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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「erotica」榎田尤利(リブレ出版)




何処か常軌を逸したようなあまりにも濃密な情事。
勘違いと好きすぎる気持ちが暴走した微笑ましい逆転劇。
快楽に奔放な男が知った、未知なる愉悦。
本当の自分を曝け出した男に絆されて踏み越えた一線。
嫉妬に狂った故の暴走……からの立場の逆転。
そして、美しい文体で綴られる書簡の往復と日記と間に差し込まれる胸に迫る小説。
6編の短編のどれもが秀逸すぎて、息を呑むような真剣さで読みふけってしまいました。
しばらく浸っていたいこの読後感を、なんと形容するのが適切なのか、
ちょっと言葉が見つかりません。
ときに秘やかに、ときに大胆に。
あとがきの榎田さんの言葉通りの短編集でした。


内容(「BOOK」データベースより)

弱みを握られ、脅され、ふたりがかりで辱められ―支配するものがその立場を奪われ、悦楽に跪くとき…。『10×3』をはじめ、書き下ろし含む全6編、密室、玩具、極道など、榎田尤利がこだわりぬいた極上のエロティック短編集。

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「ふったらどしゃぶり」一穂ミチ(フルール文庫)



ひとつの彫刻作品を見てこみあげる思い。
その思いを、いま、この瞬間に伝えたいという衝動。
きっとわかりあえる。
そんなふうに思える相手に出会えたこと。
それは、たぶん、運命。
誤送信で始まったメールのやりとり。
やり場のない想いは吐き出す場所が必要で、
自分を理解してくれる相手の存在は、ただそれだけで心強い。
他愛もない言葉のやり取りから、真摯な想いを吐き出すまでに至るメールの往復は
胸に迫るものがあり、だからこそ、どん底に落ちた時に縋った言葉が痛い。
どこまでも際限なく求め合う二人の姿が痛々しくて切なくなる。
やっと一歩を踏み出すことができた二人。
お幸せに☆

実は私、一顕と同じ誤送信メールを送ったことがあります。
退職した部長に(爆笑)
レストランの店舗情報だけを送られてきた部長は、
どんな意味があるのかしばらく悩んだそうな。
一方の私は……あれ?届いてない?
ま、いっかー、送るつもりだっただけで実は送ってなかったのねー、
と、のんきになかったことになっていました。
ゴメンナサイ(*^_^*)




内容(「BOOK」データベースより)

同棲中の恋人とのセックスレスに悩む一顕。報われないと知りながら、一緒に暮らす幼馴染を想い続けている整。ある日、一顕が送信したメールが手違いで整に届いたことから、互いの正体を知らぬまま、ふたりの奇妙な交流が始まった。好きだから触れてほしい、抱き合いたい―互いに満たされない愛を抱えながら、徐々に近づいていくふたりの距離。降り続く雨はやがて大きな流れとなってふたりを飲み込んでいく―。

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「イエスかノーか半分か」一穂ミチ(ディアプラス文庫)



「半分でいい」と言った竜起に対して「ふざけるな」と怒鳴った潮に全部持っていかれました。
計に対する想いの深さと真摯さ。どれだけ計を大切に思っているかがぶわっと流れ込んできた。
そして「竜基に謝れ」と計を叱った潮に、人間としての懐の広さと誠実さを垣間見た気がした。
大なり小なりの二面性は誰しもが持っているもので、多分みんな使い分けている。
それがあそこまで極端な計は、ある意味凄い。
演じる楽しさ爽快さはあっても、一番楽に息をできるのは、素の自分であるとき。
潮に一括されたあと、「半分じゃいやだ」と泣く計に、
そうやって素直になれる場所を得られて良かったね、と、心から思いました。

計も潮も竜起も、設楽さんも。
仕事に対する姿勢が皆一生懸命なところがすごくよかった。
人知れずの努力があっての高評価。
努力をひけらかしたりはしないけれども、見る人はちゃんと見てくれている。
それは頑張り甲斐があるなぁ、と思いました☆


内容(「BOOK」データベースより)

人気若手アナウンサーの国江田計は極端な二重人格。王子と称される完璧な外面と、「愚民め」が(心の)口癖の強烈すぎる裏の顔を持っている。もちろん誰にも秘密だ。そんなある日、取材で知り合ったアニメーション作家の都築潮と、オフモードの時に遭遇してしまう。幸い都築は、くたびれたジャージにマスクの男があの国江田計とは気づかない。けれど怪我をした都築の仕事を、計はしばらく手伝う羽目になり…?

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「サーカスギャロップ」崎谷はるひ(ダリア文庫)



辛い時や苦しい時。
自分が陥った状況を真っ正直に話せて、
泣きながら想いを吐き出すことができる相手がいるといないとでは、
天国と地獄ほどの落差があると思う。
恋人と信じていた女に三つ股をかけられていた阿東と日下。
この二人がお互いの状況を確認しながら、
エスカレートしていく女と第三の男からの嫌がらせに対策を講じていく中で、
想いを通わせていく。
甘いけれども逃げ場のない阿東の熱いアプローチ。
混乱しながらも流されるのではなく、自分の意志で陥落した日下。
二人のやりとりがものすごく微笑ましかった。
「浮気する彼女より誠実な彼氏の方がいいよ!」
ごもっとも(笑)

前作で辛い思いをした理名の幸せそうな姿が見れて良かった。
佐伯と末永くお幸せに☆



内容(「BOOK」データベースより)

平凡な会社員の日下は、結婚も考えていた美久からの誤メールで、彼女の浮気を知る。悩む日下の元に阿東という男から「会って話そう」と連絡が。美形で色気のある阿東に日下は圧倒されるが、彼との話で更に別の浮気相手が浮かびあがり、互いが被害者と気づき意気投合。美久への対処を相談する内、阿東がバイだと知り、彼は「好きなんだよ。あんたみたいなタイプ」と言いだし…。

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「蛇とワルツ」榎田尤利(シャイノベルズ)



孤独を抱えた人たちを描いてきた、シリーズ最終巻。
手ひどい裏切りを受けた志摩が負った深い心の傷。
もう、誰も愛すまいと誓った頑なな心にスルリと入り込んできた一匹の蛇。
その腕に抱かれて得られる安らかな眠り。
「愛してくれれば、温かくなれる」
とはいえ、殴られて当然のことをしでかしたので、洋司は一発殴られて正解。
不遜で強引で気まぐれで、でも気配りができて甘やかし上手な洋司。
人馴れすると蛇は犬属性になるのかしら?と思わせる豹変っぷりが可愛い。
仕事に没頭することで孤独を紛らわせていた志摩の見つけた愛。
お幸せに☆




内容(「BOOK」データベースより)

「俺はあんたを甘やかす、優しいペットだ。まるで恋人のような」『Pet Lovers』のオーナーである仁摩遙英は、仕事が恋人というワーカホリックだ。そんな仁摩は、問題児のペットを躾け直すため自宅マンションで預かることに!カテゴリー爬虫類の蛇、竜巳杏二だ。命令しても動かず、呼んでも振り向かない扱いづらい蛇に、仁摩はうんざりする。だが、不遜なばかりではない杏二を知るうちに、まるで恋人のように惹かれ始めていくのだが、ある裏切りを知り…Pet Lovers至上の恋、登場。

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「秘書とシュレディンガーの猫」榎田尤利(シャイノベルズ)



【信じても、信じなくても、裏切られるときは裏切られるのだ。
 ならば信じた方がいいと、今になって思う】

舘が自分の想いに気付いてからの展開が良かった。
「きみにとって九億を上回る価値の男なら、そこにいる」
告げられた愛を信じきることができない雨宮に対して、
自分に心を預けることを求めず、ただ自分が信じるから一緒にいようと、告げた舘。
人を信じることの大切さにいつしか毬岡爺が気づいたように、
好きなのに信じられないと訴えた雨宮もまた、
舘の元で大切に甘やかされながら、気づいていくのだろう。
臆病で人慣れしていなくて人間不信で、それなのに、
人を「赦す」ことを知っていた雨宮。
彼を傍に置いた毬岡爺の愛情がそこに垣間見れるような気がした。

内容(「BOOK」データベースより)

シュレディンガーを正しく指摘したひとりに全財産を相続させる―亡き祖父の遺言を聞くため古い屋敷を訪ねた舘を待っていたのは、風変わりな猫探しの遺言と初めて会う従兄弟、それに祖父の美しい個人秘書、雨宮だった。金と権力を信じる舘は、遺言の内容にうんざりしながらも屋敷に滞在することを決める。一方、雨宮は初めて会ったときから、舘のことが嫌いだった。それなのに、舘の挑発に乗ってしまい…!?甘くてほろ苦い大人の恋。

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「獅子は獲物に手懐けられる」榎田尤利(シャイノベルズ)



耐えるしかなかった理不尽な仕打ち。
家族を守るつもりで耐え続け、その結果が母の死だったのだとしたら、
それはあまりにも残酷で悲しい。
何故泥沼から抜け出そうとしない?と問いかけることは簡単だけれども。
当事者にしかわからない柵と鬱屈がある。
差し伸べた手を拒絶されても、千秋のことを諦めなかった真。
どん底まで落とされかけ、爆発した千昭を繋ぎとめた真の叫び。
長い間の孤独と絶望が痛いほど伝わってきた千昭だからこそ、
自由で鷹揚な真と出逢えてよかったと、心から思う。
リスタートの人生はここから。幸せになってほしい。

志水さんの描くシンが半端なくかっこよかったです!
ゴロゴロ喉を鳴らして甘えるライオン……素敵☆



内容(「BOOK」データベースより)

「他の男を気にしてる場合か?俺だけ見て…俺だけ感じていろ」呼吸器内科の医師である鶉井千昭は、ある夜、自宅で突然見知らぬ男に襲われた。それが会員制デートクラブ『Pet Lovers』のライオン、蔵王寺真との出会いだった。足首に見えない鎖を繋がれている千昭と、金で愛を売る不遜なライオン、真。千昭の義兄の企みの下、不本意な出会いを果たしたふたりだが、いつしか強く惹かれあうようになる。しかし、ある過去が千昭を苦しめ…究極のビースト・ラブ。

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「愛煉の檻 柴乃太夫の初恋」犬飼のの(ホワイトハート)



相変わらずの設定の作り込みの上手さにため息。
職業軍人ミハイルと刀匠忍の五年越しの純愛。
天才刀匠と言われた忍の打った刀は鬼を生む。
それでも、刀を打ちたいと願う己の気持ちを封じ込めるために、
吉原に身を落とし、右腕を砕く忍。
そこに宿るのは、凄まじいまでの修羅。
明かされた秘密は鬼を生み出してしまったからくり。
それには底のない情念を突きつけられた。
愛していると。
変わらぬ想いを語るその胸の奥底で噛みしめられる、忍の悲壮な決意が哀しい。
ミハイルは彼の願いをかなえるために手を尽くすだろう。
秘められた思いに気付かぬまま。
続き、とっても気になります!

内容(「BOOK」データベースより)

愛欲と歓楽の都・奥吉原。この色街で身分を隠し、難攻不落の処女太夫として名を馳せる美貌の陰間・紫乃は、ある晩、銀髪の貴族軍人ミハイルと再会する。彼は五年前、紫乃が天才刀匠・太刀風忍と呼ばれていた頃に初めて恋に落ちた人だった。変わりはてた忍に、構わずミハイルは身請けを申し出るが、忍は誰にも言えない秘密を抱えていて…。再会が残酷な運命を呼び起こす、哀しくも妖しい、華麗なる遊郭綺譚!

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「犬ほど素敵な商売はない」榎田尤利(シャイノベルズ)



【相手を縛るほどの強い愛。盲目的な独占欲】

溢れる愛は尽きることなく、飢えた空虚はその愛をどこまでも享受する。
さながら、磁石のSとNのように惹きあう二人の、あまりにも不器用な恋。
二人の抱えたどうしようもないほどの寂しさに胸が押しつぶされそうになり、
ユキオが雨に打たれるシーンでは何度読んでも泣いてしまう。
切なく痛ましい共依存。相手を想うが故の、擦れ違い。
ナナや高見。
二人の想いを繋いでくれる人たちがいてよかった。
裏切られたら自分が死ぬ、という轡田の底のない優しさに満ちた独占欲。
「飼い主と犬」として始まった関係が「恋人」という関係に変化していく様子に胸をなでおろす。
甘さたっぷりのカフェのシーンでの終わりに、幸せな気持ちになりました。

内容(「BOOK」データベースより)

悪い子だ。発情してしまったのか?自覚のあるろくでなし・三浦倖生は、うだるように暑い夏のある日、会員制のデートクラブ『Pet Lovers』から『犬』として、寡黙で美しい男・轡田の屋敷に派遣される。そこで倖生を待っていたのは厳格な主人・轡田の厳しい躾の日々だった。人でありながら犬扱いされることへの屈辱と羞恥。そして、身体の奥底に感じる正体不明の熱…。次第に深みにはまっていくふたりだったが!?究極のコンプレックス・ラブ。

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「花がふってくる」崎谷はるひ(ダリア文庫)



流麗な文章で静かに綴られる物語。
特に、涼嗣と夏葉の夏のシーンの美しさが印象に残りました。
崎谷さんらしくて崎谷さんらしくない文章だなぁと思った理由はあとがきで納得。
秋祐が傍にいることがあたりまえで、でも彼の気持ちにも自分の気持ちにも無頓着で。
「結婚」ということの意味も重さをないがしろにしすぎた涼嗣だけれども。
恋人との関係にきちんとけじめをつけ、秋祐と結ばれた後の彼の覚悟と想いの深さには
胸にジンとくるものがありました。
そして、ともすれば揺らぎそうな秋祐を包んで離さないその執着がいい。
二人の気持ちがとても丁寧に綴られていて、静かに進行した物語の余韻は
ちょっと切なくて心地よいものでした。

内容(「BOOK」データベースより)

大学助手の蓮実秋祐は、いとこの袴田涼嗣と同居している。同い年のくせに、際限なく甘やかしてくる涼嗣に、秋祐は密かに恋をしていた。近すぎる距離があたり前になっていた二人だったが、涼嗣が恋人・理名との結婚を決めたことから事態は大きく動き始める。秋祐は涼嗣への想いにピリオドを打ち、離れる決心をするが―。

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