きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2021.10.10 「宮廷神官物語 四」榎田ユウリ(角川文庫版)
- 2021.10.06 「宮廷神官物語 三」榎田ユウリ(角川文庫版)
- 2021.10.02 「宮廷神官物語 二」榎田ユウリ(角川文庫版)
- 2021.09.28 「宮廷神官物語 一」榎田ユウリ(角川文庫版)
- 2021.09.21 「非弁護人」月村了衛(徳間書店)
- 2021.09.10 「笑えよ」工藤水生 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
- 2021.08.29 「妖奇庵夜話 ラスト・シーン」榎田ユウリ (角川ホラー文庫)
- 2021.08.25 「花屋に三人目の店員がきた夏 毎日晴天! 18」菅野彰 (キャラ文庫)
- 2021.08.20 「機龍警察 白骨街道」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)
- 2021.07.28 「機龍警察 狼眼殺手」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)
「宮廷神官物語 四」榎田ユウリ(角川文庫版)
そんな宮中になんかいる必要ないし、そんな国なんて救う必要ない。
ひたすらイラっとしていたから、
いっそ宮中を離れてくれてスカッとしたわ。
そもそも、そこを出る羽目になったきっかけも、天青自身がやらかしたことが発端。
駆け引きもできず、周囲を振り回すだけならいっそ早いうちに離れるのもありだと思う。
戦うためには何が必要なのか。
どうしたらいいのか。
敵陣に踏み込むのはそれを把握してからだ。
幸い、心強い味方が旅を共にしてくれる。
張り巡らされた伏線がたくさん。
色々と想いを巡らせてみるけれども……推測はどこまで的を射ているかな?
楽しみ♪
気に入らない人を片っ端から殺していく話を読んだ後に、
表面を取り繕いながら裏で足元を掬おうと画策する人たちの話。
休まらない。ちっとも心が休まらない。
ついでに今抱えている仕事もテンテコマイ。
癒しが必要なことに気づいてみました。
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「宮廷神官物語 三」榎田ユウリ(角川文庫版)
権力欲しい、高位に立ちたい、と手をあげている輩に国を任せたら、絶対に立ち行かなくなる。
やってみるがいい、と、その座を明け渡すには、迷惑を被る民が気の毒すぎる。
そして王様、大事な時に職務放棄ってダイジョブですか?
おかげで若い藍晶王子が敵味方を識別するために策を弄し、
鶏冠が命がけで儀式を執り行う羽目になる。
とばっちりは普通の虎にペイントで擬態させられた白虎のハク。
相変わらずハクは癒し。可愛いなぁ。
百聞は一見に如かず。
隷民の暮らしを知り、成長著しい天青。
同じ国の在り様を目指す仲間たちとこの先どんな道を歩んでいくのか。
ハラハラしながら次巻へ。
腹に一物ありありな人たちに囲まれての生活。
うっっ……休まらない。
それにしてもみんな若いなー。
その若さで背負わなければならないものの重さって半端ない。
ホワイトベースの艦長になった時のブライトさんもまだ19歳だったのねーと
何故かしみじみ思い出しました。若かった……
「宮廷神官物語 二」榎田ユウリ(角川文庫版)
真っ当な手段で得られない力なんて、身の丈にそぐわない。
と、思わない輩こそ、不当な手段で力をどうにか得ようとするんだろうね。
悪事を働き、後ろ暗い思いを抱えた者にとっては、
心の善悪を見抜く慧眼児の力は末恐ろしいもの。
それは天青にとっても同じで、彼の葛藤が痛々しかった。
だからこそ、鶏冠の不器用な愛情と決意と叫びが胸に響く。
今ある世の中の仕組みを変えようという想いを胸に抱く者たちが、
徐々に集まりつつある姿はさながら水滸伝。←いい加減離れよう、私。
とはいえ、一枚岩になるかどうかは不透明。
波乱万丈な彼らの運命はいかに?
白虎の小虎、ハクがとても可愛い。
気持ちはまだ子どもでも身体は十分に大きな犬に
全力で飛びついてこられたら(本人は遊び)受け止められないのは、
ラブラドールで体験済み。
私は見事にひっくり返りました。(笑)
それでも遊んでもらってると思ってグイグイ来るラブラドール。
でも可愛かったなー。
「宮廷神官物語 一」榎田ユウリ(角川文庫版)
権力闘争の中枢にあって、欲と無縁である者がいたら奇跡に近い。
強欲な者は無欲を理解できないから追い落とそうと画策し、大迷惑な被害が及ぶ。
現王の後継者である王子が目指したい世の中。
世の仕組みを学び始めた天青が思う世の中。
彼らが思い描く通りの世の中で在ればいいと思うけれども。
道のりは相当大変だわ。
山奥でほぼ野生児として育った天青と
彼を探しに行った神官の鶏冠。
見た目とそぐわない鶏冠の性格、良いなー。
宮中を抜け出し市井に混ざる王子。
それぞれを護衛する者。そして白い仔虎。
これからの彼らの織りなす物語に期待しかない。
作中での猪料理に「あ、水滸伝!」と、骨身に染み入る北方脳。(笑)
天城峠で食べた猪が本当に美味しかった。
北方の生死観と榎田さんの生死観が
どの作品を読んでもブレないでいるのが個人的に心地よい。
「非弁護人」月村了衛(徳間書店)
きっかけは8歳の少年からの依頼だった。
手繰り寄せた糸の先に息を潜めていたのは、おぞましいまでの人でなし。
彼の悪事を暴くために宗光が最初に頼ったのはヤクザ。次にかつての同期の正規の弁護士。
裏と裏と表がタッグを組んで<ヤクザ喰い>を追い詰める。法の下で裁くために。
担保は、宗光自身の命。
でもね、裏社会の実力者から宗光は愛されてるよね。
構成員にも慕われてる。
そして弁護士の篠田も、過去に因縁があっても宗光を憎み切れない。
だから、宗光を要にしたこの異色の連携がみごとにキマった。
みんなカッコよかったよーー!
豊田商事?ん?最近どこで聞いた??と思ったら、
著者の『欺す衆生』でした。
本作での私のイチオシ久住さん。
次点で篠田(宗光との掛け合い込みで)。
「笑えよ」工藤水生 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
この先もずっと交流を持ち続けたとしても。
高校卒業と同時に切れてしまう縁だったとしても。
共に過ごした時間のことを、彼らは一生忘れることはないだろう。
決して人目に晒すことのなかった傷や悩みを語ることのできる相手がいる。
ただそれだけで、少しだけ楽に呼吸ができる気がするのだ。
10代の彼らの姿が濁りのない透明な感性で描かれていて、
こちらまで澄んだ気持ちにさせられる。
コーンポタージュを買った彼の感覚がとても好き。
タイトルの含む意味が心強い。
同録は、それでも傷は簡単には癒えないだろうけど、
痛み分けに持ち込めた彼女に喝采を。
ジワジワ染みてきた若い著者の感性がとても心地よかった。
高校卒業まで見届けたかったなー。
真冬の花火。
やったことないけどとても魅力的。
雪に落ちる「ナイアガラの滝」。
やってみたい。とてもやってみたい。
「妖奇庵夜話 ラスト・シーン」榎田ユウリ (角川ホラー文庫)
長い物語の着地点に、深いため息。
凛として切なく、胸が軋むような優しさに満ち溢れている。
だけどやっぱりやるせない。
正直「鵺」の介入は私にとってはやっぱり邪魔で。
だけど、その介入がない限り、彼らはずっと苦しんだのかな?とも思えるわけで。
だから彼らは鵺主導の結末にはならないように、精一杯抗った。
彼が得たものは、至上のものだっただろうけれども、
これが最良の着地とは、とても言えない。
一方の彼が失くしたものがあまりにも大きいから。
「ほら、笑ったらどうだい」
彼に関わる全ての人に向けられた言葉。
哀しいわけではない。だけど、反芻して泣きたくなる。
ショートコミックペーパーの内容が刺さる。
ここからはネタバレになると思うので、目を通される方はお気をつけください。
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青目にとっては伊織にこれ以上ない言葉をもらったと思うんだ。
その言葉を抱えて生涯生きていけるくらいの至上の言葉。
或いは、その言葉を抱えて死んでもいいくらいの言葉。
咀嚼したもの以上に大きなものをもらったんだと思う。
だけど、妖奇庵の人たちにとっては胸が痛い現実を突き付けられることになる。
それでも、彼らは伊織の家族だ。
これまで以上の強い絆で共に生きていくのだろう。
伊織はそこに戻ってきたのだから。
「花屋に三人目の店員がきた夏 毎日晴天! 18」菅野彰 (キャラ文庫)
16歳だった子どもたちは20歳を過ぎ、大人たちも同じだけ歳を重ねていく。
作中で流れた時間の分だけ彼らは思い悩み、ぶつかって、気持ちを寄り添わせ、
そして一人の人間として成長してきた。
それがしみじみと感じ取れる18巻。
想う相手を理解しようと懸命に心を尽くす彼らの姿がいとおしい。
時々ね。そんなにめんどくさく考えなくてもいいんだよ?と思う時もあるけど、
投げかけられる言葉や思考に抉られる。
そのたびに、疎かにしてはいけないことがあるのだと知らされる。
龍がこの町で踏ん張り続けたことが嬉しいし、
勇太がこの町に馴染んでくれていることが嬉しい。
そしてどうしようもなく気になる真弓の就活。
まだまだ目が離せません!
『機龍警察』『シグマフォース』『毎日晴天!』その他諸々。
ジャンルも国も問わず、楽しく読み続けることのできる長編がいろいろあることが
とても嬉しい。
最後まで並走する気満々なので、皆様くれぐれもご自愛ください。
「機龍警察 白骨街道」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)
<敵>が蠢くその場所は、黒よりも深い闇色で、
醜悪極まりないものだった。
巧妙に仕組まれた罠により
海外の劣悪な環境下での戦いに身を投じぜざるを得なかった姿たち。
警察を、ひいては日本を蝕む悪を暴こうと奔走する刑事たち。
彼らと共に六道を巡りながら、
過去の日本の過ちと、現代社会が内在している問題を突き付けられる。
外に目を向け、情報を拾い、考えることを放棄してはいけない。
空しい。でも無駄ではなかった。
悔しいけど、そう思うしかない幕引き。
嫌いにならないで。
この国を。
そしてここにきてまさかの第四の男の登場。
この物語から、どうしたって目が離せない。
今回のヒーローは間違いなく關だと思う。
半端なくカッコイイ。
だけど私は姿推し。
「お、きっと狂喜乱舞の8月となるよ♡」
相思相愛な読友さんの言葉は間違ってなかった(笑)
読み終わってすぐに読み返したい。
そんな衝動に駆られる作品。
好きすぎてやばい。
「機龍警察 狼眼殺手」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)
【再読】
前線で身体を張れる上司には、そりゃあ部下はついていくよね、とつくづく思う。
誰が敵か?を探ることも必要だけど、
誰を信じるか?に私は重きを置きたい。
この人なら、と懸けられる人との出会いは、ある意味行幸。
特捜部以外の部署の面々の言動の幼稚さにがっかりしつつも、
少しは歩み寄れてるかな?と思う面も。
そして様々な事件と対峙してきた特捜部の面々の
内面の変化と成長がビシバシと伝わってきて感慨深い。
こういうのはシリーズ物の醍醐味。
さて。そろそろ明かして欲しい「敵」の正体。
しょぼかったら暴れるけどそれは杞憂かな?
ライザと緑の関係。
沖津の置かれた状況。
「敵」の輪郭。
「キモノ」不在。
好き作品の再読だけあって色々覚えていたけど、
「狼眼殺手」の意味するところをきれいさっぱり忘れていた自分にびっくり。
興味のありどころ……と片付けるには、重要ポイントすぎ。
タイトルですけどー。
まぁ、何度も読んで楽しめばいいよね。