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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「赫蜥蜴の閨」沙野風結子 (幻冬舎ルチル文庫)



過ぎた執着も憎しみも。
それが、自分自身に向けられたものなら受け止めようがある。
けれども、自分を通り越した誰かに向けられたものだったら?
やってらんないよね。
獣染みた行為から始まった臣と光己の関係。
互いが自分の境遇や生活に満足していたら、
惹かれあうことはなかっただろう。
だけど、欠けたものを補うかのように躰でそして魂で絡みあっていった二人。
破滅願望を持った男は情人を生かすことを選び、
生きることを選んだ男は情人と共に壊れることを選ぶ。
命懸けで成就した想いは壮絶。
だからこそ、5年後の穏やかさが嬉しい。

重量感のあるシリーズ4作。
がっつりとした読み応えに大満足。
『蛇淫の血』『蜘蛛の褥』『蛇恋の禊』『赫蜥蜴の閨』
内容を鑑みて、これ以外ない!という絶妙のタイトル。

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「蛇恋の禊」沙野風結子 (幻冬舎ルチル文庫)



過去は変えられない。
悔いてもその過去の延長上の未来に進むしかない。
自分の選んだその道が間違っていなかったと証明するために。
そのために他人の血を流すまいと、
痛々しい程の潔さで腹を括った凪斗。
彼に手厳しくしたのは臨んだ方向へ導くためだったはず。
なのに、そんな凪斗の姿を見て、何故ブレてんの?角能~~!?と、
一瞬愕然としました。はい。
だけど、そんな角能が見せた腹の括り方は壮絶で、
鬼気迫る奈良さん絵で臨場感倍増し。
いろいろあったけど、最後はお祖母ちゃんの残して逝った想いに涙。
お祖母ちゃんっ子の私には込み上げるモノがありすぎたわ。

さて。
次はいよいよシリーズ最終巻。
主役は違うけど、間違いなくこの落とし前つけるよね?
久々の沙野さんワールド、ゾクゾクするわ。




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「蛇淫の血」沙野風結子 (ガッシュ文庫)



最初に芽生えた想いは恋なのか?と問われると、
素直に諾と言いづらい。
もっと濃密で、もっと切羽詰まった想いがそこにある。
角能と凪斗。
どちらにとっても運命を捻じ曲げてしまうほどの強烈な出逢い。
普通の大学生として生活してきた二十歳の凪斗が、
突然暴力団の組を継げ、と言われたところで無理がある。
その無理を可能にするための経緯が非常にエロティック。
終始漂うヒリヒリとした緊張感。淫猥な空気感。
凪斗が平穏を切り捨てた瞬間と、角能が永遠を誓った瞬間は
挿絵の効果もあって素晴らしさ倍増し。
生き辛い道を選択したとは思うけど、上りつめてほしいな。

角能の前職が良いスパイス。
前科持ちでもありきたりの極道じゃないところも良い。
運命に翻弄されてただ泣くのではなく、
抗って腹くくって欲しいモノを手に入れた凪斗の在り様はカッコイイ。
沙野さんも順調に(?)積んでいるので、シリーズ4冊手元にあります。
安心して読み進められますね~☆

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「東方美人2 千年王国」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



望んでその仕事を選択したわけではない。
にも拘らず、そして仕方がないと諦念を抱きながらも、
その任務に就き、優秀な成果をあげる。
そうせざるを得ない仕組みを作り上げたKGB。
やっぱり怖いわ。
ベルリンからイギリスを経由し、舞台はまさかのアフガンへ。
アレクセイと行動を共にするにつれ、変化を兆していくサエキの心情が
痛々しいんだけど、愛おしい。
アレクセイは一貫してぶれなかったなぁ。だからこその安心感。
ベルリンの壁の崩壊に合わせた見事な着地。
激動の時代を、そしてそこに生きる男たちを書き切った重厚な物語。
読み応えありました。


読みながら何度も頭を過ったのは『ツーリング・エクスプレス』
その中でもロシアン・エクスプレス。
そしたらラストがメッチャシンクロしていて、おぉ!となりました。
今年は桜をのんびりと鑑賞できるような状況ではなかったので、
来年は是非とも満開の桜を存分に鑑賞できますように!
見たい桜はまだまだたくさんあるのよ~~。


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「東方美人」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



東西冷戦下のソビエト。
ベルリンの壁が存在したドイツ。
各々が終焉を間近に迎えた1980年代が舞台。
ヒリヒリとした緊張を孕んで展開していく
重厚感のある物語にのめり込む。
KGBの諜報員の仕事の殺伐とした感じと孤独感がひしひしと伝わってきて薄ら寒くなる。
後出しみたいに縛り事が出てきて、気づけば故郷に帰れない。
家族にも会えない。
私、絶対無理。
組織のことを多くは知らずに任務についたアレクセイと、
諜報員として有能でありつつ孤独の淵に在ったサエキ。
この二人の距離感の縮まり方がとても良い。
お互いに出逢えたことを尊ぶ二人の行く末は?


『チャイルド44』に始まるレオ・デミドフ三部作を読んだ時の
鬱々とした気持ちを思い出したわ~。
スターリン時代のソビエトを描いた作品で、感想の中で私
「この時代のこの国で生き抜ける気がしない」と再三言ってたけど、
その思いはこっちの時代でも変わらず。
この物語はベルリンの壁崩壊で終わるのか、ソ連の解体で終わるのか。
ものっすごくわくわくしながら次巻へ。





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「玉の輿新調しました: 玉の輿ご用意しました3」栗城偲 (キャラ文庫)



自分の将来の在り様について。
高校生も悩むし、大人だってもちろん悩む。
青依、印南、そして印南の甥の誉。
三者三様に葛藤しつつも、みんなそれぞれ自分なりの答えを見つけ出す。
誰に責任を押し付けることもできない、自分で努力して歩む道を。
巻数を重ねるごとに濃密になっていっている濡れ場から
二人の関係性の深まりが伺えてうまいなーと勝手に解釈。
物事の進行も各々の心理もとても丁寧にリアルに描写されているから
一緒に一喜一憂しながら納得してしまう。
満足したところで人の成長は止まる。
奮闘する彼らの今後に期待を寄せて、シリーズ楽しく読了。


個人的に諸星も気に入っているので再登場にホクホク。
それにしても諸星光って……ローラースケートはいたアイドルグループ
しか連想できない。←年代。
シリーズ番外編入手を試みつつ、栗城さんの他作品にも手を出してみようと思います♪
楽しみ。

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「玉の輿謹んで返上します 玉の輿ご用意しました2」栗城偲 (キャラ文庫)



人々のやさしさが心に沁みてあったかく泣けた。
こういう涙は嬉しいね。
好意的に接してくれる人がまわりに集まるのは、
青依自身が日々、皆と明るく接して一生懸命頑張っているから。
青依の過去をうっすらと悟っていることを悟らせない工場の人達、素敵。
職場では青依に対して公私混同しない印南と酒勾も大人でカッコイイ。
印南はプライベートではちょっと残念なところもチャームポイント。
でも、そういう所も青依との生活の中で
ちゃんと改善されてきてるところがすごいなーと。
自分の様式を押し付けない柔軟さが良い。
このカップルのスタンス、ホント好きだわ。

「放牧体質」から「束縛野郎」への転換に笑う。
過去の男遍歴がホント残念すぎる印南。
青依に出逢えて良かったね。
口絵の印南と酒勾のカッコ良さに悶絶。
真っ赤なスーツが似合ってるイケメン眼福。

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「玉の輿ご用意しました」栗城偲(キャラ文庫)



年の差12歳。
育ってきた生活環境も学歴も今在る状況も天と地ほど違う二人。
当たり屋稼業の蒼依が条件付きで印南に拾われるという
ある意味シンデレラストーリーだけど、
互いに感化されてどちらに対しても良い方向に影響を与え合っている様が伝わってきて
とても良かった。
何より、蒼依の素直さと柔軟さが良い。
ホントに良い子だなぁ。
そんな蒼依と共に暮らすうちに次第に彼に惹かれていく印南。
印南は欠落していた大切なものを蒼依によって補ってもらったんだと思う。
胸に刺さる言葉やシーンが随所にあって、彼らと一緒に一喜一憂。
好みドストライクの面白さでした!

ここのところのBLは安定安心の作家さん買いだったので、新規開拓。
始めましての作家さんを試しに一冊……と思ったけど、
シリーズ一気買いしておけばよかった~~!わー、ぬかった!!
と、ジタバタするくらい良かった。
さて。続きを入手しなければ。

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「BUDDY DEADLOCK season2」英田サキ (キャラ文庫)



事件については突っ込みどころがあるけれども、そこは許容範囲でご愛嬌。
シリーズオールキャラ総出演の本作。
各々のカップルの蜜月ぶりに拍車がかかっているにもかかわらず、
嫉妬したりノロケまくったり惚れ直したりと、当事者たちは忙しい。
微笑ましいなぁ。
ディックの「完治しなくていい病」はさもありなん。
ディックはユウトがいない世界で1秒だって生きていくつもりがないところが危うい。
ユウトは年を重ねるごとに懐の深さが増していっている。
ディックが抱えた闇が深いだけに、
この先はずっとユウトと一緒に光の中を歩いていってほしいな。

ペーパーは字がみっしりで嬉しい読み応え。
本編で刑務所時代のことを振り返っているおかげで
最初から読み返したい気分になってみるけど、
今は手いっぱいなので、そのうち。←こんなんばっか(笑)

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「水曜日の嘘つき」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)



あの賭けがなかったら、二人が接点を持つことはなかった。
だから、賭けはそのきっかけとして必要だったツール。
問題は、椎名がいつそのことを真尋に話すのか。
その一点に尽きたわけだけど、最悪の方法での露見。
二人が本当に気持ちを寄り添わせていったことがわかるだけに、
どっちサイドに立っても痛かった。
とはいえ、蟠りを解かすために動かなければいけないのは椎名の方。
その後の彼の誠意ある態度は素直に良かった。
真尋の本質をしっかりと言い当てた椎名と、
椎名によって色のある世界を知ることができた真尋。
ゆっくりと時間をかけて歩んでいってほしい。



外見のイメージで自分を測られた場合、
なんとなくそのイメージに添うような態度をとってしまうことはあるある。
意図して演出している場合は楽しめばいいけど、
違うのに……と思いながらだと辛いよね。
まぁ、素のままありのままでいられるのが一番楽で良い。






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