きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「BL小説」の記事一覧
- 2019.06.25 「青い鳥 眠る探偵4」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)
- 2019.06.23 「儡の巫女 眠る探偵3」榎田尤利(講談社X文庫 ホワイトハート)
- 2019.06.17 「人形の爪 眠る探偵1」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)
- 2019.06.12 「聖夜 -榎田尤利作品集-」 (SHY NOVELS)
- 2019.06.10 「少年はスワンを目指す」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
- 2019.06.05 「少年はスワンを目指す」榎田尤利(リブレ)
- 2019.06.01 「Blue Rose」榎田尤利 (SHY NOVELS)
- 2019.05.24 「ワークデイズ」榎田尤利 (SHY NOVELS)
- 2019.05.23 「オール・スマイル」榎田尤利 (SHY NOVELS)
- 2019.05.21 「レイニーシーズン」榎田尤利 (SHY NOVELS)
「青い鳥 眠る探偵4」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)
彼はたくさんの人を殺した。
罪のない人たちを、身勝手な理由で。
どんな孤独の中にあっても、寂しくても。
愛を欲して気が狂いそうになっても。
誰かを殺していい理由になんかならない。
これ、同調したら絶対ダメなヤツ。
そう思ったんだけど。
言い聞かせてる時点でダメだよね。
一緒に心が潰れそうになって泣いてしまった。
彼を模倣した男の姿に、彼の愛がいかに大きくて深くて孤独だったのかを知る。
そして訪れた平穏。
だけど、心に疼きは残る。永遠に。
だからこの先、彼を語ることのできる彼らが離れ離れになることがありませんように、
と、願いつつの読了。
圧倒されすぎて呆然。
読み応えがあるとか、おもしろかったとかじゃなく、凄い作品を読ませてもらった。
そんな感じ。
あとがきを読みつつ、イエモンのCDを持っている自分を褒め称える。
『JAM』。聴かねば。
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「儡の巫女 眠る探偵3」榎田尤利(講談社X文庫 ホワイトハート)
殺戮を繰り返す槇の願いは、きっとこれなんだろうなぁ、と思っていたことが的中……
しただけじゃ終わらなかった。
毀れた執着は更にタチの悪い方向へと軌道を変え、加速していく。
愛を押しつけないで。絡め取らないで。勘違いしないで。
そう言いたいけど。
込み上げるこの不安感はどこからくるんだろう?
疲弊しきった心を和らげ、安寧の日を得るためには、
彼らは槇という狂気と再び対峙しなければならない。
だけど、みんな槇に引きずり込まれた沼にどっぷりハマって雁字搦めになっているし、
この先も誰かが傷つきそうで怖い。
自分のオーラの色ってどんなふうに分析されるんだろう?
知りたいような、知りたくないような、やっぱり知りたいような(笑)
人のオーラや他人の夢等々、
余計なモノは見えない方が生きやすいんだろうなぁ、と、
改めて思った。
利用されるのはごめんだし、そのせいで家族が崩壊するのは耐えがたい。
「人形の爪 眠る探偵1」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)
一つの依頼に端を欲した殺人事件。
……かと思ったら、その依頼すら仕組まれたモノだった。
すべては一人の男の執着の証。
敢えて残した痕跡。
戦慄のメッセージ。
まっすぐに向けられる濁りのない悪意がただひたすらに気持ち悪い。
その悪意に屈するまいと、戦う覚悟を決めた人たちがいる。
いや、守る覚悟か。
自分自身ではなく、大切な人たちを。
探偵・市羅木真音や彼を取り巻く人々が個性的で魅力的。
なのに、話の内容自体はとてつもなく重い。
これはヤバイ。
続きが知りたくて、即続刊に手が伸びる。
他が手につかなくなる作品だった。
小さな子どもまで犯罪に巻き込むことを、
彼は何とも思っていない。
むしろ愉しんでいる。
そんな心理は理解できなくていい。
笑子の芯の通った強さがとても魅力的。
誰にも傷ついて欲しくないなぁ。
色々気になってすっごいドキドキする。
「聖夜 -榎田尤利作品集-」 (SHY NOVELS)
人の弱さとしなやかな強さ。
そして想いの深さ。
それらがギュッと詰まった作品。
この2作品を納得して受け入れられるのは、今の歳だから。
若かった頃は反発した覚えがある。
人生って本当にままならない。
時に誰かを傷つけ、自分も傷つき、それでも手放すことのできない想いがある。
かと思えば、苦しい想いをしながらも、出会うことによって成長し、
或は呪縛から解き放たれ、前に進むことができる関係もある。
『名前のない色』がそう。
『聖夜』は10年、20年。後日譚まで入れれば30年愛。
成就したことが奇跡としか言いようがない二人の想い。
手放したと思って買い直したら、
実は手放してなくて、二冊手元にあってびっくり!という何とも言えないダブル買い。
いつ読んでも面白い本もあれば、タイミングを誤ると相容れない本もある。
読書って奥が深い。
「少年はスワンを目指す」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)
新装版との読み比べ。
意識的に読んだおかげか、
初っ端の靭帯の手術痕の件から、ああ、最先端になってる!となってみました。
言葉づかいで櫛形がより帰国子女っぽくなってるのが伝わる。
一番は顕著なのは携帯の使い方かな。
だからこその、新装版のカバー下。
まぁ、いまだにLINEを使っていない私が言うのもなんですが。
キャラが黒井さんの挿絵で固定した直後に読んだおかげで、
寿さんバージョンは誰も彼もがセクピスファミリーに見えてくるという弊害が(笑)
それも思わぬお楽しみのひとつ。
読友さんのレビューがなかったら、旧版は読まなかったと思うので、
なかなか味わえない読書体験をさせてもらって感謝。
新装版の方の書き下ろしは、個人的には読めて良かった。
人生は順風満帆じゃないと思っているので、
彼らの人生がよりリアルに感じられた気がするから。
まぁ、だからと言って、波乱万丈を望んでいるわけではないんだけどね。
「少年はスワンを目指す」榎田尤利(リブレ)
一人の転校生が彼らの高校にやってくることから始まる物語。
王子様外見なのに口の悪い櫛形は好みドストライク。
見た目ハードボイルドでも中身はやさしい原もやっぱり好み。
タカアキが思った以上にツボ。ってか好き。
そんな彼らが自分の心情に加えて突っ込みやボケを放り込んでくる一人称の文体が
作品世界と見事にマッチングしていてとても楽しかった。
でも楽しいだけじゃないところが榎田さん。
挫折と再生。その時しか味わえない一体感。
友情から転じた恋情が生み出した苦悩と幸せ。
時の流れの中で語られていたのは、間違いなく彼らの人生。
読み応えありました。
榎田さんの生死観。そして北方の生死観。
それぞれ100冊近くも読んでくると、近しいところで一貫しているなぁ、ということが
しみじみと感じられる。
そしてその一貫性が個人的にはストンと胸に落ちてくる納得のいくもので、
「今生きている」ことを強く実感させられる。
そして、今を大事に生きよう、と思えてくる。
「Blue Rose」榎田尤利 (SHY NOVELS)
胸が軋むような痛みと、静かな優しさと。
そしてどこまでも深い哀しみに彩られた物語。
青の生い立ちと内面を知るにつれ、やるせなくなってしまう。
皆が青を守ろうと必死になっているにもかかわらず、
だんだんと不安定になって自暴自棄になっていく様が辛い。
こっちにいったら楽になれる、幸せになれると、わかっていてもそちら側を選べない。
何故なら、自分がこのままでいることを望んでいるから。
それが人の心。
世の中にはどん底まで堕ちて這い上がれない人もいる中、
立ち直った青はトオルの言う通り、運が良かった。
強く在って欲しい。
個人的には書き下ろしはなくてもよかった。
二人には「友達」ポジションを貫いて欲しかった。
じゃなかったら、そこに至るまでの想いの移り変わりをきっちり書いて欲しかった。
それにしても高瀬、イイ男だったなぁ……
「ワークデイズ」榎田尤利 (SHY NOVELS)
王子沢のターン。
包容力があって、頼り甲斐があって、やることなすことスマートで。
ホントカッコいい。
そんな王子沢が出会ったのは、神経を張りつめて、一人で踏ん張って生きてきた榊。
人に自分を理解してもらうことを放棄した風でありながら、
根っこの部分まで捻くれてない榊の生き方はどこか痛々しいものがあったけど、
王子沢のあたたかさとやさしさに包まれてだんだんと肩の力が抜けて柔らかくなっていく様にほっとする。
マンゴーの例えは秀逸だった。
気付いたら伊万里がものすごく人間らしく(?)なってて、驚く。
みんな、素敵な恋愛してるなー。
私、王子沢がとってもカッコいいと思ってるけど、これ読みながら気付いた。
王子沢の友だちポジションにはなりたいけど、恋人ポジションに納まりたいとはちっとも思ってなかった。←聞かれてない。しかもお呼びじゃない(笑)
「オール・スマイル」榎田尤利 (SHY NOVELS)
一緒にいて二人がマイナス方向に転がっていく様はちょっと痛々しい。
相手が好きだからこそ、比較して自分の価値を下げてしまうのはなんだか苦しい。
でも、強いだけの人も、弱いだけの人もいない。
楽しいことだけが毎日続くわけでもない。逆も然り。
色々あってもそれを乗り越えて、一緒に歩んでいく。
結果、二人がちゃんと成長して、より強く想いあう。
そういう繋がりの深さは素敵だなーと思うのです。
私は王子沢が好きだけど、伊万里を選んだ吾妻。
「だから伊万里が好き」には説得力あったわ~。
紆余曲折色々あっても、結果笑っていられれば幸せだよね。
自分もどこかで煮詰まってたのかな?
なんかイロイロ考えさせられて、結果元気をもらった。
いいタイミングで読んだなーと思える作品。
「レイニーシーズン」榎田尤利 (SHY NOVELS)
ネガティブに起因する仮定と推測は
よりマイナスな想像しか生み出さない。
聞きたいことがあれば口にして答えを得てしまえば楽になれるかもしれない。
だけど、返ってくる答えが聞きたくない回答だったら?
それでも事実は変わらないのなら、ケリをつけたいと思うけど。
怖くて踏み出せないのも理解できる。
「好き」の気持ちがひっくり返って臆病に。
今回の話は刺さったなぁ。
とても胸が痛かった。
そして、伊万里のこと、前巻よりも好きになったよ。
個人的イメージでは伊万里は「甘え方を知らない大型犬」。
非常階段でのシーンがとても好き。
仕事をしてそれに見合う対価としてお金をもらうことは、
生半可なことではないよなぁ、と、改めて。
最近話をしたネイリストさんの職場状況もなかなか深刻そうでした。
働き続けることも実はすごいこと。
王子沢のスピンが楽しみすぎて仕方がない。
やっぱり私は王子沢イチオシ。