きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「空飛ぶタイヤ 下」 池井戸潤(講談社文庫)
【しかし、期待したものをすべて失った今、この状況を打開できるとすれば
自分しかいないのだということを、あらためて赤松は悟ったのだ。】
社員のため。家族のため。
巨大な力に決して屈せず、戦い続けた赤松に差し掛かる光。
赤松を見捨てた銀行。救いの手を差し伸べた銀行。
見限った人たち。支えになってくれた人たち。
腐敗組織の中にも杉本や沢田や小牧のように、社の現状をなんとかしようと模索する人たちがいる。
そしてもはや組織にとって害悪でしかなかった悪しき連鎖の中にいた幹部たち。
皆、同じ人間。
人は間違う生き物で、完璧を望むことは酷だけれども。
正しく在りたいと願うことはできると思う。
誰も傷つけることなく、ただ、正しく在りたいと。
諦めずに奔走した赤松の努力が実って本当に良かったと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
事故原因の核心に関わる衝撃の事実を知り、組織ぐるみのリコール隠しの疑いを抱いた赤松。だが、決定的な証拠はない―。激しさを増すホープグループの妨害。赤松は真実を証明できるのか。社員、そして家族を守るために巨大企業相手に闘う男の姿を描いた、感動の傑作エンターテインメント小説。
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「空飛ぶタイヤ 上」 池井戸潤(講談社文庫)
【不正やミス、欠陥は、指摘されたら負けだ。
そうなる前に自ら公表し、謝罪しなければ手ひどいしっぺ返しが来る。】
リコール隠し。
顧客あっての会社ということを理解できないお馬鹿さんによって、多大な迷惑を被った人がいる。
会社を守るためになすべきことはリコールを隠すことではなく、公開すること。
起こってしまったことはなかったことにはできない。
大きな事故や過失につながる前にそれをどう対処するかということが、
上に立つべき人間の手腕と資質の見せ所だと思うんだけどなー。
歯がゆい思いを抱えながら下巻へ……
内容(「BOOK」データベースより)
走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃した。ホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追及する赤松の前を塞ぐ大企業の論理。家族も周囲から孤立し、会社の経営も危機的状況下、絶望しかけた赤松に記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。
「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦(角川文庫)
【かつて私が愛し、そのくせ罪深くも捨てた本が、今また私の手の中にあるという不思議。
これはもう古本市の神様のおかげ以外のナニモノでもないでしょう。】
彼女に近づくために「人事を尽くした」先輩と、そんな先輩のすべての苦労は偶然の産物の「何かの御縁」で済ませてしまった彼女と。
先輩、報われないなーと想いつつ、恋愛ってそれでいいんじゃないの?という微笑ましさ。
欲する人が頑張るのが道理だよね。(笑)
くるくるとした万華鏡やきらきらとしたカーニヴァル。
そんなイメージを彷彿とさせながら、古風な文体で語られていく物語。
奇想天外な人々が次々と登場し、広げに広げた風呂敷が
きちんと折りたたまれて収束していく様はお見事。
出逢いって出逢いを呼ぶのね。
不思議な世界でほっこりした気持ちになれる物語でした☆
内容(「BOOK」データベースより)
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。
「空の中」 有川弘(角川文庫)
【夢の中で何度も何度もやり直す。
二度とは戻れない、通り過ぎてしまった分岐を。
夢の中で理想的にやり直し、心から安堵して喜んで、そして目覚めて絶望を知る】
後悔、という言葉の意味を。痛みを。改めて突きつけられた本だった。
一度してしまったことは、なかったことにもやりなおすこともできない。
それが間違えていることだったらなおさらで、赦しを得ることができなければ、
その罪を生涯背負っていかなければならない。
自分が間違っていることを知っていて、それでもそのまま進む以外の道を見つけることができず、
もしかしたら、進んだその先に軌道を修正することのできる何かがあると、信じたフリをして……
まだ高校生でしかない瞬の、そんな行為が痛々しくて辛かったけれども。
そんな彼をきちんと叱ってあるべき道を説く宮じいがいて、手を差し伸べてくれる佳江がいて。
あたたかな場所へちゃんと帰ることができて本当によかった。
そして、高巳と光稀が距離を縮めていく様子が微笑ましかった。
いいなー、この二人。(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは―すべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタテインメント。
「風の中のマリア」 百田尚樹(講談社文庫)
【でも、そんなことは自慢にもならない。
すべての虫が生き延びるために必死で戦っているんだから】
誌的なタイトルから物語的な話を想像したけど、良い意味で裏切られました。
この一冊でオオスズメバチの一年が本当によくわかります。
本書はとてもとてもわかりやすいオオスズメバチの生態の話。
マリアという一匹のオオスズメバチの目線で、
生まれながらに自らの役割を知っているオオスズメバチが、
その役割を全うして死んでいく様が見事に描かれていました。
更に、一匹の蜂の一生だけではなく、巣の成り立ちから終焉までが子細に書かれていて、
集団生活をする昆虫のすごさを改めて思い知りました。
いやー、ホントすごい!
内容(「BOOK」データベースより)
命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続ける。ある日出逢ったオスバチから告げられた自らの宿命。永遠に続くと思われた帝国に影が射し始める。著者の新たな代表作。
「刑事のまなざし」 薬丸岳(講談社文庫)
【どんな理由があっても人を殺してはいけないんだ。人を傷つけてはいけないんだ】
七編の連作ミステリー。
事件と向き合う夏目は常に公平に、時に厳しく、そしてやさしく事件の当事者たちに対峙する。
七つの犯罪にはどれも複雑に絡み合う人々の心のあり様を暴き立てる。
どんなに誰かのためと思っても、罪を犯すことは悲しみしか生まないということを知らしめる。
随所で語られる彼の言葉は、どれもこれも胸に残った。
たとえどんな事情があっても、人を殺してはいけないと諭す夏目。
刑事であり、そして犯罪被害者の家族でもある彼の胸に、激しい憎しみの塊はない。
最後の物語で、彼は娘を植物状態にした犯人と対峙する。
犯人を前にして憎しみの連鎖を断ち切る言葉を叫んだ彼の気持ちの強さと一生ぬぐえない悲しみに胸を打たれた。
内容(「BOOK」データベースより)
ぼくにとっては捜査はいつも苦しいものです―通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった。虐待された子、ホームレス殺人、非行犯罪。社会の歪みで苦しむ人間たちを温かく、時に厳しく見つめながら真実を探り出す夏目。何度読んでも涙がこぼれる著者真骨頂の連作ミステリ。
「21 twenty one」 小路幸也(幻冬舎文庫)
【何もかもうまく行くなんてありえないし、
うまく行かない方があたりまえなんだと思っているけど、それでも。
生きていくことが、幸せへと向かう唯一の手段だと思っている。】
仲間の死の知らせを受けてから、20人の同級生たちは彼の自殺の理由を問いかける。
何故?と。
そして、それぞれが小さな理由に思い至り、自分のせいで自殺したのでは?と、己を責める。
それは、彼の自殺を止めることのできなかった……言い換えれば、
彼の悩みを汲み取ることのできなかった自分自身への後悔。
彼を苦しめていたものは、共に過ごしていた中学自体から彼の中に棲みつづけていて、
結局彼は寂しさに勝てなかった。
たとえ、今がどんなにつらくても。
いつかはこの暗闇から抜け出せる。
そんなふうに思えるだけの小さな強さをいつだって纏っていたい。
「21 twenty one」
21という不思議な偶然で結ばれた彼らの絆がとてもすてきだと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
二十一世紀に二十一歳になる二十一人。中学入学の日、クラス担任の先生が発見したその偶然が、僕たちに強烈な連帯感をもたらした。だが卒業して十年後、その仲間の一人が自殺した。僕たちに何も告げず。特別な絆で結ばれていると信じていた人を突然喪った時、胸に込み上げる思いをどうすればいいんだろう。“生きていく意味”を問いかける感動作。
「三匹のおっさん」 有川浩(文春文庫)
【願わくばこのまま、行きつ戻りつしながら何かがいい方向へ変わっていけばいい。】
面白かったぁ!!!
読後、単純にそう叫べる本。
そして誰かに勧めたくなる本。
自発的に自警団を結成したかつての悪がきトリオ。現在還暦の三匹のおっさん。
遠慮のないやりとりや、戦っても負けない強さや、人を許せる度量の広さが底抜けにカッコイイ。
生意気なイマドキの子供かと思っていた祐希が、実は両親よりもよっぽど大人で、
定年退職するまで距離を置いていた祖父の清一と、改めて交流を深めていく様子に気持ちがあったかくなる。
いくつなっても気持ちは現役。
お洒落して、できることを精いっぱいやって、楽しいことを見つけて、友だちと馬鹿話に花を咲かせたい。
そんなふうに年を重ねていけたらいいなーと思いました☆
内容(「BOOK」データベースより)
還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか、とかつての悪ガキ三人組が自警団を結成。剣道の達人・キヨ、柔道の達人・シゲ、機械いじりの達人の頭脳派・ノリ。ご近所に潜む悪を三匹が斬る!その活躍はやがてキヨの孫・祐希やノリの愛娘・早苗にも影響を与え…。痛快活劇シリーズ始動。
「闇の底」 薬丸岳(講談社文庫)
【たとえ犯人が捕まったとしても、けっして納得のいく答えは出ないだろう】
殺人を抑止するために、かつての犯罪者を殺す。
それは是なのか、或は非なのか?
司法や警察は何のために存在するのか?
その模範回答と、家族を殺された遺族の側の感情は、必ずしも一致するものではないだろう。
だから処刑人としてのサンソンが擁護される。
だが、それはとても怖くて悲しい世の中だと思う。
犯罪はなくならいない。それが現実。
それ故、刑事の仕事も潰えるいことはない。
妹を殺した犯人と対峙させるというやりかたで、長瀬の刑事としての成長を願った藤川。
身勝手だと思った。
誰しもが強く在れるわけではない。
そして、誰しもが赦せるわけではないのだ。
内容(「BOOK」データベースより)
子どもへの性犯罪が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が殺される。卑劣な犯行を、殺人で抑止しようとする処刑人・サンソン。犯人を追う埼玉県警の刑事・長瀬。そして、過去のある事件が二人を結びつけ、前代未聞の劇場型犯罪は新たなる局面を迎える。『天使のナイフ』著者が描く、欲望の闇の果て。