きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「名前探しの放課後 下」辻村深月(講談社文庫)
誰かのために一生懸命になれること。
誰かの言葉を信じられること。
そして、目の前のことに全力で取り組むことのできるひたむきさ。
伝わってくる登場人物一人一人の気持ちがとても心地よくて、暖かな気持ちになれる。
そんなストーリーでした。
自力では手に負えない部分は、無条件に甘えるのではなく、
対価として労働力を提供したうえで大人の手を借りているところも好印象。
読後の叫びはうまいなー、と、もったいないなーと、この二言に尽きました。
伏線の張り方とか、10代の子たち特有の人との繋がり方とか揺れる心理とか。
そういうのの描き方はとても上手いなーと思う。
もったいないのは……この本だけだと、多分最後に???ってなること。
『ぼくのメジャースプーン』を事前に読んでることが必要条件。
(できれば『凍りのくじら』も)
続編とかシリーズとか。そんなふうになっていれば親切なのになーと思います。
とはいえ。
とてもキレイに着地したなー、というお話でした☆
内容(「BOOK」データベースより)
坂崎あすなは、自殺してしまう「誰か」を依田いつかとともに探し続ける。ある日、あすなは自分の死亡記事を書き続ける河野という男子生徒に出会う。彼はクラスでいじめに遭っているらしい。見えない動機を抱える同級生。全員が容疑者だ。「俺がいた未来すごく暗かったんだ」二人はXデーを回避できるのか。
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「名前探しの放課後 上」 辻村深月(講談社文庫)
過去に抱えた傷やコンプレックス。
スクールカーストめいた歪んだ位置づけに基づく劣等感や、少し勘違いした優越感。
弱者と強者。凡人と優等生。陰湿ないじめ。
高校生の抱える心の惑いや揺らぎ、仲間意識。
そんな、10代特有の様々な想いが、リアルに伝わってくる。
辻村作品が胸に響くのは、そんな彼らの繊細な想いが理解できてしまうから。
「名前探しの放課後」
近い未来に自殺するであろう誰かを懸命に探すいつかたち。
今後の展開にドキドキしながら下巻を手にしています。(既読なんですけどね>笑)
内容(「BOOK」データベースより)
依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。
「春狂い」宮木あや子(幻冬舎)
ひと言で言うならば……壮絶。
かの少年と少女はなんて息苦しい世界で生きていたのだろう?
壱話と弐話を読んだ時点では独立した短編の連作?と思わなくもなかったけど、
参話から六話まで点が線で繋がっていく展開は見事。
人間の強さと弱さ。愛と妄執。人と人との関係性。
文章を追いながら胸に迫るのはそういったものの在り方だった。
初読の時の印象はただひたすら綺麗な世界が描かれていると思っていた。
再読してみると、人間の抱える歪さやゆがみに目を背けたくなる。
その中でもまともな大人である結城や前原のような存在は救いだった。
「支配と暴力と痛みの中に絶望以外の感情を生み出すことができること。
即ち、それが、人としての本来の強さ」との記述が印象的。
個人的にはこれが真理……というか、真理であってほしいと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
生まれながらにして、人を狂わすほどの美しさを内包していた一人の少女。男たちの欲望に曝され、身体を穢された美少女が、桜咲く園で望んだ未来とは―。窓の外で桜の花びらが突風に巻き上げられている。放課後の教室、私は教師の前でスカートをたくしあげる。「私をあと二年、守ってください」。制服の下に隠された、傷だらけの少女の秘密。
「時の渚」笹本稜平(文春文庫)
【現実は苦い。ときには過酷なものだ。
だが、俺はそれを受け入れる。
その運命を生きる以外に真実は存在しないからだ。】
生き別れの息子を探し出すことを依頼された元刑事の私立探偵。
その瞬間からまわり始めたのは、真実を暴き出す運命の歯車。
あまりにも淡々と進む前半に、このままいくわけないよなぁ、と、
穿った読み方をしながら頁をめくっていくわけですが。
終盤に向けて明かされていく事実には、
何とも言いようのない悲哀と感動で涙腺が崩壊しました。
親子って、親子って……うわーん。
親から子への愛情。子から親への愛情。
胸の内から自然とこみあげる愛情は、とても深くて純粋だと思う。
もはや語り合うことのできない人からの手紙。
綴られた茜沢の父からの言葉が胸に響く。
返したい言葉を伝えることができない人への想いに押しつぶされそうになった茜沢を救った松浦老人の言葉。
しばらく浸っていたい余韻の残る本でした。
内容(「BOOK」データベースより)
元刑事で、今はしがない私立探偵である茜沢圭は、末期癌に冒された老人から、35年前に生き別れになった息子を捜し出すよう依頼される。茜沢は息子の消息を辿る中で、自分の家族を奪った轢き逃げ事件との関連を見出す…。「家族の絆」とは何か、を問う第18回サントリーミステリー大賞&読者賞ダブル受賞作品。
「七王国の玉座〔改訂新版〕上」ジョージ・R・R・マーティン(ハヤカワ文庫)
【孤独でいなくてはならないなら、孤独を甲冑にしてやろう】
スケールの大きさに圧倒され、気づけばのめり込む様に読んでいました。
登場人物の多さに、最初は読むペースが亀の歩みに……でも読み飛ばさなくて正解。
何度も確認しながら人物関係を把握したあとは一気に読み切りました。
約700頁のボリュームを読み切ってもまだ序章のこの物語は
中世のヨーロッパを彷彿とさせる壮大な歴史絵巻。
生れたついた家によってそれぞれの業を背負って生きる子供たち。
その子供のことを思い心を痛める、或は狂気に走る母親。
権力欲と陰謀に塗れる大人たち。
家臣の言葉に耳を傾けることのできない王の統治する王国は傾くと思うんだけどなぁ……
身内には甘くとも、他人には信じられないくらい冷酷になれる。
これも人間の業なのかな?
欲に塗れた大人はともかく……
覇権をめぐる争いに巻き込まれた子どもたちの未来がどうなっていくのか。
今後の展開が気になります。
久々にガッツリ読み応えのある本に出会いました!
内容(「BOOK」データベースより)
ウェスタロス大陸の七王国は、長い夏が終わり、冬を迎えようとしていた。狂王エイリスを倒し、ターガリエン家から“鉄の玉座”を奪って以来、バラシオン家、ラニスター家、スターク家ら王国の諸候は、不安定な休戦状態を保ってきた。だが、ロバート王がエダード・スタークを強大な権力を持つ“王の手”に任命してから、状況は一変する。それぞれの家の覇権をめぐり様々な陰謀が渦巻き…。ローカス賞に輝く歴史絵巻、開幕。
「白バラが紅く散るとき」フィンケ(講談社文庫)
【御言を行う人になりなさい。
ただ聞くだの者となってはいけない。】
高校生の時に読んで大きな影響を受けた本の一冊。
当時の私はドイツ国内にヒトラーに抵抗した組織があったことを知らなかった。
そんな組織を担ってたのが自分とそんなに歳の変わらない青年たちであったこと、
そして、そんな彼らの中にゾフィーという女性がいたことに大きな衝撃を受けた。
地下活動に至るまでの思考や行動も然ることながら、
逮捕され、死刑を宣告されながらも、毅然とした態度で仲間を庇い、
己の正義を信じ、凛として死に臨んでいった彼らの存在は
平和な毎日をのんびり謳歌していた私にはとても衝撃的なものだった。
彼らと同じことができただろうか?と、問うことには意味がない。
時代が違うし、置かれた状況が違う。
それでも、考えずにはいられなかった。
自分だったら……?と。
いろんなことを考えさせられた青春の一冊。
内容(「BOOK」データベースより)
自由で開放的な家庭に育ったゾフィーは、読書や絵をかくことが好きなふつうの少女でした。ヒトラーの独裁政治下、尊敬する兄ハンスの学ぶミュンヘン大学へ進んだ彼女は、兄とともに地下からビラをもってナチスに抗し、その抵抗の代価を命で支払わねばなりませんでした。姉や友人の話、手紙、日記、写真によってわずか21歳の生命を清冽に生きた女性の生き方を描く感動のノンフィクション。
「自家恋愛中毒」モンデンアキコ(花音コミックス)
【僕を必要としてくれるおまえが必要だ】
モンデンさん好きーー!!!
いや、違うか。彼女の描く絵が問答無用で大好きです☆
元人気ホスト(秀臣)×美形デイトレーダー(由希哉)と
肩書は派手な二人だけど、話はとても堅実だったと思う。
帯の煽り軽すぎ(笑)
義父を看取り、家を守りながら秀臣を待ち続けた由希哉。
自分の気持ちから目を逸らさずにしっかりと向き合ってい行く秀臣。
頼もしすぎるラーメン屋のおっちゃん。
そして二人の母の良美さん。よくぞ秀臣の背中を押してくれました!
二人の告白シーンがすごく好き。
ドラスティックな展開ではなく、毎日繰り返される日常が想像できる人間模様に、
読後、気持ちが穏やかになる恋愛漫画でした!
二人の経営するカフェ……行ってみたいよね。
「ぼくのメジャースプーン」辻村深月(講談社文庫)
【これはぼくの闘いだ】
主人公の「ぼく」が自分の持つ特別な力をつかって、
同級生の女の子の心とうさぎを壊した男と対峙する物語。
その能力を正しく使うべく、同じ能力を持つ先生から力の使い方についてのレクチャーを受けるぼく。
必然的に読み手も一緒に対話を繰り返していくことになるわけで、
それが、若干くどいなーと、感じる部分もあるんだけど、
その過程があるからこそ、ぼくの下した決断に衝撃を受けることになる。
社会的には罰せられることのなかった男と対峙した、小学校四年生男子の覚悟と決意に。
そして衝撃と共にやるせなさにで胸が痛くなる。
一生懸命ふみちゃんのことを気遣っていたぼくだって、傷ついていないはずがなかったのだ。
「よくがんばりました」
先生からのその言葉は、ぼくにとって救いだったと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に一度だけ。これはぼくの闘いだ。
「凍りのくじら」辻村深月(講談社文庫)
【ねぇ、本当に大事なものがなくなって後悔して、どうしようもなくなって。
そうなった時、私はそれに耐えられるかなぁ?】
まさにSF。Sukoshi Fusigiな物語。
大人になる直前の、大人になりきれないこどもたち。
少し不完全な彼らの少し不安定な心が、彼らの感性や言葉で紡がれた物語。
彼らと同じような年代の子どもたちの誰もが、
居場所やよりどころを求める気持ちを抱えていて、
今の自分の居場所に違和感を感じている。
それでも、いつか気づくのだと思う。
いま自分のいる場所こそが、がかけがえのない場所だということに。
生きている居場所を与える光が誰のもとにも届くことを願います。
内容(「BOOK」データベースより)
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき―。
「三日間の幸福」三秋縋(メディアワークス文庫)
【「あなた、永遠になりたくないの?」
「俺がいない世界で俺が永遠になっても、何も嬉しくありませんよ」】
寿命を売らずに気付けたら或は手に入れられたら良かったのになぁ……という出会いと幸福の物語。
それを言ってしまうと物語の根本が成り立たなくなっちゃうわけだけど。
でもね、どうせなら30日とか3日とか。期限切られずに笑っていたいじゃん!!
と、思うわけですよ。
とはいえ。
前半部、思わず眉をひそめてしまったのは、痛いところを抉られたから。
思い当たる節がないわけじゃないから。
うん。
人生って山あり谷ありだよね。
後半部は目に見えないはずのミヤギの存在が周囲に受けいられていく様子が微笑ましくてよかった。
そして語られることのない彼らの三日間。
彼らにとっては間違いなく価値のある幸せな三日間だったんだろうけど。
この世界に生まれ落ちた人として、やるせないものを感じずにはいられない。
内容(「BOOK」データベースより)
どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。