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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「盤上の向日葵(下)」柚月裕子 (中公文庫)



結局。
成功を収めても、名声を手に入れても。
心に空いた虚を埋めることはできなかった。
理不尽を強いられ、衝撃的な真実を知らされ、絶望の淵に足をかけた状況にあったとしても。
彼のその選択は、誤ったのではなく、強要されたのでもなく、自らの意志で選んだ結末。
回避する瞬間はあったはずなのだから。
だから、読後に抱く思いはやるせなさではなく、諦念。
仕方ないよね、と。
どこかでそうなることを望んでいたんだよね、と。
真実を地道に積み重ねていって真相にたどり着く刑事たちの姿は頼もしい。
あの後、始末書(的なもの?)書かされたのかなぁ……


下巻を読みながら読みたくなった漫画は『兎・野性の闘牌』。
こちらは命がけの麻雀の話。一度手放して集めなおした好き作品♡
もちろん、柚木さんの作品も大好きなのです。

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「盤上の向日葵(上)」柚月裕子 (中公文庫)



率直な思いは。
レビュー書いてる場合じゃないんだよ!続き読みたいんだよ!とウズウズ。
上巻だけでは気になることはなにひとつわからない。
だけど、不穏な予感はヒシヒシと。
このままの流れで決着するの?
それは嫌だなぁ、と思った時点で、作品世界にどっぷりハマってるよね。
親子の問題に他人が介入することは本当に難しい。
子どもの幸せを願う善意でも血の絆には太刀打ちできない。
一度は砕かれたかと思った未来。
だけど。潰えなかった道。
桂介が自分の手で道を切り拓ける子で良かった。
この先、誰がどんなふうに関わってくるのか。
めっちゃドキドキする。→

この作品を読みながら無性に読みたくなったのは
『3月のライオン』ではなく、なぜか『ヒカルの碁』。
好きすぎて因島まで行ってしまったんだけど、
ちょうど吉川英治文学新人賞と本屋大賞を受賞した直後の
『村上水軍の娘』が大盛り上がりだった。

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「僕が殺した人と僕を殺した人」東山彰良 (文春文庫)



それぞれが家庭に事情を抱え、大人の事情に振り回される子どもたち。
それでも、彼らは友情を育み、大いに笑い、全力で駆け回っていた。
生命力にあふれた少年時代。
13歳の少年にできることはとても限られていて。
だけど、時に、思いもよらない発想で行動を起こす時がある。
他でもない、友のために。
30年の時を行き来しつつ語られる物語。
一人称の彼が誰なのかを理解した瞬間の痛みを何と言えばいいのだろう。
大きな重荷を抱えて大人になった子どもたち。
一人、大人になり切れなかった彼が引き起こした惨劇。
突き放さなかった彼らの想いが痛々しくていとおしい。

後から悔いるから後悔。
そして、リセットできないのが人生。
もう少し年嵩だったらもっとうまく立ち回れたのかもしれない。
だけど。
あの時の彼らはああすること以外できなかった。

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「十二国記」30周年記念ガイドブック



単行本未収録の『漂舶』が読みたいがために購入。
だって、延王の話だっていうから。(延王好き♡)
でも、それ以外の部分でも読み応え文句なしの一冊でした。
楽しかった。
これまでの作品の振り返りや作品に関わった方々のインタビュー、
何より小野さん自身のインタビューを読んでいると、
一作目から読み返したくて仕方なくなってしまう。
そこここに作品世界に対する愛が溢れる中、
小野さんのインタビューは超クール。(笑)
『漂舶』は相変わらずな賑やかしい日々を送る尚隆と六太だけど、
ドタバタの果てにしんみりさせられての読了。


『魔性の子』を最初に読んでいて。
その後発売とほぼ同時期に購入した『月の影 影の海』が同一世界観だと気づいたときの衝撃。
更に28年後『白銀の墟 玄の月』を読んで、「こうつながるのか!」と前回を上回る衝撃。
思えばどっぷりハマっています。大好き。
新潮文庫でのレビューはすべてあげてるけど、
ホワイトハートではレビューあげてないんだよね。
そのうち読み返しながらUPしていこうかなー。

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「氷雪の王子と神の心臓」尾上与一 (キャラ文庫)



出自に縛られた二人の王子の思わぬ出会い。
決して先行きの明るくない自らの運命を受け入れた二人が、語り合うのは見果てぬ夢。
抗うつもりなどなかったのだけれども。
国のため。愛する者のため。
運命に立ち向かった瞬間から、彼らの人生が激変する。
二人とも流されるだけで終わってしまう器ではなかった。
だけど、自分のためには戦わなかったと思う。
備えていたのは、猛々しいのではなく、しなやかな強さ。
共に在ることを、そして国を守ることを諦めなかった彼らの在り様を
追っていくのがとても楽しかった。



欲を言えば。
銀狼のゲルダともっともっと絡んでほしかった。
せっかくのモフモフ~~。
夏に読んでいるのに思わず寒さを感じてしまいそうな筆力はさすが。
脳内で氷の塊がビシバシ飛んでいました(笑)



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「イングランドを想え」KJ・チャールズ (モノクローム・ロマンス文庫)



20世紀初頭の英国。
戦場で起きた事件の真相を探るため、
敵地と思われる屋敷に赴いたカーティス。
そこで出会ったダ・シルヴァもまた、
とある秘密を探るために屋敷に入り込んでいた。
ミステリアスな物語進行と同時に語られる、
同性愛が禁忌とみなされた時代の二人の想い。
心強い味方となったお嬢様方二人もよき。
数多い登場人物に混乱することなく、
綺麗に着地するかと思いきや!
え?続編あるよね?と言いたくなる幕引きはずるい。
ようやく相手とまっすぐに向き合った二人。
今後の活躍を是非!




どこまでも続く地面に掘られた人一人分の幅の穴に次々に人が落とされて行って、
底までたどり着いたらあとは上から落ちてきた人につぶされて圧死……
という、恐怖に慄く夢を見たことを思い出して軽く鳥肌。
怖かった。
そんな穴、あったんですねー。近寄らないようにしよう。←そんな機会はない。


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「デコトラの夜 (2)」 (ウィングス・コミックス)



この巻でぐっと存在感を表した美晴さん、好き。
祐一との結婚生活を送りながらも、
彼女もきっと、ただ流されるように生きていたんだと思う。
タイヨーが表れて、祐一と美晴と七千子との生活に関わるようになって。
考えることや気づきがあって、ありのままの自分らしく振舞うことができるようになったことはプラスの変化。
彼ら四人と晴太の五人は、
傍から見れば奇妙な関係性かもしれないけれども、彼らは間違いなく家族だ。
誰が欠けても幸せが欠ける。
みんなが慣れていない幸せ。
だったらこれから慣れていけばいい。
互いのぬくもりを傍らに感じながら。

一巻と二巻の表紙を並べると、とても素敵な夜空が広がっている。
花巻温泉、いいところだよね。また行きたいなぁ。
浄土ヶ浜は大昔に体力勝負の日帰りドライブで強行したけど、
今なら一泊でゆとりをもって訪れたい。


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「エアー2.0 」榎本憲男(小学館文庫)



夢のような物語。
東日本大震災という未曽有の大災害に見舞われた福島を、
いや、福島に限らずこんなふうに復興できたら。
とても素敵。
そして、自分がその事業に携わることができたのなら。
想像すれば、ますます胸が高鳴る。
夢物語であることはわかっているけれども。
その夢をみたくなる。
そんな作品。
とてもとても楽しかった。
現状の政治や経済の在り様にも言及していて、
いろいろと考えさせられる。
死に際にこれだけ見事な花を咲かせることのできた彼本望だろう。
あとは彼らが引き継ぐ。
確実に。
そう思えることが嬉しい読後。

毎年毎年南三陸と気仙沼に行ってしまう。
そして、とても楽しく帰ってくる。
着実に未来に向かっている被災地。
いつだっていつまでも応援したい。

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「こちら歌舞伎町、ほしぞら保育園」三津留ゆう (富士見L文庫)



夜間保育を営む訳アリの二人と、夜の街で働く保護者たち。
そして、彼らの愛らしい子供たちとの人情味あふれる優しい物語。
総括したらそうなんだけど、
仕事とボランティアは違うんだよ?というところが、途中気になってね。
まぁ、高校生の子どもの言うことだから仕方ないよなーとも思うんだけど。
対価としてお金をもらい、仕事として子どもを預かっているプロフェッショナルに、
気軽く善意の無償の預かりを頼んじゃいけない。
万一、何かあったときの責任の所在も問題になる。
なんとかしてあげたいという思いもわかるだけに、複雑。


新宿で保育園と言えばハナちゃん!
そして彼を思えば練に直結するわけで……
練の話の続編はどうなったのだろう?
続きが読みたいがために、張り切ってアンケート答えたよ!
あきらめないで待ってるよ!

「もね、2さいのおねえさんだから!」が個人的にツボ。
可愛い~~♡

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「喪国」五條瑛 (双葉文庫) 



見果てぬ夢。
多分彼は、どれだけの金を手にしても心が満たされることはないのだろう。
彼が求めるものは、もうこの世界のどこにもなく、
この先も手に入れることはできないのだから。
彼が気まぐれに手を差し伸べた者たちの歩んだ人生の明暗。
身を持ち崩した者たちの末路は壮絶だし、
うまく立ち回った者たちは時代の変化に逞しく順応する。
改憲。自衛隊。宗教。政治。
今に通じる問題が提起され、革命の火種がくすぶり続けたまま、物語は幕を閉じる。
否。
閉じてはいない。
雑多な新宿という街の中に取り残されたまま、
その後の彼らの行方に思いを馳せるのだ。


著者は日本の未来に希望を抱いていたのか、絶望していたのか。
尋ねてみたい気がする。
とてつもない問題提起と熱量を孕んだシリーズ。
没頭したまま帰ってこれなくなって、ノンストップで読み切りました。


本編の感想は単行本の方で投稿済み。
文庫の書下ろし短編のタイトルは「Blue and Red, BLOOD」。
自分の国はなくならない。と思っているけれども。
絶対に?と問われると、Yesと言い切れないと唸ってしまう世界情勢。
世界にとってサーシャという男の存在は大迷惑。
だけど。
それ故に、彼に魅了されてやまない人間は多数いるのかもしれない。


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