忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ヨリックの饗宴」五條瑛 (文春文庫)



女が自らの元に縛り付けようとした男は、翼を手に入れて飛び立っていった。
自由に、そして奔放に。
一元的に物事を見ていては、真実は見えてこない。
彼は守りたかった。
どうしても、大切なものを。
決して傷つけたくなかった者たちを。
いつしか運命の歯車は回り始め、そして時は告げられる。
彼は渦中に舞い戻り、望む望まざるに関わらず、
その秘密に巻き込まれた者たちは自らの運命と向き合うことになる。
そして課せられる決断の時。
アメリカ。日本。密約。政権交代。
読了後にふと思う。
著者の物語の中に、リアルがどれだけ埋め込まれているのだろう?と。

戦える女子。カッコいいな~。
悠子さん、素敵。
自分の人生と運命を楽しんでいる。
そう言い切る栄一もカッコいい。
迷える耀二もそう言えるようになるといいね。





拍手

PR

「かがみの孤城」辻村深月(ポプラ社)



とても良かったけど、とても残念。
10代の頃に読めたらなーと。
そうしたら、もっと身近に彼らの存在を感じられた気がする。
もっと彼らの傷に寄り添えた気がする。
それでも。
一学期より二学期、二学期より三学期と、
読み進めるほどに作品世界にのめり込んでの読了。
息をすることすら苦しくなるような現実世界で戦い続けることが難しければ。
あんなふうに逃げ込める場所に縋ったっていい。
その場所で約一年を過ごした彼らの成長に胸が熱くなる。
期限と条件付きの居場所だったからこその気づきと成長だったんだろうなぁ。
各々の約束と願いに切なくて嬉しい涙。

単行本を積んでる間に文庫が出て、映画化にもなって。
どんだけあっためたんだよ?と思いつつ読み始めたけど。
甥っ子ちゃんや弟・義妹たちと不登校について語り合った日に読めたのは
本に呼ばれたのかな?と。(どんな内容かは知らなかった)
そしてこの作品を読みながらせとなさんの『放課後保健室』が無性に読みたくなってみました。

拍手

「君が夏を走らせる」瀬尾まい子 (新潮文庫)



ある日突然三歳児を私一人で預からなければならなかった時のことを思い出す。
子どもは私に慣れていたし、意志の疎通もできる年齢だったけど、
それでも子育て経験のない私はドキドキしっぱなしの一日だった。
大田くんが預かったのは面識のない二歳に満たない子ども。
私の困惑の比ではなかっただろうけど。
全力で鈴香と向き合った彼の奮闘ぶりと、
彼になついていった鈴香の様子を追いながら
暖かな気持ちがこみ上げる。
手作りの食事を食べさせようとするとか、ホントやさしい。
例えこの先会えなくても。
夏の思い出と小さな応援団の声を糧に、キラキラした未来を手にできるはず。



少し認知症気味だった祖母が、女学校時代の同窓会に出席するために
電車に乗って目的地へ。
仕事があって祖母を現地まで送り届けることができなかった母は、
電車まで送って行って、近くの席に座っていた金髪ロン毛の男の子に祖母を託したそうな。
「目的地で下ろしてあげてください」って。
(彼の目的地は祖母が降りる駅より先だった)
話を聞いた時、嘘でしょ!?とびっくりしたけど、
何と彼、祖母を最寄り駅で下ろすだけではなく、迎えの人が来てくれるまで
祖母と一緒にいてくれたそうな。
母に見る目があったのかな。
大田くんみたいな子、身近にいました(笑)

拍手

「エゴイスト」高山真 (小学館文庫)



え?と、途中で呆然としたのは久々。
最後まで読み切って、いろいろ刺さりまくって、
こみ上げる感情の意味するところを反芻して涙。
愛の形に正解なんてない。
自分が幸せで、関わった人たちも幸せで。
そう感じられたのなら、そこには愛がある。
だから貴方は間違っていない。
人生は不平等で不公平。
「しょうがない」と呑み込むこともたくさんある。
それでも。
幸せを共有できる誰かに出会えたこと、
誰かに幸せを届けることができたことは誇っていい。
本編後のあとがきはサプライズでもあり、
とても素晴らしい内容でもありで、背筋が伸びました。

予備知識ゼロで読んで正解。
何かを想像していたわけではないけど、
手に取った時の自分が思っていた以上に良い作品だった。
映画を観に行く前に読んでよかったとは思ってる。
だけど、未読で映画を観た時の衝撃も味わってみたかった。(笑)

拍手

「光のとこにいてね」一穂ミチ(文藝春秋)



偶然と必然を繰り返し、今に至るまで彼女たちは三度出会った。
共に過ごした時間はほんの僅かでも、この三度の出会いの間に
彼女たちは猛烈に惹かれ合い、とてつもなく大きなものを共有する。
それぞれが人生において大きな決断をするに至った三度目の出会い。
複雑な環境で多くの歪みを抱えても、どうにかここまで生きて来ることができたのは、
それぞれを支えてくれる人たちが傍にいたから。
互いの存在だけが生きる糧だったわけではない。
だから……このまま二人の人生が交わることなく過ぎるのが、個人的理想エンド。
これ以上密になったら二人だけで世界が完結してしまいそうだから。

チサさん、好きだなー。
傷だらけになっても、ちゃんと子供と向き合えている。
自分を大事にして幸せになってもらいたい。
素直に自分を見つめることのできた直くんにも幸せになってもらいたい。
水人にも瀬々にも藤野にも。
幸せになってもらいたい。

拍手

「あと少し、もう少し」瀬尾まいこ (新潮文庫)



同じ年代の仲間たちと一つのことに打ち込んで、
ひたむきに勝利をめざす。
長い人生の中で、そう何度も経験できることではないだろう。
六人で襷を繋ぐ駅伝大会に挑むことになった彼ら。
一筋縄ではいかなかった大会出場への道程。
一人一人の姿を丁寧に描くことによって、
彼らが心の内面に抱えた葛藤が浮かび上がってくる。
支えになったのは互いを思いやる気持ち。
限界を突破してもなお湧き上がる力の源は、仲間たちへの想い。
彼らを見守り続けた教師や家族の姿も心強く、
彼らと一緒に笑ったり涙ぐんだりしながら、ドキドキのラストスパート。
楽しかった。

あと少し、もう少し。
彼らの姿を見ていたかった。
そんな思いを引きずる読後。
ひたすら子どもたちが眩しかった。






拍手

「僕はここにいる」飯田雪子 (講談社X文庫ホワイトハート)



【再読】
姪っ子ちゃんのクリスマスプレゼントに笑える話と、胸に響く話と。
二つ選ぼうと思っての、じわっと響く系候補。
……と思ったら絶版。
え~~。素敵な作品なんですけどー。
哀しみは誰の元にも訪れるもの。
と同時に、誰もが乗り越えていかなければいけないもの。
哀しくて、苦しくて、どうしようもない時に、そっと手をさしのべてくれた彼。
寄り添ってくれた彼のやさしさとあたたかさに身をゆだねてしまいたくなるけれども。
その手を放すことを迷わず選んだ涼香に、切なさと安堵で泣き笑い。
うん。
大丈夫。
貴女の笑顔は周囲も笑顔にする。きっと。

ちなみに。
じゃ、こっちは!?と思って調べた本も絶版だった。
う~~、なんかいろいろ残念だなぁ。

拍手

「雪よ林檎の香のごとく 林檎甘いか酸っぱいか~赤~」一穂ミチ(新著館)



恋をしている。
付き合い始めてから10年経っても、想いは褪せることなく。
むしろ、より深みを増していて、ひたすらに愛おしい。
そんな想いが随所に溢れていて、こちらも甘酸っぱい気持ちになりながらの読了。
高校生から大学生、そして社会人。
積み重ねた時間を、彼らは間違いなく共に生きていて。
周囲の人たちにも結婚や進学等の変化がある。
始まりは一冊の文庫本。
だけど、彼らは一穂さんの中で着実に時を重ね、関係を進展し、成長していっている。
物語を紡ぐ作家さんってすごいなーと思う瞬間。
左と右。
触れ合う指輪。
とても印象的。
こういうとこ、一穂さんらしいってつくづく思う。

新刊で買って、積むこと7年。
そんなに経っていたことにひたすらびっくり。
え~~。

拍手

「狼の紋章【エンブレム】〔新版〕」平井和正 (ハヤカワ文庫JA)



独りよがりな身勝手な主張があちらこちらで鼻につく。
あなたのため、我々のため、お前と決着を、殺してやる云々。
何が自分のためなのかを決めるのは自分であって、他人ではない。
決着以前に喧嘩にもなっていない。
自分が他人に与える影響を知っているからこそ、
人との距離を置き、関わらないように努める犬神明。
だが、その気高い孤高故、人は彼に関心を抱くのか。
いや、引きずり下ろしたいのかな。自分と同じところに。
どっちにしても大迷惑。
降りかかった火の粉を払うために迸ったのは血の雨。
もはや害獣駆除。
令和の時代には出版できなかった本な気がする。


中学生だった自分はなんでこの本を読もうと思ったんだろう?
と、ふと思ってみました。
今みたいに身近にブックオフがあったわけでもないので、
普通にお小遣いで買って読んでたんだよね。
ロマンスよりバイオレンス。

拍手

「エイリアン通り 7」成田美名子 (花とゆめCOMICS)



シャールがみせた、年相応のやきもち。
可愛らしいけど、振り回された周りが大変。
翼は母と2年ぶりの再会を果たし、
彼らの日常に少しずつ変化の兆しが見え始める。
そんな中で生じた政治的な陰謀に、彼らは巻き込まれることになる。
自分たちの要求を通すために、
何故誰かの命を犠牲にしようとするのか。
一方が武器を手にしなければ、
もう一方も武器を握る必要なんてないのに。
……と、昨今の世情となんだかリンクしてどよーんとなりました。
残すところあと一冊。
もう少しこの世界に浸っていたいと思いつつ、いきまーす。→


巻末のキャラクターたちのチョコレート数集計表。
ずらりと並ぶ面々を見ていると、成田さんの他作品も再読したくなりますねー。
危ない危ない。

拍手

  

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 5 6 7 8
11 12 13 15 16
18 19 21 23
24 25 26 27 28 29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]