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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「岳飛伝 6 転遠の章」北方謙三 (集英社文庫)



西へ、南へ。
或いは、海を越えて東へ。
じわじわと広く根を張っていく漢たち。
静かにそして着実に、蓄えられて行く力。
活動域が広がれば、思わぬ人との邂逅も待っている。
別々のことに尽力していても、離れた場所にいても、
彼らの在り様は「梁山泊」なのである。
そしてここでまさかのゼロリセットとなり、
人生のリスタートをきることになった漢がひとり。
いや、びっくりしたわ。
え?そうくるの?という想定外の展開。
この先が楽しみで仕方がない。
岳飛と蕭炫材、燕青と李師師が向き合うシーンがとても好き。
そして私は秦容の今後がとてもとても気になります。→


『水滸伝』『楊令伝』を共に読み、同じく『岳飛伝』で足踏みしていた友だちに
「岳飛伝読み始めたよ~(だから一緒に読んで読んで)」と報告(&催促)をしたら
「いいよね。あんたのダーリンまだ生きてるから」
と言われてみました。
はい。
私のダーリン(笑)は、まだまだ現役で渋く活躍中です。
ちなみに彼女のダーリンは林冲。
そして彼女からは「アルスラーン戦記読み終わったけど?(そっちこそいつ読むの?)」
と返ってきたので「来年ね」と答えておきました。
時間が全然足りないww

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「Story for you」講談社



コロナ禍の夏休みにWebで掲載されたSSを1冊にまとめたもの。
「読む」というより「捲る」という感覚。
と、気軽く読んでいたらまさきとしかさんの作品が刺さってしまい、
思わず涙ぐんでしまった。犬……。今読み返してやっぱり泣きそう。
ぎゅーって抱きしめたい。
今村翔吾さん、新たな鬼ヶ島伝説。『三匹のかわいいおおかみ』的な逆転劇。
青鬼いないなーと思ったら、そうきましたか。
一穂ミチさん。視点というか、比喩的な表現の仕方がホントにうまい。
しっかり野球を絡ませてきた須賀しのぶさん。
辻村深月さん。彼らの気持ちがあたたかくてやさしくて、思わず笑顔になる。

62人の作家さんのうち、実際に著作を読んだことがあるのは9人。
一つ一つの作品は短いながらも、それぞれのカラーがしっかり作中に表れていたと思います。
自分が読むために購入したけど、これ、姪っ子ちゃん(小6)も読めそうな気がするな。
夏に遊びにきたら渡してみよう。


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「マネーの魔術師-ハッカー黒木の告白」榎本憲男 (中公文庫 )



デジタル技術の最前線でトップを走れる男が語る、
伝統工芸品に目を向けた意味。
終わることも戻ることもできない世界が前に進み続けた結果、
そこに描かれる未来はどんな姿をしているのだろう?
希望、というよりも、少しだけ怖い気がするのは、今の東欧の情勢が頭を掠めるせいなのかな?
お金の流れ、資産形成の在り方、そういった諸々の件は
頭にスルッと入ってくる、相変わらずの説明のうまさ。
語り手が誰なのかが分かった瞬間の高揚感。
やっぱり~!
違和感を覚えた一人称の説明は、なるほど~!
そこからの視点の切り替えはお見事。
楽しく読了。

真行寺道弘シリーズと吉良大介シリーズのスピンオフ。
両シリーズがきれいに融合しての本作。
私が熊野古道に行った時も雨だったけど、
那智の滝に行ったときは雨はあがっていました。
とても楽しい旅行だったけど、
結局熊野本宮大社まではいけなかったし、熊野古道もまわりきれなかったので、
また行きたいなぁ。



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「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」大江健三郎 (新潮文庫)



た、楽しくない!
言い回しが小難しい上に、偏執的なエロ描写が不愉快。
何か抑圧されたもの、抱えてますか?……と思ったけど、
作中に色濃く投影されている著者のバックボーンや思想を改めて知ると(読了後調べた)、
全体的に違った読み解き方ができてくる。
事前の私の知識不足。
とはいえ、今は読み返す気力はない。
鬱々とそして淡々と語られる「僕」たちの抱える狂気。
そこに理解も共感性もまったく見出すことができず、
頑張って読み切った感満載の読後感になってしまった。
久々にストレスフル。


作中の表現から沖縄返還前の作品だということが知れる。
もうすぐ本土復帰50周年。
反射的に北方領土のことを思ってしまった。
この作品がガーディアンに選出された理由ってなんだろう?
英訳で読んでもこの雰囲気を忠実に引きずっているのかしら?
読後の私のクエスチョン。
【ガーディアン必読115/1000冊】

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「コールドウォー DASPA 吉良大介 」榎本憲男(小学館文庫)



ただ楽しく読書がしたい時向けの本ではない。
専門的なこと、政治的なこと、現在の世界情勢が
わかりやすく噛み砕いて書かれているだけに、
スルリと頭に入ってくるからたちが悪い。
故に、読みながら考えさせられてしまう。
日本のこと。世界のこと。
これからのこと。
後半はエンタメの方に寄り、そこからは一気に読了。
真行寺が席を立った時に私も笑って腰砕け。
情報を仕入れることと、情報に惑わされないこと、
そして、自分で考え続けること。
あとは時々誰かとその考えを話すことと、
時には頭を空っぽにすることも必要かな。
そんなことを思いながらの読了。

巡査長真行寺弘道シリーズの『インフォデミック』を読んでから
本作を読むことをお勧めします。
作中でフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』に触れられていて、
そういえば昔読んだなぁ、と思って読書記録を引っ張り出してみたら……
なんかびっくりなことを発見しました。そこはつぶやき参照。(笑)

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「墨と雪2 下」かわい有美子 (リンクスロマンス)




共にそこに在ることがまるで当たり前のように、
自然に寄り添いあっている二人に祝福を。
篠口の身にふりかかったことは、忘れることはできないだろうけれども。
外に目を向けることができるようになっていく彼の様子に安堵し、
フラッシュバックする姿に胸が痛くなる。
それでも、献身的な黒澤の支えによって、少しずつ自分を取り戻していく篠口。
そして復帰した彼を迎え入れた職場の面々の対応には胸が熱くなった。
そのために黒澤の部屋は殺風景だったのか……と思いたくなる展開が良い。
犬のレイディに黒澤がのろけるシーンが好き。
大満足で読了。

描きおろしの小冊子が甘さMAXで幸せに浸れる。
デビュー作から追いかけている作家さん。
無理せず長く書き続けてもらいたい。

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「岳飛伝 5 紅星の章」北方謙三 (集英社文庫)



「生きる覚悟をしろ」と部下に諭しつつ。
兵を死なせても戦いの道を選ぶ。
その矛盾。
それが退路を断たれての唯一の道だったのであれば納得できた。
けれども。
「愉しい戦」
その言葉には釈然としないものが残ってしまった。
そして。
ついに潰えてしまった一つの命。
「心に梁山泊がある者が、梁山泊を作る」
いまや、大陸に散った漢たちがいる。
彼らの在るところに梁山泊在り。
そうであるならば、なんと広範囲に梁山泊が在ることか。
私にとってはいまだにこの作品は『岳飛伝』ではなく『梁山泊』の物語なのである。
どこかで転じるのか?


交易の日本の拠点となっている十三湊。
その十三湊遺跡、調べてみると、行けなくはない場所だったので、いつか訪ねてみたいなぁ。
「長い間幻の港町とされてきた」というだけでわくわくする。
藤原基衡と秀衡の登場には北の民としてはおお!となりました。
平泉……十三湊からは意外と遠いけど、大陸の広さに比べたらどうってことないんだろうなぁ。

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「インフォデミック-巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)



自由を主張する権利は誰にでもある。
けれども。
社会生活を営む以上、たとえ窮屈に感じても守らなければいけないルールがある。
そして。
快適で安全な生活と引き換えに、どこまでの管理を受け入れるのか。
……というより、そのシステムと運用する側にどこまでの信頼がおけるのか?ということを問いたくなる。
コロナを巡るトラブルが主体の話かと思ったけれどもそうではなく、
突き付けられたテーマは途方もなく大きかった。
考えたって正解はわからない。
わからないながらも考えないといけない局面だということは理解できる。
難しいね。


コロナウィルスとはなんぞや?
その問いに対しての本書の冒頭でなされた説明は
とてもとてもわかりやすかった。
とある出来事を真行寺側からの視点で描かれるのが本作。
そして吉良側の視点で描かれるのが『コールドウォー DASPA吉良大介』。
本作だけ読むと、問題解決に必死で動いていた真行寺が少しお気の毒な気がする。
吉良たちは何を思いながら動いていたのか?
足りてないものを補うために、そちらも読まねば。

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「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将 (角川文庫)




2011年3月11日。
その日、いつもの時間に仕事に赴いた彼らは、いつもの日常の延長でその場にいたはずだった。
けれども。
14時46分。
日常が瓦解する。
その瞬間から彼らが担い続けた職務の大変さは計り知れない。
これは、知識や経験を最大限に引き出し、危険な場所から逃げることなく、
最悪の事態を阻止するために死力を尽くした人々の記録。
福島原子力発電所。
あの時あの場所でどんな決断がなされ、どんな覚悟を抱き、どんな作業が行われていたのか。
遠くない場所に住む者として、知っておかなければならない。
そして、ありがとうございます、と。
心の底から思う。

こんなにこんなに大変だったんだよ?と。
今、原発に武力を向けている人たちに伝わればいい。

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「DASPA 吉良大介 」榎本憲男(小学館文庫)



エンタメでありつつ、それ以上の含みを持った作品。
ロシアとアメリカの在り様。
ウクライナとベラルーシの国の在り様。
作中で語られることがリアルな世界情勢とオーバーラップして
なんかもう、考えさせられる。
そしてリアル世界の実情を鑑みて唸る。
むー。
「人は信じたいものを信じる」。
うん。納得。
だから「安全神話ではない。安全願望です」という発言が出てくる。
目を背けずに最悪を想定して、それに対する対策を練る。
実はそれは日本人には不得手なこと、とは井沢さんの弁。(逆説の日本史)
自衛のために、とても大事なことだと思う。

あの人、この人、あ、それあの時のこと!と、
見知った人たちや、かつての出来事があちこちにちりばめられていてとても楽しい。
だからこそ。
この作品単体ではお勧めできない。
まずは『真行寺シリーズ』のせめて一作目を。
できれば『インフォデミック』の手前までを読んでから手に取ることをお勧めします。
出版社が違うから、ここまでリンクしてるとは思わなかったわ~。
そして真行寺シリーズの『インフォデミック』と吉良大介シリーズの『コールドウォー』は
同時進行しているらしい。楽しみ~~!

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