忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「バイバイ、ハックルベリー」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



両親に愛され、家族仲良く天真爛漫に育った塁と、
幼少期には己の内側に引き籠った過去のある槙志。
前半は二人が想いを伝え合うまで、
後半は二人が付き合ってからの物語。
「好き」の種類がままならないものの、離れてしまいたくはない。
そういう心の揺らぎがリアルに伝わってくる。
特に、価値観というか、考え方の違う二人が、
相手のことを思い、すれ違いに悩み、心を添わせていくまでがとても丁寧に描かれていた。
終始話し合いでいったら歩み寄るのにもう少し時間がかかったかも?
ああいう爆発の仕方が嫌味にも不愉快にもならならないのは、
塁がまっすぐで裏表のない子だからだろうなぁ。

そういえば、ウチの甥っ子ちゃん、キッズのオセロ大会で
県予選を突破して東北大会に出場していました。
いろんな大会があるんですね~。

拍手

PR

「アンティミテ」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



ギャラリスト自らが見出したまだ画家ですらない画家を、
現代社会の実情に即した形で育てていく物語。
自力で道を切り開いていくことのできる芸術家も世の中にはいるだろうけど。
群のように生活に追われて描くことがままならない人もいるだろう。
それでも、郡は描きつづけた。
少ない時間の合間を縫って、100均の画材で。
絵を描くことが本当に好きなのだという気持ちが伝わってくる。
最初は絵に。
そして群自身に。
惹かれていく和楽の迷いと揺らぎ。
異国の地へと飛び出した群との再会はドラマティックで運命的。
増え続ける習作の存在を思って、微笑ましく読了。

美術展に絵画を見に行くたびに、知識不足を痛感……
するんだけど。
無理に知識を詰め込む必要もないかな?とも思ってる。
どうしても気になったことはその場で調べつつ、
あとは好きか嫌いか。惹かれるか惹かれないか。
主観上等。
……と打ち込んでいたら、私、大学の講義の一つに
「西洋美術史」を選択していたことを思い出しました。
何やったかちっとも覚えてない!←ダメじゃんww
あ、フレッシュ症候群だ!



拍手

「ひつじの鍵」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



家族に見せる顔。恋人に見せる顔。友だちに見せる顔。仕事で見せる顔。
程度の差はあっても、皆、それぞれに違う。
一色のオンとオフの切り分けのギャップは相当で、それがかなりの魅力だったけど、
更にに凄いのは仕事に対するプロ意識。
そんな一色のオフの顔を偶然目にした羊は
急激に彼に惹かれていく。
羊は気持ちを「分ける」というよりは「押し隠して」過ごしている未成年。
身近にいる人には見せることのできなかった本音を一色に晒すことによって
深まる関係性。
年の差があったからこそ成就した恋愛だと思う。
軽妙な会話のテンポと着眼点が面白くてぐいぐい引っ張られた。

本来は「洋」であった筈の名前が「羊」になってしまったように。
友だちも自分がそうだとずっと思って名乗ってきた名前が、
実は出生届と違っていることがン十年生きてきて発覚。
「(そうだと思って使ってきた名前に)改名してきたわ!」と憤慨していたことを思い出しました(笑)

拍手

「朧小路の恋の花」かわい有美子 (Holly NOVELS)



京都の花街を舞台にした恋の物語。
しっとりと読ませる作品。とても良かった。
昔堅気な職人気質の板前・吉澤と、人あしらいに長けたカフェバー店長の光希。
偶然の再会から互いの日常に根付いた仕事の部分を介して近づいていく距離感。
思惑のある光希と意図不明な吉澤の逢瀬の積み重ねを追っていくことがとても楽しかった。
関係が拗れかけた時に吉澤の見せた強引さがカッコよくて、
安心して甘えることのできる彼の男前っぷりにときめいていたわけですが。
ラスト、気まぐれな猫のようだった光希のデレた可愛らしさに射抜かれて、
その後の吉澤の行為にさらに悶絶して読了。

もう少し読みつづけていたかった。
甘くてくすぐったい感じの読後感を反芻してなんだか幸せ気分。
宮城さんのイラスト、特に表紙と口絵のカラーが秀逸。
そして、ホット・バタード・ラムを呑む前に冬が終わってしまったことに気付いてみました。
来年こそ!←そもそも、どこに行ったら呑めるのかがわかっていない(笑)

拍手

「あどけない熱」久我有加(ディアプラス文庫)



聖の想いは純粋でまっすぐで歪みがない。
けれども。
14歳という年齢では、どうしたらいいのかがわかってはいても、
それを実行に移すだけの手段がないのが歯がゆい。
諦観を抱えて逃げ続けたカイネが初めて示した抵抗。
結果、呪縛からは逃れられたけど、その後彼らの歩んだ道はやさしいものではなかった。
それでも。
果たされた約束に安堵する。
細やかに描かれる心理描写で、互いが互いを想い続けた10年の時が知れる。
再会してからも本当の意味で寄り添うために必要だった時間が切ないながらも尊い。
どんな話?と聞かれたら、綺麗な話!と答えたくなるような作品。

親の意向で良い大学を目指して、それを子どもが苦痛に思っている場合。
良い大学に入ることだけが子どもの幸せじゃないんだよー、
と、真に子どもの幸せを願っている親になら伝えたいけれども、
彼らのように自分のことや体裁しか考えていない親には
何を言っても無駄なのかな?という気持になる。
聖の両親はどうよ?って言いたくなる人たちだったけど、
祖父が味方になってくれてよかった。


拍手

「上海金魚」かわい有美子 (CROSS NOVELS)




妻子ある人と不倫をしている時点で「この人と幸せになりたい」は通用しない。
不倫相手の「妻とは別れるから」は、実際に別れるまで信じてはいけない。
一年半も不倫関係を続けて「いつ別れるの?」と詰め寄ることができないのなら、
浮気相手としての立場を受け入れるか、別れるかしかないと思う。
それを思えば、あの時点で伊藤と縁を切ることができたのは、
水端にとって、結果的には幸せな事だったと思う。
傷ついて苦しかった時に傍に滝乃がいたことも。
スマートで屈託のない滝乃のリードからは、その手を取って間違いないよ!
という安心感が伝わってきた。

順番的には『上海金魚』→『透過性恋愛装置』→『月一滴』。
でも、この作品を一番最初に読んでいたら、
え?ちょっとここからでしょ!と、前のめりになってジタバタしていたと思うので、
この先の二人を知っていてよかった(笑)
そして手元には『恋は遠い日の花火ではなく』があるので、ワクワクしながら読みます。

拍手

「月一滴」かわい有美子 (クロスノベルス)



人と人がどんなふうに向き合って、
どんな関係性を築いていくのか。
そういうところをきちんと書き上げてくれるから、かわいさんの作品がとても好き。
先行する悪意ある噂のせいで、負のループに絡み取られそうになっていた橋本を救い上げ、
甘やかすでも諭すでもなく、きちんと前を向けるように導いた嵯上。
断れない人に断ればいいじゃん、と言うことは酷。
そこから抜け出すための手段を示した余裕のある大人かと思いきや、
テンパって橋本を家に連れ帰った嵯上の人間味が好ましい。
そこからの告白シーンとても好き。
二人で月を見上げる穏やかな日々が続きますように。


そんな橋本に天災のように係ってきた北嶋の愉快な破壊力。
あれでギリギリ許されてるから、人生得してるなーと思う。
まわりは大変だと主けど。
「十歩ぐらい離れていると面白いけど、そばに来るともう十歩ぐらい離れたくなる」
嵯上の北嶋に対する評価に納得。
牧田にチョコレートをあげた女子に目くじら立てた理由に脱力。
バカ可愛い←褒めてる(笑)



拍手

「モネ・マーダーズ」ジョシュ・ラニヨン (モノクローム・ロマンス文庫)



前作のラストから良い雰囲気の二人を期待して読み始めたら、
サムのあんまりな塩対応に切なさマックス。
え?
ちょっと!
どういうことよ!
二人の想いとは無関係に事件は進行する。
殺人事件の真相に近づくためのドキドキと、
サムとジェイソンの関係が気になってのドキドキと、
居たたまれない想いを抱きながら読み進める。
どんなに自分を律しようと頑張ったところで、気持ちに嘘はつけない。
何都合の良いこと言ってるの?と思いもしたけど、
ツンが崩壊したサムが心に抱えていたのは、
ジェイソンに対する真摯な想い。
糖度過多なカフスの件に身悶えて読了。

サム(46歳)にはどこの高校生ですか!?と突っ込みたい。
でも、過去を未だに胸に刻んだまま生きている姿はどこか痛々しい。
それでもジェイソンを欲した。
その気持ちを認めたところからが第一歩。
……というわけで、次作の翻訳を楽しみにしています。




拍手

「透過性恋愛装置」かわい有美子 (CROSS NOVELS)



「まいったなぁ」とは牧田のつぶやきだけど。
私も言いたい。まいったわ!何なの、この人!
人としても社会人としてもどうなの!?
と、憤りすら思えていた北嶋が、可愛らしくいじらしく思えてしまった。
鼻持ちならない自信家。
世界の中心は常に俺。
そんな部分が目につくけど、
根本的なところは子供で純粋。
恋愛慣れしていそうな北嶋に
駆引きも打算もないど直球な想いをあんな風に向けられたら
……絆されるよ。
普段は紳士な牧田のちょっとイジワルなセックスも良い。
苛々しながら読み始め、北嶋に気持ちが傾いていく牧田に同調して
とても楽しく読了。

『上海金魚』→『透過性恋愛装置』→『月一滴』と連なっている模様。
知らずに本作から読んでしまったので、未読の二冊と
うっかり同人の総集編もポチってしまった。こういうとこダメね。
集めるならとことん!となってしまう。
でも届くの楽しみ~☆←正直者(笑)

拍手

「ガーランド -獣人オメガバース- 下」 (ダリアシリーズ)



己の気持ちを自覚し、その想いをまっすぐに伝えたジル。
ディエゴの誠実な想いにすっぽりとくるまれる感覚がとても心地良い。
震えるほど切ない擦れ違いを経て想いを伝え合う二人に
幸せを噛みしめるのだけれども。
ジルを想い続けたアルバートがとても不憫。
やらかしたことはとても誉められたことじゃないけど、
その喪失感はやるせない。
想ったから想われるわけじゃないのが辛いところだよなぁ。
良い人に出会えるといいね。
「魂の番」という強烈な引きがない代わりに、
ゆっくりと気持ちを育んでいく様が描かれていて彼らの想いがじわじわ沁みた。

エピローグでは幼少時のルアードとジュダの可愛らしさにほっこりする。
この二人が大人になったらあんなふうになるのね~、と思い描けるのは、
本編既読の特典。
巻末の漫画で甘さを噛みしめて、ラストのイラストでとても幸せに読了。




拍手

  

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 5 6 7 8
11 12 13 15 16
18 19 21 23
24 25 26 27 28 29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]