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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「永遠の昨日」榎田尤利(白泉社)



愛の物語。
そして、生と死の物語。
コミカルからのシリアス。
ファンタジーなのにリアル。
避けられない現実は、どうしたってそこにある。
生きとし生けるものすべてが、いつかは直面する死。
彼らはまさにその瞬間に立っていた。
刻々と近づく別れの時。
浩一が終始身にまとっていたあたたかさと穏やかなやさしさが、
終わりの時が近づくにつれ、とても切なくなってくる。
「俺は大丈夫だから」
そんな満の言葉を、浩一は確かに聞き届けたのだと思う。
この状況を生み出したのは二人の想い。
人の想いは、こんなにも強くて、純粋で、やさしくい。



「あたしにはもう時間がないから」
決して人生を悲観しているわけではなく。
現実を直視して今できることにエネルギッシュに取り組んでいらっしゃる方と
電話をした直後にこの作品。
初読の時以上に胸に刺さった。

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「アイズオンリー」一穂ミチ (SHY NOVELS)



日常生活で誰かと築く関係は、相手と何らかのコンタクトをとりあって成り立つもの。
事情の説明もなく、理由も一切知らされないまま突然シャットアウトされた相手に
更にアプローチをしていくのは割と勇気がいる。
そこで諦めればフェードアウト。
だけど数真は縁と関係を断つまいと、頑張ってコンタクトを取り続けた。
緑のことが好きだから。
失いたくないから。
だから手にすることのできた幸せだと。
緑には覚えていてほしい。
そして、数真にそこまでの行動を起こさせたのは縁自身なのだと。
自信を持ってほしい。
一途に想い続けた気持ちに嘘はない。お幸せに♪

有言実行で縁の働ける場所を作った訓はすごいなーと。
そんな訓に殴られる覚悟で「マウスピースでも含んでいくか」とひとりごちた数真。
そういえば、怒り心頭のお客さんに「ヘルメット被って来いよ」と言われた人いたなぁ、と
笑いながら思い出してみました。



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「運命ではありません」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



「運命」なんて後付けの理由に過ぎなくて。
人と人との関わり方は、
出逢った二人がその後どういう関係性を築き、
どうやって気持ちを通わせあっていくか、というところに重きがある。
劇的に迸る熱量はなくとも、こうやってフラットに育まれていく想いだってある。
楡と澄。
楡に作為があった時の方が関係性がスムーズにいっていたのはあたりまえ。
それを取っ払ってどう向き合うか。
振り回された澄が気の毒な気もするけど、
彼がそれを良しとした瞬間からその作為すらきっかけになる。
結局は当人同士がどう捉えるか、なのかな。
大事なのは運命じゃなくて出逢い。多分ね。

個人的には公と真子ちゃんの関係が微笑ましくて、
無事に式を挙げた二人がとても素敵だと思った。
お幸せに☆
そして、部屋の中に虫を見つけたら反射的に抹殺する自分をちょっと反省してみました。
でも芋虫の飼育は多分無理!


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「きみがいるなら世界の果てでも」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



東海林に寄りかかりっぱなしの自分をなんとかしようと
生活改善(?)を試みた二木。
やることなすことありえないくらいに裏目に出てしまったは、
上手くいっている二人関係を、
当人同士の話し合いもないまま、他人の意見でどうにかしようとした結果なんだと思う。
結果、自立しきれずにかつての先輩、甘利の所に身を寄せる二木。
日頃完璧な男・東海林が晴天の霹靂の如く、フラれて生活が荒れる様は、
ぶっちゃけ妙な色気や隙があってクルものがありましたが☆(鬼)
二木は東海林じゃなければ心が死んでしまう。
東海林も二木がいなければダメになる。
命懸けで確かめあった二人。お幸せに☆

シリーズ最終話は関連するキャラが総出でお得感満載。
二木の比じゃないくらい片付けられない人の所有するビルを解体するために
片付けないといけなくなった友だちの話を聞いて
気絶しそうになったのは私。
ゴミ袋に突っ込んでいく端から「これは必要なモノ」と出されるという恐ろしいエンドレス。







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「吸血鬼には向いてる職業」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



ギャグテイストで笑わせてからの、孤独感と諦念とが絡みついた愛情深さに落涙。
この緩急、さすが榎田さん。
新人編集者・藍を片手であしらうつもりの売れっ子漫画家・黒田が逆に振り回される様が面白い。
藍のなんとしても原稿を取りにいくというど根性精神。
根底に溢れる漫画に対する熱い想い。
オタクの粘り強さは侮ったらいけないのです。
そして、見た目で人を判断したらいけないのです。
深い孤独を抱えた二人が時折垣間見せる揺らぎが刺さる。
愛する人とは、いつか、永遠の別れを告げなければならない。
それは宿命。
だけど、せめてそれまでは一緒に。
流血沙汰を経ての告白シーンにはぐっときました!


口絵の赤黒衣装。
とてもとても着てみたい。
ヴァンパイア物を描いていて、エドガーを知らないとはけしからん!と、
黒田に対してチラッと思ったことはナイショです(笑)




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「愛なら売るほど」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



表題は泉が10年来恋焦がれてきた飴屋との再会から。
偶然の采配で同じマンションの上下階で暮らすようになって訪れた
顔を合わせる機会。
泉の職業柄、どうしても切り離せない橘の存在。
彼を巡る勘違い甚だしい会話は、嘘は何一つ言っていないところが面白い。
勘違いに押されて飴屋がとった暴挙。
結果が祝福で良かったね。
同時収録はその橘の恋。
どれだけカッとなってもあの行為は頂けない、と思いつつ。
言葉が足りない大人は、思い込みと、時にその言葉に振り回される。
橘との出逢いは小谷にとっては息を吹き返すための必要な出逢い。
切ないけどとても良かった。
最後の描き下ろしは御馳走様、とひたすら笑顔。

独り暮らしを始めた娘は、バイトや合コンに充実した生活を送っていました。
当時は携帯がまだ普及し尽くしていない時代。
家電にいくら電話をしても、娘と連絡が取れない。
訪ねた部屋は誰もおらず、鍵がかかったまま。
心配でたまらなくなった父がとった暴挙は、なんとアパートを2階までよじ登って
ベランダから娘の部屋に侵入するという荒業。
結果、近隣の人が警察に不審者ありと通報。
……という、友だちの姉の体験談を思い出しました。

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「ごめんなさいと言ってみろ」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



意地っ張りがふたりそこにいたら、ぶつからないわけがない。
久々野と律の子供じみた言い合いがとても楽しい。
反発しながらも、仕事を通じて縮まっていく距離感。
書いた(描いた)作品に魅了されるということは、
その人の感性に共鳴するということと同義。
惹かれあうのは必然な気もする。
久々野が律を腕の中にしっかりと抱きしめる、
10歳離れた年の差故の包容力と甘さとやさしさが心地よい。
律が抱えていた失恋ががありきたりなもので終わると思ったら、
そこからの深みのある展開と説得力はさすが榎田さん。
テンポよく楽しく読了。


「妬いたんだ」
「焼いたって、何を?」
こういう噛み合わないやり取りがとても楽しかった。
で、最後にカチッとはまる小気味の良さ。
ハードボイルド好きとしては、久々野の書いた作品を是非読んでみたい!
と、思っちゃうよねー。

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「きみがいなけりゃ息もできない」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



共依存という言葉ではもはや生ぬるい東海林と二木の関係。
その歪みと自分の抱えた恋情に気付いてしまった東海林は
タイミングよく介入してきた他者の存在を理由に二木の手を放そうと
悲痛な覚悟を決めたわけだけど。
二木のダメっぷりに共感できるはずもなく、
世話を焼きすぎる東海林にと突っ込みたくなりつつ。
ああ。だけど榎田さんの描く淋しさを抱えた人にとてもとても弱い私は
敗北感に塗れながら涙。再読なのに嗚咽。
結局、一度離れる必要はあったんだと思う。
無自覚なままだったらどこかでダメになったかもしれないから。
開き直った二人の強固な結び付きがとても嬉しい。

ガルガル唸りつつ、良い話だったわよ!とやっぱり敗北感。
何と戦ってたんだ、私(笑)
東海林を今風に「スパダリ」と言えないところが、
彼のおかん気質が遺憾なく発揮されちゃっている所以なんだろうなぁ。
でもイイ男だと思うんだ。

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「アカサギ」沙野風結子 (ラヴァーズ文庫)



上っ面だけではその人間の本質は測れない。
弁護士の恩田と結婚詐欺師の槇。
ふたりとも過去に負った傷のせいで纏った鎧のおかげで
その真意に辿りつくまでにずいぶんと時間がかかったけれども。
抱えた本音は寂しさと後悔……なのかな。
自らの行いのせいで息子を手放すことになった恩田と、父親を求め続けて裏切られた槇。
距離感を計りつつ、自らの気持ちに気付いてみれば
独占欲と執着を剥き出しにした恩田と、
自ら鉄枷に囚われることを選んだ槇。
出逢い方は最悪だったけど、収まるべくして収まったふたりでした。
彼らにとって一回りの歳の差はいいバランスなのかも。



それにしても恩田、いけ好かない!と何度思ったことか。
個人的に好きなタイプの攻のはずなのに!
何コイツ!?という思いを抱きつつ、でも嫌いじゃないのよね、と着地してなんだか敗北感(笑)
いつか恩田を手玉に取る槇を見てみたい。

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「ドラマ」朝丘戻(ダリア文庫)



当人同士だけだったら悲恋に終わったかもしれない恋。
凍結していた時が6年越しで動き出したのは、間違いなく周囲の人たちの尽力。
みんなやさしいなぁ、と、しみじみ思った。
自分以外の誰かの気持ちを想像して結論を出してはいけない、の典型。
だけど、そうするしかなかった気持ちも理解できる。
原点に立ち返って自分たちを顧みる為には時間が必要だった。
前巻の感想で「リセットする必要があった」って書いたけど、
そのリセットの仕方がとても素敵だった。
褪せることのなかった想いが綺麗に花開く様に満足の吐息。
とてもキラキラした世界を垣間見れたお借り本。


「無駄な経験はない。全部を糧にしろ」
これ、私の人生訓に近い。
結局、降りかかった出来事をプラスととるか、マイナスととるか。
それは自分の受け止め方だと思うんだよね。
だったら全部プラスに転換したい。というか、してやりたい。
何度も言うけど、座右の銘は「行き当たりバッチリ!」なのです。(笑)


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