きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「BL小説」の記事一覧
- 2018.06.25 「やさしいSの育て方」榎田尤利(SHY NOVELS)
- 2018.06.21 「心乱される」英田サキ (講談社X文庫ホワイトハート(BL))
- 2018.06.12 「おやすみなさい、また明日」凪良ゆう (キャラ文庫)
- 2018.06.08 「マイ・ディア・マスター」 (モノクローム・ロマンス文庫)
- 2018.05.31 「執事の特権」榎田尤利 (SHYノベルズ)
- 2018.05.24 「永遠の昨日」榎田尤利(白泉社)
- 2018.05.20 「アイズオンリー」一穂ミチ (SHY NOVELS)
- 2018.05.14 「運命ではありません」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
- 2018.05.06 「きみがいるなら世界の果てでも」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
- 2018.04.30 「吸血鬼には向いてる職業」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
「やさしいSの育て方」榎田尤利(SHY NOVELS)
年の差20歳。
優しくて感受性が豊かすぎる恋愛初心者な栄田と
ストイックな外見とは裏腹にM奴隷としてのプレイを楽しむ宮。
この二人で一体どうなることかと思ったけど、
ある種の芸術が次第に完成されていく様を目の当たりにしたような読後にうっとり。
メイクラブのセックスとセッション(プレイ)の違いを理解した上での、
快楽の追求としてのSM。
栄田によって生み出される「初めて」の感覚に翻弄される宮が艶っぽい。
自分好みのSを育てると、かつての支配者に宣言した宮。
5年後の二人が見て見たいなぁ。
とても素敵な恋人兼パートナーになっていそう。
王の言っていることがいちいち奥が深くて頷いてしまう。
打算も計算もない栄田の言葉が、いちいち宮の想定外なところが面白い。
そういうところも、惹かれる一因になったんだろうなぁ。
Mに育てられたS。
栄田がピュアなだけに、その完成系が余計に気になる。
宮の為にスキルアップしつつも、タイトル通りの優しいSに育つんだろうなぁ。
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「心乱される」英田サキ (講談社X文庫ホワイトハート(BL))
終始イラッとしながら読みつづけた前半。
でも、このままそっちの方にいったら本をぶん投げるわよっ!
と思う方向には絶対に舵を切らない英田さん。
そういうところは安心して読める。
そのうちそのイラッと具合にだんだん嵌りこんでいってしまい、
気付けば彼らと一緒に心乱されつつ、
結果、主役カプそっちのけで大宮カッコイイ!!と狂喜したまま読了。
私だったら絶対に大宮を選ぶわ。←聞かれてない。
読み方色々間違ってる気がするけど気にしない。
大宮の存在なくしては成就し得なかった恋の物語。
二人が手に入れた新しい家族の形。お幸せに☆
他人の口から大事な人の耳に入って修羅場になる秘め事は、
絶対に自分の口から話すべし。
墓場まで持っていける秘め事は、自分の罪悪感からは軽々しく口にすべからず。
蛇足になっちゃいますが。
歳上の受が年下の攻に向ける「おいで」というちょっと余裕なセリフが私大好きです。
「おやすみなさい、また明日」凪良ゆう (キャラ文庫)
時間が解決してくれること。
時間をかけてもどうにもならないこと。
自分で乗り越えられること。
どう頑張っても無理なこと。
人生における困難や苦難がどのくらいのものなのかは、当人にしかわからない。
だけど、一人では果てのない不安の中に置き去りにされたような心許なさも、
在るがままの自分を受け入れ、その道程を一緒に歩んでくれる人の存在が在れば
和らぐことができる。
生きることと前向きに向き合うことができる。
彼らの選択。彼らの想い。
ゆっくりと育まれていく愛情がとても尊いと思った。
やるせなくてやさしい気持ちが詰まった良作。
この本をおススメしてくれた読友さんと、
その会話を覚えていてこの本を貸してくれた読友さんに
最大級の感謝を!
出逢えて良かった作品です。
病気を患いながらも「じいさんを見送るまで私は頑張る」と
ずっと言い続けてきたご婦人のことを思い出しました。
彼女は一度呼吸が止まってもちゃんとこの世に踏みとどまりました。
そして、寝たきりになりながらも「じいさんとツーショットで写真を撮ったのよ」と
笑った数日後に旦那様を見送り、
それから一ヶ月もしないうちに、彼女自身も眠るように旦那様を追いかけて行かれました。
奇跡のようなリアル。
「マイ・ディア・マスター」 (モノクローム・ロマンス文庫)
19世紀のロンドン。
同性との交わりが禁忌とされたその国で、アランが最後の一夜と決めたその夜に出逢った二人。
明日に光を見いだせず、自らの手で人生を終わらせることを決意したアランの再生。
そして、社会の底辺にありながらも、快活に笑うことを忘れていなかったジェムの再出発。
傷が癒えていく様、そして二人が惹かれあっていく様、が丁寧に描かれ、
危機を乗り越えた彼らの行き着いた愛の形がとても素敵。
特に、自死まで決意したアランが再生していく様が本当によかった。
それはジェムの存在があってこそ。
「お前をどうしてくれようか」に対するジェムの答えに満面の笑みで読了。
ラスト、事件の後のアランのけじめのつけ方がカッコよくて惚れ惚れ。
散りばめられた言葉遊びの部分は、
原書で読めたらもっと楽しかったんだろうなぁ。
たどたどく書かれたジェムの言葉の訳し方(?)がうまいなぁ、と思った。
時代的には交わらないけど、『モーリス』鑑賞後のイギリスが舞台のMM小説。
良いタイミングで楽しめました!
「永遠の昨日」榎田尤利(白泉社)
愛の物語。
そして、生と死の物語。
コミカルからのシリアス。
ファンタジーなのにリアル。
避けられない現実は、どうしたってそこにある。
生きとし生けるものすべてが、いつかは直面する死。
彼らはまさにその瞬間に立っていた。
刻々と近づく別れの時。
浩一が終始身にまとっていたあたたかさと穏やかなやさしさが、
終わりの時が近づくにつれ、とても切なくなってくる。
「俺は大丈夫だから」
そんな満の言葉を、浩一は確かに聞き届けたのだと思う。
この状況を生み出したのは二人の想い。
人の想いは、こんなにも強くて、純粋で、やさしくい。
「あたしにはもう時間がないから」
決して人生を悲観しているわけではなく。
現実を直視して今できることにエネルギッシュに取り組んでいらっしゃる方と
電話をした直後にこの作品。
初読の時以上に胸に刺さった。
「アイズオンリー」一穂ミチ (SHY NOVELS)
日常生活で誰かと築く関係は、相手と何らかのコンタクトをとりあって成り立つもの。
事情の説明もなく、理由も一切知らされないまま突然シャットアウトされた相手に
更にアプローチをしていくのは割と勇気がいる。
そこで諦めればフェードアウト。
だけど数真は縁と関係を断つまいと、頑張ってコンタクトを取り続けた。
緑のことが好きだから。
失いたくないから。
だから手にすることのできた幸せだと。
緑には覚えていてほしい。
そして、数真にそこまでの行動を起こさせたのは縁自身なのだと。
自信を持ってほしい。
一途に想い続けた気持ちに嘘はない。お幸せに♪
有言実行で縁の働ける場所を作った訓はすごいなーと。
そんな訓に殴られる覚悟で「マウスピースでも含んでいくか」とひとりごちた数真。
そういえば、怒り心頭のお客さんに「ヘルメット被って来いよ」と言われた人いたなぁ、と
笑いながら思い出してみました。
「運命ではありません」一穂ミチ (ディアプラス文庫)
「運命」なんて後付けの理由に過ぎなくて。
人と人との関わり方は、
出逢った二人がその後どういう関係性を築き、
どうやって気持ちを通わせあっていくか、というところに重きがある。
劇的に迸る熱量はなくとも、こうやってフラットに育まれていく想いだってある。
楡と澄。
楡に作為があった時の方が関係性がスムーズにいっていたのはあたりまえ。
それを取っ払ってどう向き合うか。
振り回された澄が気の毒な気もするけど、
彼がそれを良しとした瞬間からその作為すらきっかけになる。
結局は当人同士がどう捉えるか、なのかな。
大事なのは運命じゃなくて出逢い。多分ね。
個人的には公と真子ちゃんの関係が微笑ましくて、
無事に式を挙げた二人がとても素敵だと思った。
お幸せに☆
そして、部屋の中に虫を見つけたら反射的に抹殺する自分をちょっと反省してみました。
でも芋虫の飼育は多分無理!
「きみがいるなら世界の果てでも」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
東海林に寄りかかりっぱなしの自分をなんとかしようと
生活改善(?)を試みた二木。
やることなすことありえないくらいに裏目に出てしまったは、
上手くいっている二人関係を、
当人同士の話し合いもないまま、他人の意見でどうにかしようとした結果なんだと思う。
結果、自立しきれずにかつての先輩、甘利の所に身を寄せる二木。
日頃完璧な男・東海林が晴天の霹靂の如く、フラれて生活が荒れる様は、
ぶっちゃけ妙な色気や隙があってクルものがありましたが☆(鬼)
二木は東海林じゃなければ心が死んでしまう。
東海林も二木がいなければダメになる。
命懸けで確かめあった二人。お幸せに☆
シリーズ最終話は関連するキャラが総出でお得感満載。
二木の比じゃないくらい片付けられない人の所有するビルを解体するために
片付けないといけなくなった友だちの話を聞いて
気絶しそうになったのは私。
ゴミ袋に突っ込んでいく端から「これは必要なモノ」と出されるという恐ろしいエンドレス。
「吸血鬼には向いてる職業」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
ギャグテイストで笑わせてからの、孤独感と諦念とが絡みついた愛情深さに落涙。
この緩急、さすが榎田さん。
新人編集者・藍を片手であしらうつもりの売れっ子漫画家・黒田が逆に振り回される様が面白い。
藍のなんとしても原稿を取りにいくというど根性精神。
根底に溢れる漫画に対する熱い想い。
オタクの粘り強さは侮ったらいけないのです。
そして、見た目で人を判断したらいけないのです。
深い孤独を抱えた二人が時折垣間見せる揺らぎが刺さる。
愛する人とは、いつか、永遠の別れを告げなければならない。
それは宿命。
だけど、せめてそれまでは一緒に。
流血沙汰を経ての告白シーンにはぐっときました!
口絵の赤黒衣装。
とてもとても着てみたい。
ヴァンパイア物を描いていて、エドガーを知らないとはけしからん!と、
黒田に対してチラッと思ったことはナイショです(笑)