きままに読書★
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カテゴリー「BL小説」の記事一覧
- 2015.06.24 「交渉人は嵌められる」榎田尤利(SHYノベルズ)
- 2015.06.21 「交渉人は振り返る」榎田尤利(SHYノベルズ)
- 2015.06.20 「交渉人は疑わない」榎田尤利(SHYノベルズ)
- 2015.06.13 「交渉人は黙らない」榎田尤利(SHYノベルズ)
- 2015.05.30 「ムーンライトマイル」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
- 2015.05.28 「オールトの雲」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
- 2015.05.23 「窓の灯とおく」一穂ミチ(ルチル文庫)
- 2015.05.17 「街の灯ひとつ」一穂ミチ(ルチル文庫)
- 2015.05.07 「threesome…」榎田尤利(リブレ出版)
- 2015.05.03 「ワンダーリング」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
「交渉人は嵌められる」榎田尤利(SHYノベルズ)
【ものすごくがんばって生きている人だからね。
ときどき心配になるんだよ】
過去にケリをつけようと必死で頑張る芽吹と
組の不利益を排除しようとする兵頭との擦れ違い。
どちにも譲れない一線があって、妥協できないところがキツイ。
他人にできるのは手を差し伸べて、力を貸すところまで。
乗り越えるのは、自分自身でしかない。
今、まさに過去を乗り越えようとしている芽吹の痛みと苦しみ。
芽吹の過去に対して何もすることができない兵頭の絶望と苦悩。
兵頭のつぶやきが胸に刺さる。
芽吹の世界を変えた若林。
芽吹をこちら側に引き留めた七五三野。
兵頭の立ち位置が確定するのは次巻以降ですね。
環のやり口は容赦なくて怖いわ~
内容(「BOOK」データベースより)
下町は両国に芽吹ネゴオフィスとして事務所を構える芽吹章は、嫁姑問題以外ならなんでもござれの交渉人だ。そんな芽吹の恋人は泣く子も黙ると評判のヤクザ兵頭寿悦だ。仕事も恋も順調!のはずの毎日だったが、ひとりの男が現れたことにより、芽吹の過去が露になっていく。それはかつて自分を救ってくれた親友への罪悪感であり、芽吹の忘れることのできない傷でもある。俺を選ぶのか、それとも―芽吹と兵頭が選んだものは…。
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「交渉人は振り返る」榎田尤利(SHYノベルズ)
【肝心なのは、間違えないことじゃない。
間違いに気がついたときに、修正できるかどうかなのだと俺は思う】
少しずつ明かされる芽吹の過去。
過去に傷ついた心に追い打ちをかけるような現実。
人間は弱い。
時に他者を傷つけるその弱さがやるせなかった。
誰かを信じたいと強く願ってみたところで、
時に信頼は手ひどいしっぺ返しで打ち砕かれる。
けれども、その時自分を抱きしめてくれる誰かが傍にいてくれることは、
とても心強いことだと思う。
心理的にも物理的にも距離の縮まった兵頭と芽吹。
「どんなあんただって手放す気はねぇ」
兵頭の示す執着は、いっそ心地よい。
兵頭に惹かれているのは認めつつも、その想いをなんと形容していいのかわからない芽吹。
彼が自分の気持ちにどう折り合いをつけるのか、楽しみ。
芽吹を助けに向かう兵頭と七五三野は
反りが合わないだなんだかんだといがみ合う割には
良いコンビだと思いました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
元検事で元弁護士、そして優秀な頭脳と口八丁を駆使する美貌の男、芽吹章は、弱き立場の人を救うため、国際紛争と嫁姑問題以外はなんでもござれの交渉人として、『芽吹ネゴオフィス』を経営している。そんな芽吹が泣く子も黙ると評判のヤクザ、兵頭寿悦と深い関係になり、この頃では互いの存在に慣れつつあった。だが、生き方も違えば考え方もまるきり違う、おまけにヤクザなんて大嫌いだ、それなのに寝ている…ということに戸惑いがあるのも事実だった。そんなとき、芽吹はかつて関わっていたある青年と再会して…。
「交渉人は疑わない」榎田尤利(SHYノベルズ)
【結局、人間なんて常に自分に暗示をかけ、騙し
なんとか取り繕って生きているだけなんじゃないかと思う】
交渉人の仕事のすごさを教えられた巻。
頭の回転がよくないと、できない仕事だわ。
いざコトに及ぶ段になっての兵頭と芽吹のやりとりが個人的にとても好き。
芽吹の腹の括りっぷりと、心配事の中身がどこまでも男らしくて、
情緒の欠落っぷりに兵頭がお気の毒様。
でも最初に条件提示したのは兵頭だよね。お馬鹿さん。
とはいえ、本気で寝たいと思ってないなら抱かない!という兵頭がとっても男前でした。
さゆりさん視点の後日談がとても良い。
サラリと零れる本音ってあるよね。
笑いあり、ホロリとさせるシーンあり、ドキドキあり……
最初から最後まで「読ませる」物語でした。
次巻も楽しみ!
「掘削」という芽吹の心の呟きに爆笑。
そして、携帯待ち受け画像がとっても素敵☆
内容(「BOOK」データベースより)
元検事で元弁護士、そのうえ美貌と才能まで持ち合わせた男、芽吹章は、弱き立場の人を救うため、国際紛争と嫁姑関係以外はなんでもござれの交渉人として、『芽吹ネゴオフィス』を経営している。ところが、ひょんなことから高校時代の後輩で、現在は立派な(!?)ヤクザとなった兵頭寿悦となぜか深い関係になっている。嫌いではない、どちらかといえば、好き…かもしれない、だがしかし!!焦れったいふたりの前に、ある日、兵頭の過去を知る男が現れて。
「交渉人は黙らない」榎田尤利(SHYノベルズ)
【あいつのことなんか、知りたくない。
知ってしまえば何かが変わるような気がして、正直怖い】
自分の力で不器用でもまっすぐ前向きに生きようとする人は好き。
それが挫折や苦難を乗り越えた強さなら、尚更応援したくなる。
危なっかしいようで、しっかり両足で自分の人生を支えている。
そんな芽吹きに対する兵頭の執着。
その気になれば何でも手に入りそうな兵頭の、余裕のない必死のアプローチ。
押し殺そうとしてきた想いだからこそ、熱く情熱的に溢れ出る様がいい。
二人の会話の軽妙さも楽しいし、距離感も絶妙。
周囲に知らしめるために想い人を連れ回す30男。
若頭の想い人ならば、と、理解のありすぎるヤクザ事務所の男衆がまたおかしい……
続がとっても楽しみな一冊。
「あんたを俺のものにする」これはOK。
「俺のオンナになればいい」これはNG。
私的なこだわり(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
元検事で元弁護士、そのうえ美貌と才能まで持ち合わせた男、芽吹章は、暴力・脅迫・強制、このみっつが反吐が出るほど大嫌いだ。弱き立場の人を救うため、国際紛争と嫁姑問題以外はなんでもござれの交渉人として、『芽吹ネゴオフィス』を経営している。そんなある日、芽吹の前にひとりの男が現れた。しかもヤクザになって!!兵頭寿悦―できることなら、二度と会いたくない男だった…。
「ムーンライトマイル」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
【焦るまでもなく、とっくに好きだたのだろうか。
昼と夜の継ぎ目を探すみたいに何かしら決定的な一瞬に
こだわっていたから気づけなかっただけで】
大地を知れば知るほど、近づけば近づくほど、見失う気持ち。
始まりが歪だっただけに、余計に自分の心がわからなくなる昴。
そして相手を抉るような言葉を投げかけて、多分確かめるのだ。
愛の所在を。
貞操観念のなさに、え?この子、大丈夫?と思った大地が
とても懐の広くて愛情深い男子で、本気でカッコいいと思いました。
さすが、高梨家で育った子だわ(笑)
混乱する昴とは対照的に、大地の気持ちはぶれない。
昴の気持ちが大地に少しずつ傾いていっているのが感じ取れる文章が素敵。
そして決定的だった亘の言葉。
第三者の方がよく見ている。
明確な区切れ目を探す必要はなく、気づいたら好きだった。
恋はそれで十分だと思う。
流星と太陽のその後が伺えたのがとてもよかった。
「あのふたりには互いの骨をひとかけら交換したような、
余人には立ち入れない結びつきがあった」
この表現、すごく好き。
綺麗な言葉が随所にちりばめられていて、一文一文を噛みしめてしまいました。
内容(「BOOK」データベースより)
上映中のプラネタリウムで彼女に浮気を咎められ派手に振られた大地。学芸員の昴にきつい皮肉を浴びるものの、なりゆきで科学館でアルバイトをすることになる。昴は大人しげな見かけに反して気が強く厳しい。そんな彼に最初は苦手意識を持つ大地だが、天文一筋で誠実ゆえに偽りのない昴を知るほどに惹かれてゆく。その視線の先に別の誰かがいると気づいた時にはもう後戻りできないほどに―。年下攻星屑ロマンス。
「オールトの雲」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
【それでも、何度でも出会いたい。
ほんとうの、最期のときにも「またね」と言いたい。
その瞬間にすべてを振り返り、すべてが宝物になる。】
人を好きになる気持ちは、こんなにもきれいでやさしい。
相手にとって何が一番なのか。
思いやる気持ちから導き出した決断に、たまらなく切なくなるのだけれども。
彼らの綺麗に澄んだピュアな想いがとても愛しくて、泣きながら微笑みかけたくなる。
そんな物語でした。
流星も太陽もまだ10代半ばの子どもだけれども、
子どもなりに相手のことを、相手の家族のことを懸命に考える様子がとても好感に
が持てました。
自分の気持ちを持て余して相手にぶつけるシーンもまっすぐでいい。
みんないい子だ……(涙)
そして両家のご両親も兄弟も本当に素敵で可愛かったです。
読後、自分の気持ちも澄んだ透明な色になっているような、
そんな感覚(錯覚?笑)に暫し浸ってしまいました。
一穂さんのお話、大好きです。
さて。次はムーライトマイル♪
内容(「BOOK」データベースより)
お姫様のような母親と一緒に太陽の前に現れた小さな王様―それが、流星だった。外国の血を引く繊細に整った容貌と、誇り高くまっすぐで、嘘やごまかしのない性格。そのせいで周囲から浮く彼をほうっておけず、いつだって側にいた。けれど、部活の合宿先で偶然会った流星は、太陽が知らない顔をしていて…。闇夜に迷う心を照らす、一等星の恋。その後の二人を描いた書き下ろし「真夜中の虹」も収録。
「窓の灯とおく」一穂ミチ(ルチル文庫)
出会ってから恋情に進むまでのふたりの距離感の描写が絶妙。
偽らず、繕わず、ありのままの自分を受け入れてくれる存在。
築にとってはそれが新で、新にとっては築だった。
描かれているのは
「ここに帰り着きさえすれ大丈夫だと思える場所」を得ることができた奇跡。
激しい激情が描かれているわけではないけれども、
溢れる想いに涙が滲みました。
静かに営まれる生活の中、互いに係わることで少しずつ変わっていく二人。
それもたぶん、良い方に。
新のために自分の気持ちを諦めようとした築。
築のために囁かれる、一日更新の告白の言葉。
恋愛っていいな、と、素直に思った物語でした。
すっぱりとした築の物言いがとても好き。
「今しかない」と言い続けている彼らの未来を願います。
「街の灯ひとつ」一穂ミチ(ルチル文庫)
【それは一途なんて呼べる代物じゃない、昏い熱だった】
ゆっくりと穏やかに流れ込んでくる感情に静かに揺さぶられ続け、
結局泣かされてしまいました。
「初鹿野のいない世界なら、何を持ってたって意味がない」
初鹿野をずっと想いつづけた片食の気持ちが一途で、深くて、いじらしくて。
そして、たまらなく愛おしい。
「責任は俺がとるんだよ」
流されるわけではなく、絆されるわけでもなく。
片食ときちんと向き合い、理解した上で受け入れた初鹿野の気持ちがやっぱり愛おしい。
穏やかで深い、片食の情愛。
だけどそこには静かな熱がある。
その熱で、初鹿野の欠けていた感情が修復されているような感じがすることが嬉しい。
とても素敵な物語でした。
山下久美子の「微笑みをもう一度」が脳内ヘビロテ。
「街の灯がともる」という歌詞部分とタイトルがリンクしたんだろうなぁ。
片食と初鹿野の物語、もう少し先まで読んでみたかったわ。
内容(「BOOK」データベースより)
気の進まない同窓会で、記憶にない同級生と会った初鹿野柑。翌朝、酔いつぶれて正体のないままその男と一線を越えたことを知って愕然とする。「ずっと好きでした」と土下座する男は、実は、二度と会いたくなかった相手―名字も容姿も様変わりして現れた―片喰鉄之助だった。あまりの事態に「気持ち悪い」と気後れしてしまう初鹿野だが…。
「threesome…」榎田尤利(リブレ出版)
「現実世界でなくしたものが、夢の中で蘇る。
そして夢から覚めた途端に、再びすべてを失ってしまう」
何かが欠けていて、どこかが壊れていて。
淋しさに気付かないふりをして、愛を嗤う。
甘さのない乾いた世界。
だからこそ、そこに介在する情が哀しい。
当人を目の前にしながらも、写真にしか手を伸ばすことのできなかった櫛田。
辻が財津とも菊池とも築くことのできない絆を確かに彼は持っていたのに。
「さよなら」
その言葉を言わせたのは、櫛田自身だ。
疲れ切った辻を労わるように甘やかす財津と菊池。
明日また、活力を伴って目覚めるために。
残酷で厳しい現実世界の中で、彼ら二人に愛を囁かれながら、
愛を語らない辻は、これからもしたたかに生きていいくのだろう。
乾いた切なさが尾を引く読後感でした。
やっぱり榎田さん、好きだわ。
内容(「BOOK」データベースより)
快楽主義で女好きの極道・辻良典は、あるきっかけから、男ふたりと肉体関係を持つようになった。切れ者弁護士の財津と、使い走りの舎弟・菊池―ふたりから鬱陶しいほどの愛を捧げられながらも、辻が愛するのは常に自分だけだったが…。大人気エロティック短編集「erotica」内の続編が、長編書き下ろしで登場。
「ワンダーリング」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
分かり合えないからこそ惹かれ、相容れないからこそ、
相手の存在に苛立って、もどかしくなる。
雪が藤堂にだけズバズバ物が言えて突っかかれるのは、
裏を返せば彼にだけ甘えられるということ。
素直になれないのは、ありのままの自分を認めてもらえないことへの反発。
柔和で穏やかな性質だと思っていた藤堂が見せつけた強心臓っぷりがかっこよくて、
裏カジノでのやりとりにはドキドキしました。
そして悔しさに泣く雪は、本当にルーレットが好きなんだなぁ、と。
令輝のけじめのつけ方は、相当粋な計らいだった。
ここでの雪の涙は安堵と感謝の涙。
藤堂の包容力は底なしだと思うので、安心して振り回すとよいと思います(笑)
前作から想像していた藤堂と雪のイメージがまったく違っていて、
最初は戸惑いつつも、脳内で軌道修正(笑)
藤堂は思っていたよりも真っ当な感覚を持った常識人で、
雪は思っていたよりも随分と複雑な性格をしていました。
良い意味で裏切られた感じ。
こたつのエピソードは相当可愛すぎました。
内容(「BOOK」データベースより)
七つの年にラスベガスのカジノで拾われた芦原雪。自分を拾ったシンガポール華人の令輝から徹底的にルーレットを仕込まれ、雪は一流の腕を持つまでになる。厳しい育ての親とは対照的に、“雪”に名前をつけ、無条件に甘やかそうとするのが令輝の腹違いの弟、藤堂だった。雪にはそれが煩わしくて仕方ない。現在は藤堂が社長を務める東京の公営カジノで働く雪だが、どんなに素っ気なくしても藤堂の態度は変わらず…?