らにとって、
一試合一試合の持つ意味は、とてつもなく重い。
この時が続けばいい、と、どれほど切に願っても、
決着の時は必ず来る。
何がどう動いても、結果が実力。
でも、後から振り返った時、必ずそこで得た何かに気付くはず。
キラキラした彼らがとても眩しいです。

「満足したら人間フィニッシュなんだよ」
太郎ちゃんの言葉にこんなにも頷く日がくるとは(笑)
何ごとにおいても、そこで満足してしまわなければ、
どこまでも成長していくことができるのだと、私は思います。


拍手

PR

「疾走・上」重松清(角川文庫)



【あの頃には二度と戻れない。
 すべてがあの頃とは変わってしまった】

知らず、泥沼に嵌りこんでいくような負の連鎖。
絡みつくような悪意。崩壊する家族。
こうなる未来を止めることのできる術があったのだとしたら。
シュウイチに対する両親の態度にあったかもしれない。
だが、親だという理由だけでは強く在ることができない人もいる。
そして、あるがままの自分を受け入れることができなかったのは、シューイチの弱さだ。
思い詰めたシュウジを引き留めたのは、あまりにも日常的な情景。
その日常が叩き壊されてしまったことが、なんだかやるせない。
その目に宿った闇。
願った方向とは真逆へと向かってしまったシュウジの人生。
息苦しさを引きずったまま、下巻へ。

「孤立」「孤独」「孤高」この定義にはなるほど、と、納得。
既視感を感じた語り口調。
何かと思ったら丸山健二の『争いの樹の下で』を彷彿とさせられました。
誰の視点なのか、下巻で明らかになるのかな?



内容(「BOOK」データベースより)

広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化。

拍手

「薔薇の血族」夜光花(SHY NOVELS)



「修羅の道」
最後の頁まで読み切って、その言葉の持つ重さにゾクリとする。
対峙しなければならない強大な敵。
見えない裏切り者の存在。
驚くべき出生の秘密。
と、問題は山積。
薔薇騎士の総帥には興味がない。それが、啓の本音。
だが、自分と価値観の違う人を認められない者はどこの世界にもいる。
不死者との戦いだけでも大変なのに、
話の通じない権力欲に凝り固まった人間に足をひっぱられるのはやりきれない。
レヴィンとラウルの間で惑う啓。
二人に惹かれる。でも、それが愛情かどうかはわからない。
自分の気持ちに正直なところはとても好ましいけれども、
こっちはなんだかとってもやきもきします。

どちらと想いを寄り添わせるのか。
気になりすぎて最終巻に手を伸ばしたい衝動に駆られますが、そこはぐっと我慢。
大人しく次巻にいきます。


内容(「BOOK」データベースより)

十八歳になった夏、自分の運命を知った高校生の相馬啓は、一見平穏な日々を送っていた。けれど、敵の存在がある限り、薔薇騎士である啓の未来には闘いが待っていた。薔薇騎士のそばには、常に守護者の存在がある。守る者と、守られる者。両者は惹かれ合うことが運命づけられていた。啓には父親の元守護者であり、幼い頃から自分を守り続けてくれたレヴィンに、新たな守護者であるラウルという、ふたりの守護者がいる。冷静なレヴィンに、情熱のラウル。惹かれ合うこの感情は恋なのか、それとも…薔薇を持つ男たちの運命は複雑に絡み合い―。

拍手

「楽園のカンヴァス」原田マハ(新潮文庫)



【アートを理解する、ということは、この世界を理解する、ということ。
 アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ】

絵画は自らを語らない。
けれども、その絵画に込められた想いがある。
その想いがそれを汲み取った者の気持ちを揺さぶり、
時に、その者の人生を変える。
「夢をみた」
一枚の絵画に込められた謎と、その謎に翻弄される人々。
そして、語られる一人の画家の人生。
と同時に、それは、彼の周囲にいた人々の人生をも語っていたのだ。
ルソーに固執したバイラー。
その理由が明らかになった時、胸が震えました。
そんな人生も、あるのだと。
彼らの人生の物語は終幕を迎えたけれども。
ティムと織江の人生はまだこれから。
二人のカンヴァスに描かれる物語は、どんな色を織り成すのかしら?


「四百年もまえの絵が自分の目の前にある、ということは、単純に「すごい」ことだ」
一番共感したのは実はこの一文。
ルーブルで教科書の中でしか見たことのなかったレンブラントの絵を間近で見た時、
涙が溢れて仕方がありませんでした。
その理由がまさにそれ。
数百年の時間を越えて、いま、この場所に在る絵画を見ることのできる感動に、
ただ打ち震えました。



内容(「BOOK」データベースより)

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは―。山本周五郎賞受賞作。

拍手

「ろくでなし刑事のセラピスト」洸(キャラ文庫)



アダムとシン。
交互の視点で語られる物語は、お互いがどんなふうに相手に惹かれていったのか、
何故彼だったのかが、染み入るように伝わってきた。
こんなふうに実る恋もあるわよね~、と、リアルに噛みしめました。
とある連続殺人事件が主軸となって、関係を深めていくふたり。
相手の仕事と立場を尊重し、自分の職務には決して妥協しない。
惹かれる想いに翻弄されながらも、仕事ありきの関わり方がとてもかっこいい。
片足を突っ込みかけたろくでなし街道からから立ち直ったアダム。
大きな傷を抱えながらも、しっかりと前を向いて歩いているシン。
とても素敵なパートナーに出会えた二人に祝福を☆

薔薇シリーズの続刊に行く前に、何故か寄り道。
私的にはとってもお久しぶりの洸さん。
やっぱり読みやすいわ~。
祭囃子の本をせっせと買っていたのは……今残してある本を見てみたら20年近く前でした。
当時、何やってた?私(笑)


内容(「BOOK」データベースより)

過剰な捜査で停職処分中の、フィラデルフィア市警殺人課の刑事・アダム。職場復帰の条件は、カウンセリングを受けること。射撃も格闘技も一流で、解決できない事件はない。そんな俺のどこが悪い!?不機嫌を押し隠して会ったのは、若くて有能な精神科医のシン。端から治療を認めないアダムに、一見穏やかで優しげなシンは、無愛想な皮肉屋に豹変!?診察のたび、一触即発の険悪状態で―。

拍手

「逃れの街」北方謙三(集英社文庫)



【過ぎたことを考えたくはなかった。
 終わってしまったことからは、なにもはじまらない】

鮮烈な刹那。
いつか、終わりの来る明日。
けれども、いまはただ、この雪の中で今日をやり過ごしたい。
小さなぬくもりと共に。
当たり前の日常を繰り返していくはずだった。
ふいに訪れた同郷の男。
恋に落ちたと思っていた女。
そこから繰り出す歯車。
一度押されてしまった烙印。
それが誤りだったとしても。
一度噛み違えた歯車は、どこまでも噛み合わずにギシギシと軋んでいく。
幸二と過ごすことで、次第に子供らしさを取り戻していくヒロシ。
だが、二人が共にいられる時間は刻々と失われていく。
雪で覆われた軽井沢。
一切の言い訳をしなかった男の終着点。


ラストの黒木があまりにも粋すぎて、くぅぅぅ、と、痺れました。
なんだろう?
痺れすぎて上手い言葉が出てきません(笑)
あまりにもイロイロ読みすぎて、再読ではない北方現代物って、相当久しぶりに読みましたが。
キタコレ!!という北方作品に出逢いました。




拍手

「薔薇の刻印」夜光花(SHY NOVELS)



世界のすべてが崩壊し、新しい世界が構築される運命の日。
それは、彼の18歳の誕生日。
彼の意志には関係なく、定めとされていたその日から、
運命の歯車が回り始める。
啓の味わった疎外感と困惑。
背負わせるにはあまりにも酷な使命。
崩壊した世界の中で唯一変わらないもの。
それがレヴィンなのかな?
「殺してやるよ」
その言葉が、安らぎであり、約束であることが哀しい。
これまでレヴィンが辿ってきた人生を想うと、胸が苦しくなります。
運命に翻弄された結果とはいえ、
己に求められる役割を自らの意志で果たそうと決意した啓。
壮大な物語の幕開け。
ドキドキしながら一気に読み切りました。

お友達にお借りした本です。ありがとうございます♪
緻密に構築された世界観に、ガッツリ鷲掴まれました(笑)
続き楽しみ~!

内容(「BOOK」データベースより)

高校生の相馬啓は、よく不思議な夢を見る。薔薇の咲く庭と、自分に微笑みかける金髪の美貌の男。男は追いつめられ、自分に死を求めるのだ…その男は、啓が通う高校の美術講師とよく似ていた。彼は他の生徒には優しいのに啓にだけは冷たく、忌々しいものでも見るような視線を向けてくる。それなのに、彼がそばにいるだけで啓は不思議な高揚感に囚われてしまうのだ。ある放課後、怪我をした啓の手当てをしてくれた彼は、不可解な行動をとり―そしてその夜、啓の部屋を訪れた彼は、啓に強引に迫り!?守る者と、守られる者。薔薇を持つ男たちの運命の輪が回り始める―。

拍手

「すべての美しい馬」コーマック・マッカーシー(ハヤカワepi文庫)



【勇気とは変わらぬ心のことである。
 臆病者が真っ先に裏切るのは自分自身だ。
 ほかのすべての裏切りは、そのあとでやってくるのだ】

クールで大人びた16歳の少年は、
故郷を捨て、自らの意志で選んだ人生を歩み始めた瞬間から、
少年の殻を脱ぎ捨て、大人へと変容していく。
彼は誰よりも公平で、誰よりもまっすぐだった。
アメリカからメキシコへ。
自らの夢を追いかけ、頼る者のいない土地へ友と愛馬と共に移り渡った彼は、
理不尽に見舞われ、恋に落ち、刑務所に入り、そして、正義と出逢う。
男たちの荒々しさ。彼女との一夜。
耳元で感じ取れるかのような、馬の吐息の熱さと嘶き。
心理描写を排し、淡々と語られる文体から、
時に凛とした美しさを孕んだような情景が見事に伝わってくる。
そして、彼の「きたるべき世界」へと想いを馳せるのだ。

トルティーヤがとても食べたくなりました。
すべての人に受け入れられるような文体ではないのだろうけど、
個人的には妙にクセになる作家さんです。
噛みしめれば噛みしめる程、味が出てくるんだろうなぁ。



内容(「BOOK」データベースより)

1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディ・コールは、自分の人生を選びとるために親友ロリンズと愛馬とともにメキシコへ越境した。この荒々しい土地でなら、牧場で馬とともに生きていくことができると考えたのだ。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしない運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描き出す永遠のアメリカ青春小説の傑作。

拍手

「GIANT KILLING 37」ツジトモ(モーニングコミックス)



現状に甘んじるな、という、ブランの姿勢は、
厳しいけれども人間が成長するのに相応しい在り方だと思う。
A代表の中という選び抜かれた人間の中に入って、
自分の在り方を改めて突きつけられる椿。
結果を出しているからこそ、許されているんだろうなぁ、という
花森の言動が面白い。
でもその「結果を出す」ことが、どれほど大変な事か。
知っているからこそみんな一目置くのだろう。
自分にはそこで戦える力がある、という自負は、
代表の中で戦っていくためには絶対に必要なもの。
だからこそ、試合に出られなかったことで込み上げる椿の悔しさは、
彼をステップアップさせる糧になる。
次巻、楽しみ。

ストーリーはとても楽しいです。
それとはまったく次元の違う問題で……
そろそろジーノが恋しくなってきました。←大好き。(笑)
そして、一コマだけのモッチーで、テンションあがりました。





拍手

「晴天の迷いクジラ」窪美澄(新潮文庫)



【絶対に死ぬな。生きてるだけでいいんだ】

生きるって、こういうことだよなーと、思いました。
迷わずにまっすぐ道を歩いていける人も、もちろんいるだろうけど。
傷ついて、悩んで、後悔して。
いろんなことを抱えて苦しんで、一人じゃ息ができなくなって。
誰かに支えられて、それで、漸く前に進むことができる人もいる。
自分は「死んじゃおうか」と思っても、
近しい人が練炭を持っていたら、必死で止める。
そう思った瞬間から、「生きる」ことを考えている。
どこか壊れた家族。
他人の方が労わりあえる歪さが、哀しい。
だけど、寄り添える誰かがいてくれるだけで幸せなのだと。
そう思いました。

とりあえず、ガンバレ!と。
闘っていもがいているみんなにエールを送りたくなりました。
そして、自分にも(笑)

内容(「BOOK」データベースより)

デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた―。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。山田風太郎賞受賞作。


拍手

  

カレンダー

05 2025/06 07
S M T W T F S
2 3 6
8 10 11 13
15 17 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]