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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「機龍警察 火宅」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)



【再読】短編八作。
作品タイトルと内容のリンク具合が秀逸で、
作品→タイトルなのか、タイトルありきだったのか気になるところ。
既刊を踏まえたうえで読むからこそ、
登場人物たちのイメージがより深まり、人間味が増す。
これまで扱われてきた事件の補完になる部分があったり、
後日談が描かれているのも楽しいし、
彼らが今まで覗かせることのなかった表情が知れて、親近感が増したりもする。
どうしても抜きにして語ることのできない「敵」の存在が
ここでも生々しく突き付けられ、次巻へと逸る気持ちを掻き立てられる構成はうまいしずるいと思う。





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「Calling」かわい有美子 (花丸文庫BLACK)



BLACK(レーベル)でかわいさん?
え?どんな作品?
と、新世界を期待して読み始めたけど意外性はまったくなく、
安定のいつものかわいさんでした。
とはいえ、BLACK選択の理由に納得。
後書きでこういう出版事情が知れるのは面白い。
そして、SF要素をふんだんに盛り込みつつ、
17年越しの再会を果たした彼らの過去や内面に踏み込みつつ
……という内容を一冊で破綻なくまとめたところが凄い。
でも個人的にはもっとガッツリ掘り下げて読みたかった。
かわいさんにはそれだけの力量があるってわかってるから。
彼らの物語がとても楽しかったからこその物足りなさを感じつつの読了。


贅沢なキャララフを見せられると色々想像しちゃうよねー。

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「死神と弟子とかなり残念な小説家。」榎田ユウリ (新潮文庫 )



オムニバス式の短編3編収録。
新米の死神・ナナの死神としての成長ぶりを楽しく追いながらの展開。
一話目と二話目はとても面白かった。
三話目も途中まではとても楽しかったんだけど。
結果的にはタイトルにもシンクロしたかなり残念な読後感。
あ、そんな感じに着地しましたか。
「生きる」こと「死ぬ」こと。
読みながら今までビシバシ刺さってきた重さが霧散したというか……
個人の意思で時間軸の流れを変えてしまえるっていうのが釈然としない。
極論だけど、だったら強い想いを持った人が好きに世界変えられちゃうじゃーん。
2話目がとても好きだっただけに、やっぱり残念。


「男の勲章」
さすがにそらで通しでってのは途中が怪しいけど、
歌詞見ながらだったらガッツリ歌えます。

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「機龍警察 未亡旅団」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)



【再読】
武器を手に取ること以外、彼女たちが生き延びる術はあっただろうか?
多分、否。
だけど、結果的にはその武器が彼女たちを殺した。
シーラを頼らなければ生き抜くことができなかった女たちは数多いただろう。
だけど、そのシーラが彼女たちを殺した。
私怨に走った時点で完全アウトだけど、
導火線に火を点けたのは無知なる優しさってのがうすら寒い。
自己満足に近い余計なことはしない方がいい。
テロ組織との戦いを描きつつ、
特捜側の捜査員、城木と由紀谷の過去が詳らかになる。
今後の懸念材料に不安を抱きつつ、最後の言葉には安堵。


今回のバトルはキモノ同士の戦いではなく生身の白兵戦での決着で、
読み応えがありすぎた。
そして日本警察も身体張って命削って頑張ってるんだよ!
と、主張したくなるくらい、殉職者の数が多すぎた。

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「先生のおとりよせ 2」 (クロフネコミックスデラックス)



ハセガワちゃんの腐女子脳にはわかりみしかない。
そうそう。
対自分じゃないの。
だから自分とのツーショはいらないの。
ひたすら原稿やってた時代が懐かしい。
そしてウィルス視点の章、着眼点がとても面白かった。
体内に潜伏する人の選別の仕方に納得。
仲良くケンカしながら美味しいものをシェアするアラフォー二人。
付き合い始めから意外と長い年月経ってたのねー。
美味しものは誰かと一緒に食べることでその美味しさが増すと思うの。
予想通りの引っ越し先に笑う。
別に隣でいいじゃん。
「根っこのところは変わらない」という作家としての榎本の言葉に安堵して読了。
楽しかった!


食べたことのあるお菓子から始まり、
行ったことあるお店のおとりよせで終わるという、
個人的にはザ・ベストな並びでした。
結婚式で歌っちゃダメなやつ。
作中に上がった曲の他に浮かぶのは「ラブイズオーバー」。

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先生のおとりよせ (クロフネコミックスデラックス)



おとりよせグルメに特化した作品かと思っていたけど、
全然そんなことなくて。
おとりよせの紹介とうまくリンクして、
漫画家・小説家・編集の仕事風景がよくわかるし、
初対面第一印象最悪の中田と榎村のコミカルなやり取りが面白い。
そして家族との交流も胸に響く。
ストーリー性も抜群で、
明日美子さんの漫画と榎田さんの小説が交互に展開される、
読んでいてとても楽しい一冊だった。
初っ端の「琥珀」から、あ、美味しいお菓子!とテンションがあがる(笑)
「ハゲ」で爆笑した後にまさか泣かされるとは思わなかった。


「くさや」の実物は神津島で拝んで(?)きました。
でも食べる勇気はなかった(笑)
せっかく行ったのにカメラを持っていくのを忘れて
写真が一枚もない神津島。
また行きたいなぁ……
基本的には美味しいものは現地に行って調達したい派だけど、
ネットが普及した便利な世の中。
それを使わない手はないとも思います。

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「少年しのび花嫁御寮」沙野風結子 (二見シャレード文庫 )



虎目がもう少し素直に想いを口にしていてくれたら、
晶がそこまで思い悩むことはなかったのでは?
と思いつつ。
月長がいた限りは回避できない事態ではあったか……と、ため息。
馬鹿だなぁ。
そんなことしたって人の心は手に入らない。
虎目に想いを寄せていく昌の心情が丁寧に描かれていて一緒に一喜一憂してしまった。
5年後の二人の姿、見てみたいなぁ。
虎目は相変わらずの色悪めいた美丈夫で、
晶が色気と貫禄を備えた大人に大化けしていそうな気がする。
万呂眉のシンシャ(犬)がとても可愛い。
何より、女の子たちが華やかで可愛くて大満足の読了。

虎目の画力が気になる。
絵しりとりやってみたい。
トイレットペーパーで絵しりとりをやり、
無駄にするのも何なので綺麗に巻きなおしておいたところ、
先輩がマジックで絵を描いたトイレットペーパーで鼻をかんでいた姿に衝撃をうけた
学生時代。
よくあれで鼻をかむ気になったなー。

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「機龍警察 暗黒市場」月村了衛 (ミステリ・ワールド)



【再読】
真相を知らされなければ、それはやはり裏切りでしかない。
追い詰められ、祖国での居場所をなくし、命を繋ぐために犯罪に手を染める。
擦り切れて絶望のどん底にあった魂。
長い苦悶の時は拭えないけれども。
それでも、少しは救われたのだろうか?
悪意の塊でしかないと思っていた者たちが、
自分を庇護してくれていたという事実に。
なんだかんだ愛されてるなぁ、と思う。
断ち切れない情。
捨てられない矜持。
それは恨み言や憎しみを凌駕する。
だから彼は危うくて、強い。
まだまだ全体像のつかめない「敵」。
彼らの戦いはつづく。


好きな作品の中に見知った地名が出てくると、嬉しくなる。
土地勘があるから、臨場感増し増しで頁を捲る。
そして行きたくなる。
更に言えば、作中とは全く違う、震災後に頑張ってる閖上の姿を見て欲しい。
素敵なお店や楽しい場所がたくさんあるよ。
ああ、そして私、わかってた。とてもわかってた。
關、半端なくカッコいい。初読の時よりときめき度が上がってるよ。

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「機龍警察 自爆条項〔完全版〕」月村了衛 (ハヤカワ・ミステリワールド)



塗り重ねられた嘘。
だが、嘘を重ねたことよりも、気づけなかったことの方が問題。
彼女にとって妹が唯一の肉親だったように、
妹にとってもまた、彼女が唯一の肉親であり、拠り所であったことに。
気づいたところで彼女の手は既に血で汚れていたけれども。
悔恨は一生拭えない。
糾弾されるべき罪も消えない。
彼女の虚無の下に秘められていた過去が突き刺さって痛い。
そして、二重三重に張り巡らされる陰謀の渦。
傷だらけになっても屈しないで欲しい。
その姿の見えない卑劣な「敵」に。
気負うことなくどこまでもプロフェッショナルである姿がとても好き。


何が残念かって……
単行本ではまだレビュー書いてなかったはず!と、
張り切って引っ張り出してきて、重いなーと思いながら読み進め、
ほぼ読み終わりかけた時にかつての自分の単行本での感想を発見した時のがっかり感。
ボケるにもほどがありますね~。
だったら軽い文庫にすればよかったー!
というわけで、今回は文庫→単行本→単行本での再読。

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「機龍警察」月村了衛(ハヤカワ文庫JA)



【再読】警察という組織に巣喰う巨大な闇に立ち向かう物語であり、
特捜部に配置された人々の人間ドラマでもある。
姿の徹底したプロ意識、ユーリの惑いと揺らぎ、ライザの諦念。
その根底にあるものが透けて見えるが故により深くのめり込み、
宮近と城木の今後の変化と苦悩が脳裏を過る。
大人ってこんなに大人げなかったっけ?と眉を顰める警官たちの対応。
他人を貶めるための負の感情は嫌な感じしかしない。
邪魔をするのではなく、協力し合えば、
もっと気持ちよく効率よく仕事ができるのに。
物語の幕開け。
刻む言葉は「偶然を信じるな」。
周囲に悪意と罠が張り巡らされている。

待ちに待った夏の新刊発売に備えて再読。
文庫→単行本→文庫で書いたレビューを読み返してみると、
毎回言ってること同じで私ブレてない(笑)
敢えて別視点で……とやるとなんか嘘っぽくなりそうなので、
そこは弄らずに。
偶然にときめきを感じたい私にとって沖津さんの言葉はなかなかに衝撃的。





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