きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「あざやかな恋情」崎谷はるひ(ルチル文庫)
「同じ、と思える相手がそこにいるから孤独ではない」
慈英も臣も、どちらかが欠けたら自分もダメになることを知っている。
だからといって、世界が二人だけで閉じて完結するのではなく、
互いが大事だからこそ、周囲に目を向け、そこにいる人たちと良好な関係を築こうとする。
互いの存在が互いの成長を促す素敵な恋愛をしている二人だと思います。
「犯して」と口走った臣をちゃんと叱って、「やさしくする。大事にする」と抱く慈英に
キュンとしました。
この人は本当に臣が大事で、愛してるんだなぁ、と。
そして、臣もどれだけ慈英が大事で愛しているのかやさしく伝わってくる。
チラリと垣間見せる慈英の執着が、やっぱり私は大好きです(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
警部補昇進試験に合格した小山臣は、一年間の駐在所生活に突入。人気画家で恋人の秀島慈英は、先に臣の配属先の町に移住。臣もまた「きれいな駐在さん」として暖かく迎えられる。そんなある日、町に事件が起きる。それは臣の過去に関わる、ある人に繋がり…!?慈英&臣、待望の書き下ろし最新刊。表題作ほか商業誌未発表短編も同時収録。
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「ひめやかな殉情」崎谷はるひ(ルチル文庫)
社会生活を営んでいく上で何かが決定的に欠けていて、大きな歪みを抱えている慈英。
他者に関心を示さず、閉じた世界で絵を描き続けてきた彼の、
臣だけに対するまっすぐで度を越した執着がたまらなくゾクゾクする。
縛り付けるための執着というよりも、甘やかして絡みついて、包み込んで離さない。
そんな執着。やっぱりたまらない(笑)
自分のことを粗末に扱いがちな臣には、
慈英に愛されて、堺家のみんなに愛されていることをちゃんと自覚して、
自分を大事にしてほしいと思うわ。
自分は自分にしかなれない。そのことに三島はちゃんと気づくかな?
二人のどうしようもなく幸福な時間がいつまでも続きますように☆
内容(「BOOK」データベースより)
刑事の小山臣が新進気鋭の画家・秀島慈英と恋人同士になって4年、同棲を始めて1年が過ぎた。幸せではあるが、画家としての地位を確立していく年下の恋人に、自信を持てない臣。そんな二人の前に慈英の大学時代の友人・三島が現れ、慈英につきまとう。不安を感じる臣だったが…。慈英&臣、待望の書き下ろし最新刊。表題作ほか商業誌未発表短編も同時収録。
「キネマの神様」原田マハ(文春文庫)
とても素敵な物語だった。
人と人との縁、親子の絆、人生の再生。
たくさんの映画と共に語られるのは、今を生きる人たちの物語。
彼らの人生が、やさしくてあたたかな視点で語られている。
そして改めて思のは、年齢も立場も国籍も関係なく、
ネットを介してたくさんの人たちと交流することができるブログの力。
マイナス面も取りざたされるけれども、プラス面を最大限に評価したい。
もしも叶うなら、ブログで友情を育んだ二人を会わせてあげたかった。
全体的に漂う雰囲気は、どこか懐かしさを感じる古き良き時代。
この心地よい雰囲気に暫し浸っていたい。
蛇足だけど……
結婚式の入場曲はカーリー・サイモンの「LET THE RIVER RUN」と
勝手に決めている(笑)私には、
最初に出てきた映画のタイトルがワーキングガールだったことにニヤリ。
最近映画を観ることがめっきりなくなって、
自分は映画には興味ないのかと思っていたけれども、
取り上げられた映画の八割方観ていたことに驚きました。
いつから足が遠のいちゃったのかな?
内容(「BOOK」データベースより)
39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることに。“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。
「ブライト・プリズン 学園の禁じられた蜜事」犬飼のの(ホワイトハート)
特権的な立場にあるが故の特別な待遇。
それを幸運と享受するには、薔の性格はあまりにもまっすぐで、
悩んだ挙句に周囲を巻き込んで振り回してしまう。
結局、薔の悩みは独りよがりの悩みで、誰の気持ちも考えていない。
でも、そうさせてしまったのは常盤にも責任がある……んだよなぁ。たぶん。
想いを貫く為の一芝居が痛々しかった。
現実を呑みこんで、強く在ろうとする薔の今後の成長が気になる。
徹底した世界観の描き方は相変わらずうまくて、のめり込んでしまう。
そして、皆が痛みを抱えていて、やりきれない。
密かに風雅がお気に入りの私にはドキドキの展開で……次巻!いつですか!?
内容(「BOOK」データベースより)
龍神の寵を受けながら、その事実を隠し通さなければならない陰神子の薔は、竜虎隊隊長・常盤の恋人として、切なくも甘い学園生活を送っていた。しかし、月に一度の儀式が近づくと、二人の身辺に暗雲が垂れ込める。入院中だった神子候補生・白菊の復帰。そして常盤の昔の恋人である椿の暗躍。翻弄され思い悩んだ薔が下した決断は、常盤との間に歪みを生じさせるもので!?学園という名の牢獄で、少年たちは愛に囚われる―。
「川の深さは」福井敏晴(講談社文庫)
【安い命なんてないんだ。
おまえはもう、ひとりじゃないんだぞ!】
保の痛々しいまでのまっすぐさと頑なさ、そして一途さに
ただひたすら感情を抉られ、揺さぶられつづけた初読の時。
今回は、保と出会うことによって人生に対する活力や彩りを取り戻していく桃山や、
己の人生を力強く生き抜こうとする金谷に気持ちが傾倒した。
歳のせい?(笑)
桃山が変わったように、保もまた、桃山に感化されるように、
人間らしさを取り戻していく。
保が桃山の名前を呼ぶシーンには涙を誘われずにいられない。
人は独りでは生きられない。
想いを託すことのできる誰かがいるからこそ、強く在れる。
ダイス誕生秘話、ともいうべき本書。
日本という国のありようも考えさせられた。
内容(「BOOK」データベースより)
「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。
「しなやかな熱情」崎谷はるひ(ルチル文庫)
【うつくしくて、少し歪んで、でも、すべてがいとおしい】
素直じゃないくせに素直。
臣のことを端的に表している言葉。
けれども、慈英に惹かれれば惹かれるほど、その素直さが欠けて行く臣の様が痛々しい。
愛することに臆病で、愛されることに不慣れで。
それでも慈英を欲する心と身体。
臣のすべてを受け止めるために慈英の下した決断は
とても度量が広くて、大人だなぁ……と思ったんだけど。
でも、やっぱり言葉が足りてなかったんだね。
優しさと切なさと痛みと愛情。いろんな心情に心が揺さぶられました。
だんだんと惹かれあって、想いを通わせていく二人の心情の描き方が、崎谷さんは本当にうまい。
恋愛っていいなーと、改めて思いました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
画家の秀島慈英は、初めての個展に失敗し傷心のまま訪れた先で、刑事の小山臣と出会う。綺麗な容姿に似合わず乱暴な口をきく臣と会うたびに心を奪われていく慈英だったが、この感情が何なのかはわからない。ある日、偶然目撃した事件のせいで狙われ怪我をした慈英に、臣は思わず迫るのだが…!?ノベルズ版と商業誌未発表作品を大幅加筆改稿で待望の文庫化。
「ザ・ロード」コーマック・マッカーシー(ハヤカワepi文庫)
【絶対に忘れないからね。なにがあっても】
滅びゆく世界の極限状態の中で、飢えをしのぎ、寒さと戦い、
南へ、ただひたすらに南へと向かう父と息子。
そこに楽園があるとはとても思えない終末世界。
だが、希望を失うことは、生きることを諦めること。
だから二人は歩き続ける。
そのぬくもりを分かち合い、少ない食料を等分し、互いを自らの生きる寄る辺として。
人が人であることをやめてしまったような荒れ果てた世界で
他人を思いやる純真さを失わない少年。
そして父もまた、あたたかな大地のような愛を失ってはいない。
ふたりの在り方があまりにも私の知る人間らしくて。
淡々と描かれる二人の姿に、父の愛と息子のやさしさに、胸が締め付けられた。
内容(「BOOK」データベースより)
空には暗雲がたれこめ、気温は下がりつづける。目前には、植物も死に絶え、降り積もる灰に覆われて廃墟と化した世界。そのなかを父と子は、南への道をたどる。掠奪や殺人をためらわない人間たちの手から逃れ、わずかに残った食物を探し、お互いのみを生きるよすがとして―。世界は本当に終わってしまったのか?現代文学の巨匠が、荒れ果てた大陸を漂流する父子の旅路を描きあげた渾身の長篇。ピュリッツァー賞受賞作。
「本日は大安なり」辻村深月(角川文庫)
同じ式場で同じ日に結婚式をあげることになった四組のカップル。
視点を次々と変えながら、それぞれの歩んできた人生を
とても上手く興味深く描いている技量はさすが。
そして描かれている人物達が相変わらずリアル。
共感できる出来ないはおいといて、「わかるわー」とその在り方を納得させられてしまう。
式が進行していくにつれ、彼は彼女を、彼女は彼を
とっても大好きなんだなぁ、という気持ちが伝わってきて幸せな気持ちになれる。
一組例外はあるけど、そこはまぁ、しっかり報いは受けたからね。
「人を殴りに来た」と言った彼が、全く変わっていなかったのが嬉しかった。
皆様、お幸せに☆
内容(「BOOK」データベースより)
11月22日、大安。県下有数の高級結婚式場では、4月の結婚式が行われることになっていた。だが、プランナーの多香子は、クレーマー新婦の式がつつがなく進むか気が気ではない。白須家の控え室からは大切な物がなくなり、朝から式場をうろつくあやしい男が1人。美人双子姉妹はそれぞれ、何やらたくらみを秘めているようで―。思惑を胸に、華燭の典に臨む彼らの未来は?エンタメ史上最強の結婚式小説!
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・ディック(ハヤカワ文庫F)
アンドロイドを狩ることを生業とする賞金稼ぎ、リック。
8人のアンドロイドを狩る仕事にとりかかった彼が次第に陥っていく孤独と迷いが痛々しい。
アンドロイドを「個人」として知れば知るほど、彼らに寄り添ってしまう苦悩。
相手を「物体」と認識するか「個体」と認識するか。
迷いなく銃を撃てるか撃てないのかの違いはそこにあるのだろうか?
そしてそれは、彼が人間であるが故の迷いと揺らぎだ。
人と外見上では見分けのつかないアンドロイドを製造しながら、
彼らを見分けるためのシステムを作り出す矛盾。
それもまた、ひどく人間らしい矛盾だと思う。
論理的に説明のつかない「感情」は、人間らしさの最たるものだと思う。
喜怒哀楽。数多ある感情に、個人的には大いに振り回されていたい。
商品説明
長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。そのため異星での植民計画が重要視されるが、過酷で危険を伴う労働は、もっぱらアンドロイドを用いて行われている。また、多くの生物が絶滅し稀少なため、生物を所有することが一種のステータスとなっている。そんななか、火星で植民奴隷として使われていた8人のアンドロイドが逃亡し、地球に逃げ込むという事件が発生。人工の電気羊しか飼えず、本物の動物を手に入れたいと願っているリックは、多額の懸賞金のため「アンドロイド狩り」の仕事を引き受けるのだが…。
「武装酒場の逆襲」樋口明雄(ハルキ文庫)
「武装酒場」の続編。
個人的には前作の方が単純に笑えて面白かった。
というか、今回の騒動の原因がシリアスになってしまったから、
単純に楽しい感情だけを追いかけられなかった。
とはいえ、酒に呑まれた酔っ払いたちは健在。
いろんなものがスケールアップしてしまった話の中で、
プロフェッショナルすごい!と、思わず拍手。
その道のプロは、手際よく穴を掘れたり、電気をひっぱってきたり、
いろんなトラップしかけちゃったりできるものなのね。
ラスボスにとどめを刺したヨーコさんには、同じ女子として喝采を送りたいと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
阿佐ヶ谷ガード下の居酒屋“善次郎”に転がり込んできた十六歳の美少女は、かつての常連客の娘だった。路上で父が殺された現場を目撃した少女の口を塞ごうと、異様な防護衣スタイルで店を包囲した謎の暗殺部隊。店にたむろするユニークな酔客たちは、たったひとりの少女を守るために再び立ち上がる。もてる知力と体力、勇気、そしてアルコールの力となけなしの幸運を最大の武器として!さらにパワーアップした“武装酒場”の続編がここに登場!「今度は戦争だ!」。