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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「眠り王子にキスを」月村奎(SHY NOVELS)




独善的ではない宮村の強引さが、とてもあたかくてやさしい。
傷つきすぎて自虐的になってしまった堀が前に進むために必要だったものなんだろうな。
そして、家族から心無い扱いを受け続けてきた堀を受け入れてくれた宮村の母の懐の広さが沁みる。
「好きだから」の後に続く堀の否定的な言葉がとても切ない。
そんな風に堀に思わせてしまったのは、彼の家族。
罪悪感に塗れた堀と一緒になって泣き、一緒になって安堵した。
封じられた恋心は王子様のキスで解放される。
宮村も彼の家族も、堀を傷つけることはないと、思えることが嬉しい。
たくさん愛して愛されて。お幸せにね。

アラサー男子がとてもとても素敵な恋愛をしていました!
と、声を大にして言いたいお借り本。







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「恋してる、生きていく」夕映月子 (ディアプラス文庫)



穂高が好青年過ぎて眩しい。
梓に対するやさしさと思いやりとが、彼の言葉や行動の端々から滲んでいる。
そんな穂高のために「生きる」こととまっすぐに向き合う決意をする梓。
生きる術がそこにあるなら、貪欲に手を伸ばすべきだと、私は思う。
真摯な想いを抱く二人の、とても素敵なピュア・ラブ。
「世界はこんなにもきれいだ」
そう感じて泣ける感受性は、とても素敵。
新しい世界を与えてくれる相手の存在は、人生すら変えてしまう。
どこまでも優しい雰囲気に包まれて読了。
薬指を噛む、というシチュがとてもとても好きなので。
キャーー☆となったお借り本。


蔵王の山頂で見上げた星空の美しさに、
何故か泣けて泣けて……
「何で泣いるの?」と聞かれても「星が綺麗だから」としか答えられなかった思い出。
妙義山の駐車場で星空を見上げていた時は、
真っ暗闇の中から突然聞こえてきたハッハッハッハッという荒い息使いに戦慄。
恐怖に戦いた瞬間、足元に触れたモフッとした温かい感触。
悲鳴をあげそうになったけど、
同じく駐車場に車を停めていた飼い主さんの手からスルッと抜けてきたワンちゃんでした。
見えないって怖いわ~



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「てのひらにひとつ」夕映月子 (ディアプラス文庫)



マイノリティであることで深い孤独を抱え、
家の事情もあって「諦める」ことを常に己に課してきた宮下。
そんな彼が塾の生徒として出逢った、一回り年上の日下部。
日下部と過ごす時間が増えるにつれ、彼に心を許し
誰にも伝えることのできなかった想いを吐露し、
恋に落ちていく宮下のとても繊細な気持の機微が伝わってきて、きゅんとなるわけですが。
「私も好きです」の日下部の台詞に、え?いつの間に!?と驚いた表題。
でも、同時収録のその後の話を読むと、ああ、そうだったのね、と深く納得。
そして、誠実でピュアな二人の遠恋に切なくなったり愛おしくなったり。
一冊まとめて読んで完成形なお借り本。

女子禁制のはずの男子寮に放り込まれて講師をやっていたことがあるので、
男子寮の賑やかしい雰囲気が微笑ましいやら懐かしいやら。
塾講していた時の生徒は、家出して連絡をしてきたこともあったわ。
人と係わるということは、思い出が増えるということ。
かけがえのない宝物。

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「天国に手が届く」夕映月子 (ディアプラス文庫)




かつて、一度だけ交わった点と点。
そんな彼らの数年後の邂逅。
小田切に出逢えた喜びを隠せない佐和と、
頑なに佐和を拒んだ小田切。
彼が心の奥底に抱えていた孤独がやるせない。
いまはもう、この世界のどこにもいない叶。
二人を繋いだ叶の存在が大きくてやさしくて、あたたかい。
叶を介してお互いの存在を意識していた二人が実際に出逢い、
動き出した心。
次第に小田切に惹かれていく佐和の心理描写がストンと胸に落ちてくるだけに、
小田切サイドの視点でも読んでみたかったという思いが募った。
山の描写が雄弁で美しいお借り本。
チャンスがあれば、また登りたい。

ほぼ山未経験だった自分が槍ヶ岳に登れたことがいかに奇跡的な出来事だったのか。
こういうのを読むとつくづく思う。
あの時見た景色は一生忘れない。
滑り落ちたら怪我だけじゃ済まないような場所を必死で越え、たどり着いた山頂。
眼前に広がるのは、筆舌に尽くしがたいほど美しい非日常な風景。
これが見れるなら、また登りたい。
そう思わせてくれる世界がそこにありました。

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「スーツとストロベリー」高遠琉加 (ガッシュ文庫)



『紳士と野蛮』続編。
屋敷を出た義巳が一人で暮らすことの大変さを知って、
誠吾に投げかけた言葉を反省するシーンが、とても好き。
相手の立場に立って、はじめてわかることがある。
それを認めることができるのは人としての器の大きさ。
そして、義巳が多分、ずっと誰かに言ってもらいたかったであろう言葉を断言してくれた誠吾。
うん。私もそう思うよ。
今の自分を誇っていい。
表題はその後の二人。
恋愛慣れしていない義巳の痛みに対する自己分析が大変微笑ましい。
馬鹿なの?と突っ込むか、愛しさに胸がいっぱいになるか。
当然誠吾は後者だわね。


二人で庭の樹木の成長を眺めながら過ごしてほしいと、
ほっこり思ったお借り本。
Cielさんのイラスト、とても素敵でした。



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「紳士と野蛮」高遠琉加 (ガッシュ文庫)



おじい様も義己も誠吾も。
道に迷った人の為に、胸に響く言葉をあっちこっちで呟いてくれている。
背筋を伸ばして「きちんと」生きてきた義己。
その生き方に秘められた彼の想いが痛々しい。
そして、彼の孤独感がやるせない。
自分の才能と努力を拠り所に生きてきた誠吾。
挫折を知っていても損なわれない彼のまっすぐさがあたたかい。
育った環境も性格も全く違う二人が、
相手を知ることによって少しずつ変わっていく。
その相乗効果がどんなものなのかが知れるのはこれから。
ラストは義巳が雁字搦めに縛られたものからの解放への布石だと思いたい。


生まれとか育ちとか。
「自分」で勝負するんだからそんなの関係ないわーと言いたいけど、
それは私が「家柄」を背負っていないからかな?
そして、何度も何度も言ってきたけど、やっぱり言いたい。
続き物はちゃんと巻数表記をしてほしい。
完結!と思って読み進めて、以下、次巻!となったときの放り出され感半端ないわ。
でも大丈夫。
続もちゃんとそろえてくれていたお借り本。
張り切って次巻へ☆


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「はるか彼方の心臓」千地イチ(ラヴァーズ文庫)



経験や誰かとの出逢いは、時にその人の人生を変えてしまうほどの大きな影響を与え得る。
事故で友人に大怪我を負わせて今まで通りの自分ではいられなかった英雄と、
恋心を封じて自分の心を空っぽにした晴人。
10年ぶりの再会を果たした、10年前とは変わってしまった二人。
その再会を起点にして、英雄は穏やかに好ましく変化をしたと思うし、
晴人が本当の意味で変わっていくのは、おそらくこれから。
晴人が過去の接点を明確にしなかったのは私的に好印象。
病院でってどうよ!?と思いつつ、
「待たせて悪かったな」の台詞には泣きそうになってしまった。
お幸せに☆→

読み始めは晴人×英雄かな?とチラッと思ったわけだど、
読み終わってみれば英雄×晴人でしっくりくるお借り本。
「あなたのせいじゃないよ」といくら他人に言われたところで、
当人が納得しない限り背負った荷物は下せない。
彼女が会いに来てくれてよかった。

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「少年は神の国に棲まう」夜光花 (SHYノベルス)



綺麗に着地した完結巻。
叶う恋があれば、叶わない恋もある。
ランスロットの恋心には切なさが残るけど、
思わせぶりな態度を取らなかった樹里は間違っていない。
総力をあげてのモルガンとの決戦。
それぞれの関係性やこれからに気を取られすぎて、
そもそも彼らは何のために戦っているのかということを
途中からすっかり忘れていたことを最後の最後に思い出し、
あ、そうだった!と思った自分にびっくり。
それだけ彼らが魅力的。
表紙がすべてを物語っているアーサーと樹里には祝福を。
二人の子ども、ルーサーとの賑やかな日常を垣間見てみたかった。


終始、ゲームをしているような、不思議な感覚に囚われながらの読書でした。
テンポの良さと展開の速さと意外性故かな?

シリーズ物の醍醐味は一気読み。
まとめて貸してくれたお友だちに感謝。
楽しかった!
そしてモフモフしたクロがとても可愛かった。

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「少年は神と愛を誓う」夜光花 (SHYノベルス)



どこまでも王らしい気質と性質のアーサー。
彼の選択はいつだって覇者の選択だ。
そんな彼が樹里に対してだけは大人げなかったり嫉妬心丸出しだったりするところが微笑ましい。
自分で考えて自分で行動できる樹里はとてもカッコイイ。
その行動力が招いた危機。
妖精王がとても大事なこと言ってましたよね?
絶体絶命の場面で登場したランスロット。
待ってました!と、とテンションが上がったけど、
以前とは違う彼の在り様に物悲しさがひしひしと……
それだけ彼の自責の念は大きいってことだよね。
樹里の母も巻きこまれ、いよいよクライマックスの次巻へ。



どっちが良いとか悪いとかではなく、それは個性だと思うんだけど。
このページ数にエピソードをギュギュっと凝縮させていながら
ハラハラドキドキしっぱなしで読ませる夜光さんの力量ってすごいと思うわ。
例えば栗本だったら同じ内容を展開するのに倍以上のページ数を使う気がする。
それが栗本の持ち味。
でも、上中下で終わらなくて完結編1・2・3と展開した某氏にはちょっと文句を言いたかったかった。
下巻なのに続くってどういうこと!?という私の雄叫び(笑)

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「少年は神の子を宿す」夜光花 (SHYノベルス)



自らの意思でアーサーの元を去った樹里だったけれども。
やはり、己の意思で彼の元へ戻ることを決意する。
ところが、感動も台無しな樹里の勘違いも甚だしい雄叫びと、
何よりアーサーのケダモノ感満載な行為のおかげで
何だかコメディチックな再会に。
まぁ、それがとてもこの二人らしいと思えてしまうからいいのかな。
樹里と母、そしてガルダとモルガン。
二組の対照的な親子関係。
樹里と母がフランクでとてもいい関係なだけに、
愛情ではなく恐怖で雁字搦めにされているガルダがなんだか哀れ。
彼が欲するものが愛だってわかるだけに余計に。
最大の関心事はランスロットか懐妊か。
わくわくしながら次巻へ。


未来は変えられる。
そう信じられる意志と行動力ってとても尊い。
AKIRAの中の台詞で
「私たちにも選べる未来があるはずよ」というキヨコの言葉が私の胸には
ずっとずっと根付いているのです。

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