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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「光の雨 ―贖罪―」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



猟犬とか尖ってるとか称される剛毅な男が見せる
きめ細やかなやさしさと包容力。
たまらなく素敵。
野々宮という支えを得て自分を取り戻し、
堅実に仕事と向き合う伊能もやっぱり素敵。
ラストの被疑者と向き合うシーンはとても良かった。
だけど、決して光の中を歩くことはできないと、
自らは深海魚なのだと諦念と共に達観している原口の気持ちを想って
なんか泣きそうになってしまった。
うわーん。
検事の仕事ぶり、ヤクザ世界の理不尽さ、人が人を想う気持ちの奥深さ。
どれも丁寧な描写で読ませてくれた地に足のついた物語。
ガッツリ楽しませてもらいました。

欲を言えば、原口視点の話が読みたいなぁ。
って、私、どんだけ原口好きなんだろう?
かわいさんも地道にコツコツ攻略していきたい作家さん。





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「光の雨 ―原罪―」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



彼の死に対して抱え続けた悔恨と自責の念。
自分の性癖を明確に自覚した瞬間の混乱と恐慌。
貴方は悪くない。
誰も貴方を責めてはいない。
本人が納得しない限り、そん言葉は響かない。
糸が切れそうになった伊能を引き戻した雨の屋上での口づけがとても好き。
愛と哀しみと後悔を抱え続けた伊能に寄り添った野々宮。
囚われた過去から一歩先へと進み始めた伊能。
細やかな心理描写を辿りつつ、
事件に主軸を置いて展開していく
シリアスでどっしりとした作品世界にのめり込んでしまう。
大阪地検の面々はアクが強くて味がある。
だけど、私はミステリアスなヤクザ原口に興味津々。

で。えっと……続いてますけどーーー!
というわけで、調べなかった自分のことは棚上げして声を大にして言いたい。
続き物はちゃんと巻数表示してくださいっっ!(涙)
終ると思って読んでたから、あと残頁ちょっとってところで「ん??」ってなっちゃったよ。
作家買いの時は内容いちいち確認しないし、
基本的にフィーリング買いだからやっぱり内容吟味しないし。
わかりやすく「1巻」とか「前編」とか表記してもらえると、大変ありがたいのです。
「完!」のつもりで読んでいたからメッチャ消化不良な気分。
このまま続きを読むか、予定通り一般書にいくか。
悩ましい……

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「くるおしく君を想う」沙野風結子 (ガッシュ文庫)



勝手に副題「三つ子の魂百まで」。
まぁ、正確に言えば9歳からなんだけど。
莉一に対する「好き」の気持ちを13年も抱き続けた航希。
胸の内に抱えていた想いは、実際に莉一の体温を知っちゃったら、
沈静化なんてするわけがなく、そりゃあ、燃え上がるよね。
一方の莉一。
航希に対する冷たく突き放すような態度。
なのに、求める身体。
もしかして……というこちらの想像は「え?天然!?」という着地点。
うん。なんか新鮮なびっくりだったわ。
だけど、その深層心理にはしっかりとした理由がある。
このあたりの流れ、とても良かった。
采登にもいい人が現れてくれるといいな。

あとがきを読んでなかったら絶対に気付かなかったカバー下。
自分に言い聞かせるために何度でも繰り返すわ。
読んだら捲ろう、カバー下!
美味しいモノが隠れています。

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「飼い犬に手を咬まれるな」夏乃穂足 (キャラ文庫)



陥った窮地は誰のせい?
拗れに拗れた関係の発端はどこにある?
一緒になって心が軋んで大変だったので、
あ、許すんだ、と思ったんだけど。
それは許しではなく愛。
最初から最後まで彼らがそれ以外持ち得なかったもの。
たった一つ、彼らが心の底から欲したもの。
「やり方を間違えた」「何もかもを間違えた」
読み始めた時からずっとそう思ってたから、それを一稀の口から聞けて
この人たちは大丈夫だなぁ、と。
そして、泣くことができた猛に良かったね、と。
すべてを叩き壊しての再生。
この先の二人は、よりしなやかに、強く在ることができるはず。


四年ぶりの新刊!
復帰作としてこんなに読み応えある作品をありがとうございます!
好きな作家さんには、書きたい作品(←こことても大事)を書き続けてくれること。
ただそれだけを願いたい。
そして、この笠井さんの表紙がとても素敵。
猛と一稀。
二人のジェットコースター人生を一緒になって全力で駆け抜けて、
最後白木の存在になんだか癒されました。(笑)

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「眠る探偵」榎田尤利 (ジュネノベルズ)



『眠る探偵シリーズ』の絵画的に言ったら習作。
勿論、そんなつもりで書いたわけではないと思うので、
あくまでも絵画的に言ったら。
シリーズ全巻を読んだ後に戻り読み。
これを踏まえて、あのど迫力な作品が出来上がったんだなぁ、という感慨深さ。
もちろん、こちらの作品自体もとても面白かった。
収録されているのは、どれも「家族」に視点があてられた3編。
近しい人だからこそ、泣き言が言えない。強がっていたい。頼れない。
なんかわかるな。
でも、崖っぷちでどうにもならなくなった時に手を差し伸べてくれるのは家族。
差し伸べることができるのも家族。
そうでありたい。

ここで打ち切らせないで、リテイク(リメイク?)してくれたことに感謝。





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「青い鳥 眠る探偵4」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)



彼はたくさんの人を殺した。
罪のない人たちを、身勝手な理由で。
どんな孤独の中にあっても、寂しくても。
愛を欲して気が狂いそうになっても。
誰かを殺していい理由になんかならない。
これ、同調したら絶対ダメなヤツ。
そう思ったんだけど。
言い聞かせてる時点でダメだよね。
一緒に心が潰れそうになって泣いてしまった。
彼を模倣した男の姿に、彼の愛がいかに大きくて深くて孤独だったのかを知る。
そして訪れた平穏。
だけど、心に疼きは残る。永遠に。
だからこの先、彼を語ることのできる彼らが離れ離れになることがありませんように、
と、願いつつの読了。


圧倒されすぎて呆然。
読み応えがあるとか、おもしろかったとかじゃなく、凄い作品を読ませてもらった。
そんな感じ。
あとがきを読みつつ、イエモンのCDを持っている自分を褒め称える。
『JAM』。聴かねば。


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「儡の巫女 眠る探偵3」榎田尤利(講談社X文庫 ホワイトハート)



殺戮を繰り返す槇の願いは、きっとこれなんだろうなぁ、と思っていたことが的中……
しただけじゃ終わらなかった。
毀れた執着は更にタチの悪い方向へと軌道を変え、加速していく。
愛を押しつけないで。絡め取らないで。勘違いしないで。
そう言いたいけど。
込み上げるこの不安感はどこからくるんだろう?
疲弊しきった心を和らげ、安寧の日を得るためには、
彼らは槇という狂気と再び対峙しなければならない。
だけど、みんな槇に引きずり込まれた沼にどっぷりハマって雁字搦めになっているし、
この先も誰かが傷つきそうで怖い。


自分のオーラの色ってどんなふうに分析されるんだろう?
知りたいような、知りたくないような、やっぱり知りたいような(笑)
人のオーラや他人の夢等々、
余計なモノは見えない方が生きやすいんだろうなぁ、と、
改めて思った。
利用されるのはごめんだし、そのせいで家族が崩壊するのは耐えがたい。


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「人形の爪 眠る探偵1」榎田尤利 (講談社X文庫ホワイトハート)



一つの依頼に端を欲した殺人事件。
……かと思ったら、その依頼すら仕組まれたモノだった。
すべては一人の男の執着の証。
敢えて残した痕跡。
戦慄のメッセージ。
まっすぐに向けられる濁りのない悪意がただひたすらに気持ち悪い。
その悪意に屈するまいと、戦う覚悟を決めた人たちがいる。
いや、守る覚悟か。
自分自身ではなく、大切な人たちを。
探偵・市羅木真音や彼を取り巻く人々が個性的で魅力的。
なのに、話の内容自体はとてつもなく重い。
これはヤバイ。
続きが知りたくて、即続刊に手が伸びる。
他が手につかなくなる作品だった。

小さな子どもまで犯罪に巻き込むことを、
彼は何とも思っていない。
むしろ愉しんでいる。
そんな心理は理解できなくていい。
笑子の芯の通った強さがとても魅力的。
誰にも傷ついて欲しくないなぁ。
色々気になってすっごいドキドキする。

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「聖夜 -榎田尤利作品集-」 (SHY NOVELS)



人の弱さとしなやかな強さ。
そして想いの深さ。
それらがギュッと詰まった作品。
この2作品を納得して受け入れられるのは、今の歳だから。
若かった頃は反発した覚えがある。
人生って本当にままならない。
時に誰かを傷つけ、自分も傷つき、それでも手放すことのできない想いがある。
かと思えば、苦しい想いをしながらも、出会うことによって成長し、
或は呪縛から解き放たれ、前に進むことができる関係もある。
『名前のない色』がそう。
『聖夜』は10年、20年。後日譚まで入れれば30年愛。
成就したことが奇跡としか言いようがない二人の想い。


手放したと思って買い直したら、
実は手放してなくて、二冊手元にあってびっくり!という何とも言えないダブル買い。
いつ読んでも面白い本もあれば、タイミングを誤ると相容れない本もある。
読書って奥が深い。

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「少年はスワンを目指す」榎田尤利 (ビーボーイノベルズ)



新装版との読み比べ。
意識的に読んだおかげか、
初っ端の靭帯の手術痕の件から、ああ、最先端になってる!となってみました。
言葉づかいで櫛形がより帰国子女っぽくなってるのが伝わる。
一番は顕著なのは携帯の使い方かな。
だからこその、新装版のカバー下。
まぁ、いまだにLINEを使っていない私が言うのもなんですが。
キャラが黒井さんの挿絵で固定した直後に読んだおかげで、
寿さんバージョンは誰も彼もがセクピスファミリーに見えてくるという弊害が(笑)
それも思わぬお楽しみのひとつ。

読友さんのレビューがなかったら、旧版は読まなかったと思うので、
なかなか味わえない読書体験をさせてもらって感謝。
新装版の方の書き下ろしは、個人的には読めて良かった。
人生は順風満帆じゃないと思っているので、
彼らの人生がよりリアルに感じられた気がするから。
まぁ、だからと言って、波乱万丈を望んでいるわけではないんだけどね。

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