きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「わたしのノーマジーン」初野晴(ポプラ文庫)
【自分の力では決して抗えない、一方的に与えられた不完全な存在】
やさしさと純粋さと無知ゆえの残酷さと。
寂しさと、孤独と、不器用な愛情と。
とても切ない感情を抱えた、不完全な存在、ノーマジーンとシズカ。
ぎゅっと抱きしめたくなりました。
あなたたちは悪くない。
だから、ここにいていいんだと。
たとえそれがどんなに残酷な真実だったとしても、
シズカがあのタイミングで真実を知り得たことは、多分、必然だったのだと思う。
シズカの変化に戸惑うノーマジーンに理不尽な感情をぶつけてしまっても。
不自然にしか笑うことができなくなってしまっても。
会えてよかった。その言葉には嘘はない。
「行かないで」
それは、終わりのはじまり。
枯れるまで泣いた後には、きっと心から笑いあえるに違いない。
最近涙腺が決壊しているのか、途中から文字を追うのがタイヘンでした。
素敵なお話に出会えました。
やっぱり初野さん好きだなー。
内容(「BOOK」データベースより)
終末論が囁かれる荒廃した世界―孤独に生きるシズカの前に現れたのは言葉を話す不思議なサルだった。シズカを支えるためにやって来たという彼の名は、ノーマジーン。しかしその愛くるしい姿には、ある秘密が隠されていた。壊れかけた日常で見える本当に大切なものとは。
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「ロッセリーニ家の息子 共犯者」岩本薫 ルビー文庫
本編その後。三組の恋人たちのそれぞれの後日談。
最初から最後までほのぼのしくて甘い短編集で、幸せがたくさん詰まっている感じ。
舞台は日本とシチリアと、それぞれだけど、
時間軸がリンクしている部分もあって、楽しく読めました。
ストーリーももちろんだけど、蓮川さんの挿絵にはホント眼福。
歳の差カップル、マクシミリアンのルカに対する過保護っぷりには笑ってしまった。
礼人からエドゥアールへの休日リクエストも可愛い。
レオと瑛、長男カップルの安定っぷりは半端ないよね。
三組三様のクリスマス。
なんだかとっても癒されました☆
内容(「BOOK」データベースより)
シチリアのマフィア一族・ロッセリーニ家の三兄弟・レオナルド、エドゥアール、ルカ。そして、彼らの恋の共犯者である瑛、礼人、マクシミリアン―。運命的に出会い恋に堕ちた彼らが、大切な人と初めて過ごす聖なる夜を描いた表題作の他、それぞれの恋のエピソードを描いた珠玉の短編を収録!岩本薫が贈る大人気単行本「ロッセリーニ家の息子」シリーズ文庫化第4弾。文庫化特別企画として3カップル勢揃いのパラレル短編を書き下ろした、ファン必見の一冊!
「フランキー・マシーンの冬 下」角川文庫 ドン・ウィンズロウ
【おれの愛する人生は、もうこの手には戻らない】
たぶん、わかっている。
平穏な時間はもう戻らない。
たとえ生き延びたとしても、フランクの愛した人生はもう、戻ってはこない。
過去が、彼を忘れてはくれなかった。
過去に怯える人たちが、彼をそっとしておいてはくれなかった。
フランクには誰を陥れるつもりもなかったのに。
誰が何故自分を殺そうとしているのか?
過去を思い起こしながら、襲い来る猛威を跳ね除け、今を闘うフランキーの哀しい呟き。
「すべてのものをひとつづつ奪われていく人生」
だが、紳士の時間を共にした友は、最後まで友だった。
一度使った銃は破壊して捨てる。
殺し屋になるつもりはないけど(当たり前)お勉強になりました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
何者かの罠にはまり姿をくらました伝説の凄腕“フランキー・マシーン”を、マフィアの刺客がつけ狙う。20年来の友人、連邦捜査官のデイヴ・ハンセンも重要証人の殺害容疑でフランクの逮捕状を取った。じりじりと包囲網が狭まる中で、フラッシュバックする記憶をふるいにかけるフランク。誰がなぜ、彼を消そうとしているのか。だが容疑者のリストはあまりに長く、残された僅かな時間は尽き果てようとしていた―。黄昏の元殺し屋に仕掛けられた罠。鬼才、円熟のクライム・ノヴェル。
「あめの帰るところ」朝丘戻。(ダリア文庫)
【今日も好きだった。明日も大好きだよ】
やさしくて、透明で、繊細で。
どこまでもきれいであたたかな想い。
相手を思いやる気持ちが切なくて。
愛しさを伝えられないことが切なくて。
それでも、相手にとっての最良を願う気持ちが切なくて。
涙で文字が追えなくなって、つっかえつっかえ読んだのは本当に久々。
人として何かが欠けていた能登が、社会性を身に着けていったのは、千歳の存在あってこそだ。
在るがままの自分。
ただその存在を無条件で受け止めてくれる人と出逢えた奇跡。
記憶を失ってもなお、能登を求めた千歳。
反芻するだけで、しばらく涙腺決壊しそうです。
初読の作家さんだったけど、出会えてよかった!
内容(「BOOK」データベースより)
「離れたくないって想ったら、寂しくなったよ」そう告げたのは、飄々として不躾で、どこか寂しげな予備校講師の能登先生だった。高校生の千歳は、優しすぎる彼の恋心に翻弄されながらも、幸福な時間を積み重ねた。ふたりきりの教室、一緒に見た花火、朝焼け…。けれど、それは一瞬にして千歳の中から消失した―…。恋を初めて知った能登と、恋を忘れた千歳の抗えない想いは…。
「フランキー・マシーンの冬 上」ドン・ウィンズロウ(角川文庫)
【サーフボードで海に出て、ただパドリングをしていたいと思った。
ひょっとすると、大波に揉まれて、罪が洗い流されるかもしれない】
日々の仕事を真面目にこなし、サーフィンを楽しみ、魅力的な恋人と愛を語らい、
別れた妻や娘に対する配慮も忘れない。
地元のみんなに愛され、頼られる存在であるフランク。
けれども。
そんな彼の平穏な一日が、ある日突然瓦解する。
差し向けられる殺し屋。狙われる命。
それは、凄腕の殺し屋だった彼の過去に起因するものなのか、
現在進行する、何者かの陰謀によるものなのか。
遺体がメキシコではなくアメリカに流れ着いたとき、思わず声を漏らしてしまった。
過去と現在を行き来する物語。
黒幕は誰なのか?誰が敵で味方なのか?
全く読めない展開に、ワクワクしながら下巻へ。
内容(「BOOK」データベースより)
フランク・マシアーノはマフィアの世界から足を洗ったつもりだった。地元サンディエゴで釣り餌店をはじめ複数のビジネスを営むかたわら、元妻と娘、恋人の間を忙しく立ち回り、“紳士の時間”にはサーフィンを楽しむ62歳の元殺し屋。だが“餌店のフランク”としての彼の平和な日々は、冬のある一日に突然終わりを告げる。過去の何者かが、かつて“フランキー・マシーン”と呼ばれた凄腕の存在を消し去ろうとしていた―。
「ロッセリーニ家の息子 捕獲者」岩本薫(ルビー文庫)
仕事と恋愛の両立。
私の好みのシチュエーションな上に、エドゥアールがとっても素敵なので、
シリーズの中では一番好きな話です。
そして10年愛。
繰り返した擦れ違いの末に、偶然の再会で成就する想い。
ホテルにまつわるあれこれも興味深く読めたし、
エドゥアールと礼人が想いを通わせるまでのやりとりもよかった。
そして何より、書き下しが!!良い!!
好奇心旺盛なエドゥアールが可愛かったのとかっこよかったのと、
礼人との甘くて濃密な時間がご馳走様だったのと……はい。大満足でした。
蓮川さんのイラスト、本当に素敵です。
孔雀×オリエンタルビューティー……とは、言い得て妙な組み合わせです☆
内容(「BOOK」データベースより)
礼人が勤務する老舗ホテル『カーサホテル東京』がイタリアのロッセリーニ・グループに買収された。カーサの流儀を守り抜くことを心に誓う礼人だったが、新しくやってきたクールな美貌のボスはエドゥアール・ロッセリーニ―かつて礼人が一夜の過ちを犯した相手だった。予期せぬ再会に心を揺らす礼人とは裏腹に、エドゥアールは昔のことなどまるで記憶にないかのように礼人を改革の片腕にと望んできて―。人気シリーズ文庫化第3弾、書き下ろし2編同時収録!
「ロッセリーニ家の息子 守護者」岩本薫(角川ルビー文庫)
ロッセリーニ家の三男、箱入り息子のルカ。
そのお目付け役のマクシミリアン。
歳の差15歳。
ルカに恋情を抱きながらも、大人の理性で自らを律し続けたマクシミリアン。
とある出来事をきっかけに、その箍が外れてしまうことを恐れ、
想い人から離れようとした彼に向けて放たれた
「おまえ以外なにもいらない」というルカの言葉。
自分からはルカに手を伸ばすことができなかったマクシミリアンの、
その後の溺愛っぷりが良い(笑)
知的にみせて実は武闘派。
クールにみせて、実は愛したがり。
そういうギャップ、私は大好きです。
本編その後の蜜月っぷりは、微笑ましい限りで……うん。お幸せに☆
内容(「BOOK」データベースより)
厳格な家を出るため母の生まれ故郷である日本への留学を切望していたシチリアのマフィア・ロッセリーニ家の三男・ルカ。留学を許可する代わりに兄から出された条件は、長兄の補佐役で、幼い頃のルカの世話役だったマクシミリアンを同行させることだった。規律に忠実で融通のきかない彼との同居生活に鬱憤を募らせたルカは、ひそかに独立を計画するが、裏ではルカを狙った組織の手がその身に迫っていて―待望のシリーズ文庫化第2弾、書き下ろし2編同時収録!
「欲望」小池真理子(新潮文庫)
あまりにも美しく、あまりにも狂おしく、そしてあまりにも切ない物語。
彼らのあり様は刹那で醜悪で、だが、におい立つように香しく崇高ですらある。
動から静へ。
時の流れと共に移り変わっていく女の人生が描かれた物語。
と、同時に、そこには彼女を取り巻く人々の人生も紡がれている。
彼らの人生を読み進める中、濃密な官能の中で翻弄され、
押しつぶされそうな胸苦しさに掻き乱される。
そして気づけば、溢れ出る涙に途方に暮れる自分がいる。
彼女の編み出す物語世界の緻密さ、紡がれる言葉の美しさに雁字搦めになってしいまっている。
そしてため息。
しばらくこちら側に帰ってこれそうにもありません。
内容(「BOOK」データベースより)
三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強くひかれてゆく。しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ―。切なくも凄絶な人びとの性、愛、そして死。小池文学が到達した究極の恋愛小説。
「ロッセリーニ家の息子 略奪者」岩本薫(ルビー文庫)
「俺たち、お互いを誤解していたんだな」
いや、違う。
キミたち(主にレオ)に足りないのは言葉だよ!と、思わず突っ込み。
誤解以前の問題(笑)
自らの意志の介入しないところでシチリアまでつれてこられた瑛。
意に沿わない処遇を受けながらも、その状態に決して屈しなかった彼が
レオに啖呵切るシーンはすっとしました。(そのあとが散々だったけど)
孤独に身を置いてきたレオは、ずっと見守り続けてきた瑛を決定的に失うことが怖くて、
彼の気持ちを明確にすることが怖くて。
言葉が足りていなかったのかなぁ、と、勝手に解釈。
レオの真意がわからないからこそ、
流されまい、ほだされまい、として足掻く瑛は好感が持てました。
終身契約上等!お幸せに☆
内容(「BOOK」データベースより)
早瀬組組長の息子という出自を隠して暮らしていた瑛は、ある日突然現れたイタリアのマフィアの首領レオナルド・ロッセリーニによって、シチリアに連れ去られてしまう。理由も告げず、貴族の館に軟禁し、束縛しようとするレオナルドの身勝手で理解不能な行動に反発する瑛。しかし、ロッセリーニ家にはかつて自分を捨てた母との思わぬ繋がりがあると知り…!?岩本薫が贈る人気単行本、待望の文庫化!大ボリュームの文庫版限定書き下ろし2編を同時収録。