きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「BL小説」の記事一覧
- 2018.04.30 「愛なら売るほど」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
- 2018.04.28 「ごめんなさいと言ってみろ」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
- 2018.04.25 「きみがいなけりゃ息もできない」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
- 2018.04.18 「アカサギ」沙野風結子 (ラヴァーズ文庫)
- 2018.04.06 「ドラマ」朝丘戻(ダリア文庫)
- 2018.04.03 「ドラマ」朝丘戻 (ダリア文庫)
- 2018.03.30 「憎らしい彼 ~美しい彼2 ~」凪良ゆう(キャラ文庫)
- 2018.03.28 「美しい彼」凪良ゆう (キャラ文庫)
- 2018.03.23 「明日が世界の終わりでも」榎田尤利 (SHYノベルス)
- 2018.03.22 「明日が世界の終わりでも」榎田尤利 (CROSS NOVELS)
「愛なら売るほど」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
表題は泉が10年来恋焦がれてきた飴屋との再会から。
偶然の采配で同じマンションの上下階で暮らすようになって訪れた
顔を合わせる機会。
泉の職業柄、どうしても切り離せない橘の存在。
彼を巡る勘違い甚だしい会話は、嘘は何一つ言っていないところが面白い。
勘違いに押されて飴屋がとった暴挙。
結果が祝福で良かったね。
同時収録はその橘の恋。
どれだけカッとなってもあの行為は頂けない、と思いつつ。
言葉が足りない大人は、思い込みと、時にその言葉に振り回される。
橘との出逢いは小谷にとっては息を吹き返すための必要な出逢い。
切ないけどとても良かった。
最後の描き下ろしは御馳走様、とひたすら笑顔。
独り暮らしを始めた娘は、バイトや合コンに充実した生活を送っていました。
当時は携帯がまだ普及し尽くしていない時代。
家電にいくら電話をしても、娘と連絡が取れない。
訪ねた部屋は誰もおらず、鍵がかかったまま。
心配でたまらなくなった父がとった暴挙は、なんとアパートを2階までよじ登って
ベランダから娘の部屋に侵入するという荒業。
結果、近隣の人が警察に不審者ありと通報。
……という、友だちの姉の体験談を思い出しました。
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「ごめんなさいと言ってみろ」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
意地っ張りがふたりそこにいたら、ぶつからないわけがない。
久々野と律の子供じみた言い合いがとても楽しい。
反発しながらも、仕事を通じて縮まっていく距離感。
書いた(描いた)作品に魅了されるということは、
その人の感性に共鳴するということと同義。
惹かれあうのは必然な気もする。
久々野が律を腕の中にしっかりと抱きしめる、
10歳離れた年の差故の包容力と甘さとやさしさが心地よい。
律が抱えていた失恋ががありきたりなもので終わると思ったら、
そこからの深みのある展開と説得力はさすが榎田さん。
テンポよく楽しく読了。
「妬いたんだ」
「焼いたって、何を?」
こういう噛み合わないやり取りがとても楽しかった。
で、最後にカチッとはまる小気味の良さ。
ハードボイルド好きとしては、久々野の書いた作品を是非読んでみたい!
と、思っちゃうよねー。
「きみがいなけりゃ息もできない」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
共依存という言葉ではもはや生ぬるい東海林と二木の関係。
その歪みと自分の抱えた恋情に気付いてしまった東海林は
タイミングよく介入してきた他者の存在を理由に二木の手を放そうと
悲痛な覚悟を決めたわけだけど。
二木のダメっぷりに共感できるはずもなく、
世話を焼きすぎる東海林にと突っ込みたくなりつつ。
ああ。だけど榎田さんの描く淋しさを抱えた人にとてもとても弱い私は
敗北感に塗れながら涙。再読なのに嗚咽。
結局、一度離れる必要はあったんだと思う。
無自覚なままだったらどこかでダメになったかもしれないから。
開き直った二人の強固な結び付きがとても嬉しい。
ガルガル唸りつつ、良い話だったわよ!とやっぱり敗北感。
何と戦ってたんだ、私(笑)
東海林を今風に「スパダリ」と言えないところが、
彼のおかん気質が遺憾なく発揮されちゃっている所以なんだろうなぁ。
でもイイ男だと思うんだ。
「アカサギ」沙野風結子 (ラヴァーズ文庫)
上っ面だけではその人間の本質は測れない。
弁護士の恩田と結婚詐欺師の槇。
ふたりとも過去に負った傷のせいで纏った鎧のおかげで
その真意に辿りつくまでにずいぶんと時間がかかったけれども。
抱えた本音は寂しさと後悔……なのかな。
自らの行いのせいで息子を手放すことになった恩田と、父親を求め続けて裏切られた槇。
距離感を計りつつ、自らの気持ちに気付いてみれば
独占欲と執着を剥き出しにした恩田と、
自ら鉄枷に囚われることを選んだ槇。
出逢い方は最悪だったけど、収まるべくして収まったふたりでした。
彼らにとって一回りの歳の差はいいバランスなのかも。
それにしても恩田、いけ好かない!と何度思ったことか。
個人的に好きなタイプの攻のはずなのに!
何コイツ!?という思いを抱きつつ、でも嫌いじゃないのよね、と着地してなんだか敗北感(笑)
いつか恩田を手玉に取る槇を見てみたい。
「ドラマ」朝丘戻(ダリア文庫)
当人同士だけだったら悲恋に終わったかもしれない恋。
凍結していた時が6年越しで動き出したのは、間違いなく周囲の人たちの尽力。
みんなやさしいなぁ、と、しみじみ思った。
自分以外の誰かの気持ちを想像して結論を出してはいけない、の典型。
だけど、そうするしかなかった気持ちも理解できる。
原点に立ち返って自分たちを顧みる為には時間が必要だった。
前巻の感想で「リセットする必要があった」って書いたけど、
そのリセットの仕方がとても素敵だった。
褪せることのなかった想いが綺麗に花開く様に満足の吐息。
とてもキラキラした世界を垣間見れたお借り本。
「無駄な経験はない。全部を糧にしろ」
これ、私の人生訓に近い。
結局、降りかかった出来事をプラスととるか、マイナスととるか。
それは自分の受け止め方だと思うんだよね。
だったら全部プラスに転換したい。というか、してやりたい。
何度も言うけど、座右の銘は「行き当たりバッチリ!」なのです。(笑)
「ドラマ」朝丘戻 (ダリア文庫)
込み上げる想いは純粋で偽りのないもの。
貴方が好きだと。
君が愛おしいと。
その視線から、触れ合う指先から、伝わってくる。
だけど、背負うものがありすぎた二人が
想いを成就するためには犠牲にするものが多すぎた。
恋人同士の役を演じる役者として出逢い、
プライベートでも親密に係わるようになり、
ドラマの撮影が進行するほどに、深まっていく想いがあった。
だけど……
いや、だからこそ、かな。
すべてをリセットする必要があったんだろうなぁ、と。
好きという気持ちを抱えたまま、もう一度出逢いなおす必要があったのだと。
そう、思えた納得のラスト。
つづきを読むのがとても楽しみなお借り本。
作中で進行するドラマがあるわけですが……何故か
かつてリアルに観ていた「同窓会」というドラマを思い出しました。
わー、発掘したらどこかから出てくるかな?
「憎らしい彼 ~美しい彼2 ~」凪良ゆう(キャラ文庫)
噛み合わない二人は相変わらず噛み合っていなくて、
それなのに互いに対する愛情はより根が深くなっている感じがいい。
相手にだけ考え方のシフトチェンジを求めるんじゃなくて、
どちらからも歩み寄らないとダメなんだよねぇ、と
リアルに身につまされる。
より柔軟だったのは清居の方かな?
無自覚俺様な比良に振り回される様がなんだかとても可愛い。
ニュースタイルの関白宣言。
ダメ。
もう、これツボ過ぎて笑い倒しました。
お互いに纏った殻を一枚破った二人。
恋愛面でも仕事の面でも良い影響が得られそうで、
これからの成長が楽しみだわ。
バーチャルとリアルの距離感の喪失ってホント怖い。
匿名での無責任な他人バッシングも怖いよね。
悪意に晒されて精神的に殺されることがリアルにあるわけで、ぞっとする。
と、ちらっと思いつつも、とても楽しく読了したお借り本。
「明日が世界の終わりでも」榎田尤利 (SHYノベルス)
表題他2作は旧版にて感想UP済。
描き下ろし『witness』は彼らの後日譚。
願った通りの時を過ごす彼らに安堵する。
『largo』
最後に噛みしめるタイトルと内容のマッチングがとても秀逸。
サティのジムノペディが心地よく響く。
芸術を志す者にとって、自らの力量と他人の才能との間で苦悩するのは避けられないこと。
20歳そこそこの若者たちが、音楽と向き合いながらままならない恋情に苦悩し、
次第に心を通わせていく物語。
その過程において、彼らの奏でる音が変化していく様子が、
とても綺麗に描かれていた。
心に響く音楽は魂で奏でるもの。
文字からそれが伝わるのは、榎田さんの筆力。
近々でピアノが弾けて良かったと思った瞬間は、
ちびっこたちを預かった時。
ぐずっていても音を奏でると興味津々な表情でピアノに耳を傾け、
かなり適当に弾く子ども向けの曲のオンパレードでご機嫌に。
いつかまた、真剣にピアノを習いたなぁと思う瞬間がないわけじゃないけど、
爪を短くする気がない時点でアウト(笑)
「明日が世界の終わりでも」榎田尤利 (CROSS NOVELS)
こんな愛し方もある、と。
零れ落ちる溜息。
オムニバスで三篇。
何度読んでも切なくて苦しくて。
半泣きになりながら、目を逸らすことができない。
歪にゆがんだ彼らの愛。
取り返しのつかないことが起きてしまう前に、
どうして、気づくことができなかったのだろう?
彼らの抱えた傷は、それほどまでに深かった。
信じられなかったのは、自分自身。
傷つけて、傷ついて。
それでも、踏み躙られることのなかった想い。
「明日が世界の終わりでも」
続く言葉を噛みしめる。
命は有限。
触れることのできるぬくもりがそこに在るなら、
離れたら心が死んでしまうなら、決してその手を離さないで。
HPに掲載されていた『明日が世界の終わりでも』を繰り返し何度も読んでいた私にとって、
その後の『約束』と『集い』と合わせての書籍での出版は小躍りするほど嬉しいことでした。
しかも、茶屋町さんの挿絵で構築される世界観。
久しぶりに読み返すことをしばらく躊躇していたのは、何かが褪せることを怖がっていたからかな?と、自己分析。
だけど、そんなのは全然杞憂でした。
好きなモノはいつになっても好き。