きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2021.11.30 「しずく石町の法律家は狼と眠る」菅野彰 (角川文庫)
- 2021.11.23 「宮廷神官物語 十二」榎田ユウリ (角川文庫)
- 2021.11.17 「宮廷神官物語 十一」榎田ユウリ (角川文庫)
- 2021.11.16 「宮廷神官物語 十」榎田ユウリ (角川文庫)
- 2021.11.08 「宮廷神官物語 九」榎田ユウリ(角川文庫版)
- 2021.11.06 「護られなかった者たちへ」中山七里 (宝島社文庫)
- 2021.11.03 「宮廷神官物語 八」榎田ユウリ(角川文庫版)
- 2021.10.27 「宮廷神官物語 七」榎田ユウリ(角川文庫版)
- 2021.10.24 「宮廷神官物語 六」榎田ユウリ(角川文庫版)
- 2021.10.12 「宮廷神官物語 五」榎田ユウリ(角川文庫版)
「しずく石町の法律家は狼と眠る」菅野彰 (角川文庫)
読後にじわじわこみあげる種々の感情を大事にしたい。
言葉の選び方、行間に滲む感情、日常を足掻きながら生きる人々の想い。
何もかもが菅野さんらしくて、痛いんだけど、心地よい。
征夷大将軍・坂上田村麻呂、弥勒菩薩、阿弖流為、現代社会の弁護士、公認不正検査士、ニホンオオカミ。
どう考えても相容れなさそうな者たちの全てが無理なく混在し、進行する物語。
コミカルな部分も含みつつ、けれど、生きることの意味を真摯に問われ、
更には震災後の被災地の在り方すら考えさせれらる。
田村麻呂と空良と風火。
彼らの在り様が少し物哀しくて、だけど微笑ましくて、とても好き。
とりあえず。
積んである高橋克彦氏の『炎立つ』と、『火怨』を入手して読むべし。
と、改めて思わされる作品でした。
今年は無理だから来年かな。←来年回しにしている作品が多数ありすぎて。一度整理せねば。
そしてこの作品も繰り返し読みたい。
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「宮廷神官物語 十一」榎田ユウリ (角川文庫)
シリーズ最終巻。
今まで度々抱えてきたもやっとした想いはどこいった?
と思わず首を傾げたくらい、清涼感溢れる終幕。
だけど、これまでの経緯も踏まえ、
矛盾なくそこに着地した物語展開はとても楽しかった。
在るべき人が在るべきところに収まる心地よさ。
出会ったときは猫のようだったハクが立派な成獣に成長したように。
登場人物たちもそれぞれが苦難に直面しながらも
それを乗り越えるたびに大きく成長してきたことがよくわかる。
さみしさを埋める手段を間違えてはいけない。
大切な人を繋ぎ止めるのに、小細工は不要。
友と共に懸命に生きる彼らに幸あれ。
「人は死ぬけど書物は死なぬ」という言葉に大納得。
そうやって遺されてきた書物を紐解き、今の私たちは楽しんでいる。
「宮廷神官物語 十」榎田ユウリ (角川文庫)
王位継承問題が解決し、王宮は一気に和やかな雰囲気に。
ところが。
鶏冠は未曽有の危機に見舞われ、
独り抱え込んだ秘密の重大さに苦悩する。
彼が他人を顧みず、自分の事だけを考えて生きていける人ならば、
こうも苦しまなかっただろう。
けれども。
彼が他者のために生き、人の痛みを知る人であったからこそ、
周囲の者たちもまた、彼のためにできることを模索する。
各々が同じ目的をもって動き、連携が取れていく様は小気味よかったのに。
間に合ったかと思ったのに。
ちょっとどういうこと!?と前のめりになりながら最終巻へ。
結局苑遊は鶏冠を自分の手元に置きたかったのかな?
でもね、あんなやり方してたら誰の心も手に入れる事なんてできないよ。
「宮廷神官物語 九」榎田ユウリ(角川文庫版)
本編から少し離れた6編の短編集。
腹黒い輩の登場しない、いつもの面々の織りなす物語は、
ストレスフリーでとても楽しかった。
特に藍晶王子。
そんな貴方が見たかった!と言いたくなる、久しぶりののびのびとした姿に胸が熱くなったわ。
一方で、仲間たちに隠し事をされて悔し涙を流すという櫻嵐のなかなか意外な姿にびっくり。
最初演技かと思ったよ。
「花は必要ない」と言った紀希の舞はお見事。
彼女の凛とした強さ、好きだなぁ。
友と切磋琢磨し、或いは己を磨き、
懸命に前を向いて生きている人たちの姿は心地良い。
隷民の暮らしぶりが貧しいのは変わらず。
鶏冠の言う通り、全員に救いの手を差し伸べることはできないけれども、
せめてできるところから。
一人で国政を変えることはできないけれども、せめて一票を投じるところから。
選挙後なだけあって、そんなことを思ってみました。
「護られなかった者たちへ」中山七里 (宝島社文庫)
自分が暮らす国の社会保障制度のことなのに、
ほぼ無知であることに愕然とする。
知らなければ、いざというとき身を護ることができないのに。
全く公正ではない世界で、自分の身を護るためにどう生きていけばいいのか。
自身でどうにもならなくなった時、どこを頼ればいいのか。
縋るような思いで頼った機関が、その扉をピシャリと閉ざしてしまったら?
そこにあるのは絶望しかない。
描かれるのは彼らが声を上げたところでどうにもならなかった実例ばかり。
だけど。
声を上げ続けなければ、何も変わらない。
最後のメッセージが切実に響く。
もっと大きく。もっと図太く。
気づけば登録1900冊目。
狙った選書ではなかったけど、それなりに相応しい作品になったと思う。
土地勘のある分、より身近に感じられたし、何より考えさせられる作品だった。
映画→原作小説の順番で作品に触れた私は、
最初、映画の内容と小説の内容との違いに戸惑う一方で、
え?え?って感じだったけど。
読み進めると映画は映画、小説は小説の面白みが際立ってきて、
脚本書いた人すごーい!となりました。
「これ以上のことは無理だと思った」と言う著者の言葉通り、
素晴らしい映画だったと思う。
「宮廷神官物語 八」榎田ユウリ(角川文庫版)
ポンコツここに極まれり。
全ての元凶は王にあるのでは?と言いたくなる国の治世。大丈夫?
王が無力を晒しつつも、王位争いは決着。
最初からその人しかいないでしょ?と言いたくなるところへの着地。
人の欲って計り知れない。
曲がっていても自分の力で掴み取ろうとする欲なら納得もするけど、
人を陥れ、傷つけ、或いは殺めてまで望む欲は好意的には見られないなぁ。
そうして手に入れた権力に人の心がついてくるってなんで思えるんだろう?
いや、そこまで考えていないのか。
正攻法で対峙したなら苑遊も鶏冠の心を掴んだままでいられたであろうに。
こうなると醜悪。
神出鬼没で自由奔放な櫻嵐の存在は清涼剤だわー。
そしてカッコいい。
王位継承問題に相当振り回されたけど、
そもそもこれは「神官物語」だったのよね。
鶏冠のこれからが気になる~。
「宮廷神官物語 七」榎田ユウリ(角川文庫版)
楽しくない。
面白いけどちっとも楽しくない。
もう一人の王子に祭り上げられた曹鉄がポンコツすぎてがっかりする。
状況に困惑し、部屋に籠って飲んだくれて女の言いなり。
貴方の意思はどこに行ったの?
敵陣に密かに潜り込んできた櫻嵐(姫)の方がよっぽどオトコマエ。
そして苑遊が抱えた鶏冠に対する独占欲と執着。
苑遊の行動の動機が賢母の強い思いに同調したと言われるよりも、そっちの方が納得するわ。
変態チックだけど。←言い方ww
一方で赤烏の藍晶王子に対する揺るぎない想いや鶏冠の透明な芯の強さが胸に響く。
事態が好転することを願いつつ、次巻へ。
「信じる」こと。
傍にいて会って話をして。
眼で見て肌で感じていられれば容易なことも、
距離ができ、間に他者が介在することで難しくなってしまう。
策を弄してただまっすぐに生きようとする人を貶めようとする悪意は気持ち悪い。
あの人にもこの人にも雷が落ちればいい。←……
「宮廷神官物語 六」榎田ユウリ(角川文庫版)
ここまでの展開は予想通り。
淡々と読み終えてしまったのは特にびっくりすることもなく、
先読みできていた展開のまま進んだからかな?
想定内の行動に出た賢母には老害と言う言葉を進呈したい。
見た目が若いって言われてるのはスルーで。
このまま賢母たちの思惑通りに祭り上げられる傀儡になったら
曹鉄にも王様と同じくポンコツの綽名を進呈するわ。
景羅大臣は賢母と潰しあえばいいと思う。
でもお互いにとって最大の障害物は藍晶王子なんだろうね。
負けるな。
連れて行ってほしくて行李に潜み、褒めて褒めてと頭突きをする白虎……可愛すぎる。
「杯がかわいておるぞ」という言葉に
デヴィ夫人の名言「私のグラスがエンプティ」を思い出してみた。
あの言葉がスルッと出て様になっている彼女はすごい。
「宮廷神官物語 五」榎田ユウリ(角川文庫版)
宮中には陰謀を巡らす大蛇あり。
ひっそりととぐろ巻いてる感が気持ち悪い。
そして。
宮中には腹を出して眠る白虎あり。
ハク半端なく可愛い。
一時的に難を逃れ、修行に励むために故郷へ戻る天青。
満身創痍の極限に近い状態で問われた「欲しいもの」。
天青らしい答えと、その答えに至った心理を見事に読み問いた鶏冠との絆が嬉しい。
陰湿なゴタゴタが絶えない宮中の諸悪の根源は王様なんじゃ?と言いたくなるポンコツぶり。
いっそ引退!と思っても、それができないことが今の大問題なんだった。
誰もが傷つかない方法がないのであれば。
せめて必要最小限の傷で済んで欲しいと思うわけだけど。
さて、どうなる?
虎!
虎が見たい!動物園行きたい!
でもちびっこが遠い……
姪っ子ちゃんたちにはもう一年近く会ってないなぁ。
近くの甥っ子ちゃんたちは動物園っていう歳ではなくなってしまった。
自分も現状で停滞することなく、いつまでも何かしらの成長を遂げていたいなぁ。