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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「岳飛伝 4 日暈の章」 (集英社文庫)



壮大な物語。
半端ない読み応え。
私の方に一気に読み切る体力がなかった。なんか悔しいなぁ。
交易の道の拡充、未開の地の開墾、造船、そして従来通りの調練。
梁山泊はワールドワイドな頼もしい集団に。
自らの力を発揮できる持ち場を探し、
そこで頭角を現していく若い力の台頭が頼もしい。
と同時に、己の老いを自覚して自問する古参の背中がやるせない。
だけど、貴方たちにしかできないことがある。
憎まれ口をたたきながらも若手を指南していってほしい。
岳飛軍にも金軍にも魅力的な漢が続々と。
彼らの運命がどう交錯していくのか。
見届けなければいけない。


解説、鳴海さんだ~、と、わくわくしながら読む。
(解説をきちんと最後まで読むこと自体、私にしては珍しい)
冒頭にやられる。
「『岳飛伝』は亡霊に恋する男たちの語である」
亡霊とは誰を指すのかは一目瞭然。
成就しない恋を抱えた男たちが、それぞれの生きざまを見つける物語、
と、言い換えてもいいだろう。

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「岳飛伝 三 嘶鳴の章」北方謙三 (集英社文庫)



敵と味方。
もはや、そんな言葉では言い表せない関係を随所で築いていく男たち。
一つ所にとどまっていた梁山泊の、ある意味領土外進出。
彼らの出会いがこの先どう実を結んでいくのか。
あるいは、決裂するのか。
楽しみで仕方ない。
軍を抜け、南の地で開墾し、商いにつながる甘蔗の栽培に挑む秦容。
人の上に立つ資質を持つ者には、何をやっても人がついてくる。
この営みがどんな成果をもたらすのか見届けるのがやはり楽しみ。
一方、軍に留まる史進の孤独がやるせない。
だけど彼は最後まで戦場を駆け続ける宿命を背負っている気がする。

この人たちだって講和に動いているのに!
と、現実社会で起こっていることに憤る。
真逆の話をすると。
秦容の開墾場面では鉄腕DASHの畑作業のシーンがあちこち浮かんできて、
とてもとても楽しかった。





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「甘い手、長い腕」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



あたたかくてやさしい物語。
そして、モノづくりの苦労と醍醐味が垣間見られて、
業種がまったく違うながらも、仕事頑張ろう、という気持ちにになってしまう。
理一が父の工場を手伝うことになったのは成り行きだけれども。
父が手がけたシャツに袖を通した瞬間の描写がジワリと染みて、なぜか泣きたくなった。
父の病床で出会った真尋に対する甚だしい誤解に大笑い。
だけど。
互いの仕事との向き合い方とその人柄に触れ、
まっすぐに気持ちを育んでいった二人の想いがとてもまぶしい。
理一と真尋。
家族ぐるみでいい関係を築いていってほしい。

私、今の仕事で扱っている商品に魅力を感じているかというと
ちっとも感じていないので、
自分の好きな商品を扱えるのってホントうらやましい。

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「エージェント 巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)



あの人この人その人。
リアル政治家の誰を指しているのかはすぐわかる。
最初は苦笑いしつつ若干引き気味だったけど、
面白い切り口で突っ込んできたなぁ、と徐々に引き込まれ、
気づけばどっぷり。
政治経済を語りながら、右にも左にもよらず、
今の日本の立ち位置を示してくれていると思う。
だからこそ、ラストに近づくにつれ、戦慄。
怖~、怖~、怖~~~!
「マシな方を選んでもらうしかありません」
選んで、そして都合よく願った方向に事態が動かなかったら、
この国の未来はどうなる?
ものっすごくザラザラした気分が残る言葉だわ。


横浜!行きたい!
散策するだけでも楽しいし、工場夜景クルーズをまた体験したい。
泊まりたいホテルを検索したら、以前は見たことないお得なお値段だった!

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「ワルキューレ 巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)



このシリーズは警察小説という概念を捨てて読んだほうがいい。
政治→宗教→LGBTと、シリーズごとに取り扱うテーマの著者の知識の深さと噛み砕いた説明のうまさに唸る。
俺は俺であり、私は私である。
個は個としての幸せを追求する権利があり、
何が幸せかを決めるのは本人。
他人がそれを決めつけるのは傲慢。
すべての個の幸せを守る仕組が構築された社会が理想……だけど、
万人にピタリと当てはまる仕組みを築き上げることが難しいんだね。
でも考え続けることは大事。
事件解決に裏技みたいな手段が使われるのは突っ込みどころだけど、
エンタメだと思えば無問題。
そんな彼らの関係性が好き。

前作で懸念していたその後がここで伺えてちょっとほっとした。
四作目と五作目のテーマは経済(多分)→パンデミック。
どんな物語が展開するのか楽しみ。
そして作家買いして間違いなさそうな著者との出会いにウキウキ。
本は読むのも楽しみだけど、集めるのも楽しみなのです。


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「岳飛伝 2 飛流の章」北方謙三 (集英社文庫)



雌伏の時。
ただ座して待つのではない。
個々がそれぞれの立場で考えねばならない。
自分に何ができるのか。
どんな未来を築き上げたいのか。
そのために成すべきことを成し、
大きく蓄積された力をまとめ上げるのが頭領。
だが、今、その責務を負う者はいない。
そして、いつもそこに在ると思っていた大きな拠り所をなくし、
時代の変遷を否応なしに突き付けられる。
着実に育っている若い力。
今後に繋がると思える出会いが随所にあり、わくわくする。
古参と若者が同席する会議のシーンが好き。
やはり私は、個々の力が一つに掌握され、大きなうねりとなる梁山泊が見たいらしい。


少しずつ岳飛に対して好意的になってきた自分発見。
先の展開がまったくわからなくて、知りたい気持ちが逸る。
どうなるか先のあらすじをチラ見したいという思いはあるけど、
初読の時しか味わえないドキドキわくわく感をずっと抱えていきたいので、
うっかりネタバレ拾わないようにしないと。



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「ブルーロータス 巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)



最後の一行まで読んだ瞬間「え~~~!?」と声をあげたのは久々。
今でも思う。え~~!?
どう考えてもそれは正しくないと思うんだ。
だって、え~~!?
ラストの衝撃でそれまで抱えてきたことが吹っ飛ぶほど驚いたわ。
あまり馴染みのないないヒンドゥーの世界を、
飽きさせることなく嚙み砕いて説明しながら最後までよく引率してくれた。
おかげで山ほど考えさせられた。
英雄的行為でも殺人は殺人。
ならば、彼がやろうとしたことをあんな方法で正した彼も、やはり間違ってると思う。
とはいえ、続刊が気になって気になって仕方がない。


まさかの展開過ぎてまだドキドキしてるわ。
その後どうなったか、誰か教えて……。
個人的には再び黒木に会えたことがうれしい。
そして、黒木の家に真行寺が自宅を売り払ってまで住んでいるのはもはや萌でしかない。

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「岳飛伝 一 三霊の章」北方謙三 (集英社文庫)



壮絶な戦いの後の敗戦。
失ったものは、とてつもなく大きかった。
今なお彼らの心に在りつづける男の存在は大きい。
底のない喪失感。
それでも。
命ある以上、前に進まなければならない。
自らにできることを懸命に探りつつ、彼らが守り、繋いできたもの。
それらが結実した時、何かが起きる。
そんな期待を抱かせる第一巻。
流れた歳月の分だけ年をとった者と
次代を担うために生まれた者との対話も、
次なる時代への足がかりとなる。
蓄積されてきた彼らの思いが噴出した時、
時代は再び熱い咆哮をあげるだろう。
この先どんな物語が待っているのか。
心が逸る。→


ただいま、私!梁山泊へ。
そして、お帰り、私!大水滸伝の世界へ。
久々の北方ワールドの空気感の居心地の良さが半端ない。
『楊令伝』を読了してから四年半。
再読しなくてもすんなり戻ってこれた彼らの世界に、
しばらくどっぷり浸れるのがただ嬉しい。

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「巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)



続編を手元に用意していなかった自分が悔やまれる。
それくらいおもしろかった。
自らの意思で出世を放棄した万年下っ端の巡査長、真行寺。
ところが彼は切れ者だった。
明確な意図をもって己の生き様を貫く真行寺の心意気がカッコいい。
そんな彼とニコイチで事件解決に臨むのは、
出自の知れないハッカー、黒木。
難しい言葉や考え方も、かみ砕いてわかりやすい例えで説明してくれるのは、
著者の筆力。
そして、日本の未来を考える。
自分だったらどう在ることを望むのか、と。
離れ離れになった彼らが再び相まみえる日が来ることを願いつつ。
私も音楽に耳を傾けよう。


TSUTAYAでちびっこたちを「好きな本一冊選んでいいよー」と解き放ち、
さて、自分は?と店内をウロウロ。
積読300冊以上ある身としては、新しい本買うのもなーと思いつつ。
自分だけ何も選ばないのもおもしろくない。
でも読みたい本は全部手元にあるしなーと、思った私の目に飛び込んできたのが
この本。
なんでお持ち帰りしたのかと言われれば、真行寺のように「勘」と答えるしかない。
でも私、そういうの外さないんだ。(笑)
続きもスピンも集めないと。←え?






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「検事の信義」柚木裕子 (角川文庫)



何故そんなことを?
どうしてそこまで?
他者が疑問に思うことが佐方にとっては当たり前のことで、
それが彼にとっての職務でもある。
真実を探求し、罪をまっとうに裁かせる。
彼の在り様は正しい。
だが、それを貫くことは容易ではない。
時に回避できない軋轢。
「お前の立場も俺の立場も悪くなる」という筒井の言葉が重い。
それを汲んで背中を押してくれる筒井は理想的な上司だと思うわ。
短編四作。
四話目の「信義を守る」では
本当に生活に困った人がもう少し頼りやすい社会であってほしいと切に思う。
でも、手助けが必要な人が助けの手を拒んだらどうしようもない。
うー、やるせない。




第三話、「信義を質す」で思いがけない面々との再会があり、
おおおおおお!と、テンションが上がる。
『孤狼の血』シリーズ、大好きです♡
そして、かつて楽しく遊んだ宮島の風景を懐かしく思い出しました。
宮島に一泊して、満潮干潮の厳島神社を訪れて、弥山にも上って。
広島城では何故かはしゃいで兜をかぶっていました。(笑)

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