きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「BL小説」の記事一覧
- 2015.05.03 「ノーモアベット」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
- 2015.04.29 「誘眠ドロップ」崎谷はるひ(ガッシュ文庫)
- 2015.04.28 「ステノグラフィカ」一穂ミチ(ルチル文庫)
- 2015.04.06 「Don't touch me」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
- 2015.04.04 「off you go」一穂ミチ(ルチル文庫)
- 2015.03.29 「is in you」一穂ミチ(ルチル文庫)
- 2015.03.25 「meet,again」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
- 2015.03.23 「雪よ林檎の香のごとく」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
- 2015.03.21 「アンフォーゲタブル」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
- 2015.03.16 「ナイトガーデン」一穂ミチ(フルール文庫)
「ノーモアベット」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
【俺だって、好きなのに。ずっと前から、好きだったのに。】
家族同然の従兄弟同士。
近くにいる分素直になれなくて、関係性を壊すのが怖くて踏み込めない。
父親に対する反発。つくつもりのなかった嘘と誤解と嫉妬。
捩れた感情の果ての「しんどい」という言葉。
15年越しの一哉の告白には涙が出ました。
泣いて泣いて、泣きつくして。
そこからの逸の巻き返しはお見事。
欲しかったら自分から全力で捕りにいく。
全てを賭けて臨んだ「絶対に負けたくない賭け」
そしてまさかの逃避行からの初エッチ。
一生一哉しか知らなくていい。
心の声だけど、至上の愛の告白だと思いました。
そして、イイ感じで絡んでくれた藤堂さんがタイヘンかっこよかったです。
モンスターペアレントを親バカと翻訳した香住さん。
彼女の母親っぷりと懐の広さって半端ないぁ、と思っていたけど。
ふと零した本音がなんだか切なくて、
でも平気な顔しなきゃってのはなんだかわかるわ~、と、妙な親近感。
内容(「BOOK」データベースより)
東京湾に浮かぶ日本初の公営カジノNew Marina Bay。都の広報職員として出向している逸は、ディーラーの一哉とは家族同然の従兄弟同士。けれどここ数年、顔を合わせれば言い争いばかりで、どう接していいのかわからない。自分と母を置いて世界中のカジノを飛び回っている父への反発もあり、父と同じ道を選んだ一哉に対してどうしても素顔になれない逸だけど…?全てを賭けた、一世一代の恋の大勝負開幕。
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「誘眠ドロップ」崎谷はるひ(ガッシュ文庫)
【たぶん、どっちも過剰で、欠乏していて、
ただ、ふたりでいれば、きれいにまるく完結する】
鉄壁の自制心で恋情と劣情を隠す空慈に、体当たりの告白をした光樹。
お互いしか目に入っていない二人の
会話の噛み合わなさと、必死さと、気持ちのまっすぐさに、
可愛い~~!!と、ジタバタしながら読み進めていたのですが。
それだけで終わらないのが崎谷さん。
空慈の情の強さにゾクリとし、光樹の見た夢に胸が苦しくなりつつも、
何年たっても一緒にいられる二人の姿に安堵するのでした。
二人でいて完璧な一対。
それはたぶん、底の知れない共依存。
だけど、そこに陰はなく、どこまでも微笑ましい二人がいました。
流れた時間の分だけ、人として成長している姿も嬉しい。
お幸せに☆
内容(「BOOK」データベースより)
平凡な高校生・梶尾空滋の幼馴染み兼同居人は、人気アイドルの藤代光樹。“クールでミステリアスな美少年”と有名な光樹だが、その実態は生活能力皆無で、空滋がいないと寝食もままならない超あまったれ。危なげな光樹のため、空滋は恋心をひた隠し、世話を続けている。空滋のそばでしか安眠できない光樹とベッドを共にしながら情欲をこらえることにも慣れた。可愛い幼馴染みをずっと守っていく覚悟だったが、ある日、光樹に思いがけないスキャンダルが―。
「ステノグラフィカ」一穂ミチ(ルチル文庫)
【好きが過ぎると泣きたさを催されるものだとは知らなかった】
ひっそりと胸の内で育まれてきた恋心。
決して表に出てくることのないはずだった秘めやかな想い。
彼の声に耳をそばだて、ただ存在を感じている
だけで満ち足りていた碧の想いは、
とある出来事から西口と接点を持ったことによって、動き出す。
見栄を張らず、弱音も吐けて、自然体で接することのできる相手と過ごすことの心地よさ。
元妻との恋に傷ついた西口にとって、碧の存在は得難いものだったのだろう。
瞬間的に燃え上がるのではなく、相手を知れば知る程静かに募っていく二人の想いが
とてもきれいに伝わってきて、甘やかで幸せな余韻に浸れました。
すみれの送別のシーン。
送る方も送られる方も気持ちのいい別れ方で本当によかった。
いつか、彼女が再び彼らと出逢う未来を碧や西口と一緒に信じられる。
そして私は「よくないやつ」と評された佐伯がやっぱり好きだわぁ、と、改めて思いました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
国会で働く碧は、その「声」に耳をそばだててしまう。滑舌よく明瞭な声の主は新聞社政治部記者の西口。食堂の定位置―碧の隣のテーブルで忙しなく騒がしく食事して去る彼は、日々をひっそり重ねる碧とはまるで正反対だった。しかしある出来事を境に、西口は碧を何彼と構うようになる。彼の素顔に触れるにつれ、次第に惹かれていく碧だが…。
「Don't touch me」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
連から長谷川への触るな。
長谷川から蓮への触るな。
二つ目の「触るな」で、絶妙のタイトルだと思った。
それでも、連が制止を振り切って長谷川の元に歩み寄る一連の描写がすごく好き。
溢れる気持ちが伝わってくる。
上手くまとまったかと思った二人のその後の擦れ違い。
価値観の違い、小さな諍い、感情の縺れ。
怒って、臆病になって、やっぱり失くしたくなくて、勇気を出して逢いに行って。
情景描写も然ることながら、そんな当たり前の心理描写がリアルに伝わってくるから、
この日常の延長上に彼らがいるような気持ちにさせられる。
連のちょっとずれたぶれなさ加減が面白かった。
内容(「BOOK」データベースより)
製薬会社でオゾン消臭剤の研究をしている連は、同僚の代理で無理矢理合コンに参加させられる。潔壁症ぎみなせいもあり、悪酔いしたところを、やはり代理で合コンに参加していた長谷川に介抱される。翌朝、長谷川宅で目覚めた連は気まずさを覚えるが、彼の笑顔も家も居心地がよくて、思いがけず楽しい時間を過ごす。そして数時間後、仕事相手として長谷川と再会するけれど―?大人たちのイノセント・ロマンス。
「off you go」一穂ミチ(ルチル文庫)
現在と過去を行き来しながら綴られる彼らの過ごした人生。
何気ない仕草から、秘められた彼らの心情が伝わってくる。
所々琴線に触れるとても綺麗な描写があって、はっとする。
だから一行一行を噛みしめるように追ってしまう。
良時、密、十和子で描いてきた一見綺麗なトライアングル。
それぞれが心に蓋をした隠し事があるが故の三角にはどうしても正せない歪があって、
十和子の決意を秘めた行為によってこれまでの関係が壊れていく。
だけどそれは崩壊を意味するのではなく、新たな始まりの兆し。
良時の元へ転がり込んだ密。
それを受け入れた良時。
その時点で未来は決まっていたような気がします。
幼いころから傍にいたが故に関係を変えられなかった十久子と密。
それでも一歩先を望んだ良時と密。
そしてどうにも変えようのない良時と十和子。
形の違ったトライアングルを彼らはずっと描き続けていくんだろうなぁ、と、
想わせてくれる顚末でした。
内容(「BOOK」データベースより)
その朝、就寝したばかりの良時を突然、妹の夫・密が訪れた。海外赴任から帰国すれば自宅はなく、妻・十和子に離婚を言い渡されたという。折しも独り身の良時は密のペースに呑まれ、快適な同居生活へ。幼い頃から共に身体が弱く療養の日々を同志のように過ごしてきた密と十和子、ふたりの絆を誰より知る良時。ふしぎな均衡で繁がり合う彼らは…。
「is in you」一穂ミチ(ルチル文庫)
ツキン、と、胸を刺されるような痛みを随所で感じながら、
読み切った後に残る印象は透明な穏やかさ。
10代の感性はまっすぐで瑞々しくて、歪みがないだけに、
噛み合わずに受けた傷はひどく痛々しい。
紆余曲折を経て13年ぶりの再会。
互いだけを一途に想いつづけたわけではなかった二人だけれども。
奥底に封じた想いは透明なままで、探り合って、誤解して、また傷ついて。
それでも、気持ちを寄せ合わせていく二人の距離感がとても良かったです。
圭輔の性格、すごく好き。
心理描写も情景描写も本当に綺麗で、
一穂さんの作品好きだなぁ、と改めて思いました。
後日談の圭輔視点の話は、やっぱり所々胸が痛かったけど、
合間合間に挟まれる圭輔の独白がかわいくておもしろかった(笑)
そして最初から最後まで美蘭がとても可愛かった☆
内容(「BOOK」データベースより)
香港からの転校生・一束は、日本にも教室にもなじめずに立入禁止の旧校舎でまどろんでばかりいる。そんな一束だけの世界を破ったのが、二つ先輩の圭輔だった。まっすぐな圭輔にやがて心を許し、どうしようもなく惹かれていったのに、向けられる想いを拒んでしまった一束―十三年後、新聞社香港支局長になった圭輔と仕事相手として再会し…。
「meet,again」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
想いが深くなるほどに増す苦しさは、確かに存在する。
離れた方が楽になれるかもしれない。
現に嵐は栫との距離が縮まったことによって、屈託なく笑えなくなってしまった。
でも、離れられない。
関係を絶ったつもりでも、「行こうか」の一言でリセットされてしまう。
理由づけができなくても、理不尽だとわかっていても。
それが、「好き」だということ。
栫は何かが欠落していて、この先もそれが埋められるかどうかはわからない。
だけど、「あなたが存在する世界」で「起きる」ことを選んだ栫。
それは間違いなく、嵐がいてこその覚醒。
「こんにちは」
繰り返されるその言葉が、愛の言葉になる日が来ると良いと思う。
読後は決してすっきりした感じではないけれども。
この余韻を含んだやるせない感覚が好き。
何度も噛みしめて反芻したくなる感じ。
内容(「BOOK」データベースより)
大学構内の生協で働く嵐は、飲み会の席で栫という学生と知り合いになる。どこか冷たい静けさを纒い、独特な言動をする栫と嵐はまったくタイプが違ったが、つかず離れずの友人関係は意外なほど長く続いている。そんなある日、嵐は心の内に抱え続けていた、母の死にまつわる秘密を栫に暴かれて―?ゆっくりと落ちてゆく心を計る砂漏の恋。その後の二人を描いた「hello,again.」も収録。
「雪よ林檎の香のごとく」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
一人で壊せない殻なら、誰かに叩いてもらえばいい。
ままならない現実が辛かったら、誰かに想いを吐き出せばいい。
自分自身で己に課した戒めに雁字搦めになって、
前に進むことができずにいた不器用な二人。
距離を縮めていくエピソードの数々が、怖いもの知らずの高校生らしくて。
それなりの挫折を経験してきた教師らしくて。
ストン、と、胸に落ちました。
まとまってみると、大人げのなさ全開の桂がなんだかかわいい。
桂の幸せを見届けることができた喜びと安堵が伝わってくる、葉子の涙は良かった。
将来に対する心もとなさって、志緒の年代なら誰もが経験するもの。
だからこその青春。
栫のしたことはとりあえず説教部屋行きだけど。
みんな泣き寝入りしなかったのが良かった。
桂の啖呵は大人げのなさ全開だったけど(笑)
りかちゃん、良い子で可愛かったよ。
内容(「BOOK」データベースより)
中学受験も高校受験も失敗し、父の母校に進学する約束を果たせなかった志緒。今は、来年編入試験を受けるため、じりじりする気持ちを抱えながら勉強漬けの毎日を過ごしている。五月雨の降るある日、志緒は早朝の図書室で、いつも飄々としている担任・桂の涙を見てしまった。あまりにも透明な涙は、志緒の心にさざなみを立て―。静かに降り積もるスノーホワイト・ロマンス。期待の新鋭・一穂ミチのデビュー文庫。
「アンフォーゲタブル」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
恋した人を想う気持ちの深さ。
やり遂げようという意思の強さ。
職場の仲間を案じる気持ち。
家族を思いやるやさしさ。
がんばって日常を生きる人たちのたくさんの想いが溢れて伝わってくる。
一穂さんの話が好きだなーと思う所以です。
望に対する想いを冬梧が自覚する場面がすごく好き。
そして封筒に入れたいちょうの葉に託した望みの想い。
それを汲んだ冬梧と一緒に泣きたくなりました。
そして再会。
冬梧の記事を望が追いかけていたということがなんだかじんわり嬉しかった。
穏やかに寄り添って生きていってほしいなぁ、と思います。
未帆ちゃんが本当に良い子だった。
泣いている未帆と途方に暮れる冬梧の脇を通り過ぎようとした静に笑ってしまった。
気持はわからなくもないけど!
でも私も叫ぶわ。「何で無視するんですか!」って(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
ある夜、新聞社勤めの冬梧が証明写真を撮っていたボックスに見知らぬ青年が闖入、身も世もなく泣き出してしまう。お詫びをと連絡してきた製薬会社勤務の望と交流を重ね、冬梧はデートめいて心地いい時間に戸惑う。やがて懇願される形で体をつなげ、すでに惹かれていたのだと観念した冬梧だが、望はその日から「もう会えない」人になっていた―。
「ナイトガーデン」一穂ミチ(フルール文庫)
豊かな感性で生きる柊と、理詰めで生きる和章。
真逆なようでいて、実は分かり合える部分もあわせ持つ二人。
飾らない言葉と偽らない態度。
静かな山の中の自然に囲まれた空間の中で、
過去に大きな傷を抱えた二人がお互いの言葉でお互いのことを語りあい、
次第に気持ちを寄せていく様子がとても真摯に伝わってきて。
ああ、人って、こうやって惹かれあっていくんだなぁ、ということが
とても綺麗に伝わってきた。
お互いの弱さと強さを見失わずに「いい大人」に成長していくことが信じられるラスト。
「一度は物の数じゃない」
挫けそうになったときは、柊の解釈を思い出して頑張ろうと思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
静かな山の中で祖父と暮らす石蕗柊のもとに、祖父の昔の教え子だという男・藤澤和章が訪ねてくる。このまま一生山を出ずに生きていく、そう思っていた自分はなんて狭い世界しか知らなかったんだろう…生まれてはじめて触れた人の肌の熱さに和章への想いを自覚する柊。だが彼の瞳はいつも柊ではない“誰か”を見ていた…。「ふったらどしゃぶりWhen it rains,it pours」から一年、消えない傷を抱えた和章の愛と再生の物語。