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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ところで死神は何処から来たのでしょう?」 (新潮文庫nex)



シリーズ三作目。
前二作と同じように展開するかと思いきや。
後半に入ってからの怒涛の展開に前のめりになってしまう。
張り巡らされた伏線が半端ない。
おもしろかった!
とはいえ、これまで死んでいることを宣告され、
受け入れてきた人たちと同じ摂理の中にとどまって欲しかったと思う点もあり、
ちょっとだけ釈然としない感じも抱えた読後感。
その存在は次元が違うと思うから受け入れられるものであって、
次元が同じイレギュラーケースだと思うと、納得しかねる思いも過る。
「彼」の再登場は私的にはご褒美で、テンションが上がっての読了。
人間って現金だわ。

さて。
一作目、二作目の殻を破った感のある三作目を経て、
四作目がどう展開するのか。
期待感を膨らませて新刊待機。

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「死神もたまには間違えるものです。」榎田ユウリ (新潮文庫nex)



「死んでもいい」ではなく、「死にたくない」方向に誘導していくのは酷だなー。
だけど、それも彼が死神だから、と納得するしかないのかな。
それが彼の役割。
でもそうせざるを得ない状況になったのは、そっちのミスじゃん。
だけど、彼らがそれを「仕事」として行う限り、ミスも生じるのか?と納得できてしまう。
怖いのは「自分が消えてしまうこと」っていう気持ちはよくわかる。
だけど、それが抗えないことなら怖いことを考えるのをやめよう、となる。
人生は楽しんだもの勝ち。
だけど、自分だけが楽しいんじゃだめなんだよね、と、
彼らの人生の振り返りを追いながらつくづく思った。



独りよがりになってないかな?
周りをちゃんと思いやれてる?
そんなふうに自問してみる深夜帯。
夜に考え事するのは沼にはまるのでやめよう(笑)

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「ここで死神から残念なお知らせです。」榎田ユウリ (新潮文庫nex)





直前に読んだ『死んでいる』が肉体的な滅びについて書かれているなら、
こちらは精神的な死の認識について書かれていて、とても対照的。
どうしたって感傷的になってしまう。
どの瞬間に死んだとしても、やり残したことってあると思うんだよね。
だから「楽しかった!」という想いの比率が高かったら良いんじゃないかと自分なりに思ってる。
家族間の蟠りはできれば生きている間に解いてもらいたいと思うけど、
それもままならなかったりするのが世の中。
やるせない。
もしも死んだ後に意識が残っているなら、自分のお葬式を見てみたい。
と、何故か最近思うようになった(笑)



おしゃべりな死神。
なんか既視感、と思ったら、北方の「おしゃべりな殺し屋」でした。
叶さん、好きだわー。
本なら読み返せば亡くなった人物に会えるけど、
現実世界でそれは絶対にかなわない。
だから、悔いのないように。

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「Blue Paradise in YOKOSUKA」五條瑛



葉山視点で描かれる物語が静なら、
坂下が主体で描かれる本作は動。
在日米軍による薬物の密輸事件の真相を追う坂下&葉山コンビ。
なんだかんだ仲良いよね、この二人。
その二人に割り込むように突っ込まれたエディの射撃指導がエロ過ぎました。
聞き取りに加えてアクションも交えながら明らかになっていく真実。
その狭間で沖縄の米軍基地事情がいろいろと伺えて、考えさせられた。
坂下メインのスピン的な位置付けかと思ったら、
完全に本編に食い込んだ内容で、
このシリーズは自らの出自に捕らわれた葉山の物語だということを改めて突き付けられる。
シリーズ完結まで見届けられることを切に願います。


沖縄に飛んで、浮かれてライブ会場に向かう途中でデモのための渋滞に巻き込まれたことあったなーと、振り返り。
本作を読みながら当時の光景を思い、そんな背景があったりするのか、と唸りました。
とはいえ、何度行っても観光では楽しい思い出しかない沖縄。
また行きたいなー。
再読・初読織り交ぜて改めて一気に読み切った『鉱物シリーズ』。
読んだ巻数を重ねるほど、深みに嵌っていくこと必須。
諦めずにいれば続きが読めるということを信じて待っています。

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「パーフェクト・クオーツ 碧き鮫」五條瑛 (小学館文庫)



ここまでこの物語を追うことのできた満足感と、
更にその先の物語を読みたいという餓えと。
せめぎあう感情に揺られて溜息。
個人、家庭、会社、国、世界。
世界が個人に襲い掛かったら……逃れようがない。
世界のうねりを個人では止める術がないことを思うと、
うすら寒い気持ちになる。
そして、国のトップが変わる重みを、ここ数年、痛感させられることばかりだ。
前作「北の水晶」での出来事を同時系列・別視点から語られる物語。
作中に実際には登場しない葉山の存在感が半端ないのは、
誰もが彼に魅せられているから。
新たな謎が提示され、気になることばかり。



スパイの遺伝子。
あるのかな?と、ちょっと懐疑的。
遺伝子と言うよりも環境だと思うんだよね。
皆が彼にそうなることを望んでいる。
だからこそ、彼には周囲の思惑に収まらない場所に行ってもらいたいと思ってる。
とにもかくにも『パーフェクト・クオーツ』を出版してくださってありがとうございます!
そして『ソウル・キャッツアイ』の発売を心待ちにしています!


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「パーフェクト・クオーツ 北の水晶」五條瑛 (小学館文庫)



身の丈、という言葉がある。
己の価値を見極めることができなかったことが、
彼を滅びへと誘った。
血の縛り、という柵がある。
我が子だからこそ、自らの目的達成のための贄にしてもかまわない、という心境が理解不能。
かつて、実際に起こった事件の数々が頭を過る。
その陰でこんな動きがあったとしても、不思議ではない。
そう思わせるリアリティがそこにある。
情報は武器。そして宝。
コツコツと事実を積み上げて手持ちのカードを増やしていった彼ら。
神経がタフでなければやり通すことのできない仕事。
と同時に、細やかな観察眼と先読みができなければ仕事にすらならない。



読了後、何この人たちのこの蜜月!と昇天しそうになる。
エディ、ここにきてデレたなぁ。
と同時に、新たに提示されたワードにより、
さらにその先を読みたいという想いが搔き立てられて眩暈がしそうになる。
この作品を手にすることができたように、
『ソウル・キャッツアイ』を手に取ることができる日が来ることを信じてる。
その前に、本作と対になっている『パーフェクト・クオーツ 碧き鮫』を読むお楽しみが待っているのです。



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「この春、とうに死んでるあなたを探して」榎田ユウリ (文春文庫 )



本編の感想は単行本で投稿済み。
ここでは書き下ろしに関してのみ。
現在進行形でコロナ課の只中にある世界を描いた作品には、初めて触れたと思う。
自分も体験したことがあることばかりで、わかりみが半端ない。
一年前の今頃は、コロナも収まっていると思っていたのに、現在進行形。
ご近所さんとのトイレットペーパーの件はほっこりし、
劇的に変わった世界の中でも、
創意工夫で生活をしていなければいけないと、改めて思う。
そしてあっさりと告白された彼の想いにときめく。
痛みは、無理に忘れ去ろうとしなくていい。
そんな語り掛けがやさしく染みる。

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「星条旗の憂鬱 情報分析官・葉山隆」五條瑛 (文芸社文庫)



『鉱物シリーズ』番外編。短編連作。
主軸はもちろん彼らの物語なんだけど、
韓国の大統領交代、思いやり予算、三菱重工のイージス艦入札等々。
あ、オーストラリアと中国の問題もか。
時事的な事象が端々で描かれていて、考えに沈みそうになること屡。
そしてまさかの人が転勤になっていて、えーー!と。
時間は留まることなく流れているんだと実感する。
昨今のアメリカ政権の変動を作中に反映させる場合、
五條さんはどう描くのか。興味あるなー。読みたいなー。
迷いなく生きる人たちの中で、一人惑う葉山。
だけど、彼の核は固い。
だから、溺れることはないと、信じてる。

まさかの邂逅にきゃーーー!となっての読了。
組織内での異動が気になる人もいるし。
次巻も文庫で出してくれることを願うわ。(個人出版で絶版中)
そしていよいよ本編『パーフェクトクォーツ』に。
積読が減るのは良いことだけど、
シリーズ既刊を読み切ってしまう淋しさがチラッと過る。
ああ、でもずっと続きが出ずにいた期間を思えば、
今こうやって読めていることが奇跡。

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「ナインデイズ 岩手県災害対策本部の闘い」河原れん



ノンフィクションノベル。
東日本大震災。
想像することなどできなかった未曽有の災害。
だけど、私たちはその災害に見舞われた。
ならば、伝えなければいけない。
次に同じような災害が起きたとき、命を守るためにどうすればよいのかを。
そして、考えなければいけない。
同じような悔しさや無力感に苛まれないために、或いは、
一人でも多くの人の命を救うために、どうすればよいのかを。
本書には災害時の対策を行っていくうえで、
今のうちの考えておかなければならない問題点が多々描かれている。
災害が起こってから考えたのでは遅すぎる。
そのことを重く受け止めるべき。

ライフラインがすべて途絶えた状況下で
どうやってリアルタイムな情報を収集し、伝達するのか。
まずはこれに尽きる。
でなければ、必要な場所に適切な救助の手を差し伸べる事ができなくなる。
そして縦割りの弊害をどう取り除くのか。
素早く効率的に対応するためには事前プランニングとシュミレーションは必須。
同じことが起こった時に同じようにもたつこことだけは避けて欲しい。
そして他人を思いやる気持ちを絶対に忘れてはいけない。


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「スパイは楽園に戯れる」五條瑛 (双葉文庫)



嘘でしょ……と、呆然。
彼の純真さとまっすぐさと潔癖さ。
何もかもがやるせない。
志高く歩み続けてきた道だったけれども、
蜘蛛の糸に絡めとられていたことを認識したが故の選択。
そんな答えなんて見つけなければよかったのに。
だけど彼は、どんな状況にあっても、知りたいと思ったのだろう。
自分らしく生きるために。
誰も彼もが自らの仕事をしただけ。
と、言い切れないしこりが残ってやっぱりやるせない。
とはいえ、一つ一つの情報を積み上げて真実を探っていく彼らの手法は相変わらずの読み応え。
相変わらずの愉快な関係に笑いつつ、ラストで涙。うっ……

この先もまだ読める。
続きが手元にある。
長らくお預けを食らってきた身としては、そのことがただただ嬉しい。
このシリーズは本編と番外を総括して是非出版順に。
そして今年手をつけるつもりのなかった『革命シリーズ』。
本編にサーシャの名前が出てきたら、読まなきゃいけない気になってきてしまうわ。

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