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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「岳飛伝 16 戎旌の章」北方謙三 (集英社文庫)



間髪置かずに17巻に手を伸ばしたい。という思いをぐっとこらえる。
読み続けてきたのはやはり『水滸伝』だったのだと。
強烈に思った瞬間。
個々人の生き様や死に様が鮮烈に描かれてきた『水滸伝』。
人や国の在り様が俯瞰的に淡々と描かれてきた『岳飛伝』。
活動拠点が「塞」から「国土」に広がり、
運ぶものが「塩」から実に多種多様なものに広がり、
もはや数えきれないくらいの人々の人生が描かれてきた。
各所で繰り広げられるの彼らの戦いはどんなふうに決着するのか。
探すのは死に場所ではなく生きる場所であってほしいと、願ってやまない。


次巻でいよいよ最終巻。
気になることいろいろありすぎるんですけどー-!

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「岳飛伝 15 照影の章」北方謙三 (集英社文庫)



程雲の戦い方、嫌いじゃない。むしろ感心する。
そして程雲(総帥)と陸甚(副官)の関係性が好き。
ぐだぐだ言い合っている姿がなんか可愛い。(おっさんですけど・笑)
互いの思考を読みに読み、機は熟したと言わんばかりに激突する程雲と岳飛。
ここから、あちこちで戦火があがりはじめる。
陸では秦容が揺るぎない強さを発揮し、海では張朔が敵船を鎮める。
女たちの肝の座り方が小気味よい。
そしていよいよ動き出す、梁山泊。
赤い獣を従えて心置きなく戦った果てに史進はどこに立っているのか。
そして戦火から離れたところにある胡士児の在り様は?
気になる~!

北方の書く『平家物語』を読んでみたいと。
ふと思った。
望むことは贅沢かな。

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「カッコウの微笑み」福田和代(双葉社)



「一気読み待ったなし!」の書評に、嘘偽りなし。
罪を隠蔽して自分の立場を守ろうとする政治家ってなんなんだろうね。
法に触れることをしなければ、堂々と立っていられるだろうに。
そんな男は保身に回った瞬間、破滅への一途をたどる。
「行けば」と。
五歳の子供がDV被害者だった義母の背中を押すシーンが印象深い。
一人で戦ってきた彼が身内と呼ぶほどに近しい人を殺されては、黙ってはいない。
そこに親子関係や、兄弟のつながり、恋人との関係等、うまく絡めてきたと思う。
ここぞという時に一気に視界が開ける展開の仕方は絶妙。
おもしろかった!

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「岳飛伝 14 撃撞の章」北方謙三 (集英社文庫)



そこから遠く離れた場所に在っても。
そこがもはや失われてしまった場所でも。
魂の戻る場所は梁山湖の湖塞。
生き切った。
間違いなくそう言える彼の魂を、
仲間たちが笑って迎え入れてくれるに違いない。
明るみに出た胡士児の出自。
生みの親より育ての親だと思うんだよね。
胡士児と兀朮は間違いなく親子の結びつきを持っているのに。
陽令の存在が重い。
託された剣。
史進の立ち回り方がかっこよすぎて痺れる一方で、
彼に付きまとう孤独の影が哀しい。
甘蔗園に手を出したら承知しない、と。
秦檜には割と本気の殺意。


そこにいるだけで安心することのできた存在の喪失。
やっぱり寂しい。とても寂しい。


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「岳飛伝 13 蒼波の章」北方謙三 (集英社文庫)



金国の戦いを臨む姿勢にどうしても納得がいかず。
自国におとなしくひっこんどけよ、と思ってしまう。
誰も戦うことなんて望んでないんだよ?
史進が王母の墓の前に立つシーンでは思わず涙が溢れてしまった。
そしてやっと心の赴くままに北に向かったのに、間に合わなかった李俊。
10日のすれ違いがやるせない。
最古参の二人が全力以上の力を出して戦いに挑み、
二世たちも守るべきものを守るために戦いに向かう。
金、大迷惑。
そして兀朮の口から「剣」に纏わる言葉が。
それぞれの国、それぞれの立ち位置にいる彼らがこの先どう動くのか。
ドキドキしながら次巻へ。

骨郎(猿)がハードボイルドに思えてきて、
そのうちなんかキザなセリフを語り出しそうなんですけどー。←語りません。(笑)





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「みやぎから、」佐藤健、神木隆之介(NHK出版)



健くんと神木くんが旅をした宮城が、
たくさんの写真と出会った人たちとの対話で綴られている。
震災抜きに東北を語ることはできない。
だけど、東北は立ち止まってはいないんだと。
あの地震からちゃんと前に向かって進んでいるんだと。
そんな力強さを感じることができる一冊。
マイナスイメージの3Kを「カッコよくて・稼げて・革新的なことをする」と謳い、
漁業を活気づけようとしている長谷川さんの言葉が目から鱗。
馴染みの深い場所も多々あって、また行きたくなったり、
逆に訪れたことのなかった場所に興味津々になったり。
うん。何度でも行くよ。

だるまの目入れって一度やってみたいなーと思ってるんだよね。
夏にちびっ子たちと一緒にやってみようかなぁ。
でもだるまを飾るのにふさわしい場所がない気がする(笑)
獲れたてを食べて魚介の苦手を克服したという話にはわかりみしかない。
私も食べられなかった牡蛎が、食べられるようになりました♡

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「傭兵の男が女神と呼ばれる世界 (3)」野原耳子 (アンダルシュノベルズ)



ラストは無難にまとめてきたなぁ、と思うものの、
そこまでに至るまでの展開は思った以上に壮大で、面白かった。
状況描写もさることながら、
「今」に至るまでの個々の心情や過去の経験等が丁寧に描かれていて、
納得したり理不尽を感じたり。
個々の抱えた問題を乗り越えた彼らの
人間的な成長が垣間見れたのも良かった。
根本的なところでは神の信託等々に左右される世界でありながら、
思い惑い、そして決断するのは人間である彼ら自身であったからこそ、
ハラハラドキドキしながら楽しく読了。

2/3が本編で、残り1/3はお遊び的な番外編。
個人的にはカプ固定じゃなきゃイヤ!というわけでもないけど、
IFストーリーをここに同録されると余韻ぶち壊しになるので、
これはなくてもよかった。
さすがに節操なさすぎ。

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「岳飛伝 12 瓢風の章」北方謙三 (集英社文庫)



李俊や史進が年老い、そして北方も同じように年を重ねた。
「死」に対する描写に、そのことが感じ取れる気がする。
だけど、それは悪いことではない。
人は誰もが年を重ね、そして死んでいくのだから。
だからこそ。
「死に場所は求めぬ。新しく生きる場所を求めるために、闘おう」
彼のこの言葉に嬉しくて震えた。
燕青と李師子の二人の醸し出す雰囲気がとても好き。
艶っぽくも慣れ合わない二人の空気感が好き。
全てが彼自身が納得ずくの行動だったことが嬉しくて、悲しい。
そして秦容無双。
胡土児がこの先梁山泊組とどう関わってくるのか。気になるわ。


昨日の「山カフェ」(ラジオね)でサトウキビで作ったラム酒の話をしていて。
ああ、まさにまさに!今小梁山でそれ作ってる~~!と、
朝から一人テンションが上がった私です。
以下ネタバレ気味。…………彼自身、納得の最期だったんだと。私も納得。
とはいえ。
思えば『水滸伝』からここまで。
よくぞここまで。と、やっぱり寂しい。
残る古参組は二人。
心して見届けます。

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「テロリストにも愛を」榎本憲男 (ハルキ文庫)



気づかないうちに相手の意図した方向へ誘導される思考の操作は恐ろしい。
明確な意図をもっていたずらに煽られる恐怖心も気に入らない。
物事を自分自身の目で見極めることは大切だけれども。
取り込んだ情報をしっかり精査できるかどうかが問題。
そして、立場が違えば見方が変わる。
自分の価値観だけで文化や思想の違う人たちの幸不幸を決めてしまってはいけない。
と、なかなか深いところに切り込んで考えさえられることも多々ありましたが。
一番強く思ったことは。
鴨下刑事は女子高生刑事・真理にひっかきまわされることなく、
恋人の愛里沙と安泰でいてほしいということなのでした。



日本的にはオッケーだったとしても。
彼に対する組織からの制裁はなかったのだろうか?
と、ちょっと気になった。
そんなに甘くないよね?

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「岳飛伝 11 烽燧の章」北方謙三 (集英社文庫)



兀朮の独白は時折独りよがりで鬱陶しいなぁ、と思っていたのですが。
そして戦いに対するこだわりに、周りを巻き込まずに一人でやれよ、と思っていたのですが。
この巻で私の兀朮の評価はダダ下がりました。
「九紋竜ごとき」って言ったなぁ!
ごときって!なんて失礼な。←山泊贔屓。
一つの旗の元に集い、一致団結していた旧世代。
今の世代を担う彼らは、一人一人がやるべきことを考え、その答えを導き出している。
そのうえで同じ方向を向いている足元のしっかりした強さが感じ取れるようになってきた。
自分が思った通りに生ききればいいと、語った李俊。
それもまた、一つの在り方。

通信の手段……それがあったか!と唸る。
ルーツは古代エジプトまで遡るっていうからすごいなー。
そして私の馬鹿馬鹿馬鹿。
絶対ネタバレ拾うまいって思ってたのに。
これから読む巻の人様のレビューを見てはいけない。絶対に。
何度目かの反省。

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