きままに読書★
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カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2021.03.07 「末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸ガンになる」ひるなま (ポラリスCOMICS)
- 2021.03.04 「動物園で逢いましょう」五條瑛 (双葉社)
- 2021.03.01 「赤い羊は肉を喰う」五條瑛 (幻冬舎文庫)
- 2021.02.28 100日間おなじ商品を買い続けることでコンビニ店員からあだ名をつけられるか。 ビスコをめぐるあたたかで小さな物語
- 2021.02.22 「3Way Waltz」五條瑛(祥伝社)
- 2021.02.15 「生還せよ」福田和代 (角川文庫)
- 2021.02.11 「潜航せよ」福田和代 (角川文庫)
- 2021.02.07 「君の夢は もう見ない」五條瑛(集英社)
- 2021.02.04 「迎撃せよ」福田和代 (角川文庫)
- 2021.02.01 「キル・ゾーン6 赤と黒」須賀しのぶ(コバルト文庫)
「末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸ガンになる」ひるなま (ポラリスCOMICS)
例えば2年生存率80%と言われても、当人にとっては0か100かでしかない。
そもそも私は腫瘍があと1mm大きかったら生存率は60%に下がるという
ギリギリラインにいたので、自分が生きている限り余命あり。
そう思っていたら気づけば2年をクリアしていた。
作中に描かれていることはすべて、なるほどと頷くことばかりで、
病気の発見から手術・抗がん剤に至るまで参考になると思う。
そして計り知れない勇気をもらえると思う。
著者にとっての有効な治療が継続できるようになったこと、本当によかった。
そしてラストの旦那さんの姿に泣きそうになったわ。
癌の発見は早ければ早いほど良いので、
一件目で納得できない場合や体調が思わしくない場合は著者のように二件目に行くべき。
私は一件目は「暫く空きがない」と言われ、
アポなしで二件目に突撃したら、びっくりするスピードで検査の段取りをしてもらえました。
退院して周りの人たちに言いまくったのは、とにかくがん保険に入っておくこと。
作中にあるように、手術にしろ抗がん剤にしろお金がかかります。
(私は保険適応外の手術も抱えたから尚更だった)
使わないに越したことはないし、過剰な保険はいらない。
だけど、必要最低限の保険は必要。
一度罹患したら入れないと思って。
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「動物園で逢いましょう」五條瑛 (双葉社)
番外編5冊目は本編の主要キャラ総出演。
というか、本編主役の葉山がメイン。
頑固で意地っ張りで実は負けず嫌い。
彼のそんな本質が伺える。
結果的に期待に応えてしまうから、
上司のエディも無茶ぶりし甲斐があるんだろうなぁ。
だから坂下も葉山に仕事を押し付ける。
無能だと判断した人間に仕事を任せることを良しとしない男だと思うから。
情報漏洩のマイナス影響は、気づかないうちにジワジワ効いてきて、
気づいたときには手遅れという事態になっていそうで怖い。
無自覚の情報提供者にはなりたくないなぁ。
最後のエピソード。
洪とパクが相変わらずで嬉しい。
白か黒か。
きっぱりどちらかに寄ってしまう私は、
巧みに色を変えて人を翻弄するスパイには向かない。←自己分析(笑)
「赤い羊は肉を喰う」五條瑛 (幻冬舎文庫)
「我々はナチスとは違う」
どこが?
滲む選民意識。
差別的な思考。
大衆心理の操作を楽しんでいる姿勢。
自らの思惑通りに人々が動くという点で悦に入っている。
正直腹立たしいけど、では自分が無意識のうちに誘導されないと言える?
と問われると、残念なことに言いきれない。
例え誘導されても、せめて理性と正しい善悪の判断は持ち得ていたい。
そして偲にはいつか真逆の方向でエスターを越えてもらいたい。
数字・データ・情報ありきで動いている彼らの世界。
こんな仕事の仕方があるんだ、と毎回唸る。
彼らの横のつながりが描かれるのが嬉しいね。
こうなると、長らく積んでいるオルテガの『大衆の反逆』が気になるけど、
まだ手が伸びない。←「読もう!」って流れじゃないんだって、自分で笑ってしまった(笑)
100日間おなじ商品を買い続けることでコンビニ店員からあだ名をつけられるか。 ビスコをめぐるあたたかで小さな物語
人と人。
接点を持ち続ければ、そこには何らかの関係性が発生する。
相手を個別認識するための名称が必要で、
それをあだ名と捉えても良い気もするんだけど。
著者が目指したハードルは高かった。(笑)
表題のことをやり続けたことと記録をとり続けたこともすごいけど、
そもそもやろうと思ったことがすごい。
そんな彼に対するコンビニ店員さんたちの対応はあたたかかった。
売り手側は意外と買い手の顔を覚えてるものなんですよー。
作中エピソードのあんなこと、こんなことがホント素敵だった!
と紹介したいけど、そこは読んでみてのお楽しみ(笑)
もともとがnoteでupされていたものなので、ゆるっと読めます。
そして気持ちはほっこり。
小説以外の文章って久しぶりに読んだけど、楽しかった。
「3Way Waltz」五條瑛(祥伝社)
日米北朝鮮の三つ巴の諜報戦。
発端は16年前の飛行機事故。
巻き込まれたのは、夫と子どもとの平穏な人生を願った女だった。
そして今、彼女の子どもが過去の柵により窮地に陥る。
単純な三つ巴ではなく、日本の中でもあちら側こちら側とで暗躍し、
北朝鮮側も足並みがそろわない。
それぞれの思惑がごっちゃごちゃに絡み合いながら真実が紐解かれていく様はお見事。
言葉少ないながらも、父から息子への不器用な愛情があたたかくて切ない。
真実と向き合うことを余儀なくされ、
少年のままではいられなくなった恭祐の未来が、揺るぎないものでありますように。
そしてお兄ちゃん、紛らわしかったよ。
『プラチナ・ビーズ』→『スリー・アゲーツ』→『夢の中の魚』→『君の夢はもう見ない』→『3Way Waltz』。
順番で読まないと人間関係が明確に理解できない部分が出てきてちょっともったいないと思う。
「生還せよ」福田和代 (角川文庫)
一作目で自衛隊を辞めることを考えていた安濃が、
本作では見事に職務を全う……というよりも、
職務を逸脱してまでの暴走を
結果的には職務と言わしめるほどの活躍を成し遂げる。
あそこまで腹を括れるとは思わなかったけど、
それもこれも窮地に陥った友を救うため。
安濃の行動原理は変わらないなぁ。
一つの任務を終えた彼は究極の選択を迫られることになる。
それをこちらに委ねられるのはいい。
だけどっ!
家庭問題どうなった!?ってとこ気になるじゃん!
という、消化不良要素を残しての読了。
これ続刊出るのかなぁ?
続刊ありきのエピだよね?
「終戦」という区切りの日では戦争は終わらない。
むしろ、そこから始めなければいけないことがたくさんある。
そのことを改めて考えさせられた。
爪痕はそう簡単には消えない。
バディ物を勝手に期待して勝手にワクワクしていた私は
バディは早々に離れ離れになってしまって、勝手にがっかりしました。
未読の本はあれこれ想像せずに無心で手に取らねば(笑)
「潜航せよ」福田和代 (角川文庫)
これヤバイわ、おもしろいわ!で、一気読み。
中国で起こった政変、亡国の徒の暗躍、
巻き込まれた安濃、彼を巡って奔走する自衛隊の面々、
深く沈んだ海底での戦いを余儀なくされる浪虎。
この浪虎の在り様がとてもカッコイイ。
そして硫黄島から対馬に異動になった安濃の立ち位置がなんだかとても面白い。
誘拐されたり殺されかけたりで本人満身創痍だけど。
とはいえ、愛されキャラ健在。
ラストはタイトルに隠されたダブルニーミングに震える。
誕生した《勇猛果敢・支離滅裂》コンビは私へのご褒美。
そして国盗りを持ちかけた男と応じた男の行く末は?
次巻、読むしかないよね。
五條さんの『鉱物シリーズ』を読んでいるタイミングでこちらのシリーズを読む。
このシリーズは内容を全く知らなかったけど、同時期に手に取ったのは何だか運命的。
「知らない人についていってはいけません」
これは子どもだけじゃなく、大人にも当てはまるんだということを改めて。
『迎撃せよ!』→『潜航せよ!』→『生還せよ!』
これちらのシリーズは順番に読むべし。
「君の夢は もう見ない」五條瑛(集英社)
構成がうまいのか、筆力がありすぎるのか。
「手紙」と「聞き取り」を介して語られる彼らの生き様に問答無用で引き込まれる。
そして、圧倒的な存在感を放つ「火蛇」に引きずられるけれども。
作中で一番魅力的なのは「お風呂入ってくださいよ!」と
再三に渡って社員から言われ続ける仲上だ。
ぱっとしないおっさんを装いながらも、
彼の観察眼と着眼点、そして分析力は目を瞠るものがある。
第一線で活躍していたスパイだけのものはある。
そんな彼に心酔するチャン。
良い人、悪い人の定義って必要なくて、
自分が相手を好きか否か。
関係性なんて、ただそれだけでいい。
「サラマンドラ」と言えば「みんなのうた」。
思い出した瞬間にものすごく悲しい気分になっちゃう。
なんであんな淋しい歌作ったんだろう?
作中の火蛇は野心に溢れ、精力が漲っているけれども、
懸命に仲上にラブコールを送っても、色よい返事はもらえない。
「ひとりぼっち」という歌詞がぐるぐる回る。
「もう一度、俺と一緒に夢を見よう」
「君の夢はもう見ない」
妄想で一本話が書けそう(笑)
「迎撃せよ」福田和代 (角川文庫)
日本の平和は薄氷の上の平和なんだよなぁ、ということを、
思い出させられる瞬間がある。
本作読了後もそう。
何事も起こらなければ安泰だし、起こらないに越したことはない。
だけど、ひとたび事が起こってしまったら?
どうやって国を守るの?
そこはもっと真剣に考えるべきだし、法改正は必要だと思う。
気づけば事件の渦中に引きずり込まれた安濃の精神的な変化が小気味よかった。
周囲が全力で手助けしてくれるって、なかなか美味しいお姫様ポジション。←一児の父です・笑。
派手な展開ではないけど、人が事件と対峙するという意味でじっくり読ませてくれた作品。
防衛に関してもだし、
水資源のことも、他国による土地の買収のことも、
突き詰めるとぞわぞわっとしたうすら寒い思いしかこみあげてこないので、
思考シャットアウト……なダメパターン。
「キル・ゾーン6 赤と黒」須賀しのぶ(コバルト文庫)
血を流し、歯を食いしばり、己の肉体を極限まで駆使して戦って、
どうにか生き延びる。
そんな戦いの渦中にある彼らの中に紛れ込んだ人ならざる者。
人知を超えたモンスターを相手にはまともな戦闘なんてできないことを思い知らされる。
その力をキャッスルの元に帰るためだけに駆使した傷だらけのラファエルの姿が痛々しい。
そう、これは人間の物語。
痛みを抱え、人を愛し、地に足を付けて足掻く人たちの物語。
だから怪獣大決戦にはならないはず。
そして、足の手術を終えて戻ったエイゼンの姿に安堵。
荒れたキャッスルに対する対峙の仕方はお見事。
『ブルー・ブラッド』はノーチェックだったけど、
こちらも集めるべき?
リンク作品は読まねば!という使命感に駆られるのは、本読みあるある(笑)