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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「Blue Rose」榎田尤利 (SHY NOVELS)



胸が軋むような痛みと、静かな優しさと。
そしてどこまでも深い哀しみに彩られた物語。
青の生い立ちと内面を知るにつれ、やるせなくなってしまう。
皆が青を守ろうと必死になっているにもかかわらず、
だんだんと不安定になって自暴自棄になっていく様が辛い。
こっちにいったら楽になれる、幸せになれると、わかっていてもそちら側を選べない。
何故なら、自分がこのままでいることを望んでいるから。
それが人の心。
世の中にはどん底まで堕ちて這い上がれない人もいる中、
立ち直った青はトオルの言う通り、運が良かった。
強く在って欲しい。


個人的には書き下ろしはなくてもよかった。
二人には「友達」ポジションを貫いて欲しかった。
じゃなかったら、そこに至るまでの想いの移り変わりをきっちり書いて欲しかった。
それにしても高瀬、イイ男だったなぁ……

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「ワークデイズ」榎田尤利 (SHY NOVELS)



王子沢のターン。
包容力があって、頼り甲斐があって、やることなすことスマートで。
ホントカッコいい。
そんな王子沢が出会ったのは、神経を張りつめて、一人で踏ん張って生きてきた榊。
人に自分を理解してもらうことを放棄した風でありながら、
根っこの部分まで捻くれてない榊の生き方はどこか痛々しいものがあったけど、
王子沢のあたたかさとやさしさに包まれてだんだんと肩の力が抜けて柔らかくなっていく様にほっとする。
マンゴーの例えは秀逸だった。
気付いたら伊万里がものすごく人間らしく(?)なってて、驚く。
みんな、素敵な恋愛してるなー。

私、王子沢がとってもカッコいいと思ってるけど、これ読みながら気付いた。
王子沢の友だちポジションにはなりたいけど、恋人ポジションに納まりたいとはちっとも思ってなかった。←聞かれてない。しかもお呼びじゃない(笑)


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「オール・スマイル」榎田尤利 (SHY NOVELS)



一緒にいて二人がマイナス方向に転がっていく様はちょっと痛々しい。
相手が好きだからこそ、比較して自分の価値を下げてしまうのはなんだか苦しい。
でも、強いだけの人も、弱いだけの人もいない。
楽しいことだけが毎日続くわけでもない。逆も然り。
色々あってもそれを乗り越えて、一緒に歩んでいく。
結果、二人がちゃんと成長して、より強く想いあう。
そういう繋がりの深さは素敵だなーと思うのです。
私は王子沢が好きだけど、伊万里を選んだ吾妻。
「だから伊万里が好き」には説得力あったわ~。
紆余曲折色々あっても、結果笑っていられれば幸せだよね。

自分もどこかで煮詰まってたのかな?
なんかイロイロ考えさせられて、結果元気をもらった。
いいタイミングで読んだなーと思える作品。



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「レイニーシーズン」榎田尤利 (SHY NOVELS)



ネガティブに起因する仮定と推測は
よりマイナスな想像しか生み出さない。
聞きたいことがあれば口にして答えを得てしまえば楽になれるかもしれない。
だけど、返ってくる答えが聞きたくない回答だったら?
それでも事実は変わらないのなら、ケリをつけたいと思うけど。
怖くて踏み出せないのも理解できる。
「好き」の気持ちがひっくり返って臆病に。
今回の話は刺さったなぁ。
とても胸が痛かった。
そして、伊万里のこと、前巻よりも好きになったよ。
個人的イメージでは伊万里は「甘え方を知らない大型犬」。
非常階段でのシーンがとても好き。


仕事をしてそれに見合う対価としてお金をもらうことは、
生半可なことではないよなぁ、と、改めて。
最近話をしたネイリストさんの職場状況もなかなか深刻そうでした。
働き続けることも実はすごいこと。
王子沢のスピンが楽しみすぎて仕方がない。
やっぱり私は王子沢イチオシ。


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「ソリッド・ラヴ」榎田尤利 (SHY NOVELS)




イケメンでも頭がよくても、
対人スキルがアレだと周りは大変だよなーと思う伊万里と。
頑張り屋さんで人当たりも人付き合いも良い元気っ子、吾妻。
同期入社の二人のラヴ物語。
人とどう向き合っていいのかよくわかっていない伊万里が
子どもみたいでめんどくさいやら可愛いやら。
ヘテロだった吾妻は、青天の霹靂みたいな出来事を経て、
伊万里に対する気持ちが動いて恋に落ちていく。
この辺りの流れのうまさは榎田さんだなぁ、と思う。
伊万里の吾妻に対する恋と執着のミックスっぷりがこの先ちょっとややこしくなりそうかな?
個人的には王子沢がものっすごく好み。

仕事は手早く7割で。
王子沢のこのスタンス、大賛成だわ。
というか、私は仕事にはできることなら5割の力で臨みたい人です。
余力は極力アフターファイブに残しておきたいのよー!
なのに、年々仕事量増えていっているのは気のせいだと思っておこう。





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「誓いは小さく囁くように」榎田尤利 (SHY NOVELS)



最悪な出会いから始まった二人の物語。
智夏サイドからはシンデレラストーリー。もしくは再生の物語。
若宮サイドからは「これだけはしないと決めているもの」を覆す物語。
俺様な若宮が智夏に振り回される様はおもしろいし、
智夏の口の悪さと素直さと一生懸命さが可愛い。
今までの自分なら絶対にやらないようなことをしてしまっている時点で
若宮は智夏に惹かれているよね。
智夏の無自覚な殺し文句が最強。
気になってる人にあれを言われたら確実に落ちるわ。
智夏の抱えた胸が引き攣れるような心の傷。
若宮との出逢いによって前に進むことができてよかった。


表紙の印象から勝手に私の苦手な受っぽい?と思っていたわけですが。
そんなことは全くなくて二人とも魅力的だし、
作品そのものが面白いしで、
大満足な一冊になりました。

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「寡黙な華」榎田尤利 (SHYノベルズ)



身勝手な執着。子供じみた独占欲。
自分の気持ちだけを押し付けて相手の心を踏みにじったら、愛なんて得られない。
彼のした行為は、許しを請う資格すらないとも思うんだけど。
彼の晒した弱さと本音に絆されてしまった。
千早の言葉に救われた邦彦。
邦彦のおかげで出ることは外の世界へと一歩を踏み出すことができた千早。
幼いころに共に過ごした思い出があるからこそ、
そして、その時から胸に抱き続けていた想いがあるからこそ、得られた今だと思う。
二人にしか紡げなかった絆。
人の持つ弱さと強さ、情の深さが刺さるように伝わってくる作品世界に溜息。→


描き出しが秀逸。
美しく歪んでいて、一気に引き込まれる。
そして雪舟さんのイラストが素晴らしい。
「人間は、できると思ったことしかできない」
この言葉は胸に刻んでおきたいと思います。






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「権力の花」榎田尤利 (SHY NOVELS)




踏み躙られ、組み伏せられ、手段や道具のように扱われたとしても。
決して失われなかった矜持と自尊心。
「愛がよくわからない」と言った楓が、
この先、陣内の深い愛につつまれて、愛を知り、語れるようになることを願うわ。
そして、楓が「父親」という呪縛からようやく解放されたことに安堵。
愛される資格のない子どもなんていないんだよ。
だけど、どの親も無条件で子どもに愛を与えてくれるわけじゃないのも事実。
なんともやるせない。
思ったよりも重くて社会的なテーマを扱った内容で、ものすごい読み応えがあった。
新田さんの挿絵もベストマッチ。

窮地に陥った時に敵を植木鉢で殴るときは思い切りよく。
これ、教訓。
理不尽に屈しない楓の凛とした態度が好き。
そんな楓を受け止めたどこか隙のありそうな陣内のカッコよさが魅力的。
総括すると、榎田さんの作品が好き。←総括しすぎ(笑)

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「ラブ~キス2~」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



『キス』続編。
再会を果たした二人の距離感が、リアルというか、ですよね~、というか。
そう都合よくいくわけがない、と突きつけられ、
「四日間だけの恋人」という言葉にハッとさせられた。
二十年近くも一緒にいたのに。
「最初からはじめよう」と言った明渡。
もう一度傷つくのが怖い、なくすのが怖い、という苑の想いを尊重して、
強引に事を運ばず、待てる男になっているところが好印象……なんだけど、切ないね。
日常の積み重ねで再び距離感を縮めていく二人。
最後に辿りついた明渡の願いと苑の想いが素敵。
流れ込んでくる二人の想いに胸が爽やかに熱くなって読了。

自分と境遇のよく似た実留に迷わず手を差し伸べた明渡と、
同族嫌悪と嫉妬めいた想いに翻弄される苑。
鬱屈した感情の発露。そして歩み寄り。
この流れ、とても説得力があった。
久々に読んだけど、やっぱり一穂さん、好き。

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「キス」一穂ミチ(ディアプラス文庫)



どうしたって噛み合わない二人の想い。
傍に在りながら決して距離を縮めようとしない
苑に対する明渡の想いが切ないなぁ、と思っていた矢先の苑の叫び。
垣間見えた苑の想いに安堵したのも束の間。
まさかの展開に驚愕と涙……ガッツリ抉られました。
言葉で語らずとも、その目線が、皮膚の緊張が、
彼らの想いを伝えてしまうことがやるせない。
そして私は細胞レベルででもいいから覚えていて欲しいと切望していたので、
時間をかけての彼らの着地点に再び安堵。
「何故?」の説明ができなくとも、溢れてくる想いがある。
人の感情って不思議で尊い。


故人がそこに込めた想いの真意は永遠にわからない。
そしてこちらから働きかけることも決してできない。
だから、この世を旅立つ人は、残された人が惑わされるようなものを残しちゃいけないんだと、
個人的には思います。
私は後から聞かされた父親の言葉に悔恨しかなく、
知人は「お前の父親は実は……」というところで息を引き取った母親の言葉に悶々としていました。
生きている彼らの物語を、まだ読めることに胸を弾ませつつ、続編に手を伸ばします。

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